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【ストーリー】EPISODE 6-66-1 第1タワー

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最終更新者: novira

EPISODE ◆ 6-66-1

攻略ミッション!
冥府の番人

登場人物

ヴィル、エペル、ルーク
オルト、ファントム、研究員、タイタン、ナビ


テキスト全文

第1タワー 1話

── S.T.Y.X.タルタロス ──


ヴィル:「これが……ファントム収容所『タルタロス』。」

ヴィル:「この大きさと深さ……圧倒されるわね。」

エペル:「すごい冷気が昇ってきてるのを感じる。冬の豊作村もうってさんびばって……それどはなんが違う。」

ルーク:「ああ。背筋がぞくぞくと凍りつくようだ……自然と身体が震えてしまう。」

ルーク:「これはただの冷気ではなく、誰もが逃げられぬ“終焉への恐怖”からくる悪寒かもしれないな。」

ヴィル:「生きた人間が長居してはいけない場所(ところ)には違いない。」


選択肢:

├ [ こんなところに、ひとりでグリムが? ]

└ [ 底が見えない……どれだけ深いんだろう ]


── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ヴィル:「手に入れた地図によればタルタロスへ降りるエレベーターがこのあたりに……」

ヴィル:「あった。この扉ね。」


カチッ!


……………………。


ヴィル:「やっぱり動かない。」

エペル:「館内の機器は全部オルトクンのコントロール下に入ってるって言ってたし……」

エペル:「計画を邪魔されたくないんだから、エレベーターなんか使わせてくれるわけない……かな?」


ブンッ!


ウィーン……


!?


ルーク:「エレベーターのドアが開いた。これは……」

ヴィル:「十中八九、罠でしょうね。」

ヴィル:「イタズラ好きの人形(アンドロイド)とエレベーターの組み合わせ……嫌な予感しかしないわ。」

ヴィル:「でも、行くしか道はない。上下にシェイクされないように祈りましょう。」

オルト:「やあ! みなさん。呪われた収容所『タルタロス』の第1タワーへようこそ!」

ヴィル:「出たわね、イタズラ好きのお人形さん。」

オルト:「まさかリアル『ナイトレイブン・クエスト』を見られるなんて思わなかったよ。」

オルト:「しかも僕らが予想してなかった新キャラとジョブも実装されてる。」

エペル:「『ナイトレイブン・クエスト』……て、なに?」

オルト:「これは冥界下りの大冒険に旅立つみんなに、最初の関門です。」

オルト:「僕らに挑むなら、これくらいは簡単にクリアできてもらわないとね。」

ヴィル:「これは、部屋に隔離されているときにプレイした『スター・ローグ』?」

オルト:「このゲームをクリアできたら、『タルタロス』に入れてあげる。」

オルト:「さあ……「遥か彼方の栄光を目指し、流星のように駆け抜けろ!」」


第1タワー  2話

ルーク:「ノンッ! ゲームオーバーになってしまった……。」

ヴィル:「ちょっと!昼間やったのと難易度が段違いじゃない!」

オルト:「あっはははは! こんなのもクリアできないの? ザコすぎ~!」

オルト:「残念だけど、こんな虫レベルのザコプレイヤーは『タルタロス』に入れてあげられないなぁ。」

ヴィル:「くっ……その腹がたつ煽り方、本当にイデアにそっくりね。」

オルト:「……そう? 似てる?」

オルト:「そっかぁ、僕、兄さんに似てるんだ。へへへ。」

オルト:「んー。そうだなぁ。ここで終わりなんてつまらないし……」

オルト:「君らにはもう1度挽回するチャンスをあげる。」

オルト:「初心者用に難易度を下げて……っと。」

オルト:「準備はいい?」

オルト:「ゲーム・スタート!」


第1タワー 3話

エペル:「やった! 今度はクリアできた!」

オルト:「ふーん。初心者にしてはまあまあのスコアかな。」

オルト:「これならこの後も少しは楽しめそう。」

オルト:「いいよ。『タルタロス』に入れてあげる。」

オルト:「ヴィル・シェーンハイトさんはタンク役だとして……」

オルト:「ルーク・ハントさんとエペル・フェルミエさんはどんなジョブが似合うかな?」

オルト:「それから、ユウさんも。」

オルト:「ダンジョン攻略にあたって、パーティー内でどんな立ち回りを見せてくれるのか楽しみだよ。」

オルト:「ここから先は本物のモンスターがうじゃうじゃいる高難易度のダンジョンだ。」

オルト:「それじゃあ、次のステージで待ってるよ。ふふふっ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ヴィル:「フン。本当にふざけた兄弟。」

ヴィル:「見ていなさい。ラスボスを気取っていられるのも今のうちよ。」

エペル:「ここがタルタロスの内部……。」

エペル:「もうエレベーターは動かないみたいだし、この階段を降りていくしかなさそう。」

ヴィル:「管制室にいた所員の話だと……」

ヴィル:「収容所の浅い層では既にファントムたちの凍結が解除され、動き出している可能性が高い。」

ヴィル:「いつファントムと遭遇してもおかしくない。周囲を警戒しつつ、下へ向かいましょう。」


第1タワー 4話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ヴィル:「再会してから話すタイミングがないまま、敵地に乗り込んで来ちゃったけど……」

