ゴルムのプロフィール
ゴルム王子 | ゴルム・クリスタリア 'Gorm' Crystalia |
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ゴルム王子
プロフィール
性別 | タイプ | 種族 |
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英装 | |
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職業 | |
武器 | |
出身 |
誕生日 | 年齢 | ||
---|---|---|---|
身長 | 体重 | ||
3サイズ |
趣味 | |
---|---|
特技 | |
癖 | |
長所 | |
短所 |
エピソード
ゴルム・クリスタリア
プロフィール
性別 | タイプ | 種族 |
---|---|---|
英装 | |
---|---|
職業 | |
武器 | |
出身 |
誕生日 | 年齢 | ||
---|---|---|---|
身長 | 体重 | ||
3サイズ |
趣味 | |
---|---|
特技 | |
癖 | |
長所 | |
短所 |
エピソード
ある夜、ゴルム王子は自室のベランダで物思いにふ
けっていた。
彼の頭の中にあったのは、長年思い続けているある
女性のことである。
彼はその女性にはこれまで何通も手紙を送っていた
が、いまだに1通も返事をもらっていない。
返事を書くことができない、何か特別な事情がある
のだろうか?
もしくは、自分に手紙を出すのを恥ずかしがってい
るのだろうか⋯?
どのような言葉でもいい⋯どうか自分に返事を返し
てくれないだろうか。
そんなことを考えていたゴルム王子は、ふとベラン
ダの手すりに見慣れぬ鳥が止まっていることに気づ
く。
それは一見すると普通の鳥に見えるが、機械仕掛け
で作られたものであった。
「この機械人形は、確かあの人が使役していたもの
ではないか⋯」
かつて、自分の想い人がその"鳥もどき"の足に手紙
をくくりつけてどこかに飛ばしているのを、ゴルム
は目撃していた。
「もしかしたら⋯」
ゴルムが鳥の姿をした機械人形に触れてみたが、意
外にも逃げることはなく、そしてその足には彼が予
想していた通りに手紙がくくりつけられていた。
(ようやく返事がもらえた⋯!)
手紙を機械人形の足から取り、感激しながら手紙を
開封してその中身を読む。
だが、手紙には彼が想像していたものとは、まった
く違うことが書かれていた。
そこには巨大な魔導神兵『ガノン』と呼ばれる存在
がゴルド島に向かっているとのことが簡潔に綴られ
ていたのだ。
自分の手紙の返事ではないことにゴルムは一瞬だけ
落胆するが、すぐに兵を連れて島の南部の海岸線へ
と向かう。
その時の彼の顔はすでに恋する男のものではなく、
国を守る王子としてのものへと変わっていた。
ゴルムたちがゴルド島南部の海岸線に着いたのは、
薄明かりが差している早朝であった。
ゴルムは、わずかな地響きとともに朝もやがかかっ
ている海の向こうより、巨大な"何か"がゆっくりと
こちらに向かってきているのを認識する。
そして、接近してくるその"何か"の輪郭がハッキリ
としていくことにより、それが巨大なゴーレムのよ
うな存在であることを知る。
巨大なゴーレムのような存在⋯魔導神兵『ガノン』
の姿を認識したゴルムは、すぐに兵たちに周辺住民
を避難させるよう命令する。
そして自身はガノンを撃退するべく戦闘態勢をとり
島に上陸してくるかの存在に高らかに宣言する。
「私はゴルド王国の王子サリューヌ・ゴルム!
お前が我が国に仇なす存在ならば、ここで退治して
くれよう!」
ゴルムの言葉に応えるかのように、彼に攻撃するガ
ノン。その攻撃を避けつつも、ゴルムはかの存在に
対して剣を振るう。
だがゴルムの斬撃が効いた様子はなくさらに先へと
歩みを進め続けた。ゴルムだけではなく彼の兵士た
ちもまた繰り返し攻撃を続けたが、その歩みは止ま
らない。
そこでゴルムは、己の全力を込めた渾身の一撃を態
勢を崩しながらも放つ。
その攻撃にさしものガノンも歩みを止めるが、その
直後、ゴルムに向かってその巨大な拳を振るおうと
する。
(避けられない!)
