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【白猫】The World of Guilty 2 Story4

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



目次


Story15 無原罪

Story16 聖なる復讐者

最終話 祈り





story15 無原罪



……原罪の聖霊か……

もはや聖霊の域ではない。化け物め……

だが、手段はあるぞ!


<アシュレイとデュナミスは、原罪のアラストルの中に、飛び込んだ……!>


「ぐっ……これは――罪か――

原罪のアラストルが……食らった罪の!!」

「騎士様、どうして……!」

「行くぞ、ルウシェ……世界など!救わなくてもいい!」

「私は……騎士様に……優しい世界を見せてあげたい……

……それだけなんです。私は……」


…………

……


おお……

あれこそが、原罪のアラストル!!

……何ッ?

<原罪のアラストルが、周囲のものを吸い込み始めた!>

こ、これは……!!

アルマたちも吸い込まれる!!これは……このアルマは!?

……これが、アラストル……!?

罪だけではない……全てを吸い尽くそうと……

だとしたらあれは……罪を食らうアルマではない……まさか……!!

貌下……!!お守りしなくては……!


…………

……


「この力は……!?

これは――周囲の全てを飲み込んでいる!

どういうことだ!!これは罪を食らうアルマのはず……」

「アラストル!世界の罪を!」

「世界の罪だと……まさか……だとしたら……

やめろルウシェ!!」


…………

……


人間は罪というものを、道徳規範に反する行為として位置づけた……

罪は社会に取り込まれ、権力の道具となった。

ここから、あたかも罪が旧弊な禁忌であるかのような錯覚が生まれる。

危険な錯覚であろう。人は罪から逃れ得ない。


著者オットー・インマクラータ。


…………

……



始まっちまったなあ、オットー。世界の終わりが……

おお、我が盟友よ。俗名で私を呼ぶのは、今ではあなただけです……

貌下……?誰と話していらっしゃるの……?

<何かを直感した司教は、物陰に潜んで、耳をそばだてた……>

一つ聞いていいか?

何でしょうか?

あの聖女、どこで見つけたんだ。

聖女ルウシェは、私と同じなのですよ。

……同じ考えをする人間を、見ぬくことくらいはできます。聖霊に仕えるものですので。

参考になるねえ。

なんとなく予想をしてました……罪の器となるものは……

人より慈悲深いものでも、正義に燃えるものでもない。

私と同じように……罪悪感を感じない者であると……

……ルウシェが……!?

そいつが聖女様の正体と知ったら、信徒の連中も驚くだろうよ。

聖女は罪の苦しみなど、感じたことはありません。だからこそ原罪を背負えた。

俺達の切り札だな。だが世界を滅ぼすには、もう一枚カードが必要だった……

聖霊デュナミスは、唯一原罪のアラストルに抵抗できる存在……

アラストルの力をもってしても、罪は奪えない。

デュナミスを持つものが、己の罪を手放すことを拒むとしたら……

そんな人物が……聖女にとって、誰よりも救いたい存在であるとしたら……

だったら――騎士様が憎んでる罪そのものを、消しちまうしかねえよな!

聖女は、世界そのものより、罪を消し去ろうとする……

罪……罪か……ギャハハハハハ!こいつは笑えるねぇ。

人を殺すのは罪でしょうか?快楽に溺れるのは。人のものを奪うのは。

罪の定義などできません。

ありゃあ罪を食らうアルマ……じゃあ無いんだなぁこれが。

背負った者が罪だと認識したものを食らう。それだけの存在――

原罪のアルマは、世界そのものを、罪と認識しました……

俺は知らねえぞ?

ああ……そんな……!!

……しかし、騎士様が聖女を殺しちまった……かもしれなかったよな?

そこは、彼を信じてました。

お前さんが、信じるだって?冗談だろ。

騎士アシュレイは私の逆です。常に罪の意識を感じている。

今まで殺してきた者に。己のせいで死んだ者に。消えることのない罪の意識を……

だから決して非情にはなれない。

憐れなもんだ。

実に羨ましい……あれほどの罪は……

どれほど気持ちがいいのでしょうね……

気持ちがいいのかねぇ。俺にゃあわからんな。

努力はしてみたのです。

人を殺したり、人を売り飛ばしたり、快楽にふけったり……

戦争を仕組んだり、汚職をしてみたり、一通りはやりました。

でも、駄目でしたね……私は一度も、悪いとは思わなかった。

世界を滅ぼしてしまえば、少しは罪悪感を感じると思ったのですが……

ハハハハハハ!!こんなくだらねえ理由で世界が滅んじまうとはな!

俺はここまでだ。せいぜい楽しんでくれ。

ああ、聖霊よ…………お助けください……

この罪に穢れ世界を……!



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story16 聖なる復讐者



ルウシェとアシュレイは、罪の中に飲まれていく……


「ルウ……シェ……」

「騎士様……私が……全ての罪を……」

「もういい。ルウシェ……

俺は、罪に穢れた世界を、お前に見せたかったのではない。

世界は本当は優しい……そう、教えてやりたかった……

優しい世界を……お前に見せてやりたかった……」


最後の力で、アシュレイは、ルウシェを抱きしめた。


…………

……


――原罪のアラストルは――

巨大な黒い渦となった。

聖霊教会総本山・カシドラは一瞬で渦に飲み込まれ――

程なく渦は、周囲の海も飲み込む。


終わりが――始まった――


…………

……


「騎士、様……」

小さな手が……

アシュレイの手に重なった。

「ルウシェ……」

「優しい世界。私は今見ています。

騎士様がいる世界が……どれだけ罪に穢れていても……

でもそこは、優しい世界だったんですね……

初めてわかりました。これが罪――

なんて、悲しい思い……

……どうして私が、罪に穢れた罪人なのか……ようやくわかりました。

私を殺してください、騎士様。それで終わりです。」

「ルウシェ……

未練はないか。

「無いといったら……嘘になっちゃいますね……」

「……終わらせる。」

「さようなら、騎士様――

「――――はっ!!」


『ガァアアアアア!!』


「……原罪のアラストルが……!」

「デュナミスよ……

お前はこのアルマを止めるために、生まれたのだな……!」

「騎士様……!」

「呼べ、ルウシェ!!お前の聖霊を!!」

「でも、私の聖霊は……!」

「お前を待っている……!この罪の中で……」

「……あっ!!