ヴィル:「今のうちに、アンタたちに言っておきたいことがあるわ。」

ルーク:「なんだい? 毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)。」

ヴィル:「まずはルーク。」

ヴィル:「アンタ、副寮長のくせにポムフィオーレを放り出してきたわね?」

ヴィル:「常々副寮長らしいことはまるでしない男だとは思ってた。でも……」

ヴィル:「『S.T.Y.X.』に襲撃されて学園全体が混乱しているであろう時に、」

ヴィル:「独断で無責任な行動をとるなんて。」

ヴィル:「寮長として看過できない行為よ。」

ルーク:「………………。」

エペル:「ま、待ってくださいヴィルサン!ルークサンはヴィルサンのために危険を承知で……!」

ヴィル:「だまらっしゃい。」

ヴィル:「アタシが連れ去られたことと、ルークが副寮長の責任を放り出すことは全くの別問題。」

ヴィル:「現にここへ来ていない他の副寮長は今頃、寮長代理としての役目を果たし、寮をまとめているはず。」

ヴィル:「感情のままに寮を放り出すような責任感のない男を、副寮長に選んだ自分の見る目の無さが恥ずかしい。」

エペル:「ちょっ……流石にそんな言い方はないんじゃねぇのか!?」

ルーク:「いいんだ、エペルくん。ヴィルの怒りはもっともさ。」

ルーク:「学園を抜け出した時に、副寮長を罷免される覚悟はできているよ。」

エペル:「そ、そんな……!」

ヴィル:「次に、エペルとユウ。アンタたちも自分がどれだけ無謀な行動をしたかわかってる?」

ヴィル:「実力がないひよっこのヒーロー気取りは、誰のためにもならない。」

ヴィル:「ハッキリ言って迷惑よ。」


選択肢:

├ [ それでも、何もせずにはいられなかったんです ]

└ [ (わかってたけど、グサッとくる……) ]


ヴィル:「…………本当に馬鹿なんだから。」

ヴィル:「………………はぁ。」

ヴィル:「さて……ポムフィオーレ寮長として言わなきゃならないことは、もう全部言った。」

ヴィル:「これから先は、“ただの”ヴィル・シェーンハイトとして話をする。」

ルーク:「え?」

ヴィル:「本当はね……」

ヴィル:「アンタたちが『嘆きの島』へやってきたとイデアから聞いた時、嬉しくて仕方なかった。」

ヴィル:「さっき顔を見たときから、ずっと我慢してたの。」

ヴィル:「アナタたちを抱きしめて、キスをしても?」

エペル・ルーク:「えっ、えっ……!?」


選択肢:

├ [ 世界的モデルがほっぺにキスを……!? ]

└ [ どうしたんですか急に!? ]


ヴィル:「失礼ね。アタシだって嬉しければハグくらいするし、感謝のキスだってするわ。」

ヴィル:「アタシの狩人、アタシの毒林檎。それから、ユウ。」

ヴィル:「……追いかけて来てくれて、ありがとう。」

ヴィル:「アンタたちのことは、アタシが必ず学園に連れて帰ってみせるわ。」

ルーク:「それは私たちの台詞さ、我らが女王陛下。」

エペル:「へへっ! わも今度だば、ぜってー負げねえはんで!」

エペル:「だって、聞いてくださいよヴィルサン! 俺、ここに

来る途中でユニーク魔法を覚えたんです!」

ヴィル:「えっ!?」

ルーク:「そうなんだよ! ヴィルもさっき目にしただろう?」

ルーク:「カローンが美しいガラスの檻にとらえられた姿を!」

ヴィル:「まさか……あれがエペルのユニーク魔法なの?」

エペル:「はい!」

エペル:「『深紅の果実(スリープキス)』は、相手を結界の中に閉じ込めて、動きを止めることができるんです。」

エペル:「まだ全然使いこなせてなくて、成功率は3、4割くらいなんですけど……。」


選択肢:

├ [ 命を助けてもらいました ]

└ [ 盾にも檻にもなるんだよね! ]


ルーク:「我々がカローンに襲われて、万事休す! という時にエペルくんのユニーク魔法が覚醒したんだ。」

ルーク:「私の目に録画機能が備わっていなかったことを、今日ほど残念に思ったことはない。」

ルーク:「ヴィルにもあの勇姿を見せたかったよ!」

ヴィル:「フッ……確かにその場に居合わせられなかったのは残念。」

ヴィル:「でもエペルの勇姿なら、すぐに見せてもらうことになりそうよ。」

ルーク:「──ハッ!」

ルーク:「そうだね。ヴィルの言うとおりだ。」

エペル:「先輩たち、どうしたんですか? 急に真剣な顔して……。」

ヴィル:「構えなさい、エペル。下から、なにかくる!」


第1タワー 5話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ファントム:「ギギーーーッ!!」


ジュワアア………


ボトボトッ!!


エペル:「た、倒したファントムの身体が、黒いインクみたいなものに変わった!?」

ヴィル:「その黒い液体は、負のエネルギーが凝縮されたブロットそのもの。」

ヴィル:「触れないように気をつけなさい。汚染されるわ。」

ルーク:「レ・ミゼラブル! ブロットが滴った部分の床が、白く枯れてひび割れていく!」


ピキピキッ……ガラガラッ!


エペル:「イ、イデアサンたちは、こんな奴らを地上に解き放とうとしてんのか?」

ヴィル:「そんなことになれば、間違いなく世界中が混乱の渦に飲み込まれることになる。」

ヴィル:「絶対に止めてみせるわ。……たとえあの兄弟の夢と希望を砕くことになっても。」

ルーク:「…………そうだね。」

ルーク:「小さい個体だったけれど、凍結されていたファントムたちが目覚めつつあるのは確かのようだ。」

ルーク:「急いで最下層へ向かわなくては……」

ルーク:「ん?」

ルーク:「どうやらこの階段の先は、行き止まりになっているようだね。」

エペル:「本当だ。つきあたりに、でっけえ扉がある。」

ヴィル:「マップによれば、このドアの先はファントムの収容所よ。」


選択肢:

├ [ ということは、中にはファントムがうじゃうじゃ……? ]

└ [ 凍結が解除されてませんように…… ]


エペル:「だ、大丈夫! どんな敵がきても、僕がユニーク魔法で捕まえてみせます!」

ヴィル:「あら、頼もしいこと。それじゃあ行きましょう。」


第1タワー 6話

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「これが……ファントムの収容所。」

エペル:「も、もしかしてこの四角い箱全部にファントムが入ってるの……?」

???:「そうだよ! すごいでしょう。」

???:「世界中から集められたファントムがぎっしりの、モンスターハウスさ。」


!!!


