Gamerch
ツイステWiki

【ストーリー】EPISODE 6-67-3 第3タワー

最終更新日時 :
1人が閲覧中
最終更新者: novira

EPISODE ◆ 6-67-3

攻略タワー!
冥府の番人

登場人物

リドル、アズール
オルト、ファントム、研究員、タイタン、ナビ


テキスト全文

第3タワー 16話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ナビ:「『雷霆(らいてい)の槍』省エネルギーモード。」

ナビ:「起動時は操縦者による指紋照合、音声認証、または魔力のチャージを行ってください。」

リドル:「よかった。省エネルギーモードなら、1人でも扱うことができそうだ。」

アズール:「ならば槍は僕が魔法で運搬しましょう。大きな武器を運ぶのは、下っ端の役目です。」

アズール:「リーダーには前衛に立っていただき、僕を守ってもらわなくてはなりませんから。……それっ!」

リドル:「キミ、やっぱり何か勘違いをしているようだけど……ボクが守っているのは、キミじゃない。」

リドル:「“法律”(ルール)だよ。」

アズール:「え?」

リドル:「だってキミはタコの人魚で、変身薬を使って今の姿になっているんだろう?」

アズール:「おっしゃるとおりですが……それとルールになんの関係が?」

リドル:「変身薬は使用に際し、行政の許可と専門家の監督が伴う特別な魔法薬。」

リドル:「処方箋を出せるのは魔法医術士のみ。」

リドル:「調剤も、魔法薬専門の薬剤免許を持つ者にしか許されていないのは、もちろん知っているね?」

リドル:「大幅に肉体を変化させる効能上、変身薬使用中の負傷及び処置には、細心の注意が必要であり……」

リドル:「専門資格を持たない者による医療行為は、法律で禁止されている。」

リドル:「つまりキミが『タルタロス』(ここ)で負傷すれば、ボクが法を侵す可能性があるということだ。」

リドル:「それは絶対に避けねばならない!」

リドル:「よって、キミは怪我すべきではない。以上だ。」

アズール:「………………………………は。」

アズール:「は、はは……あははははははははっ!!」

リドル:「なんで笑うんだい? 今の話に笑うべき部分はなにもなかったと思うけれど。」

アズール:「信じられない。あなた、この状況でずっとそんなことを気にしていたんですか!?」

アズール:「アハハハ! 本当に変な人だな!」

リドル:「へっ……変だって!? 法律を遵守することは、すべての国民に課せられた義務であり……!」

アズール:「だったら最初からそうと言ってください。てっきり、僕を弱いもの扱いしているとばかり……。」

リドル:「はぁ!? 最初に「キミが戦えることはわかっている」と言ったじゃないか!」

リドル:「なぜ言葉の通りに受け取らないんだい!」

アズール:「あんな態度をとられれば、煽られていると解釈されたって文句は言えませんよ。」

アズール:「あなたのおかしな“マイルール”なんて、普通は想像がつきません。」

リドル:「マイルールじゃない! 法律だ!!!」

???:「グルルル……! タノシソウ……イイナァ……」

リドル:「!! この気配……キミが大声で笑うから、敵が寄ってきてしまったじゃないか。」

アズール:「これは失礼。では怪我に細心の注意を払いながら戦うとしましょう。……」

アズール:「フフッ。」


第3タワー 17話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ファントム:「オデモ……ナカマ……ニ……」

