【黒ウィズ】ギルドマスター・セレモニーズ Story1
story
急遽バロンに呼び出された君は、ウィズとー緒に魔道士ギルドの中央本部で、彼を待っていた。
ー体バロンは何の用にゃ?私は早く帰りたいにゃ。
まあ、そう言わずに……と君がウィズをなだめていると……
b待たせたな。
にゃにゃ!?
えっ!バロン!?その格好は一体……。
b何を驚いている?これから式典に参加するのだから、普段着ではおかしいだろう。
式典?式典って、何の……?
bむ、説明していなかったか?簡単に言うとだな……。
魔道士ギルドヘ新たに加わった者たちをギルドのー員として迎え入れる式典だ。
お前の時は、色々あって先送りとなってしまったからな。あらためて私が手配しておいたのだ。
そんなことは初耳だ……君は、足元のウィズに視線を送る。
(にゃはは……すっかり忘れてたにゃ。ごめんにゃ)
bさあ、行くぞ。そろそろ開会の時間だ。
***
新人魔道士たちが集う講堂で、バロンが魔道士としての心構えなどを説いている。
bであるからして、魔道士たるもの初心を忘れず、日々、奮励努力することが肝要であり……。
……こんな状況が、かれこれー時間以上続いていた。君もウィズも、さすがに疲れ始めていた。
……にゃにゃー!もう限界にゃ!逃げるにゃ!今すぐ!
そもそもキミはもう新人じゃないだから、今更バロンの話なんて聞く必要ないにゃ!
まったくそのとおりだ、と君は思った。バロンには悪いが、ここは退散させてもらうとしよう。
……あ、そういえば、式典では美味しいものがいっぱい用意されていたはずにゃ。
にゃは、それだけ頂いてトンズラしちゃうにゃ!
君は周りに気付かれないように、こっそりと講堂を抜け出した……。
だが、しかし――
bどこへ行こうというのだ。
ぎにゃあ!?
な!いつの間に回りこまれた……?
bまったく、いつの時代も、お前のような不真面目な輩が後を絶たん。嘆かわしいことだな。
いや、だからいつ回り込んだの!?
bふん、お前は師匠に似ているきらいがあるからな。お前のとる行動など、十分に予測できた。
……君はすがるように、ウィズを見た。
にゃ、にゃ~……。
bさて……覚悟はできているだろうな。
するとバロンは、君に剣を向けた!
b何事も慣れた頃がー番危ういからな。今ここで私が、初心を思い出させてやろう。
安心しろ。これは儀礼用の模造刀だ。死にはせん。……当たると結構痛いがな。
ちょ!待って!落ち着いて!
b喝ッ!!!!
***
BOSS:バロン
***
バロンの教育的指導の後、講堂に連れ戻された君は、彼と共に挨拶回りなどをさせられ……。
気づけば夕方になり、ようやく式典は閉会となった。
や、やっと終わったにゃ……これで帰れるにゃ。
疲労と空腹でヘトヘトになった君は、すぐに帰路へ着こうとするが……。
――ガシッ!
bどこへ行こうというのだ。
背後から力強く肩を掴まれる。……またしてもバロンに捕まってしまった。
bそう身構えるな。お前にとっても悪くない話だ。
そ、それはー体……。
なに、今度は堅苦しいのは抜きにして、無礼講といこうじゃないか、ということだ。
えーっと、つまり……?
bむう、察しの悪い奴だな。こういう時は、二次会に行くものだと相場が決まっているだろう。
二次会……!バロンと……二次会!?
bふっ、この際だ。お前には「正しい魔道士像」というものを改めてーから教えてやろう。
いや、あの、遠慮しま……。
――グァシッ!
バロンは君の腕を掴み、問答無用で歩き出す。
bよし、まずは小手調べのー軒目だ。朝まで大いに語り合おうじゃないか。
朝まで!?た、助けて、ウィズ……!
