【ストーリー】EPISODE 3-10 今も子どもだろう

| EPISODE ◆ 3-10 今も子どもだろう 魅惑バザール! |
登場人物
ケイト、トレイ、マレウス、ナジュマ、ジャミル、店主、グリム
テキスト全文
── 熱砂の国‐ラクダバザール ──
ケイト:「ラクダバザールって広いね~。」
トレイ:「果物、花、日用品みたいに、売っているものごとに店同士が集まっているんだな。」
マレウス:「この辺りはなにを売っている場所なんだ?」
ナジュマ:「ここは、ナッツやドライフルーツを売ってるお店が集まっています。」
ナジュマ:「どちらも熱砂の国の定番おやつで、老若男女問わず人気があるんですよ。」
ジャミル:「…………。」
ケイト:「山盛りのナッツやドライフルーツが、量り売りされてるね~。」
トレイ:「ヒヨコ豆にピスタチオ、ひまわりの種か……。どれも栄養価が高く健康に良さそうだな。」
トレイ:「ナジュマちゃんのおすすめはどれかな?」
ナジュマ:「私の大好物は、デーツです。」
トレイ:「ナツメヤシのことか。」
ナジュマ:「はい! ドライフルーツにして食べるのが定番ですよ。」
ナジュマ:「ジャムとかゼリーも売ってます。あとシロップとかにしてもおいしいの!」
ナジュマ:「あの店先にたくさん積まれている、黒っぽいドライフルーツが、デーツです。」
ケイト:「どれどれ……。」
ジャミル:「あの、ここは早く離れた方が……」
店主:「よぉ、ジャミルじゃないか!随分、久しぶりだな!」
ジャミル:「ぎくっ!!」
ジャミル:「お、お久しぶりです……。」
店主:「今日は買い物か?また大暴れは勘弁してくれよ~?」
大暴れ?
ジャミル:「う……、まだその話を……。」
ジャミル:「俺が子どもの頃の話じゃないですか……。」
ケイト:「ジャミルくん、一体なんの話?」
ジャミル:「なんでもありません。」
店主:「それがよお~……」
ジャミル:「あああ! やめてください! 余計なことを言われるぐらいなら自分で説明します!」
ジャミル:「……、じ、実は……。」
ジャミル:「昔、少しトラブルを起こしてしまいまして……。」
ケイト:「ジャミルくんが? ちょっと信じられないかも。いつも慎重なのに。」
トレイ:「あぁ。いったい、なにがあったんだ?」
ジャミル:「……子どもの頃は、俺もデーツが大好きでした。」
ジャミル:「ナジュマと一緒に、よくこの店でデーツを買っていたんです。」
ジャミル:「しかしある時、受け取った商品に混ざっていたんです……」
ジャミル:「む、」
ジャミル:「虫がっ!!!!!!」
虫?
ジャミル:「アイツは何食わぬ顔をして、さも「自分もデーツの仲間です」みたいな様子で、俺の手の中に……」
ジャミル:「それで、あまりにびっくりしてつい魔法を使ってしまいました。」
ケイト:「どんな魔法?」
ジャミル:「……火です。」
店主:「虫を退治するつもりで、うちの店のシェードを焼いちまったってわけさ。」
ケイト:「わあ……ジャミルくんって意外と過激。」
ジャミル:「と、当時はまだ小さくて! うまく魔法の制御ができなかったんです!」
店主:「シェードは焦げたぐらいですんだけど……その後、ジャミルをなだめるのが大変だったよ。」
店主:「もう、べしょべしょに泣きながら暴れてなあ~!」
ケイト:「へえ~?」
トレイ:「ジャミルがねえ。」
ジャミル:「子どもの頃の話ですから!!」
マレウス:「今も子どもだろう。」
ジャミル:「ううう……」
ジャミル:「もうやめてください!」
ナジュマ:「おじさん! ジャミルのことは放っておいていいんで、デーツをください。」
ナジュマ:「はい、デーツのドライフルーツです。」
ナジュマ:「皆さん、どうぞ!」
ぱくっ。
グリム:「ムシャムシャ……。」
グリム:「おー! 甘くてウマいんだゾ!」
トレイ:「砂糖を一切使っていないのに、これほど甘味があるとは驚きだな。」
トレイ:「新作菓子に使ったら面白いものができそうだ。自然な甘さと食感が、良いアクセントになる。」
グリム:「お菓子作りをする時には、オレ様を呼べよ。味の評価をしてやるゾ!」
ケイト:「グリちゃんは、ずっと食べていたいからって、美味しくてもダメ出しばっかしそうだね。」
トレイ:「それは困るな。グリムの評価は当てにしないことにするか。」
ケイト:「低カロリーっていうのもポイント高いよね。人気になりそう♪」
ケイト:「#罪悪感ゼロ #天然スイーツ#体に優しいごほうびタイム」
ケイト:「ってカンジ!」
マレウス:「デーツのシロップというのも気になるな。氷菓にかけたら、さぞ美味いだろう。」
マレウス:「今度クローバーに作ってもらうのもいいかもしれない。」
ジャミル:「……。」
ケイト:「あれ、ジャミルくんは食べないの?このデーツには虫は付いてないのに。」
ジャミル:「あの一件以来、デーツを食べられなくなったんです。見るのも嗅ぐのもダメで……」
ジャミル:「あの光景を思い出してしまう……。」
トレイ:「そ、そこまでなのか……。」
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