アズール:「遭遇するファントムが、かなり手強くなってきましたね。」

リドル:「ああ。槍の充電中にしっかり休憩を取っておいて正解だった。」

リドル:「疲労は集中力低下を招く。ボクたち魔法士にとって、集中力の欠如は事故の元だからね。」

リドル:「事故といえば……ひとつ確認しておきたいんだけど、変身薬は突然効果が切れてしまうことはないの?」

アズール:「処方された通りに服用していれば、そんなことにはなりません。」

アズール:「昔は1回の服用で変身していられる期間は最長で3日ほどだったようですが……」

アズール:「最近は研究が進み、1週間から10日は変身した姿を保てます。」

アズール:「あまり美味しいものでもないので、回数が少なくて済むのはありがたいことです。」

アズール:「それでもフロイドはたまに飲み忘れて……」

アズール:「「耳がヒレに戻っちゃった〜」とか「水かき出てきた〜」とか言っていますが。」

リドル:「ボクは1度も飲んだことがないけれど……やはり変身薬ありきの生活というのは、不便があるんだな。」

アズール:「陸に上がるにあたって、多少の苦労は覚悟の上です。不便というほどでもありません。」

アズール:「さらに僕たちは、陸に上がる人魚を支援する団体から、手厚いサポートを受けています。」

アズール:「その団体は、陸での暮らしを希望する人魚に対し快適な陸上生活を送るための訓練をしてくれるんですよ。」

アズール:「陸で暮らしたいという思いさえあればどんな人魚でも広く受け入れるという、非常に懐の広い団体です。」

アズール:「訓練だけではありません。申請さえすれば、本来は希少で高価な変身薬を提供してくれる。それも……」

アズール:「全てタダ!!」

アズール:「さすがに高価な変身薬の無償提供は“未来ある若者”に限定されるそうですが、」

アズール:「それでも破格の待遇ですからね。」

アズール:「初めてこの団体の存在を知ったときは……」

アズール:「「そんなうまい話あるわけない! 絶対に裏があるはずだ!!」と疑いました。」

アズール:「ですが…いくら調べてもあやしいところはなかった。どうやら本当に善意でできた制度のようです。」

アズール:「陸を目指す人魚はまだ少ないので、1人あたりの費用が嵩んでも破綻せずに済んでいるんでしょう。」

アズール:「ナイトレイブンカレッジへの入学が決まってすぐに、申請手続きを行いましたよ。」

リドル:「下調べも念入りだったというわけか。本当にちゃっかりしてるな、キミは……。」

アズール:「お褒めいただきありがとうございます。団体の方も大喜びしていましたよ。」

アズール:「その団体は、創設者の志を広めるため、もっと多くの人魚に施設を利用してほしいと願っているようです。」

アズール:「思いやりが思いやりを呼ぶ。これこそ『陽光の国』の誇りだ、と非常に意欲的で。」

アズール:「ハハッ! 面白い話でしょう?」

リドル:「……ん?もしかしてその団体は『陽光の国』にあるのかい?」

リドル:「人魚のためのと言うから、てっきりキミたちの国が作った団体なのかと思っていたよ。」

アズール:「いえ、これは昔『陽光の国』に渡った人魚の姫が作った団体なんです。」

リドル:「ああ、なるほど。そういえば歴史書で読んだことがある。」

リドル:「まだ海と陸にほぼ交流が無かった時代に、」

リドル:「『陽光の国』の王子が『珊瑚の海』の姫君を妃として迎え入れた。」

リドル:「それ以来、『陽光の国』は人魚たちと長きにわたり友好的な関係を築いている……とね。」

アズール:「ええ。その人魚の姫のおかげか、『陽光の国』の方々は人魚によくしてくれるんです。」

アズール:「全てボランティアで……だなんて、歴史があるにしてもとんだお人好し集団ですよね。」

アズール:「でもまあ、制度を利用させていただいている身としては、とても感謝していますよ。」

アズール:「それにとても暖かくて良いところです。いつかリドルさんも……」

アズール:「おっと。次の収容所の扉が見えてきましたね。」

リドル:「オルトたちがまたなにか仕掛けてくるに違いない。油断せずにいこう。」


第3タワー 18話

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「オルト、いるんだろう?どこからでもかかってくるがいい!」

アズール:「……なんの反応もありませんね。」

リドル:「無視か!? 本当にどこまでも人を馬鹿にして!!!」


ガタッ!


リドル:「!! 誰だい、ケージの影に隠れているのは。素直に出てこないと、首をはねてしまうよ!」

研究員:「ヒッ……わ、私は『S.T.Y.X.』の研究員だ。敵意はない。攻撃しないでくれ!」

アズール:「これは失礼。もしや、あなたもオルトさんに捕らえられてこんなところに?」

研究員:「ああ。自力で脱出を試みたんだが、IDカードを小さな獣のようなファントムに奪われてしまって。」

リドル:「小さな獣……? それはグレーの被毛で、耳に青い炎を灯した個体ではありませんでしたか?」

研究員:「動きが素早すぎて、そこまでは……。ただ鋭い牙を持っていたのは確かだ。見てくれ、この服の裾を。」

研究員:「私を引きずり倒そうとジャケットに噛み付いてきて、ズタズタにしてしまった!」

アズール:「これはひどい。ホホジロザメに襲われたかのようです。ズタズタにされたのが服だけで良かった。」

研究員:「ヒッ……!」

リドル:「アズール、怖がらせるようなことを言うのはおよし。」

リドル:「小型の獣で、鋭い牙がある……もしかすると、グリムかもしれない。」

アズール:「可能性はありますね。研究員さん、そのファントムは今どこに?」

研究員:「わからない。おそらくケージのどれかに逃げ込み、身を隠しているんじゃないかと……。」

アズール:「IDカードがなければ先に進めない。1つずつ探してみるしかありませんね。」

リドル:「もしもグリムなら、捕獲して連れ帰らなければ。」

リドル:「行こう、アズール。」


第3タワー 19話

PTM-735

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


カリカリ……カリカリ……


リドル:「このケージからする音……猫が爪を研ぐ音に似ている。」

リドル:「グリムかもしれない。開けてみよう。」

アズール:「グリムさんって、爪とぎするんですか?」

リドル:「ああ。ハーツラビュルの談話室にあるソファで爪をといだ日には、首をはねてやったよ。」

アズール:「よく猫じゃないと否定していますが、やはり彼は猫なのでは……?」

リドル:「猫であろうがなかろうが、ソファで爪とぎをするのは」

リドル:「重罪だ!」

リドル:「……ハッ、今はそんなことはどうでもいい。」

リドル:「開けるぞ!」

リドル:「はぁッ!!」

ファントムA:「ヒヒヒッ! アタし の コネコちゃン! おサンぽ ノ 時カンよォ!」

ファントムB:「ギィイイィィ!!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ファントムA:「おソトに いけル と 思ったのニ……」