(……がんばってにゃ~。私は先に帰ってるにゃ)
……敬愛する師匠は、その場からそそくさと退散した。
bさあ、行くぞ。お楽しみはこれからだ。
君はバロンに連れ去られ、朝まで説教やら武勇伝やらを聞かされたのだった……。
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全く……アレクも急すぎるにゃ。こういうことは、前もって言ってほしかったにゃ。
そうだね、と君は頷く。
「魔道士ギルドの式典があるから、ぜひ参加してほしい」と言われたのは、昨日のことだった。
ウィズに式典の内容は聞いたものの、君はまだしっかりと理解できていない。
ギルドに入った新人魔道士たちのための式典らしいが、参加する必要性は感じられなかった。
予定がなかったからいいものの、遠くにいたらどうしてたつもりにゃ?
ウィズをなだめながら、君は周囲を見回した。
ギルドの式典というだけあって、人が多く、何より華やかな印象を受ける。
ところで肝心のアレクはどこにいるにゃ?
君は首を傾げた。これだけ人がいたら、探すのもー苦労だ。
こういうことは、ちゃんと抗議するべきにゃ。私たちも暇じゃないにゃ。
あっ!ふたりともちょうどいいところに!
声のするほうに目を向けると、アレクが立っていた。
その服は何にゃ?
大切なギルドの式典だからね。僕も正装ぐらいするさ。
――ってそうじゃなくて!君たちに頼みがあるんだ!
……嫌な予感がするにゃ。断るにゃ。
ウィズが君の足元で呟く。
しかし君は、珍しく切羽詰った表情のアレクを無視することはできなかった。
君なら助けてくれると思ったよ……ちょっと今、人に追われてて、匿ってくれないかな。
何か悪いことでもしでかしたのかにゃ?
それなら諦めもつくから話が早い。けど違うんだ。魔道士の子に追われてて……。
何もやましいことがないなら、逃げなくてもいいにゃ。
相手がひとりなら僕だって逃げないよ。でもその……。
アレクが言い終わるや否や、地鳴りのような音が響き渡った。
にゃ!?あれは何にゃ!?
――人の群れだ。君はそう呟く。
あろうことかそれは自分たちめがけて、ー直線に向かってくる。
話はあとでするから。今は逃げよう!
***
ふぅなんとか逃げられたみたいだね。
人混みに紛れてしまえば、離れるのは容易だった。
走ったせいでさすがに疲労感はあったが、追いつかれることはないだろう。
それで、どうして追われていたにゃ?
それがわかるならそもそも逃げてないよ。僕はね、わけもわからず追いかけられてたんだ。
そういえば女性魔道士ばかりだった、と君は気づいたことを口にした。
はぁ……呆れたにゃ。そういうことかにゃ。
どういうことなのか、君はウィズに問いかける。
要するにさっきの魔道士の子たちは、みんなアレクのファンってことにゃ。
アレク目当てで魔道士ギルドに入った女の子たちもいるってことになるにゃ。
そんなことのために走り回されたのかと思い、君はため息をついた。
ふたりにとっては馬鹿なことかもしれないけどさ。僕にとっては、ー大事だったんだ……。
アレクもー応、ギルドマスターならこういうことはちゃんと断っておくべきにゃ。
確かにこんなことが続いたら、ギルドマスターの仕事どころではない。
向こうまでついていくから、自分の口からはっきり言うにゃ!
わわっ、ちょっと待ってよ!僕が出て行っても、その……。
煮え切らない態度のアレクを前に、ウィズが呆れたように首を振る。
しょうがないにゃ。キミに手伝ってもらうことにするにゃ。
アレクをみんなの前で打ち負かして、女の子たちの評判を落とせば解決にゃ。
僕が君と戦うってことかい?
君はアレクとウィズを交互に見やる。あまりいい予感はしない。
弱いギルドマスターだってことがわかれば、ファンも近寄ってこないにゃ。
A僕が負ければ、追われることもなくなって、自分の時間ができるんだね。
どうにゃ?キミも手伝ってくれるかにゃ?
そういうことなら……と君は頷く。
いつまでもアレクが追われるのは、さすがに可哀想だ。
ありがとう!それじゃあ、早速――。
***
BOSS:アレク
***
参ったかにゃ!