ああ……

待っていてくれたんだね……

また一緒に、いてくれる?私は、私の罪を償いたい……

ごめんね……ありがとうね……さあ、行こう。」


「アラストル!!」


黒い渦は、かき消える。

残されたのは――

原罪の聖霊、そして――


罪は吐き出させたが……このままでは、同じことか。

私のアラストルで、あの罪を背負います。

原罪を――背負うのか。

お守りください、騎士様。

承知した――


原罪の獣よ!!お前を断罪する!!


あなたは願い……

いつか世界から、罪が消えればいいという願いの象徴……

でも今は、この罪深い世界のために!

あなたの罪を!私にください!




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最終話 祈り



原罪に裁きを……!!

悲しい罪の獣……

もう一度、お休みなさい……



ルウシェ……

少し、疲れちゃいました。

眠っても、いいですか……

ああ。

お願いです。

何だ?

そばに、いてください。

……俺は……


…………

……


闇の渦が消えた後……渦から吐き出された者たちも、戦いを見つめていた。


どうしてだ……さっきはあんなに……満たされた感じがしたのに……

何も感じない……

……俺は悔い改めたはずだ。

……なのに、今は全てがバカバカしい……


…………

……



ああ、こんなものですか……

演出が過ぎましたね……逆転の目を残してしまうとは……

世界を終わらせた責任を……感じてみたいものでしたが……

おや。

<教皇は、己の胸を貫く司教の聖笏を、じっと見つめた。>

死ね……!!

ぐふっ……ふふふ……おやおや……

感じていますね……罪の意識を……

羨ましい……

<血の海の中で、教皇は息絶えた……>


…………

……


<ルウシェは、眠っている……>

……俺はただの人殺しだ。お前のそばにはいられない。

結局……誰よりも俺が、救われたいと、望んでいたのか……


んん……騎士様……

目が覚めたか。

おはようございます、騎士様。

おはよう、ルウシェ。

……夢を見たんです。

騎士様が、どこか遠くへ行ってしまう夢を……

そうか。

良かった……

<ルウシェは、アシュレイの手を取った。>

怖いです。

騎士様が……消えてしまいそうで。

この俺はもう、聖霊教会の騎士ではない。だが――

俺はお前の騎士だ。



…………

……


<司教は、祈りを捧げていた……>


あなたの疑いは晴れました。

疑い?何の疑いですか?

教皇を殺したのは、この私です。

いえ、騎士アシュレイが、自白しました。

司教様の聖笏を奪い、貌下を殺したと。

アシュレイ……どういうつもりで……

彼はいまどこです。

我々に自白をした後、行方をくらませました。


…………

……


貌下……

貌下がお出ましだ。


……私が貌下?何をいっているのです。

只今、教皇選挙が終わりました。貌下が聖霊教会の教皇です。

……それが教会の選択ですか。

教会の再建を成しうるのは、貌下以外におりません。

……そうですか。聖女様は?

先程、お目覚めになられました。

わかりました。此度の惨事――いや、奇跡についてですが……

原罪の聖霊は目覚め、我らの教えの正しさが、世界に示されました。

あまねく信徒たちに伝えなさい。聖女ルウシェこそ、真なる賄罪の聖女であると。

承知いたしました。

然る後、膿を出し切ります。教会は、生まれ変わらねばなりません。

教皇弑逆の異端者については、いかなる処置を?

異端者アシュレイを捕らえなさい。弑逆の罪を断罪します。

(これでいいのですね……アシュレイ……)

はっ!

異端者には追手を差し向けます。


…………

……


聖女様……

あっ、司教様……じゃなくて、教皇様でした。ごめんなさい。

いいのですよ。どちらも変わりません。

教皇様、私、もっとがんばります!

原罪の聖霊の力を借りなくても、みなさんを助けられるように……

それが……騎士様との……約束ですから……

あれ……私、なんで……

ルウシェ。あなたに罪を食べていただきたいものがいます。

はい、どなたですか?

――――彼の。

……でも……でも……!

お行きなさい、ルウシェ。あなたの心のままに。

それが……私のできる、ただ一つの償いです……


…………

……


騎士は一人……島に来る飛行艇を待っていた。

神殿騎士たちは、アシュレイの姿を見ても、見て見ぬ振りをしている。

「見逃すつもりか。」

<神殿騎士たちは、答えない。>

「信仰は消えた。罪への憎しみも。

――どこに行くか。

……どこでもいいか。今はただ祈りたい……」


……

…………



聖女は走っていた。

「はあ、はあ、はあ……」

ここに罪人の、罪を背負うために。

苦しみを救うために。

共に背負うために。

「騎士様――!!」


騎士は、声の方を向いた――




The World of GuiltyⅡ -END-








コメント (The World of Guilty 2 Story4)
  • 総コメント数1
  • 最終投稿日時 2019年10月20日 16:26
    • 冒険者
    1
    2019年10月20日 16:26 ID:i0p0vu96

    優しい世界を見せたいと言いながら教団関係を巡ったのは何でだろ?

この記事を作った人
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