ファントムB:「ギ……ギギ……」

リドル:「!! IDカードだ。」

リドル:「じゃあ、今のが研究員を襲った個体だったんだね。」

リドル:「グリムではなかったか……。」

アズール:「あのヒト型のファントム……小型の個体を使役しているようでした。」

アズール:「IDカードを奪わせ、外に出るつもりだったのかも……。」

リドル:「ファントムが連携をとることなんか、あり得るのか?」

アズール:「忘れたんですか、リドルさん。」

アズール:「ファントムはかつて僕らのような“優秀な魔法士”だったんですよ。」

リドル:「……なるほど。」

リドル:「とにかく、IDカードは手に入った。」

リドル:「研究員を逃がしたら、ボクらもすぐにここを出よう。」

アズール:「ええ。」


PTM-621

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「あのケージに狙いを定めて……」

リドル:「なっ……!魔法を撃つ前にファントムが飛び出してきた!」

リドル:「くッ、防衛魔法が間に合わない……!」

???:「フッ!」

リドル:「アズール!」

アズール:「魔法障壁の発動準備をしておいて正解でした。」

アズール:「リドルさん、いきますよ!」

リドル:「ああ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「よし、なんとか倒せたな。IDカードは見当たらないけれど……。」

リドル:「さっきは助かったよ、アズール。キミの慎重さが功を奏したようだ。」

アズール:「いえいえ。リドルさんの行動パターンが実にわかりやすいからこそですよ。」

アズール:「単調……いえ、裏表のない気質にお互い救われましたね。」

リドル:「なにやら引っかかる物言いだけど……」

リドル:「まあいい。キミのおかげで対処できたのは事実だからね。」


PTM-943

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「次はこのケージですね。」

アズール:「………………。」

リドル:「アズール、なにをモタついているんだい?」

アズール:「このケージ、他より厳重に施錠されています。凶暴なファントムが入っている線が濃厚ですが……。」

リドル:「ここにIDカードが入っている可能性がある以上、開けないわけにはいかないだろう?」

アズール:「ええ。すべて言われずとも承知しています。」

リドル:「フッ、なにも心配いらないさ。どんなファントムが出てきてもボクが先制するからね。」

アズール:「わかりました。では、ケージは僕が開けましょう。」

アズール:「いきますよ……ハアッ!」

???:「グギャアアア!!!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「さすがリドルさん、見事な先制攻撃でしたね。」

アズール:「僕が今こうして無傷でいられるのは、まぎれもなくあなたのおかげです。」

アズール:「でもせっかく先制のチャンスを作ったなら、ファントムを一撃で仕留めてほしかった……」

アズール:「なんて」

アズール:「さすがに高望みがすぎますね。」

リドル:「おや。キミらしくない物言いだね。普段の強欲っぷりはどうしたんだい?」

リドル:「今回はキミに被害が及ばないように手加減したけれど……」

リドル:「お望みなら、次はとっておきの一発を披露してあげよう。」

リドル:「とはいえ、キミに怪我をさせるわけにはいかないからね。」

リドル:「安全な場所で眺めているといい。」


PTM-456

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「もしIDカードを奪ったのがグリムなら、食べ物でおびき寄せられるかもしれない。」

アズール:「なるほど。それは名案です。試してみる価値はありますね。」

リドル:「じゃあ、格納庫から持ってきた携帯食料のパッケージを開けてみよう。」

アズール:「お世辞にも食欲をそそられる匂いとは言えませんが……」

???:「クイモノ……クイモノ……」

アズール:「おや、食いしん坊がやってきましたよ。」

リドル:「当ては外れてしまったようだけれど。」

リドル:「構えろ、アズール!!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「はあ、ずいぶんと意地汚いファントムもいたものですね。」

リドル:「ああ。まさか携帯食料につられて出てくるとは。」

リドル:「中には食事を必要とする個体もいるのだろうか?」

アズール:「さあ、どうでしょう。貴重な食料を開けたのに、なんの収穫も得られませんでしたね。」

リドル:「その携帯食料はキミが食べるといい。まだ先は長そうだからね。」

アズール:「この手の食品はできるだけ口にしたくないのですが……」

アズール:「リドルさんの仰る通り、この先も消耗を強いられるでしょうからね。贅沢は言っていられません。」

リドル:「静かだな。グリムなら食べ物を横取りしに来るだろうに。」

リドル:「あの騒がしさがなんだか懐かしく思えるなんて」

リドル:「……おかしなものだね。」


PTM-278

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「中身がファントムとわかっているケージをひたすら開けるなんて、辟易してしまいますね。」

アズール:「価値ある品が入ったケージが混じっているならこの作業にも意義や楽しみを見いだせそうなのですが。」

リドル:「価値ある品というと……」

リドル:「歴史的な文献や芸術作品の類だろうか。」

アズール:「いいですね! アンティークの食器やコイン、それから宝飾品なども魅力的です。」

リドル:「この研究所の雰囲気からして、そうした物があるとは思えないけれど……。」

リドル:「それに、もしケージの中にキミの求める品が入っていても自分の物にできるわけではないだろう?」

アズール:「そうとも限りませんよ。今回の騒動を引き合いに出せば……」

アズール:「『S.T.Y.X.』の所長代理が交渉のテーブルについてくれる可能性もゼロではありません。」

リドル:「フッ、キミはもうすでにこの作業に楽しみを見いだしているじゃないか。」

リドル:「キミの期待するような物が入っているといいけどね。」

リドル:「……それじゃあ、ケージを開けるよ。」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「ええ、わかっていましたとも。このミッションに宝探しの要素がないということは。」