そう感じ、死を覚悟したゴルムだったが、ガノンの
拳が振り下ろされる寸前、かの魔導人形はあらぬ方
向から氷結の攻撃と斬撃を受け、その身体をわずか
によろけさせる。
そしてゴルムは驚きとともに目にしたのだった。彼
の想い人であるセヴィアの姿を。
歓喜の表情を浮かべかけるゴルムだったが、その直
後に想い人の横にいる宿敵ロビンの姿も目に入り、
表情が一変する。
「貴様は⋯!」
"どうして我が愛しき人と一緒にいるのだ?"とロビ
ンに詰問しかけるゴルム。
だがそれを察したセヴィアはピシャリと言い放つ。
「細かい話は後!まずはコイツを片付けるわよ!」
「⋯分かりました。あなたがそう言うのならば」
彼女にそう告げられてしまっては、その場はゴルム
も従うしかない。
それに、対峙している敵が余計なことに気を取られ
たまま戦える相手ではないことは、彼にも分かって
いた。
その後、3人はガノンと激しい戦闘を繰り広げる。
さしものゴルム、セヴィア、ロビンもガノンの苛烈
な攻撃に苦戦し、いくつも傷を負った。
そんな中、戦いの均衡を破ったのは、ガノンの攻撃
であった。
ガノンの腕から放たれたその攻撃は、長時間の戦闘
で疲労していたセヴィアを直撃し、彼女を地面に叩
きつける。
苦悶の表情を浮かべるセヴィアに、ガノンはとどめ
とばかりに追加攻撃を繰り出す。
セヴィアにその攻撃から身を守る術はなく、覚悟を
決める。
だが、それを防いだのはゴルムだった。
「これ以上、我が愛しき人に手出しはさせん!」
彼は自分の剣に加え、セヴィアが落とした剣をもう
片方の手に持つと、彼女の前に立ち全身でガノンの
攻撃を受け止める。
しかし、ガノンの力は強大で徐々にゴルムを圧倒し
ていく。ロビンも背後からガノンに攻撃するが、突
如ガノンから発生した衝撃波により吹き飛ばされ動
きを封じられてしまう。
今にも押し潰されそうなゴルムに動けないセヴィア
が叫ぶ。
「私のことは置いて逃げなさい!」
ゴルムは振り返り愛しい人を見て一度微笑むと、そ
の言葉には何も答えず、再び前を向き最後の力を振
り絞る。
その背中を見たセヴィアはすべてを察し叫んだ。
「私の力を使って!」
ゴルムが持つ彼女の剣に、氷の結晶らしき光が収束
していく。
一瞬驚いたゴルムだったが、その顔に今まで以上の
笑みを浮かべ、これまでの苦戦が嘘のようにガノン
の攻撃を払いのける。
そして大きく跳躍し、雄叫びとともに渾身の力を込
めて剣を振り下ろす。
「我らが愛の前に敵は無し!」
その一撃は、ガノンの頭部を粉砕。
さしものかの存在も動きを止め、その巨体はゆっく
りと崩壊していった。
ガノンを倒したことを確認したゴルムは、すぐにセ
ヴィアに駆け寄る。
「大丈夫ですか⋯!?我が愛しき人!あなたの私
への愛が奴めを倒す力となったのです!」
「⋯あ、あなたへの愛なんかないから!」
セヴィアはゴルムの言葉に即座に反応した。
その様子に、ゴルムは心配しつつも彼女に生命の危
険などがないことに胸をなでおろす。
その時、不思議なことが起こる。
崩壊したガノンの残骸から、光の粒子のようなもの
が立ち上り、それらがゴルムを包み始めたのだ。
「なんだこれは⋯!?」
やがて粒子は直視できないほどゴルムを輝かせ、光
が収まると彼の黄金の鎧を、クリスタルのものへと
大きく変化させていた。
セヴィアは何が起こったのか分からず、心配そうに
彼を見る。
「大丈夫なの⋯?」
「⋯えぇ、問題ありません。私にも訳が分かりませ
んが⋯。
ただ、何だか気分がいいです。力も無限に湧いてく
るような感覚で⋯。
そうか!ヤツめ屈服してその力を私に捧げたのだ
な!」
自身に起こった変化を無邪気に喜ぶゴルム。
いつもと変わらぬ彼のその様子に、セヴィアは呆れ
ながらも安堵の笑みを見せた。
だが、すこし離れた場所から一部始終を見ていた口
ビンだけは、ゴルムのその変化に対して怪訝な表情
を崩さず、こう呟く。
「⋯少し調べてみるか」
魔導神兵『ガノン』を撃破した後、戦いで負傷した
セヴィアは、しばらくゴルド島に滞在し、その傷を
癒やしていた。
その間、ゴルムは"お見舞い"と称して毎日のように
セヴィアのもとを訪問し続け、彼女を呆れさせてい
た。
「相変わらずね。まったく⋯」
だが、そんなゴルムがある時よりパックリとセヴィ
アのもとを訪れなくなる。そしてそれからしばらく
経った後にある噂が流れ始める。
ゴルムが夜な夜な発掘途中の鉱山を訪れ、暴れま
わっている、というのだ。
毎日訪れる彼に邪険な対応をしていたとはいえ、急
に来なくなったことで逆に心配したセヴィアは、ま