エペル:「収容所の入り口が閉められた!ぐぐっ……開かない!」

ヴィル:「くっ、閉じ込められた。……オルトの仕業ね!」

オルト:「せいかーい♪どう? みんなダンジョン攻略を楽しんでる?」

オルト:「さて、ここで第2の『試練』です。」

オルト:「次の階層に降りるためには、この収容所を通り抜けなければなりません。」

オルト:「しかも、収容所のドアを開けるためには専用のIDカードかパスワードが必要です。」

オルト:「ちなみに……」

オルト:「君たちが『S.T.Y.X.』のスタッフから渡されたIDカードは、」

オルト:「とっくに特定して登録を抹消してあるよ。」

オルト:「最初から裏技を使ってらくらくクリアしたら、面白さが半減するでしょう?」

ヴィル:「それはそれは、余計なお気遣いをどうもありがとう。」

オルト:「というわけで、このステージで君たちがチャレンジするのは、宝探しゲームだ!」

ルーク:「宝探し……だって?」

オルト:「ルールは単純。」

オルト:「収容所から出られるIDカードを持ったファントムが、ケージのどれかに閉じ込められてる。」

オルト:「それを見つけ出して、IDカードを手に入れよう♪」

エペル:「そんな! こんなに沢山のケージの中から1つを見つけろなんて、無茶だ!」

オルト:「ふふふ! そう言うと思った。じゃあ初級のステージってことで、ヒントをあげちゃいます。」

オルト:「僕が今から指差すケージをよく覚えておいて。」

オルト:「あれと、」

オルト:「それと、」

オルト:「これ!」

オルト:「この3つのうちどれかにIDカードが入ってるよ。」

オルト:「それでは諸君、健闘を祈る!」

ヴィル:「……ダメね。オルトの言う通り、所員にもらったIDカードはエラーが出て扉が開かない。」


ガタガタッ! ガリガリ……


???:「ガルルルル……」


選択肢:

├ [ 四方八方から嫌な音が…… ]

└ [ この音……ケージの中から聞こえてる? ]


ルーク:「まずいな。ケージの中のファントムたちが目覚めはじめている。」

ヴィル:「罠の可能性も高いけど、まずはオルトが示した3つのケージを順番に開けてみましょう。」

ルーク:「ああ。それしか道はなさそうだ。」


第1タワー 7話

PTM-11895


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「さあ、鬼が出るか蛇が出るか。ケージを開けるわよ。」

ルーク:「エペルくん、ユウくん。私の後ろへ。」

エペル:「むっ……僕、守ってもらわなくても平気です!」

ルーク:「ふふっ。いいかい、エペルくん。」

ルーク:「誰かの後ろに身を隠すという行為は、“守ってもらう”ことや“逃げる”ためだけのものじゃない。」

ルーク:「姿を隠し敵の不意をつくこともできるし、前衛が取りこぼした敵を仕留めることもできる。」

ルーク:「これは誰かの後ろに陣取らなければとれない戦術さ。」

ヴィル:「前に出るだけが強さじゃないってことよ、林檎ちゃん。」

エペル:「う……。わかりました。」

エペル:「じゃあ、後衛は僕に任せてください!」

ヴィル:「よろしい。」

ヴィル:「じゃあ、いくわよ!」


ガコン!!


???:「キシャアアアアア!!!!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ファントム:「オオオオ…………!!!」


ジュワアア…………!


カツンッ!


ルーク:「!! 今、なにか落ちた音がした。」

ヴィル:「IDカードだわ!今のファントムが持っていたのね。」

エペル:「3つのケージのうちの、どれか1つにIDカードが入ってる。」

エペル:「オルトクンのヒント…嘘じゃなかったんだ」

ルーク:「トレヴィアン!信じる力が道を切りひらく、ということだね。」

ヴィル:「ふん。アイツらがただの親切でヒントをくれるはずがないわ。」

ヴィル:「アイツらはアタシたちをチェスボードの上で転がして暇つぶしをしているだけ。」

ヴィル:「……暇つぶし?いいえ、違う。これは、おそらく……」

???:「ウウウ……グウウウヴヴヴ……!!!」

ヴィル:「!! のんびり話している暇はなさそうね。」

ルーク:「ああ。まずはここから脱出しよう!」


PTM-21689


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


エペル:「てやっ! はぁっ!!」

エペル:「くっ、ケージがなかなか開かない。怪物が入ってるから頑丈なんだろうけど……!」

エペル:「ようし、次こそ………」

エペル:「でやあああッ!!!」

ヴィル:「エペル! 序盤からそんなに飛ばしていたら途中でガス欠になりかねないわよ。」

ヴィル:「突っ走らずに、もう少し効率的に……」

???:「グルルルル……!」

ルーク:「ヴィル、エペルくん、話はあとだ!」

ヴィル:「ええ。うるさいファントムを黙らせましょう!」



── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ルーク:「今のファントムはIDカードを持っていなかったようだ。」

