【ストーリー】EPISODE 12 侮らないでほしいな!

| EPISODE ◆ 12 侮らないでほしいな! フェアリーガラIF |
登場人物
オルト、ジャック、シルバー、エース、クルーウェル、ヴィル
テキスト全文
── ポムフィオーレ寮‐ボールルーム ──
オルト:「僕が最先端の技術を組み合わせれば、イリュージョンに相当する視覚効果を生み出せる。」
オルト:「その隙に、一番手先の器用なエース・トラッポラさんが女王の杖をすり替えればいいんじゃないかな。」
ジャック:「ふむ……杖をすり替えるっていうマジックの肝はエースがやる。」
ジャック:「でもそのときに必要な、妖精たちの視線誘導……ミスディレクションは、オルトが担当するってことだな。」
シルバー:「それならば、負担も分散することができる。良い案だ。」
エース:「オレもそう思います。」
エース:「やるじゃねーか、オルト!」
エース:「んじゃさ、どういうイリュージョンならやれそう?」
オルト:「うーん、悩むなあ。でもさっきエースさんが例に挙げたイリュージョンは全部……」
オルト:「コインみたいな物質じゃなく、人を対象にしてるね。」
エース:「そうそう。その方が、すごさが伝わりやすいだろ?」
エース:「そのトリックを仕掛ける相手っていうのも、ヤラセ感をなくすために、客の中から選ぶことが多いな。」
エース:「術をかけるのがもし仕掛け人の仲間だったらネタを仕込み放題で、信用なんてできないだろ?」
エース:「……ま、そもそもその客自体が仕込みってパターンも多いんだけど!」
オルト:「なるほど……。」
オルト:「それじゃあこういうイリュージョンはどうかな。」
オルト:「観客、つまり妖精の中から1人を選んでランウェイに上げて……」
オルト:「そのお客さんを消しちゃうんだ!」
シルバー:「客を消す!?」
クルーウェル:「言葉にするのは簡単だが、そんなことが可能なのか?」
オルト:「もちろん! 光学迷彩を使えば良いんだよ。」
オルト:「光学迷彩って言っても色んな種類があるけど、ここで使うのは、もちろん魔法の光学迷彩じゃない。」
オルト:「対象に周囲の景色を投影してカモフラージュ。まるで“消えた”かのように見せる……」
オルト:「名付けて、『イリュージョン迷彩』なんてどうかな。」
ヴィル:「投影? そのプランだと、かなり大きな機材が必要にならない?」
オルト:「ふふふっ、イグニハイドの技術力を侮らないでほしいな!」
オルト:「小型のドローンにプロジェクターを組み込むことぐらい、なんてことないよ。」
オルト:「ドローンの外装を、衣装に合わせたフラワー型にすれば、違和感もないはず。」
エース:「すげーな。どんどんアイデアが出てくるじゃん。」
オルト:「ふふふ。ランウェイの上の妖精からすれば、体にライトを当てられてるだけ。」
オルト:「自分が周りから消えて見えてる、なんて気付かないと思うよ。」
ジャック:「聞いてるだけだと、かなり難しそうだが……本当にその作戦でいけんのか?」
クルーウェル:「通常の条件下であれば、当然すぐにバレるだろう。」
クルーウェル:「ファッションショーという、ライトが多く、見る者との距離がある環境だからこそできることだな。」
ヴィル:「ええ。良い作戦だと思うわ。」
オルト:「……でもこの作戦でも、シミュレーションによる成功確率は30%を切ってる。」
エース:「30%か……学園の未来を背負うには不安な数字だなー。」
オルト:「成功するためには、もっと、観客を興奮状態にしないと。」
オルト:「どんな生き物も、興奮すると判断力を失う。隠し事をするにはちょうどいい。」
エース:「なるほどね。そーいや、小さい頃に家族で見に行ったマジックショーもすげえ派手だったな。」
エース:「有名人とか出て、兄貴とめちゃくちゃ盛り上がった記憶がある。」
エース:「今になって思えば、あれも観客を興奮させて、ショーをやりやすくするためだったのかも。」
オルト:「有名人……」
オルト:「そうだ!」
オルト:「ランウェイに上げる妖精は、女王様にしよう!」
ええっ!?
オルト:「だって、妖精たちの中では一番の有名人でしょ?みんな盛り上がること間違いなしだよ。」
オルト:「それに声をかけるときに杖に接近できる。これなら成功確率が48%にまで上がる!」
ヴィル:「確かに……一国を治める女王が参加してくれれば、彼女を慕う妖精たちの盛り上がりは確実ね。」
クルーウェル:「それにまさか、女王がトリックそのものだとは誰も思わないだろう。」
ヴィル:「でも……。」
オルト:「?」
ジャック:「……オルト。お前って、結構大胆だよな。」
エース:「そうそう。見た目はちっこいのに、オレらより怖い物知らずっつーか何というか……。」
エース:「女王って、いわばこのショーのボスじゃん? それをそもステージに上げるって発想がぶっ飛んでるわ。」
オルト:「そうかな? 僕はあくまで、成功する確率が一番高いプランを提示しただけだよ。」
シルバー:「使命を果たすため、時には大胆な決断も必要だ。」
シルバー:「お前の作戦ならば、誰も傷付かず見ている者も盛り上がる。俺は支持しよう。」
オルト:「ありがとう。シルバーさん。」
エース:「……どうする?」
ジャック:「オルトがここまで提案してくれたんだ。」
ジャック:「代案もねえのに、うだうだ文句を言うばかりじゃ情けねえ。俺も乗ったぜ、そのアイデア!」
エース:「よし……オレもオルトの案に賛成!」
エース:「そんなスゲえイリュージョンを一緒にできるなんて、面白そうだしさ。」
オルト:「ジャック・ハウルさんも、エース・トラッポラさんも僕を信じてくれるんだね。ありがとう!」
ヴィル:「……作戦は決まったみたいね。」
ヴィル:「妖精の女王を消すというイリュージョンで会場を驚かせ、その間に杖をすり替える……。」
ヴィル:「でもそのために、何が必要かはわかってる?」
え?
オルト:「……イリュージョンの前に、僕たち自身のモデルパフォーマンスを成功させることだね。」
ヴィル:「そう。エースとジャックも、レオナにそう言われなかった?」
ヴィル:「器用で口のうまいエースには、杖のすり替え以外にも女王をランウェイに誘う役目を担ってもらう。」
ヴィル:「でも突然指名しただけじゃ、厳重に警備されている人物がほいほいランウェイに来るわけがない。」
オルト:「女王がステージに上がってくれないんじゃ、せっかく計画を立てたイリュージョンも成立しないね。」
オルト:「ターゲットである女王が僕たちに心を開いて、ステージに上がりたくなるようなファッションショーを……」
オルト:「シルバーさんと、ジャック・ハウルさんと、僕の3人で、やらなきゃいけないんだ。」
ヴィル:「その通り。覚悟は良いわね?」
はい!
ヴィル:「まずはアンタたちの実力を見せてちょうだい。」
オルト:「2人とも、一緒に頑張ろう!」
ジャック・シルバー:「おう!」
エース:「3人とも、頼んだぜ!」
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