だ傷の癒えぬ体で噂の真相について調査を開始す
る。
そして調査の末、噂通りに深夜に王城を抜け出し、
鉱山を訪れているところを目撃したのだった。
鉱山での彼は、何かを呟きながら、何かを探してい
るかのように剣を振るい岩石を破壊して回ってい
た。
「鉱物ガルディーノ⋯まで⋯あと⋯」
「ゴルム、何をやってるの!?」
思わず声をかけたセヴィアだったが、それに反応し
て振り返ったゴルムの様子に驚く。
目は虚ろで意思のようなものは感じられず、そして
身体からはガノンを倒した時に生じた光の粒子を漂
わせていた。
「対峙した⋯者の⋯情報を⋯確認。
目的⋯の⋯障害となる⋯可能性⋯あり。
⋯排除⋯を⋯開始⋯する」
ゴルムはそう呟くや否や、セヴィアに対して斬撃を
繰り出す。
その攻撃をかろうじて回避したセヴィアは、その様
子から、ゴルムが正気の状態ではないことを察知す
る。
「⋯世話の焼ける人ね。
ひとまず、おとなしくしてもらうわよ⋯!」
力ずくでゴルムをねじ伏せようと、セヴィアは彼に
攻撃を放つ。
先程のゴルムの攻撃より、彼の力自体は大きく向上
しているものの、正気を失っている分、動きは鈍く
自分でも十分勝機はあると踏んでの行動であった。
だが、セヴィアの武器がゴルムに触れようとした瞬
間、彼女は何かの力により身体ごと大きく弾かれて
吹き飛ばされてしまう。
「そんな⋯!攻撃が効かない⋯!?」
「防衛機能⋯正常⋯に⋯発動」
態勢を立て直して、再びゴルムと対峙するセヴィア
だったが、その身体に痛みが走る。
吹き飛ばされた際に、先の戦いの傷が少し開いてし
まったのだ。
「少し⋯まずいわね」
苦痛の表情を浮かべる彼女に、ゴルムは一瞬だけ動
きを止めるが、すぐに再びその剣を彼女に対して振
るい始める。
セヴィアはゴルムの斬撃を自身の双剣でなんとか受
け止めるが、攻撃を受ける度に痛みが全身に広がっ
ていき、このまま防御し続けることはできそうにも
なかった。
「クッ⋯!」
「障害を⋯排除⋯ ⋯!」
セヴィアにとどめをさそうとするゴルム。
だがその時、疾風とも思えるほどの素早い黒い影が
彼へ一撃を加えた。
ゴルムに一撃を加えた黒い影⋯それはロビンであっ
た。
「間に合ったようだな⋯」
彼は片腕の剣でゴルムの攻撃を受け止めて、もう片
方の剣で彼を斬りつけていた。
その斬撃はゴルムの腕の皮膚を軽く傷つける程度し
かダメージは与えておらず、ゴルムは即座に反撃を
ロビンに行おうとする。
だがゴルムはその途中で突如として苦しみだし、そ
の動きを止める。
「⋯クッ⋯ウウッ⋯!
問題⋯発生⋯!問題⋯発生!」
思わぬ展開に、驚きを禁じえないセヴィア。
一方のロビンは、ゴルムの反応を予期していたよう
だった。
「何をしたの⋯?」
「アイツを正常に戻す薬⋯のようなものを、俺の剣
に塗ってきた。どうやらちゃんと効いたようだな」
ゴルムの苦しみはさらに大きくなり、頭を抱えてひ
ざまずくほどであった。
だがやがてロビンの言う"薬"が効いたのか、徐々に
その苦しむ様子が治まっていく。
元に戻ったのかとセヴィアはゴルムに近づこうとし
た矢先、今度は一転して大きな咆哮を上げた。
「私は⋯一体⋯グッ!ウオォォォ⋯!!」
ゴルムは再び周囲に対して剣を振り回し、暴れ始め
るが、それはセヴィアやロビンを狙ったものではな
く単純に苦しみ、もがいているかのようであった。
「今度は何なの⋯!?」
「チッ⋯どうやらアイツの中に宿ったモノは、予想
以上にタチが悪いようだな」
ロビンの推測によれば、彼が用いた"薬"はちゃんと
効力を発揮したが、ゴルムを支配していた存在がそ
れに抗っており、今はゴルムの意識とその存在が身
体の中で争い合っている状態なのではないか、との
ことであった。
「何か⋯私たちにできることはないの!?」
戸惑うセヴィアは、ロビンに問いかけるが彼は黙る
だけだった。
しかし、苦しみ続けるゴルムを見て再び口を開く。
「いや、もしかしたら⋯」
もしゴルムの心を大きく揺り動かす"何か"ができる
ならば、彼の自我、精神力が勝るようになり、正気
に戻るかもしれない。
そして、その"何か"をできる可能性があるのは、お
そらくお前だ⋯と、そこまで話したロビンは、セ
ヴィアに目を向ける。
その視線に気づき、セヴィアは彼の言わんとするこ
とを理解する。
一瞬戸惑いの表情を浮かべたものの、彼女はすぐに
覚悟を決める。
「⋯分かったわ。自信はないけど⋯やってみる」
苦しみ、暴れるゴルムに、セヴィアは慎重に近づい
ていく。
ゴルムの精神を揺り動かす手段は何か⋯?