ヴィル:「わかった。他のケージを当たりましょう。」

ヴィル:「エペル。アンタのやる気は買うわ。」

ヴィル:「でも、ペース配分には細心の注意を払って。」

ヴィル:「いざというときに魔力切れじゃ困るでしょう?温存しておくに越したことはない。」

ルーク:「もちろん、私とヴィルにも同じことが言える。休めるときは休ませてもらうとも。」

ルーク:「本命の獲物との対峙に備えて適宜休息を取るのも狩りをするうえでは大切だからね。」

ヴィル:「狩りの話をした覚えはないけど……」

ヴィル:「まあいいわ。とにかく、前に出すぎないこと。わかったわね?」

エペル:「…………」

エペル:「はい。」


PTM-27446


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


エペル:「あのケージを開けるんですね。じゃあ、僕が魔法で……!」

ルーク:「ノン! 獰猛なファントムが潜んでいるかもしれないからね。ここは私に任せてくれ。」

エペル:「でも……。」

ルーク:「おや、エペルくん。私との約束を忘れてしまったかな?」

エペル:「……」

エペル:「わかりました。ルークサンの指示に従います。」

ヴィル:「あら。いつもと違って随分いい子なお返事ね。」

ヴィル:「どんな約束をしたの? あとで教えてちょうだい。」

ルーク:「ウィ! さあ、姿を見せてもらうよ。」

ルーク:「……フッ!」

???:「グギャアアア!!!!!」



── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ルーク:「エペルくん。IDカードを探すのを手伝ってくれるかい?」

エペル:「わかりました。」

エペル:「あっ……ケージの鍵の部分だけが壊されてる。」

エペル:「こんなに小さい的を正確に狙えるなんて、すごいな……。」

エペル:「えっと、IDカードは……。」

エペル:「ルークサン、こっちにはなさそうです。」

ルーク:「私のほうも、それらしいものは見つけられなかったよ。」

ヴィル:「そう。じゃあ、次に進むとしましょう。」

エペル・ルーク:「はい!/ああ。」


第1タワー 8話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


プシューッ ガシャン!


ヴィル:「ふぅ……なんとか無事に切り抜けられたわね。」

ルーク:「ケージの中で目覚めていたファントムは、どれも小さな個体ばかりだった気がするよ。」

エペル:「うん。あれくらいなら僕でも楽勝……かな!」

ヴィル:「油断しないで。ファントムは収容されている階層が深いほど厄介な個体が多いと聞いてる。」

ヴィル:「気を引き締めていきましょう。」

ヴィル:「それにここにきて分かったことがある。」

ヴィル:「この島全体のコントロールを掌握したあの兄弟でも……」

ヴィル:「ファントムの凍結を、一気に解除することはできないってことよ。」

エペル・ルーク:「!!」

ルーク:「確かに、言われてみると……。」

ルーク:「それができるならすでに勝負は決しているはず。」

ヴィル:「ええ。」

ヴィル:「昨日、研究所の職員が、ファントムを『タルタロス』から搬出してテストする場面に出くわしたの。」

ヴィル:「そのアナウンスの内容からして……」

ヴィル:「おそらく収容所内部には、凍結を解除する設備がないんだと思う。」

ヴィル:「例えるなら、『タルタロス』は巨大な冷凍庫。解凍できる電子レンジは冷凍庫の中にはないんだわ。」

エペル:「そっか。じゃあ今は冷凍庫の電源を抜いて、中身が自然解凍されるのを待ってる感じ……かな?」

ヴィル:「ええ。つまりアイツらも今は動きたくても動けない状況なのよ。」

ヴィル:「ゲームだなんだとふざけた言動でこちらを惑わしてくるけれど、その実……」

ヴィル:「アタシたちを足止めして時間稼ぎをしたいんじゃないかしら。」

ルーク:「要するに……イデアくんたちも余裕があるわけではない、ということだね。」

ヴィル:「たぶんね。」

ヴィル:「フッ……。それにしても、オルトの悪役らしい演技はなかなかね。」

ヴィル:「世界のリセットなんかやめて、役者になったほうがいいと思わない?」

ヴィル:「ヴィランをヴィランらしく演じられる子役は貴重よ。」

ルーク:「学園に戻ったら、彼を映画研究会に誘ってみたらどうだい、ヴィル?」

ヴィル:「それも悪くないかもしれない。」

ヴィル:「さあ──先を急ぎましょう!」


──第2の『試練』はあっさり抜けられちゃった。

最初とはいえ、難易度の設定を低くしすぎたかな。


イデア:「大丈夫だよ。じきに『タイタンズ』も覚醒する。」


1番厳重に凍結されている第12層に収容されてたのに、随分と溶けるのが早いね?


イデア:「さすがは『原初のファントム』。他の奴らとはレベルが違う。」

イデア:「『冥府』のゲートの封印解除も順調だ。」

イデア:「『冥府』は、中へ入ることはたやすいけど、1度入ってしまえば内側から出ることはできない。」

イデア:「一方通行で、不可逆の扉……それを内側からこじ開ける。」


『冥府』の門をくぐったものは、2度と地上には戻れない……それが掟。

僕が『冥府』から戻ったら、みんな驚くだろうな。

楽しみだね……フフ……フフフ…………。


── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ルーク:「……ん? 階段の奥からなにか歩いてくる。」