リドル:「IDカードも入っていなかったね。」

リドル:「アズール、そろそろ疲れてきたのかい?」

アズール:「……どうしたんです、急に。」

リドル:「キミが中身のない話を振ってくるのは珍しいと思ってね。」

リドル:「ボクの考えすぎかもしれないけれど。」

アズール:「……その通りです、リドルさん。」

アズール:「心身ともに疲れているので、せめて気分転換できればと。」

アズール:「というわけなので、ケージを開けがてらしばらくおしゃべりに付き合ってください。」


第3タワー 20話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


アズール:「…………はぁ、はぁ……ふぅ……。」

リドル:「大丈夫かい、アズール。息があがっているようだけれど。」

アズール:「お、お気遣いなく……っ! はぁ、この階段はっ……はぁ、一体どこまで、続くんでしょうね?」

リドル:「変な意地を張るのはおよし。」

リドル:「第6層で『雷霆(らいてい)の槍』を手に入れてから、ずっとキミが魔法で運んでいるんだ。」

リドル:「仮眠もとらなかったようだし、消耗して当然だよ。ここからは槍の運搬はボクが替わろう。……」

リドル:「フッ!」

アズール:「ふー……っ。本当に軽々と……見せつけてくれますね。」

アズール:「あなただって、ファントムとの戦いで前衛に立ち続けて消耗しているでしょうに。」

リドル:「言ったはずだよ。ボクは生まれてから今までの時間のほとんどを、勉学と魔法の研鑽に捧げてきたと。」

リドル:「この程度のこと、できて当然さ。」

アズール:「まさにアスリートですね……。リドルさんは一体いつから魔法の特訓をはじめたんです?」

リドル:「3歳になった頃には、もう専門的な魔法教育を受けていたね。」

アズール:「さ、3歳で!? それは……すごく才能があったんですねぇ。」

リドル:「……どうかな。」

リドル:「母はボクがお腹にいた頃から、ボクを優秀な魔法士に育てるために手を尽くしていたそうだから。」

リドル:「ボク自身に特別な才能があったかどうかは、よくわからない。」

アズール:「幼少期からそれほど優秀だったなら、飛び級もできたのでは?」

リドル:「『薔薇の王国』では、飛び級は一般的じゃないんだ。」

リドル:「ナイトレイブンカレッジに入学するまで私立の学校に通っていたのだけど、」

リドル:「そこにも飛び級制度はなかった。」

リドル:「それに『薔薇の王国』では、医師免許が取得できる最低年齢は24歳。」

リドル:「両親としても、進級を急がせる意味がなかったんだと思う。」

アズール:「ああ、たしかご両親は魔法医術士でいらっしゃるんですよね。リドルさんも卒業後は医療関係の道へ?」

リドル:「……そのつもりだったんだけど。」

アズール:「おや。迷っていらっしゃるんですか?」

リドル:「迷っている……のかな。よくわからない。」

リドル:「ハーツラビュルの寮長になってから、法律に関する職業にも興味が出てきて……。」

アズール:「なら、興味がある資格を全部取ってみればいいじゃないですか。」

リドル:「ぜ、全部だって!?」

アズール:「あなたほど優秀なら、よりどりみどりでしょう。 1つだけなんてもったいない!」

アズール:「医師、裁判官、弁護士……魔法執行官や魔法機動隊(マジカルフォース)なども向いていそうです。」

リドル:「ふ、ははっ。気が多くて欲張りなキミらしい意見だな。」

アズール:「人生は1度きり。欲張らなければ損ですよ!」

アズール:「僕も将来は飲食業だけにとどまらず、様々な業種にチャレンジしてみるつもりです。」

アズール:「ですから、いざという時に頼れる資格を持ったお友だちがいれば非常に便利……いえ、心強い!」

アズール:「フフッ。」

リドル:「……ボクとキミが、友だち?」

アズール:「ここにきて「友だちじゃない」はナシですよ。」

アズール:「ぶつかりあって、将来の夢も語った。友だち以外の何者でもない。」

リドル:「ボクは友だちのルールについては詳しくないけれど、友だちというのはもっと……」


ボトッ……


ボトボトッ!!


リドル:「ん? 上から何かが降って……。」

アズール:「ッ!! 立ち止まるな!!」


ドカッ!!