セヴィアが思い至ったものは、ゴルムが彼女に何通
も送った恋文だった。
ゴルムは、なぜか自分に好意を寄せている。
ならば、たとえ嘘でもその思いに応じるような言葉
を告げれば、彼の精神を大きく揺り動かすことがで
きるはずである。
「ゴルム、あなたは私に何通も手紙を送ってきたけ
ど⋯その返事を今、答えるわ⋯」
「ウッ⋯ググッ⋯!!」
セヴィアの言葉に、ゴルムの動きが止まる。
「私もあなたのことは⋯その、嫌いじゃない。
むしろ⋯その、す、す⋯」
セヴィアは「好き」という言葉を告げようとしたが
そのようなことを口にするのは初めてで、なかなか
上手く言うことができない。
それに、自身の中で迷いも生じていた。
果たして、この行為が正解なのだろうかと⋯。
いかにゴルムを正気に戻すためとはいえ、偽りの言
葉で彼を騙すことは正しいのだろうか、と。
頭を振るセヴィア。
「⋯⋯やっぱりこんなの、私らしくない!」
そして、彼女らしいやり方でゴルムを正気に戻すこ
とに決めた。
「力に振り回され、己を失うなんて情けない!
あなたはもっと⋯もっと強い人間のはずよ!!」
その言葉と同時にセヴィアはありったけの想いと力
を込め、ゴルムの顔を平手打ちする。
強烈な一撃によりゴルムも大きく吹き飛び、しばら
く気絶でもしたかのように動かなかった。
その場は長い沈黙に包まれた。
誰も動かず、言葉も発しようともしなかった。
そして、どれだけの時間が流れただろうか。
やがてゴルムは痛みを噛みしめるかのように、ゆっ
くりと身を起こす。
そして、しっかりとした口調でこう告げた。
「⋯さすが私が見込んだ人だ。あなたの愛のムチ、
このゴルム、骨身に染みましたぞ」
その瞳には、セヴィアとロビンがよく知る、自信に
溢れ、そして国民や仲間思いの優しい光が再び宿っ
ていた。
その後、セヴィアには過剰なほどの礼を述べたゴル
ムだったが、ロビンに対しては一言だけ
「どうやら、迷惑をかけたようだな⋯」
とバツが悪そうに言っただけだった。
その彼らしい言葉に、ロビンは「フン⋯」とわずか
に笑みを浮かべた。
そして彼はある場所で得た情報を伝え、するべきこ
とはすべてした、と言わんばかりに、すぐにその場
から消えるように立ち去っていった。
ロビンがゴルムに伝えた情報⋯それは、ゴルムの身
体に宿った力を取り除く方法は不明だが、心を強く
持っていれば再び身体を乗っ取られることがないこ
と。さらに、精神でその力を抑え込み続ければ、や
がては力を自身のものにできるかもしれない、とい
うものであった。
その情報を聞いたゴルムは数日ほど考え込み、やが
てあるひとつの決断をする。
それはゴルド王国の王位継承権を一時返上し、自身
を鍛える旅に出る、というものであった。
父であるゴルド王国の現国王は引き止めはしたもの
の、彼の意志が固いと知り、旅立つことを承認。
多くの国民はゴルムが国から去ってしまうことを悲
しんだが、それに対して彼は笑顔でこう応えたとい
う。
「ゴルド王国の国民たちよ、私はさらに偉大になっ
て戻ってくる。だからしばらく待っていてくれ!」
その後、己を鍛えるためグランゼリアを旅したゴル
ム王子は、その姿から人々より「ゴルム・クリスタ
リア」と呼ばれるようになる。
旅先での彼の武勇伝は、後世において絵物語などで
伝えられており、そこには彼が愛する女剣士と宿敵
と定めた怪盗も度々登場している。