エペル:「あのサイズ、もしかしてグリムクン?おーい!」

エペル:「グリ……ふがっ!」

ルーク:「いけないエペルくん! グリムくんじゃないよ。彼よりも体長が10センチほど低い!」

ヴィル:「すごい勢いでこっちに走ってくる!」

ヴィル:「構えなさい!」


第1タワー 9話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


エペル:「よ、よく見たら全然グリムクンじゃなかった……。」

ヴィル:「まったく。軽率な行動は慎みなさいよ。」

ルーク:「収容所外でファントムに遭遇する回数が増えてきた。」

ルーク:「下のフロアの収容所内で解凍が進んでいるようだね。」

エペル:「グリムクン、どこにいるんだろう。ファントムに襲われてないといいけど……。」

ルーク:「大丈夫。彼はあれでいて度胸もあるし、賢い。」

ルーク:「きっとどこかに身を隠して難を逃れているさ。」

ヴィル:「ツナ缶をフォークで叩いて音を出せば、すぐに飛んできそうな気はするけどね。」


選択肢:

├ [ さすがに猫じゃないんだから…… ]

└ [ お気に入りのツナ缶持ってくればよかったな ]


エペル:「そういえばヴィルサンは、『S.T.Y.X.』本部では、」

エペル:「グリムクンと1度も会わなかったって言ってましたよね。」

ヴィル:「ええ。さっきアンタたちに話を聞くまで、ここに連れてこられていることすら知らなかった。」

ヴィル:「おそらく……」

ヴィル:「ユウを襲ったことに関してブロットによる影響を疑われていたんでしょう。」

ヴィル:「明日の朝アタシたちと一緒に出所予定だったなら……」

ヴィル:「VDC後のグリムの凶暴化とブロットの因果関係は、認められなかったのかもしれないわね。」

ルーク:「グリムくんは魔獣だ。どんなに人慣れしていても、獣はふいに野生に戻ることもある。」

ルーク:「制御しようとしてもできるものじゃない。生まれ持った本能だからね。」

ルーク:「でもそれは人間も同じこと。理性というのは、脆く頼りない薄氷のようなものなのさ。」

ルーク:「だからね、ユウくん。グリムくんがキミを傷付けてしまったことは……」

ルーク:「本人、いや、本獣(ほんじゅう)にとっても本意ではなかった可能性が高い。」


選択肢:

├ [ もちろん、わかっています ]

└ [ 一緒に学園に戻れたら、短く爪切りしてやります ]


── 分岐:【もちろん、わかっています】 ──

エペル:「だよね。だってユウサンは、」

エペル:「学園の中で誰よりもグリムクンと一緒にいたんだもん。」

エペル:「ふたりでひとりの生徒なんだから。」

エペル:「早く会えるといいね。」

ルーク:「時にユウくん。グリムくんは爪のケアをしっかりしていたかい?」

ルーク:「体長50センチ前後のイエネコでも、爪のケアを怠れば、伸びた爪が不意に人間を傷つけることもある。」

ルーク:「グリムくんは体長70センチの魔獣。」

ルーク:「人間と共に暮らすならば、より一層爪のケアは重要だよ。」

ヴィル:「ネイルケアの重要性は、獣だけでなく人間にも当てはまることね。」

ヴィル:「ファッション目的ではなく、ただズボラで伸ばしっぱなしなのは論外。」

ヴィル:「みっともないし、何より不衛生だわ。」

ヴィル:「指先が美しく整っているだけで、清潔感と垢抜け度が段違いよ。ユウもしっかりケアなさい。」


── 分岐:【一緒に学園に戻れたら、短く爪切りしてやります】 ──

エペル:「アハハ! エースクンとデュースクンから聞いたことある。」

エペル:「グリムクン、爪切りをすごく嫌がるって。」

ヴィル:「ファッションで伸ばしているならまだしも、ただ伸ばしているのはみっともないし不衛生よ。」

ヴィル:「切った後にはヤスリがけと爪磨きも忘れないようになさい。」

ヴィル:「切りっぱなしなんて言語道断。」

ヴィル:「それはグリムだけじゃなく、アンタもよ」

ヴィル:「ユウ。」

ヴィル:「いいこと? 指先が美しく整っているだけで、清潔感と垢抜け度が段違いなんだから。」


────

ルーク:「フフフ。私もヴィルと親しくなって、最初に指摘されたのは指先のケアだったな。」

ヴィル:「だってアンタの手ときたら、弓の弦をひくときにできるタコをはじめとして、」

ヴィル:「ひび割れにささくれ……とにかく荒れ放題だったんだもの。」

ルーク:「普段は手袋をしているから、あまり気にかけていなかったんだ。」

ルーク:「でもキミはそんな私に、「見えないところこそ気を遣うべきだ」と言ったよね。」

エペル:「そういえば、先輩たちの出会いってどんなだったんですか?」

エペル:「オンボロ寮でその話をしてたとき、カローンが乱入してきて最後まで聞けなかったから気になってて……。」

ヴィル:「ああ……そういえばそんな話をしてたかしら。」

ヴィル:「別に大した話じゃないわよ。」


選択肢:

├ [ でも、気になります ]

└ [ 黙って歩いているのもなんなので、ぜひ…… ]


ヴィル:「そう?……じゃあ話すけど。」

ヴィル:「ルークとアタシが初めて話したのは、入学してから数ヶ月経った頃のこと。」

ヴィル:「第一印象は、いいとは言えなかった…………」

ヴィル:「あっ。」

ヴィル:「見て。次の収容所の扉が見えてきた。」

エペル:「えーーーーっ!?」

エペル:「いま話し始めたばっかじゃないですか!?」

ヴィル:「アタシの雑談より、収容所を突破して『冥府』にたどり着くのが先決!」

ヴィル:「……というか。期待しているところ悪いけど、本当にたわいもない話よ?」

ヴィル:「それでもいいなら、次の収容所を無事に抜けられたら話してあげるわ。」


第1タワー 10話

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「……静かだわ。それに、さっきの収容所よりすごく寒い。」