第3タワー 21話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


ファントム:「ノロッテヤル…… ノロッテ……」


ジュワアアア……ゴボゴボ……


アズール:「お、驚いた……天井に張り付いて待ち伏せなんてホラー映画じゃないんですから。」

リドル:「はぁ、はぁ……ファントムの襲撃より後ろから」

リドル:「キミに蹴飛ばされたことのほうが驚いたよ!」

リドル:「階段を転がり落ちるところだったじゃないか!」

アズール:「すみません、タコだった頃の癖が抜けなくて。腕を出すつもりで、つい足が出てしまいました。」

リドル:「絶対に嘘だろう……ああ、マントにくっきり足跡が。見た目と違って品のない行動をするんだな、キミは。」

アズール:「頭からブロット凝縮液をかぶるよりマシでしょう?」

アズール:「命がかかっているときに、上品さなんて気にしていられません。」

リドル:「こんなことは慣れっこ、みたいに言うんだね。」

リドル:「海の中って、日常的に命の危険が潜んでいるものなの?」

アズール:「そうですねぇ……陸よりも巨大な肉食動物や毒をもつ生物の存在が身近ではあります。」

アズール:「しかし、対処法を知っていればそれほど恐れるべき存在ではありません。魔法が使えるならなおさらです。」

リドル:「魔法か……。キミは何歳から魔法が使えたんだい?」

アズール:「物を引き寄せる程度のごく簡単なものなら、8歳になった頃に。」

アズール:「祖母と母が魔法士なので、簡単なことは教えてくれたのですが……。」

アズール:「昔の僕は今ほど学習意欲もなく、家族も「宿題さえ忘れなければ良し」というおおらかな人たちなので。」

アズール:「本格的に魔法の勉強をはじめたのは、ミドルスクールに上がる頃でした。」

リドル:「へぇ、そうなんだ。」

アズール:「…………みなまで言わないでください! 甘やかされて育った自覚はあります!!」

リドル:「はっ!? ボクは別に何も言ってないだろう。」

アズール:「今では本当に後悔しているんです。ろくに勉強もせず、好きなものを食べてはゴロゴロ……」

アズール:「時間を浪費しつつカロリーを蓄えるという最悪のルーティンを何年も続けていたことを!!!」

リドル:「そ、それは確かに改めるべき生活習慣だとは思うけれど。」

アズール:「その後一念発起し、あらゆることをがむしゃらに学びましたが……。」

アズール:「こうして努力し続けてきた人との差を見せつけられると、悔しくなりますよ。」

アズール:「もっと早く始めておけば、とね。」

リドル:「おや。随分と殊勝なことを言うじゃないか。」

リドル:「でも、もしキミがボクのように昔から勉強“だけ”をし続けていたなら……」

リドル:「きっと今ほどの野心やバイタリティは持ち得なかっただろうね。」

アズール:「…………もしかして、褒めてくれてます?」

リドル:「貶してはいないよ。別に、褒めてもいないけれど。」

アズール:「野心か……フフッ。そうですね。」

アズール:「今はあなたに“前衛”を譲っていますが、このまま“後衛”に甘んじ続けるつもりはない。」

アズール:「あなたが少しでも油断すれば、卒業式で首席のスピーチをするのは僕になるかもしれません。」

リドル:「フン。残念だけど、ボクの辞書に“油断”という文字はない。」

リドル:「在学中……いや卒業後も、誰よりも前に立ち続けるさ。キミにだって一生負けるつもりはないよ。」

アズール:「フフッ。いつまでその余裕が持つのか、お手並み拝見といきましょうか。」

アズール:「これはますます世界をリセットされるわけにはいかなくなりましたねぇ。」

リドル:「あっ……前方に収容所のドアが見えてきた。地図を見る限り、ここが最後の関門になりそうだ。」

アズール:「つまり、1番危険度の高いファントムが収容されているということですね。」

アズール:「慎重にいきましょう。」


第3タワー 22話

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「非常用の照明もついていない……真っ暗だ。今、魔法で明かりを……。」

アズール:「待ってください。」

アズール:「この暗闇が何者かによって故意に作り出されたものだとしたら、わざわざ居場所を知らせることになる。」

アズール:「敵も手強くなってきた。形勢が不利になるのは避けたい。」

アズール:「今ここで明かりをつけるのはやめておきましょう。」

リドル:「わかった。」

リドル:「マニュアルによれば……」

リドル:「緊急脱出用キーが、収容所内のセキュリティボックスに入っているはずだ。探してみよう。」


カツカツ……


ベチョッ!


