【白猫】The World of Guilty 2 Story2
The World of Guilty 2 Story2
目次
登場人物
贖罪の聖女 ルウシェ | |
神殿騎士 アシュレイ | |
司祭 ジェレミア | |
教皇 | |
司教 | |
アルバ | |
情報屋 ディスマス | |
信徒 | |
騎士 |
古戦場の島クァナン
<罪の教団>
story4 迫害
騎士アシュレイ。断罪のアルマをもつものよ。
アルマを背負うものには、ふさわしい使命が与えられます。
存じております。
あなたの使命は、罪への裁きです。
裁き……?
聖霊教会の名において、罪深きものを追い、断罪するのです。
私に、剌客になれと……!?
罪への裁きが、命をもっての贖いであれば。
罪を赦すことが、我らの教えではありませんか。
……裁くのはあなたです。
……
…………
<人々は、修道院に石を投げた!>
修道院は島から出ていけ!
お前たちは人殺しだ!
おぞましい邪教徒め!
騒動が大きくなっている!
我らが邪教徒だと!?許されん言いがかりだ!
……騎士アシュレイ、何かわかりましたか?
大体の状況はわかりました。教会の立ち退きを望む一団は、ある男に先導されています。
……その方と、話をしてみましょう。
司祭様、危険です……!
話し合えば、理解しあえるかもしれません。争いよりはましです。
……
…………
ジェレミア司祭が……
暴徒に襲われた。……重傷だ。
迫害者どもめ……!!
修道院に押し入られるのも、時間の問題か……!
…………
……
ううっ、アシュレイか……
司祭様。体は大丈夫ですか。
……司祭様か……今では君も騎士様だな。
<司祭ジェレミアとアシュレイは、寄宿学校で共に学んだ旧知の間柄である。>
私の言葉は、無力だったよ。
罪の前には……いかなる言葉も……救いには……
教会の教えは、無力ではない……!
アシュレイ……!
俺は征く。
story5 冒涜
暴徒のみなさんは、何に怒っていたんですか?
きっかけは、ある事件だ。
十数人の女性が殺され、おぞましい儀式の生賛にされるというな……
ひどい……
儀式の場には、聖霊教会の紋章や、聖女の像が残されていた。
……聖霊教会は、邪教と仕立てられた。
…………
……
暴徒の先導者は、ここか……
聖霊教会憎しの声が広まれば、事実はいくらでも摸造できます。
我が国の現状は厳しい。教会の財産を奪えれば、いくらか足しになる。
金と土地ですね。奴らは信者から巻き上げた金を溜め込んでいますので。
そうそう。生賛の儀式をやるときには、また声をかけてくれよ。
もちろんです。
実に新鮮な体験だった。
聖霊教会の信徒たちも、同じ目にあわせてやりましょう。
それがいいな。国民も支持するだろう。
……そういうことか。
ギャアアアアアアア!!
ヒッ……!?
質問に答えろ。
…………
……
<陰謀を企てていたのは、政府そのものだった。
国家の法で、裁くことはできない……>
ろくに税金も払わぬ、貧民どもではないか……!
国のための犠牲だ……本望だろう……!
……それで、罪もない民を殺し、教会に罪を着せたのか。
<アシュレイの胸に、司教の言葉がよぎる……>
――……裁くのはあなたです。――
お前が殺した女性には、結婚相手がいたそうだ……
だから、何だ?
…………
……
<――国の法で裁かれれば、聖霊教会に累が及ぶ。
また、教会は自殺を禁じていた。>
心は決まった。
アシュレイ……!
罪には咎を。神殿騎士団の戒により、俺を断罪せよ。
なりませぬ、騎士よ。
司教様……!
教えに殉ずるというのなら、使命に殉じなさい。
汝のその剣を、<贖罪の聖女>に捧げるのです……!