ルーク:「この収容所のファントムたちは、まだ凍結状態にあるのかもしれない。」

エペル:「今のうちに、手持ちのIDカードでドアが開けられるか試してみます!」


ピッ……。


エペル:「…………やっぱり駄目か。ここを抜けるには新しいカードが必要みたい。」


ザザッ……


???:「おっとっと……冒険者のみなさん。第3の『試練』の場へようこそ!」

ヴィル:「出たわね、オルト。」

オルト:「待たせちゃったかな? ごめんごめん、いろいろと忙しくて……。」

オルト:「次は入り口に案内用NPCを置いておくようにするよ。」

エペル:「くぅっ! 出てくるたびに僕たちをおちょくって!正々堂々出てきて勝負しろ!」

オルト:「そうしたいのはやまやまだけど、」

オルト:「君たちを訪ねるにはもう少し時間がかかるんだ。」

ヴィル:「あら。随分と余裕がないみたいね。悪巧みで手一杯なら、アタシたちがお手伝いしましょうか?」

オルト:「フフフッ。」

オルト:「さて、この収容所を突破するためのミッションについて説明するよ。」

オルト:「それは……」

オルト:「『困っている人を助けよう』!」

ルーク:「「困っている人」?……この収容所の中には、ファントムしかいないはずじゃ?」

オルト:「それはどうかな?よく耳を澄ましてみて。」

???:「…………すけて……! たすけてぇ……!」


!!!


選択肢:

├ [ 人の声がする! ]

└ [ 誰かが助けを求めてる! ]


オルト:「このケージの中のどれか1つに、IDカードを持った研究員が閉じ込められている。」

オルト:「ケージの中はヒトにとって適切な温度とは言えないから……」

オルト:「早くしないと寒さで凍えちゃうかも……」

オルト:「フフフ!」

ヴィル:「なんですって!?」

オルト:「やっぱりヒーローは人助けができなきゃね。」

オルト:「では諸君! 健闘を祈る!」

エペル:「研究員さん!居場所がわかるように声か音を出してください!」

研究員:「…………ここよ……誰か……!」


ガリガリ! ガリガリ!


!!!


エペル:「まわりのケージからも音がしはじめた!」

ヴィル:「まずいわね。アタシたちの気配に反応して、他のファントムたちも活動しはじめたのかもしれない。」

ルーク:「このケージの壁はかなり分厚い。声が聞こえるということは、研究員はそれほど遠くにはいないはず。」

エペル:「急いで見つけ出しましょう!」


第1タワー 11話

PTM-9561


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


???:「…………けて……。さむい……。」

ルーク:「!!! 今の声は!」

ルーク:「研究員さん、そこにいらっしゃるのですか?」

???:「はい……ここです……はやく……。」

???:「はやくあけて……はやく……。」

ヴィル:「扉からなるだけ離れて、身を伏せていて!いくわよ!」

ヴィル:「はぁッ!」


ズガン!!


エペル:「大丈夫ですか!?」

???:「ああ、やっとデられタ……!」

エペル:「!? こ、このケージ内に充満した瘴気は……!」

ファントム:「あたし、ジユウよ!アハハハ! ヒャハハハハハ!!!」

ヴィル:「エペル、下がりなさい! それは研究員じゃない! ファントムよ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ファントム:「ギイイィイ……!!やっとジユウにナレたとオモッたのニィ……!」


ジュワアアアアア……!!!


カツンッ!


エペル:「はあ、はあ……っ!」

エペル:「あ、IDカードを落とした……!?」

エペル:「あのファントム、人の言葉を喋ってた。研究員のフリをして僕たちをおびき寄せてたってこと?」

ヴィル:「まさか言葉を話すファントムがいるなんて。」

ルーク:「……声帯模写などを行い、獲物をおびき寄せる獣や鳥はたくさんいる。」

ルーク:「それにファントムとは、元々“実力ある魔法士”から派生した存在だろう。」

ルーク:「高い知能を有していても、なんら不思議ではない。」

エペル:「お、おっかねぇ……。」

ヴィル:「階層が深いほど危険なファントムが収容されている……なるほどね。」

ヴィル:「目的の、IDカードは手に入った。すぐにこの収容所から出ましょう。」


PTM-4238

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ガタガタッ


エペル:「あのケージ、すごい勢いで動いてる!」

ルーク:「オーララ!ずいぶんと元気がいいファントムだね。」

ヴィル:「いつ飛び出してきてもおかしくない。」

ヴィル:「ユウが狙われたら厄介だし早めに対処しましょう。」

ルーク:「なら、ケージを破壊する役目は私が引き受けるよ。」

ヴィル:「わかった。エペル、迎撃の準備はいい?」

エペル:「はい、いつでもいけます!」

ルーク:「頼もしいね! それでは、狩りを始めるとしよう。」

ルーク:「……ハッ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


エペル:「最初からファントムしか入ってないのはわかってたけど……無駄な戦闘をさせられた感じがしちゃいます」

ルーク:「おやおや。なにを落ち込む必要があるんだい?」

ルーク:「私たちの力を合わせて当面の危機を退けた。喜ばしい事じゃないか。」

エペル:「うーん。でもやっぱりハズレは素直に喜べない……かな?」

ヴィル:「そうね。時間の面でも魔力残量の面でも、できるだけ無駄はなくしたい。」

ヴィル:「というわけで、おしゃべりはおしまい。さあ、次にいきましょう。」


PTM-8321

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「ハッ!」


ドカンッ!!