リドル:「うわぁッ!」

アズール:「シーッ! リドルさん声をおさえて!」

アズール:「……おや?このあたり、床になにか液体が飛び散っていますね。」

リドル:「妙にぬるぬるしているんだ。うっかり踏んでしまって転びそうになったよ。これはいったいなんだ?」

リドル:「そうだ。魔法でマントを大きくして、テントのようにすれば……それっ!」

リドル:「アズール、ボクのマントの下にお入り。遮光性が高いから、布の下では明かりをつけられる。」

アズール:「なるほど、では失礼して……。」


ごそごそ


リドル:「明かりをつけるよ。」

リドル:「なっ……!? 床にタールのようなものがべったりと……これは、ファントムが纏っているブロット?」

アズール:「見てください。」

アズール:「リドルさんの足元に『S.T.Y.X.』のスタッフがつけているIDカード用のベルトが落ちています。」

リドル:「うぇ……べたべただ。カードは……抜き取られてるね。」

リドル:「というか、このベルトの持ち主はどこへ?」

アズール・リドル:「…………………………。」

アズール:「この状況。ファントムがIDカードを持ち去ったと考えるのが自然です。」

リドル:「そして明かりを落とし、ボクらが明かりをつけたらそれを目印に仕留めるつもりで……?」

アズール:「想像よりかなり頭が回るようですね。」

リドル:「この暗闇の中でIDカードを持ったファントムを探すのは無理だ。まずは照明のスイッチを探そう。」

アズール:「いえ……このまま敵を探しましょう。」

リドル:「なんだって?」

アズール:「暗闇に潜んで、相手の不意をつくんです。」

アズール:「相手はすでにケージの外に出ていますし……床に点々とブロット(目印)を残している。」

アズール:「僕は深海育ちで、暗いところには慣れています。すでにかなり目が慣れてきました。」

アズール:「ナビゲートはお任せください。」

リドル:「……わかった。今回はキミを信用しよう。」

アズール:「行きましょう。」


第3タワー 23話

PTM-94

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「…………! リドルさん。」

リドル:「……いたかい。」

アズール:「10時の方向、ケージの裏に逃げ込みました。」

リドル:「出てきたところを仕留める。」

リドル:「合図は任せたよ。」

アズール:「わかりました。」

アズール・リドル:「……………………。」

アズール:「今です!」

リドル:「くらえ!!!」

ファントム:「ギャアアアアア!!!」

アズール:「直撃だ! 畳み掛けましょう!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


ファントム:「イカ、ナイデ……イッショに、イヨぉ……」

アズール:「IDカードです! これでようやく先に進めますね。」

アズール:「しかし……最後の言葉が「行かないで」とは。」

リドル:「ボクたちをずっとこの場所に閉じ込めようとしていたのか?」

リドル:「ゾッとするね。」

リドル:「な、なんだ!?」

アズール:「なにかが収容所の入り口を破ろうとしています!」

???:「ジュピタァアアアア!!!!ユルサアアアン!!!」

リドル:「この声は……」

リドル:「まさか、『タイタンズ・マグマ』か!?」

アズール:「どういうことだ!『雷霆(らいてい)の槍』を食らったというのにピンピンしてるじゃありませんか!?」

リドル:「ここで迎え撃つしかない。急いで準備を!」

リドル:「『雷霆(らいてい)の槍』はボクが!」

リドル:「アズールは収容所のドアに氷でバリケードを作り、少しでも時間を稼いでくれ!」

アズール:「わかりました!」


PTM-34

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「ん……? 今、後ろのほうから物音が……。」

アズール:「リドルさん、動かないでください。前方にファントムがいます。」

リドル:「なんだって?」

アズール:「僕が魔法を使います。その場から動かないで……」

アズール:「フッ!」

???:「ギャア!」

リドル:「見えた! ケージの陰に隠れていたのか。」

アズール:「敵の動きが鈍っている。」

アズール:「今のうちに追撃しましょう!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「よし、問題なく倒せたね。」

リドル:「でも、さっき後ろから物音が聞こえた。まだ近くに敵がいるはずだ。」

アズール:「油断できないというのは同感ですが……」

アズール:「さっきの物音に関しては心配ありません。」

リドル:「どうしてだい?」

アズール:「あの物音を立てたのは、今倒したファントムです。」

アズール:「リドルさんの背後に向けてなにかを投げつけたんですよ。」

アズール:「落下地点は、確かこのあたり……」

アズール:「見付けました。」

アズール:「ファントムが投げたのは“これ”でしょう。」

リドル:「……壊れたケージの部品?」

リドル:「これを使ってボクの注意を逸らそうとしたということか。」

アズール:「恐らくは。」

アズール:「ふう……この収容所はこれまで以上に厄介なファントム揃いというわけですね。」


PTM-55

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「なんだか妙な気分だよ。誰かの後ろをついていくというのは。」

アズール:「先導役が僕では心許ないですか?」

リドル:「不安なのは間違いないけれど……それは単に、視界が悪いせいだ。」

リドル:「キミのことは頼りにしている。」

アズール:「…………。」

リドル:「アズール?」

リドル:「……もしかして敵がいたのかい?」

アズール:「ええ、ちょうど良く姿を見せてくれました。あのケージの陰です。」

アズール:「合図を出したら攻撃をお願いします。」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「今回も無事に撃退できたね。」

アズール:「ええ。お互い怪我がなくて良かったです。あいにくIDカードは見付かりませんでしたが。」

リドル:「……どうしたんだい、アズール。声に覇気がないようだけど。」

アズール:「誰のせいだと……。」

アズール:「いえ、なんでもありません。ちょっと気疲れしてしまいました。」

リドル:「キミにばかり負担を強いるわけにはいかない。」

リドル:「敵の撃破は遠慮なくボクに任せてくれ。」

アズール:「だからそういうところが……。」

アズール:「はあ……無自覚だからこそ余計に性質が悪い。」

アズール:「先に進みましょう。次も頼みますよ、リドルさん。」

リドル:「ああ。ボクの魔法を存分に活用するといい。」


PTM-67

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


???:「ギャッ、ギャギャッ!」

???:「キキ……キィ!」

リドル:「これは……ファントムの声?会話をしているようにも聞こえるけど……。」

アズール:「まさか……」

アズール:「と言いたいところですが、あながち間違っていないかもしれません。」

アズール:「複数のファントムが二手に分かれて移動を開始しました。」

アズール:「僕たちを挟み撃ちにする気でしょうか。」

リドル:「……ボクは敵の姿を目視できない。」

リドル:「指示を出してくれ、アズール。」

アズール:「お任せを。まずは、左斜め前方のケージの山を崩してください。」

アズール:「一方を足止めします。その間にもう一方を先に片付けるのが安全策かと。」

リドル:「その案を採用する。じゃあいくよ……」

リドル:「ハアッ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「はあ……」

リドル:「今のファントムで全部かい?」

アズール:「はい。さっき姿を確認したファントムは殲滅できたかと。」

リドル:「なら良かった。でも、IDカードは見当たらなかったね。」

リドル:「結託してボクたちを狙ってくるぐらいだから、もしかして……と思ったのだけど。」

アズール:「ええ、まったく。」

アズール:「『骨折り損のくたびれ儲け』とはまさにこのことですよ。」

アズール:「きっとリドルさんは、この経験もご自身の糧にするのでしょうが。」

リドル:「フッ、よくわかっているじゃないか。」

リドル:「とはいえ、ウンザリする気持ちも理解できる。早くIDカードを見付けてここから脱出したいものだね。」


PTM-87

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「静かだな……ファントムはどこに潜んでいるんだろう。」

リドル:「ハッ、今なにかが目の前を……。」

アズール:「動くな、リドル!」

リドル:「!!」

アズール:「フッ!」

???:「グギャアアアア!!!」

リドル:「アズール! このファントムはいったいどこから現れたんだい!?」

アズール:「話はあとです!まずはコイツを倒してしまいましょう!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「お疲れさまでした。リドルさん、お怪我はありませんか?」