<贖罪の聖女>……
story6 異端
俺は愚かだった。罪人を断罪しながら、罪を重ねていった。
ご自分を責めないでください。
確認しているだけだ。俺が罪人であることを。
…………
……
銀行の事業は順調らしいな。
おかげで多忙な日々だよ。
<教会が金を預かるということは、珍しいことではない。
こと聖霊教会は、様々な島に教区を持つ。経営には都合が良かった。>
助かっているものも多いと聞いている。
<神殿修道院銀行は、貧しい人々に無担保で金を貸していたのである。>
俺たち騎士は、罪と戦うことしかできない。
お前は罪から人を救っている。それこそ希望だ。
君は詩人だね。
よせ。
はははは。
……貧困は罪を生む。俺のところにも、嫌な話が入ってきた。
教会の信徒が、行方知れずになっているらしいね。
今、調べを進めている。
……罪は赦すというのが、我が教会の教えだ。
俺は異端者か。
君だけが罪を背負う必要はない。
……
…………
<アルマは、見聞きしたものをジェレミアに伝える……>
――そうか。
この島の王族に、そんな趣味があったとはね……
……さて、この件をネタに、どのような手をうつか……
……そうだアシュレイ。
本当の罪人は君ではない……
この私だ。
裁かれるべきなのは、この私だ……
<アシュレイも知らぬことであったが、ジェレミアもまた、アルマを背負っていた。
アルマは戦いに使えるものばかりではない……
むしろアルマの得意とするのは、神出鬼没を生かした偵察や情報工作である。
アルマの存在こそ、聖霊教会の力の源である。
アルマの得た情報こそが……>
この行いは、おそらく罪だろう。
だが、立ち止まるわけにはいかない。
銀行は貧しい人々を守るため、必要な手段だ。
この事業を進めるために、私自身の有用性を、示さなければ……
<ジェレミアは、日記に自分の見聞きした秘密を書き付けていく……>
教会には裏の顔がある……醜い顔が……
贖罪の聖女……
そして、原罪……
……全てを知るものは……
…………
……
数日後。
ジェレミアはアルマを使い、ある人物を追っていた。
彼は卓越した使い手だ……
細心の注意を払わねばな……
……何かを追っているのか。
……仕事熱心だな、君はー――
<アシュレイが追っていたのは、人身売買である。
悪徳業者が、正当な仕事の斡旋と偽り、違法な採掘をさせていたのだ。
アシュレイは動いた。>
酷いものだな……
<手遅れであった。
洞窟内で発生した瘴気の影響で――
鉱夫数百名が死亡。
数日後、違法な採掘に関わったものたちが、次々と屍をさらしていった。
ギャング、政治家、実業家、貴族――>
なんだと――
<同時に、人身売買の事実もまた衆目の知るところとなった。>
……これは、まさか……!!
<アシュレイが裁きを下したものの中には……
ジェレミアの知る人物がいた。>
……どうしてこの男が……銀行に関わっている……
銀行の出資者だ……聖霊教会の信徒でもある……
まさか、この銀行は……!
…………
……
<アシュレイは一人、祈りを捧げる……>
俺の手は、罪に穢れている。
だが、救いのない道であれ……進むことに、意味があるはずだ。
……問題が手にあまると、人間はある種の境地に達しちまうものらしい。
どうなると思う?開き直るのさ。そりゃもう見事に……
――信徒の方ですか。
俺はアルバ。退屈の敵だ。
罪の告白をお望みでしょうか。
おしゃべりがしたいのさ。例えば罪についてだ……興味があるだろ?
私にとっては、教会の教えが全て。
救いはあったか?
――救い?
聞かせてくれ。あんたの魂は……救われたのか……?
そこに救いがあるかは、関係はありません。私には信仰が全てです。
お前は見張られているぞ、アシュレイ。
……何をいっている?
ほら、そこだ。
――俺に監視が――
ヤバい状況なのさ。お前さんも、周りの人間もな。
<デュナミスは白衣の人物に、剣をつきつけた。>
何者だ。
興味がわいてきたら、聖バルトロ教会の納骨堂を調べてみるんだな……
まずお前から調べる。
アシュレイ殿――
これは……!?
何か?
――何でもない。
story7 告解
<アシュレイは、納骨堂で書類を見つけた……>
このリスト……まさか、これは――
人身売買に関わった人間のリストだ……それにこの帳簿……
取引に教会銀行を……人身売買で得た収益の、資金洗浄に使っていたのか?
…………
……
情報屋のディスマスだな。
お、おい……落ち着けよ。
聖霊教会に、背徳者が紛れている。誰だ?
へへへ、何をいってるんだ?
答えろ。信徒を売ったものは誰だ!
