【白猫】アシュレイ(贖罪2)・思い出
原罪を断ち切る騎士 アシュレイ・ディナ cv.速水奨 聖霊協会に所属していた元神殿騎士。 己の過去と向き合い、剣を取る。 |
2019/10/18
The World of Guilty 2
思い出1
アシュレイじゃない!ひさしぶりねー!元気にしてた?
元気がないみたいですけど、なにかあったんですか?
そうだな。たしかにいろいろあった。
いろいろってなによ?言ってみなさいな。キャトラさんが、ざっくり批評してあげるわ。
他人に話すことではない。
なんか本当に元気ないわね。いつもみたいにクールな感じで歯に衣させぬ物言いしなさいな!!
お前らは相変わらず騒がしいな。
そうよそうよ、そういう感じ!なんか、アシュレイって感じがするわ!
お前たちを満足させるために話しているわけではない。
じゃあ、どうして飛行島に来たのよ?キャトラさんに会いに来たんでしょ?
そうだな……なにか答えを得られるかと思い、ここに来たのは事実だ。
なるへそ。要するに、なんか迷ってるのね!で、どんな悩みなの?
……言う気はない。俺個人の問題だ。
言いたくないってんなら無理に聞かないでおくわ。
でも、なんとなくアドバイスをあげるわ!
聞くだけ聞こう。
結局、悩んでる時の答えってのは自分のなかにあるものなのよ!
己のなかに答えがあるなら、わざわざここには来ない。
あるわよ!結局、まだきちんと考えてないってだけね。
アンタ、山が好きなんだし、山ごもりでもしてみたら?
………山寵りか。
一人でキャンプでもしたら、いろいろ気分も晴れるはずよ!
……晴れる必要はない。
アシュレイさん、大丈夫かな?少し心配だね。
思い出
<アシュレイは一人、辺境の島へとやってきた。>
(小さな島に小さな集落。貧しい島だ……余計な雑音は遠ざけられる……)
<洞窟で風雨をしのぎ、狩りをしながらアシュレイは山龍りを続けた。
気づけば、十日経っていた。>
(時が経つのは早いな……
花鳥風月に囲まれていると、命を感じる。虫の音に星の光、通り過ぎる夜風に、木々のにおい。
どうして俺は、まだ生きている?大義の下、俺は自らの意思で多くの命を奪ってきた。
だが、奴らとて、一人でこの世に生じたわけではない。親がいて、家族がいたはずだ。愛する者だっていただろう。
俺はその縁を命ごと断ってきた。人殺しの大罪人だ。自死すら生ぬるい。
許しは乞わん。その資格はない。贖罪しされる罪ではない。だが、生きている。俺は今も生きてしまっている……
あの時、教皇殺しの罪をかぶり罰せられたら楽だった……
なぜ生きている?俺はどうして生きているのだ?多くの罪を重ね、なぜ許されてしまったのだ?)
誰だ?
騎士様……ここにいらしたのですね。はぁ、よかった。さがしましたよ。
………なんの用だ?
騎士様が山にこもったと聞いたのでお手伝いしに参りました。
不要だ。お前はお前の道を行け。
お言葉ですが、騎士様はおっしゃいました。私の騎士だと。
……俺はお前の騎士として罪を背負おうと思った。だが、許された。まるで生きて罰を受けろと言うようにな。
騎士様の罪を私は……
俺は死ぬまで己の罪と向き合い続ける。それが俺に唯一残された贖罪の道だ。
朝になったら帰れ、ルウシェ。麓の村まで送ろう。
ですが……
頼む。
…………
わかり、ました……
思い出3
<その後、アシュレイは数ヶ月ほど山に寵り続けた。
殺してきた者たちの顔を思い出し、木彫りの像を作り続けた。>
すまない。
<新しい像を作っては謝罪する。その度に罪悪感で胸が引き裂かれる痛みに襲われる。
何度か首をくくって死のうかと思った。
これで楽になれると思った瞬間、罪悪感に襲われた。>
死んで楽になる自由など……俺にはない……
<ルウシェはアシュレイのもとを訪れたが、アシュレイは相手にしなかった。
ただひたすらに殺めた者たちの木像を作っていく。
許しを乞いながらも許されることはないと理解していた。
この絶望こそが罰なのだと、受け入れた。>
こらあああああああ!!
!
山にこもれとは言ったけど仙人みたいになれとは言ってないわよ!
ルウシェさんも心配してます。アシュレイさん、一度、山を下りましょう。
俺は多くの命を殺めてきた。その俺が人の間で、生きていく資格はない。
…………
二度と俺の前に現れるな。時間の無駄だ。
納得するわけないでしょーがーー!
ルウシェのことを考えなさいよ!最近は来たって会ってもあげないらしいじゃないの!