リドル:「ああ、大丈夫だよ。」

リドル:「ところで、さっきのファントムだけど……。」

アズール:「さっきから僕たちの周りをちょこまかと動き回っていたのですが……」

アズール:「すばしっこいうえに1ヶ所に留まってはくれなくて、どう狙いを定めたものかと悩んでいたんです。」

リドル:「そうだったのか……。」

リドル:「キミが咄嗟に攻撃できたのは、敵の動向を注視していたから、というわけだね。」

リドル:「でもそれなら、ファントムに狙われていると事前に教えておいてくれたら良かったのに。」

アズール:「まさか! そんな悪手は打ちませんよ。ほら、僕が黙っていたおかげで上手く対処できたでしょう?」

リドル:「黙っていたおかげ……」

リドル:「って、まさか、ボクを囮にしたのかい!?」

アズール:「囮なんて人聞きが悪い。」

アズール:「この場の状況に応じた役割分担をしたまでですよ。」


PTM-43

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「リドルさん、今です!」

リドル:「ハアッ!」

アズール:「さすがリドルさん、見事1発で仕留めましたね。」

アズール:「次もこの調子で……」

リドル:「危ないッ!」

アズール:「あだっ!? 急になんです!?」

リドル:「ファントムだ!」

リドル:「……くる!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「アズール、大丈夫かい?」

アズール:「いたた……ハイヒールで蹴られた背中がまだズキズキしています。」

リドル:「すまない。両手は杖で塞がっていたから、つい。」

アズール:「あなた、普段は“つい”で足がでるタイプじゃないでしょう。」

リドル:「「命がかかっているときに、上品さなんて気にしていられない」」

リドル:「……だろう?」

アズール:「こんなところで学習能力の高さを発揮しなくていいんですよ。」

アズール:「しかし……いつどこから敵が現れるかわからないというのは、想像以上のストレスですね。」

アズール:「自分のタイミングで戦闘を仕掛けられる分、ケージを開ける方がいくらかマシだったかもしれません。」


PTM-26

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「……誰かに見られている気がする。」

アズール:「おや、奇遇ですね。実は僕も、さっきから視線を感じていまして……」

アズール:「何度も辺りを見渡しているのですが、ファントムらしきものは見当たりません。」

アズール:「いったいどこに身を潜めているのか……」

アズール:「ハッ!」

リドル:「アズール? なにか見えたのかい?」

アズール:「ケージの扉が、ほんの少しだけ開いています。」

アズール:「なぜでしょう、妙に引っかかる……。」

リドル:「ファントムが閉じ込められているケージの扉はしっかりと閉ざされて施錠されている。」

リドル:「そしてファントムが逃げ出したあとのケージの扉は、程度の差はあれど大きく開いている……。」

リドル:「もしかしたら、隙間からボクたちの様子をうかがっているのかもしれない。開けてみよう。」

アズール:「わかりました。では、リドルさんはケージを開けてください。僕は迎撃の準備をします。」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


リドル:「キミの読みは正しかったね。さっきの視線の主は今倒したファントムで間違いないだろう。」

アズール:「ええ。まさかあえてケージの中に留まっているファントムがいるとは思いませんでした。」

リドル:「身の危険を感じて隠れていたのかもしれないね。」

アズール:「ああ、その気持ちはわかります。」

アズール:「僕もリドルさんの渾身の一撃は絶対に食らいたくないですから。」

リドル:「フッ……こうして行動を共にしたことで、ボクの実力を知ってもらえたならなによりだ。」

アズール:「ええ、おかげさまで。超えるべき壁の高さを具体的に確認できました。」

アズール:「リドルさんが仰った通り、この経験も決して無駄ではない……」

アズール:「ということですね。」


PTM-63

── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「しかし、すごい数のケージだ。しかもところどころ扉が開いている。」

アズール:「いったいどれだけのファントムが外に出ているのか」

アズール:「……不意をつかれなければいいのですが。」

リドル:「見えない敵の動向について考えても意味はない。警戒しつつ、先に進もう。」

リドル:「1つずつ確実に対処していけば、いずれ終わるさ。そうだろう?」

アズール:「ええ。テストの問題と同様に。」

リドル:「なんだ、わかっているじゃないか。」

リドル:「……ハッ。」

アズール:「まずはあのファントムからですね。ではリドルさん、あの角に狙いを定めて……」

アズール:「今だ!」


── S.T.Y.X.タルタロス‐収容所 ──


アズール:「IDカードは……持っていなかったようだ。」

リドル:「そうか、残念だったね。」

アズール:「まったくです。とはいえ、懸念は1つ潰せた。今回はこれで良しとしましょう。」

リドル:「そうだね、キミの言う通りだ。さあ、捜索を再開しよう。」

リドル:「次はどっちに進むんだい?」

アズール:「ふふふ。あなた(リーダー)に頼られるのは悪い気がしませんねぇ。」

リドル:「キミ、まさかそれが目的で明かりをつけなかったんじゃないだろうね……。」

アズール:「まさか!」

アズール:「さ、次はこっちに向かいましょう。離れずについてきてくださいね。」


第3タワー 24話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


アズール:「氷よ! 扉を覆いつくせ!」


バキバキバキッ…………!!