……おい、気をつけろ!アルマが見張ってる……
俺のアルマに見張らせている。ここにはいない。
OK……じゃあ教えてやる。これだ。
<ディスマスは、アシュレイが胸に掲げた教会の印を指差す。>
聖霊教会そのものが……背徳者だと……
あんたはやりすぎた。
…………
……
なるほど、これが……修道院銀行が作られた、本当の目的か……
この事実を明るみに出せば、銀行どころか、教会も……
だが、この罪を見逃すなど、私にはできない……
貧しいものが、少しでも救われればと思ったが……
――何ですか。
ジェレミア司祭。貴殿に異端の疑いがあります。
私に……!?
貴殿を捕縛する。
……くっ……!!
アルマを出したか!!
追え!!
…………
……
ジェレミアも知っていたのか。
司祭は、資金洗浄のことを公表するつもりだ………口封じに殺される!
俺のような屑にも、金を貸してくれた御仁だ。あの人には恩がある……
……聖霊よ……
我を導き給え……
ぐはっ……!!
……
…………
……アシュレイ。
しっかりしろ!!
……私は知っていた。教会の裏の顔をな……
だがそれでも、救われるものがいると信じていた……
もう喋るな。
修道院の私の部屋に、知る限りのことを残した。ごふっ……
ああ、聖霊よ……なぜ私を見捨てたのですか……
…………
……
<――修道会に戻ったアシュレイは、手記を開いた。>
聖霊教会は聖霊による救済を教義としている。しかし――それは表の顔にすぎない。
教会の真の目的は、<贖罪の聖女>の復活にある。
教会は非合法な手段を使い、罪のアルマを背負う器を探し求めていた。
数百年の時をかけて……器となった少女は、アラストルを背負い、罪を食らう。
だが、教会の求めるだけの器となりうる少女は、見つからなかった。
少女たちは罪の重さに耐えきれず、短く救いのない生涯を送る。
だがそこに、希望が現れた。ルウシェ・エルレンシア……
story8 背徳
ジェレミアが残した資料にお前の名前があった。
聖霊教会の始祖たる贖罪の聖女。かって聖霊の奇跡により、世界を救った御方。
それを再び迎えるのが、教会の秘められた野心だった。
だから騎士様は、私に裁きをくだそうと……
あのときお前は、死を受け入れていたな。
はい。
どうしてだ。
御使い様は、私の罪を断ってくださる方です。
全ての罪を背負った私を、神気へと返していただける方。
……騎士様こそ、私の御使いだと思ったのです。
……狂気だ。お前だけではない。教会も、俺も……
……信徒たちか。
罪に贖いを。聖女様……
罪に贖いを。
聖女様。どうかこの島の者にも、秘跡をお示しください。
わかりました。
……
…………
祈りを捧げましょう。
人は罪に穢れている。聖霊だけが罪より人を救うのです。
……救済か。くだらない。
……じいや!?
坊ちゃま……
<ルウシェは、祈りを捧げた。>
あなたの罪を、私にください……
おお……なんという……
アシュレイ坊ちゃま……私は、罪を犯しました……
そんなことはいい。
城門を開けたのは私です。
――何を言っている。
私は信仰を偽っていました。このじいやは、罪の教団の信徒。
…………何だと。
あの晩私は城門を開け、異教徒を呼び込みました。
どうしてそんなことを!
私は聖霊教会に、家族を……殺されました。
以来私は、復讐のために生きていたのです。
――ですが、全ては虚しかった。聖霊教会ではなく、この私こそが、罪人だった。
……いまさら……いまさら罪を悔いるな!
私にはもう、悔いることしかできないのです。
全ての憎しみが、嘘のように消えてしまいました。
さあ私に裁きを。いかなる罰も受けましょう。
うおおおおおおお!!
<騎士は叫んだ。叫びながら、地面を叩いた。>
……連行する。
<騎士たちは、老人を連行していく……>
……騎士様……
ははは……こんな世界が救われるものか……
……ああ、罪が……騎士様を……!
お願いです。騎士様の罪を、私に……!
ふざけるな……お前は俺から……全てを奪うつもりか……!
罪が、騎士様を追い詰めて……苦しめているのに……
何もしないでいるなんて、私にはできません!
うるさい……!!お前の答えなど……待つ必要は無かった……
この世に救いなど、ありはしない!
……私が……私が……全てを背負います、だから!
終わりだ、ルウシェ。罪を贖うなら、勝手にしろ。
待ってください!
来るな!
The World of Guilty 2 Story2