エペル:「すごい……あんな頑丈なケージに一撃で穴を開けるなんて!」

ヴィル:「これぐらいどうってことないわ。」

エペル:「でも、おかしいですね。これまでは扉が開くと同時にファントムが飛び出してきたのに……。」

エペル:「もしかして、空っぽだった……かな?僕、中を見てきます。」

ルーク:「待つんだ、エペルくん。暗がりで見えづらいだろうけど……よく目を凝らしてごらん。」

エペル:「目を……?」

エペル:「あっ、ファントムがモゾモゾ動いてる!?」

ルーク:「ヴィルが放った魔法の衝撃で動きが鈍っているようだ。さあ、今のうちに畳みかけよう!」

エペル・ヴィル:「はい!/ええ。」


─ S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「……外れだったようね。」

エペル:「はい、残念です……。」

ルーク:「でも今回の戦闘は、我々が優位に立てた。さすがだよ、毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)。」

ヴィル:「いいえ、今回のアタシのやりかたは悪手だった。」

ヴィル:「中にいたのが研究員だったら、怪我をさせていたかもしれないわ。」

ヴィル:「でも、慎重になりすぎると時間もかかるし、ファントムに先手をとられかねない。悩ましいところね。」

エペル:「大丈夫です! もしものときは僕がユニーク魔法でみんなを守ってみせますから!」

ヴィル:「フッ。張り切るのは結構だけど、成功率はまだ3、4割なんでしょう?」

ヴィル:「それに、切り札は本当に“いざ”という時のためにとっておくものよ。さ、次のケージへ急ぎましょう。」


PTM-2452

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ガンッ、ガンッ!


ヴィル:「この音……どう考えても人間が出せる音じゃない。」

ヴィル:「もしかして、ファントムが内側から体当たりしているの?」

ルーク:「そのようだね。ケージがところどころ変形しはじめている……飛び出してくるのも時間の問題だろう。」

エペル:「じゃあファントムが出てくる前にケージを開けて先制攻撃を仕掛けましょう!」

ルーク:「名案だ!じゃあエペルくん、キミが扉を開けてくれるかい?」

ルーク:「私はここで獲物が飛び出してくる瞬間を待たせてもらうよ。」

エペル:「任せてください。……ハァッ!!」

???:「グギャアアアア!!!!!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ヴィル:「2人とも、お疲れ様。悪くない連携だったわよ。」

ルーク:「我々が先制できたのは、エペルくんが一撃で扉を開けてくれたおかげだね。」

エペル:「ケージが壊れかけていたせいもあると思いますけど……上手くいって良かったです。」

エペル:「はあ……でも、余計な時間がとられちゃった。早く研究員さんの入ったケージを見つけないと!」

ヴィル:「ええ。おしゃべりをしている時間はないわ。」

ルーク:「ウィ。気を取り直して先に進もう。」


第1タワー 12話

─ S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ゴオオ……


ヴィル:「入り口からかなり下ってきたはずだけど……どんどん気温が下がるわね。」

ルーク:「冷気が足もとから吹き上げてくる。」

エペル:「寮服を着ていてもちょっと寒い……かな。」


選択肢:

├ [ グリム、大丈夫かな…… ]

└ [ ポムフィオーレの寮服を借りてなかったら凍えてたかも ]


── 分岐:【グリム、大丈夫かな……】 ──

ヴィル:「分厚い毛皮を着ているんだから、アタシたちよりは寒さに強いはず。心配はいらないわ。」

ヴィル:「アンタがそんな不安そうな顔をしてたら、グリムも出てきたくなくなるわよ。」

ヴィル:「まず、寒さに縮こまって丸くなった背筋を伸ばす!」


バンッ!


ヴィル:「アンタはオンボロ寮の監督生でしょう。堂々となさい。」


── 分岐:【ポムフィオーレの寮服を借りてなかったら凍えてたかも】 ──

ルーク:「寮服は防寒具としてだけでなく、魔法耐性もピカイチさ。」

ルーク:「この服がなかったら、今頃多少なりとも精神にブロットの影響を受けていただろう。」

ルーク:「そしてなにより、このデザインの美しさ!ユウくんにもよく似合っている。」

ルーク:「ポムフィオーレの寮服の特徴である、この生地を豊かに使ったハンギングスリーブは……」

ルーク:「動くたびに美しく翻る。」

ルーク:「この広い袖があれば、凍えている友人を見つけたときに温めてあげることもできるだろう。」

ルーク:「大丈夫。きっとグリムくんは見つかるさ。信じて前へ進もう。」


────


ズシン!


ヴィル:「!? じ、地震!?」

エペル:「うわわっ! 階段から落ちる!」


ズシン……ズシン……


ルーク:「ちがう、これは地震じゃない!」

ルーク:「この音は……!」


ズシン! ズシン!


!!!!


第1タワー 13話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


エペル:「なんだあの山みてった岩のばげもん!」

ヴィル:「まさか、あれが『原初のファントム』!?」

ルーク:「管制室で『S.T.Y.X.』のスタッフに聞いた特徴と一致している。」

ルーク:「あれはおそらく、岩のファントム『ファントム・タイタンズ・アース』だ!」

ヴィル:「足止めするわ! 氷よ!怪物の足を凍らせてしまいなさい! はぁっ!」

タイタン:「ゴアアアアアア!」


バキーン!!


エペル:「なっ……ヴィルサンの魔法があった簡単に破られるんずな!」

タイタン:「ジューーピタァーーーー!!ドコダァーーーーー!!」

ヴィル:「くっ! ひとまず撤退よ!マップでは、この先に『雷霆(らいてい)の槍』の格納庫がある!」

ルーク:「ウィ! 殿(しんがり)は私がつとめよう。みんな、格納庫へ急ぐんだ!」


タタタタ……!