死人のような男がいたところであいつのためにはならん。
そんなのアンタが決めることじゃないでしょーが!
そうだな。俺への罰は俺が殺した者たちが決めるべきことだ。
…………
だが、既にいない者たちだ。ならば、俺だけは忘れるわけにはいくまい。
他に方法だってあるわよ!
無い。
これは根深いわね……
思い出4
<――ある日、夜が明るかった。>
村が燃えてる……?ルウシェ……
山賊だあああああ!!
なんだ、てめぇ!邪魔すんじゃねぇ!!
ぐぁっ!
腕の骨を折っただけだ。次は首を折る。立ち去れ。追いはしない。
ひいいっ!
騎士様!
………無事か?
はい!
村人を守るぞ。
まっかせなさい!
思い出5
なんとか山賊を追っ払えたわね。
怪我をされた方はこちらに来てください!治療しますので。
ちょっとー!どこ行くつもりよ!アンタ、これ見てなんとも思わないの!?
思わないわけがない……
この村の者たちがなにをした?日々、必死に生きているだけだ。
その者たちが虐げられる状況に怒りを感じないとでも思うか?
だったら!
山賊を殺せばいい。ならば、もう、この村が、襲われることはない。
そうすべきなのだろう。罪には罰を与えるべきだ。理解している。
だが、俺はまた命を奪わなければならない。
それが嫌なら放置するのか?その場合、この村の者たちがいずれ殺されるかもしれん。
…………
正義を成すならば、山賊を滅ぼすべきなのだろうな。
自分の手を汚したくなければ、他の者に任せてもいいだろう。
俺が国に嘆願すれば軍や警邏(けいら)の者が代わりに動くはずだ。
だが、それは俺が直接手を下していないというだけで、結果は同じだ。
教えてくれ。いったい、何人悪党を斬れば、俺はもう剣を持たないですむ?
十人か?百人か?千人か?いや、それ以上でもかまわん。罪人がいなくなるのなら、いくらでも斬ろう。
…………
だが、そんなことはありえん。
どれだけ殺そうとも悪党は消えん。
俺はなにも学ぶことなく、ただ正義という言葉の下断罪を続けるだけだ。
それとも、その道が俺への罰か?そうであるなら、俺は……
思い出6
この光……だが、それで答えは……
騎士様、めっ!ですよ。
<ルウシェはアシュレイの胸をコツンとたたく。>
ルウシェ、なにをする?
騎士様のおっしゃってることは正しいと思います。でも、まちがってます。
騎士様が剣を持つ前にできることがあるはずです。
騎士様は私を連れて世界を見せてくれた時に、教えてくれたじゃないですか。
なにを言っている?
どの島に行っても、必ず誰かが助けてくれました。仲良くなってくれました。私たちには、その力があります。
剣を持つ前に相手の手を握ることだって、私たちにはできるはずです。
そういうふうに世界はできてると思うんです。
でなければ、私はあの時、騎士様に斬られていたと思います。
そうだな。俺はお前を勝手に悪と決めつけ殺そうとした……
!そうか……大事なのは原因か……
ちょっと、どこ行くのよ!?
罪を断ち斬ってくる。
…………
……
きゃああっ!
のわっ!!
貴様が頭目だな?なぜ、村を襲う?
しかたがねえだろ!俺たちの村は冷害で食い物がねーんだ!
死ぬくらいなら奪うしかね一だろーが!!
この島の外に出稼ぎに行くという。選択もあったはずだ。
そんな金ねーよ!外に出られるほど、俺たちの村は……
ごはっ!!
今日から俺がお前たちの頭目だ。文句がある者は相手になる。
誰も文句なんかね一よ!
命だけは勘弁してくれ!
仕事がほしい者。食べる物がない者を集めろ。まとめて面倒を見る。
!!
…………
……
よくやったわね、アシュレイ!
はい、さすがは騎士様です!
俺はなにもしていない。
なに言ってんのよ~!仕事がない山賊たちに他の島の仕事を斡旋したんでしょ?
村は襲われずにすんで山賊たちも悪いことしないですむんだから本当によかったじゃない!
ツテを頼っただけだ。人手が足りない場所は、どこにでもある。
それで、もう山にこもったりしないの?
……俺の罪が消えたわけではない。だが、今回の一件で贈罪の道が見つかった気がする。
罪が生まれる構造が問題だ。俺はその構造を悪とみなし、断ち斬るべきだと思った。
うん!素敵な考えだと思うわ!
ルウシェ、俺はもう二度と人を殺めはしない。それをお前に誓う。
はい。
それだけだ。
はい!
覚醒絵・覚醒画像
贖罪の騎士 アシュレイ・ディナ
その他