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【ストーリー】EPISODE 3-2 鬼をやりたくて

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最終更新者: novira

EPISODE ◆ 3-2

鬼をやりたくて
豊作マーケット!

登場人物

マルヤ、ジェイド、セベク、エペル、イデア


テキスト全文

── 豊作村‐集会所 ──


マルヤ:「それじゃあ、ソリの準備を始めるとしますかねえ。」

マルヤ:「みなさん、この生地の山から好きなものを選んでくださいな。」

ジェイド・セベク:「……え?」

エペル:「この生地を使って、ソリを引くぬいぐるみを作るんだ。」

セベク:「そうだった……」

セベク:「僕たちが行うのは、犬や馬ではなくぬいぐるみを使ったソリレースだったな。」

セベク:「真っ赤な色の物やチェック柄……」

セベク:「ずいぶんと派手な生地ばかりだ。」

ジェイド:「それに、大きさや長さもバラバラみたいです。」

エペル:「村の人たちが、それぞれの家庭で出た端切れ生地を集めたものだよ。」

イデア:「……要するに余りものってことでしょ。」

エペル:「別に材料費をケチってるわけじゃないですからね!」

エペル:「物を大事にするっていう考えで、あえて不要となったものを再利用しているんです。」

エペル:「生地を繋ぎ合わせてパッチワークにするから何枚か選んでね。」

セベク:「こ、この選択肢の中から選ばなくてはいけないのか……。」

セベク:「……。」

セベク:「しかし考えてみれば、生地などどうでもいいことだ。」

セベク:「ソリのスピードには関係ないんだからな。」

エペル:「関係あるよ。」

セベク:「なに!?」

エペル:「生地の表面素材によって空気抵抗も変わるし、撥水性の高い生地なら雪の中でも重くならない。」

エペル:「ソリのスピードや耐久性が大きく変わるんだ。」

セベク:「そ、そうなのか……。」

イデア:「ふひひっ、拙者はもう選びましたぞ。」

セベク:「早いな!?」

イデア:「過去のレースで上位入賞したぬいぐるみに使われていた生地を調べておきましたからな。」

イデア:「この組み合わせなら、ハイパフォーマンスのぬいぐるみが出来上がること間違いなし!」

エペル:「そんなことまで調べていたんですか。」

イデア:「ふひひ……拙者キャラメイク大好き侍と申す。」

セベク:「……僕はこの雪の結晶柄とドット柄の生地をベースにして、差し色にオレンジを加えよう。」

ジェイド:「なるほど。セベクくんは普段、こういう柄の私服を選んでいるのですね。」

セベク:「違う! イデア先輩が選んだ生地を参考にしただけだ!」

セベク:「そういうジェイド先輩はまだか?」

ジェイド:「そうでした。急いで選ばなくては……」

ジェイド:「少々お待ちください。」

ジェイド:「……。」

ジェイド:「…………。」

ジェイド:「………………。」

ジェイド:「……決めました。この緑と茶色の、雪の結晶柄と青いストライプ模様の布にします。」

セベク:「随分と時間がかかったな。」

ジェイド:「素敵な生地ばかりで、迷ってしまいました。」

イデア:「……全然そうは見えなかったけど。」

エペル:「僕はどれにしようかな……」

エペル:「あ、これは!」

エペル:「子どもの頃に持っていた服と同じ柄だ! お気に入りでずっと着ていたなぁ。」

エペル:「僕、この生地を使おうっと!」

ジェイド:「エペルくんの幼少期、ですか。きっと、さぞ愛らしいお子さんだったんでしょうね。」

マルヤ:「そうねえ。一日中外で遊びまわってる、元気な子だったねぇ。」

エペル:「うん。同じぐらいの歳の子がいなかったから、年上の大人たちと一緒に遊んでたなあ。」

エペル:「よくやったのは、鬼ごっこ! 豊作村には広くて駆け回れる場所がたくさんあるからね。」

エペル:「でも年下の僕を気遣って、誰も僕を捕まえないんだ。」

エペル:「僕は鬼をやりたくて、わざと捕まろうとするんだけどみんな僕を捕まえないように逃げて……」

エペル:「その内に鬼をやってる人を僕の方が追いかけ回してたっけ。」

セベク:「……奇想天外な鬼ごっこだな。」

ジェイド:「村の人たちにかわいがられていたのですね、エペルくん。」

エペル:「でも村から離れたエレメンタリースクールに通うようになってからは、」

エペル:「クラスメイトたちとケンカもよくしましたよ。」

マルヤ:「ふふふ。昔はよく泣かされて帰ってきたものですよ。」

エペル:「ち、小さい時の話でしょ!?」

エペル:「エレメンタリースクールに入ったばかりの頃はそんなこともあったけど」

エペル:「年上相手にも負けないようにどんどん立ち向かって最後にはみんな、返り討ちにしてやったんだから!」

セベク:「ほう。爽快な話ではないか。」

マルヤ:「周りからは、『フェルミエん家の毒林檎』と呼ばれていましたよ。」

マルヤ:「ああ、懐かしいねえ。」

ジェイド:「毒林檎?」

エペル:「見た目と違って恐ろしい奴……っていう意味みたい。」

エペル:「せっかくなら『モルン山の昇り龍』とか『豊作村の暴れ馬』とかの方が良かったなぁ。」

ジェイド:「……素敵なあだ名ですね。」

イデア:「エペル氏……もしネトゲとか始めることがあったら誰かにHNを相談してからにした方がいいよ。」


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