ヴィル:「あった! 格納庫はここよ!」

エペル:「ユウ、ルークサン! 早く!!」

エペル:「すごい揺れだ……タイタンがドアに体当たりしてんのか!?」

エペル:「やばい! このままじゃドアがやぶられちまう!」

ルーク:「『雷霆(らいてい)の槍』はどこだい!?」

ヴィル:「今探してる! ええと、A―16の壁面にある操作パネルを……」

ルーク:「どこかでなにかが開いた音がしたね。」


選択肢:

├ [ 部屋の奥、何か光ってる! ]

└ [ あの光、もしかして…… ]


エペル:「あれは!」

ヴィル:「これが……『雷霆(らいてい)の槍』!」

エペル:「で、でげぇ! こったヴィルサンの背よりもでっただ槍、どせばいんず?!」

タイタン:「ゴアアアアアアアアア!!デテコイイイイィィィ!!!」

ヴィル:「考えてる暇はない。とにかく起動するわよ!」

ナビ:「コード:ティタノマキア。緊急レベルAの突発重大事案発生と認定。」

ナビ:「全魔導回路を解放。充電率100%。」

ナビ:「『雷霆(らいてい)の槍』起動します。」

ルーク:「すごい……!! 槍に漲る魔力で、全身がびりびりとしびれるようだ!」

ナビ:「操縦者の指紋登録を行います。パネルに手を触れてください。」

エペル:「ヴィルサン早く! もうドアがやぶられちまう!!」

ヴィル:「わかってる!」

ナビ:「操縦者の登録完了。安全装置のロックを解除。照準サポートモードにて起動します。」

ヴィル:「ぐっ……重い! 魔法で浮かせて……」


ガシャーン!!


タイタン:「ニンゲン……ドコダアアア!ガアアア!!!」

ルーク:「タイタンが格納庫に入ってきた!」

ヴィル:「くっ! 魔法で操縦しようとしても、槍から放たれるパワーが大きすぎて安定しない!」

ヴィル:「アタシとエペルとユウで本体を支える。ルーク! 照準はアンタが定めて!」

ルーク:「ウィ! 狩人として失敗はできないね。」

ルーク:「いざ、タイタン狩りだ!」


第1タワー 14話

タイタン:「ガアアアア……!!!」

エペル:「やった!」

エペル:「タイタンを吹き飛ばして、『 タルタロス』の穴に落としてやったぞ!」

ヴィル:「か……勝った? アタシたち、勝ったの?」

ルーク:「そうだとも! 私たちの勝利だ!」


やったーー!!


ナビ:「『雷霆(らいてい)の槍』 のバッテリー残量が低下しています。残り10%です。」

ナビ:「充電ステーションに設置してください。」

ヴィル:「1回使うと、もうローバッテリーになるのね。燃費が悪いこと。」

ルーク:「あれだけ強烈な一撃を放つんだ。それも致し方なしさ。」

ヴィル:「この先、どこで充電できるかわからない。ここでしっかりチャージしておかなくちゃ。」


ガチャ……


ルーク:「おや、タイマーが表示されたね。これは……残りの充電時間か。」

エペル:「もうっ、急いでるのに!」

ルーク:「しかし、先程のタイタンへの一撃……。手応えが浅かった。」

ルーク:「あの一撃で仕留められたとは思えない。」

ヴィル:「ええ。アタシもそう考えていたところよ。」

ヴィル:「『S.T.Y.X.』のスタッフが言っていたように、」

ヴィル:「『雷霆(らいてい)の槍』 なしにはタイタンに太刀打ちできない。」

ヴィル:「充電時間を待つのはもどかしいけど、この槍なしに先に進むのは危険すぎる。」

ヴィル:「アタシたちも今までの戦いで消耗しているし、充電が終わるまでここで休憩をとりましょう。」

ルーク:「トランシーバーで他のチームがどこまで移動しているのかの確認もとっておきたいね。」


グギュルルルルルルル


ヴィル:「今の音はなに? まさか他のファントムが近くに……。」

エペル:「あ……えと、僕のお腹の音、です。」

ヴィル:「はあ!? なんて音!? 信じられない! またタイタンが襲ってきたのかと思ったわよ!」

エペル:「すいません。」

エペル:「……へへへっ!」

ルーク:「ふふふ!」


選択肢:

├ [ あはは! ]

└ [ 反応が想像通りすぎて…… ]


ヴィル:「なによ3人ともニヤニヤして。」

ルーク:「なんでもないよ。ヴィルはやっぱりヴィルだなと思っただけさ。」

ルーク:「どうやらこの格納庫には食料も保存してあるようだ。」

ルーク:「拝借して、エペルくんのお腹のタイタンを鎮めようじゃないか。」


第1タワー 15話

ブシュウウ……


ナビ:「『雷霆(らいてい)の槍』充電完了。全魔導回路異常なし。」

ヴィル:「槍の充電が終わったようね。」

ルーク:「充分な休息もとれたところで、先を急ごう。」

エペル:「これから先は、もっと強いファントムや、タイタンに遭遇するかもしれないんですよね。」

エペル:「魔法を使うと腹が減るし、携帯食料をたくさん持っていこう!」


選択肢:

├ [ グリムもお腹を空かせてるかもしれない ]

└ [ 腹が減っては戦はできぬ、だね ]


ルーク:「そうだね。備えあれば憂い無しだ。」

ヴィル:「マップによると、2階層下にも物資の格納庫があるわ。」

ヴィル:「槍も運ばなきゃいけないんだから、欲張って荷物を増やすのはよしなさい。」

エペル:「は、はぁ〜い……。」


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