リドル:「『雷霆(らいてい)の槍』、起動!」

ナビ:「操縦者認証。全魔導回路、および安全装置のロックを解除。照準サポートモードで起動します。」


バチバチバチッ!!!!


リドル:「ぐッ……照準を、タイタンが出てくる場所にあわせて……ッ!」


ドゴォッ! 


ドゴッ!!


アズール:「みるみる氷が溶けていくなんてパワーだ!」

リドル:「待たせたね。時間を稼いでくれたおかげで槍の準備は完了したよ!」


ドカーン!


タイタン:「ジュピタァアアアア!!!!ユルサアアアン!!!」

リドル:「今度こそ……お前の首をはねてやる!」


第3タワー 25話

── S.T.Y.X.タルタロス‐非常階段 ──


バリバリバリ!!!


タイタン:「グガアアアアア!!!」

アズール:「リドルさん、あと一息です!!」

リドル:「ぎ、ぎぎっ……!!」

アズール・リドル:「はああああぁぁぁぁッ!!」

タイタン:「グオォォォォ!!ジュピタァメェエエェ~~~~!!!」


ヒュウウウ……


ドォオオン


アズール・リドル:「はぁっ、はぁっ…………!!」

ナビ:「『雷霆(らいてい)の槍』のバッテリー残量が低下しています。残り10%です。」

ナビ:「充電ステーションに設置してください。」

アズール:「こ、今度こそ、やりましたか……?」

リドル:「わからない。でも、流石に仕留めたと思いたいね」

リドル:「……うっ!」

アズール:「リドルさん! まさか、今の戦いでどこかに深手を?」

リドル:「大丈夫だ……でも、魔力と体力の消耗が激しい。ブロットもかなり溜まっている……。」

アズール:「マップによれば、あと数階下れば格納庫があります。そこで休憩をとりましょう。」

リドル:「ああ。そこなら『雷霆(らいてい)の槍』も充電できるはずだ。行こう。」

リドル:「『雷霆(らいてい)の槍』は充電ステーションに置いたよ。」

リドル:「でも、フル充電を待つ時間はなさそうだ。1時間ほどしたら出発しよう。」

アズール:「念の為、ドアの前には氷でバリケードを作りました。これでしばらくは安心でしょう。」

アズール・リドル:「………………………………。」

アズール・リドル:「ぶはぁ~~~~~~~~~~~~………っ。」


どさっ!


アズール:「もうここから1歩も動きたくない……。」

リドル:「ボクもだよ……。」

アズール:「……学園にいる人たちは、僕らがこんなことになっているなんて考えもしないでしょうね。」

リドル:「それどころか学園に戻って今日のことを報告しても、誰にも信じてもらえそうにないよ。」

リドル:「「悪い夢でも見ていたんだろう」って笑われそうだ。」

アズール:「本当に……。」

アズール:「部活の先輩があのジュピター財閥の関係者で、“嘆きの島の番人”で……」

アズール:「さらには世界をリセットしようとするだなんて……現実味のなさすぎる話です。」

アズール:「でも……これが現実なんですよね。」

リドル:「イデア先輩たちにとってはこの悪い夢のような状況が現実で……」

リドル:「学園生活のほうが現実味のない夢みたいなものだったのかもしれないね。」

リドル:「……目を覚ませば、すぐに忘れてしまうような。」

アズール:「ええ。そして僕らの学園生活(げんじつ)を取り戻すためには、彼らの夢を壊すしか道はない。」

リドル:「彼らと争うのは、心が痛むかい?」

アズール:「まさか。“橋を渡るには通行料”……夢を叶えるためには、犠牲がつきものだ。」

アズール:「それが美しい声なのか、金や時間なのか、それとも他人の夢なのかは、時と場合によるでしょうが。」

アズール:「僕には叶えたい夢がたくさんある。ひとつだって諦めるつもりはありません。」

アズール:「学年首席、『モストロ・ラウンジ』2号店、配送事業、テーブルウェア販売、ホテル経営………」

アズール:「レジャー事業……それから……。」

リドル:「こら、アズール。なんでボクに寄りかかって……」

リドル:「あ。」

アズール:「スーー……スー……。」

リドル:「……寝てる。」

リドル:「タコは警戒心が強くて繊細だから、こんなところでは眠れないんじゃなかったの?」

アズール:「ぐぅ……。」

リドル:「……夢を叶えるには犠牲がつきもの……か。」


第3タワー 26話

ドゴオオオン!!!


アズール・リドル:「!?」

アズール:「なっ、なにごとです!?」

リドル:「外から轟音が……まさかまたタイタンか!?『雷霆(らいてい)の槍』の充電は……」

ナビ:「現在、充電は30%完了しています。」

リドル:「まだ3分の1しかエネルギーが溜まっていない。」

アズール:「それでも何もないよりはいいはずだ。持っていきましょう!」

リドル:「わかった。行こう!」


< >
コメント (Story_Main_6-67-3)
  • 総コメント数0
新着スレッド(ツイステWiki)
注目記事
ページトップへ