鼻を鳴らし、なぜか誇らしげなウィズを見て、君は苦笑した。
あいたたた……。
情けない姿を見せてしまえば、アレクに群がる人も少なくなるはず。
アレクの演技は大げさでわざとらしかったが、これならうまくいくかもしれない。
キミももう少しそれっぽく振る舞うにゃ。
小声でそう言われ、君は困惑しながらも胸を張る。
気づけば人だかりができていて、中には先ほど追いかけてきた女性魔道士たちもいた。
うぅ……ま、参ったよ。僕の負けだ。ー介の魔道士に負かされたギルドマスター。
アレクは尻もちをついたまま、君を見上げている。
ほら、何か言うにゃ。ここが肝心にゃ。
それじゃあ、まるで悪役だよ……と君は呟く。
き、君は強いなぁ……。
アレクがそう口にした途端に、女性の声が響き渡る。
アレク様になんてことするの!
アレク様をいじめないで!
きゃーっ!アレク様かっこいい!
……これはどういうことにゃ。
自分にはわからない……そう言って君はウィズを見た。
さっきより過熱しているような気がするんだけど、これは僕の気のせいかな?
呆然としてないで、逃げるにゃ!作戦失敗にゃ!
あっ、ちょっと――。
じゃあ、アレク。私たちは離脱するにゃ。あとは任せたにゃ!
君も大きく頷いた。
アレクには申し訳ないが、長居するのは危険すぎる。
そんな!
悪い意味で追われる前に、行くにゃ。
ウィズとともにアレクから離れ、再び人混みに溶け込んだ。
君は逃げる最中、次があるなら作戦は自分が考えよう……そう思うのだった。
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ギルドより、新人魔道士を迎え入れる式典に招待された君は、中央本部へと来ていた。
ギルドに入った新人、それを歓迎する先輩たちなど、多くの人々が式典に参加していた。
にゃはは、あの新人たちを見ていると、出会った頃のキミを思い出すにゃ。
ウィズと雑談しながら、会場を散策していると……。
にゃ?あの柱の影にいるのは――。
うう……。
そこには、人目を避けるように隠れるロレッタの姿が……。
……なんか気になるにゃ。キミ、ちょっと声をかけてみるにゃ。
君は頷くと、ロレッタに近づき、挨拶をする。
あ……あなた、だった……のね。し、知らない人だったら……どうしようか……と……。
なにやら怯えた様子のロレッタに、君はなぜ隠れているのか聞いてみた。
その……私……こういう……人が多い場所は……慣れてなくて……。
でも……私は……ギルドマスター……だから……式典に参加……しないと……。
うう……でもやっぱり……人前は……。
相反する思いに板挟みになり、頭を抱えるロレッタ。
……なんだか可哀そうになってきたにゃ。ちょっと手助けしてあげたらどうかにゃ?
そうだね、と頷き、君はロレッタに、自分とー緒に式典を見て回ろうと提案する。
……ありがとう……知ってる人とー緒なら……安心……かも……。
まかせておいて、と君は言って、柱の陰から□レッタを連れだそうとするが……。
……うう。
しかしロレッタは、会場にひしめく人の群れを前にして、激しく動揺する。
や、やっぱり私……人混みは……。
(……これは前途多難にゃ)
君は、ロレッタの手を引き、彼女と共に会場内を歩きはじめた。
***
うう……うう……。
礼服に身を包んだギルドマスターの姿に、人々の注目は否が応でも集まる。
その視線に必死に堪えようとしたロレッタであったが……。
も……もう……だめ……!
ロレッタは、君から手を離すと、ー目散にその場から逃げ出した!
にゃにゃ!?ー体どうしたにゃ?
君は慌ててロレッタを追いかけ、かろうじて引き止める。
や……やっぱり私……無理……!ラ、ラリドンに……帰り……ます!
顔を赤くし、まくしたてるロレッタ。
とりあえず落ち着いて、と君は彼女をなだめようとするが……。
あうあうあうあう……。
ロレッタは混乱のあまり目を回し、完全に理性を失っていた……!
にゃにゃ!?ま、まずいにゃ、このままじゃ魔力が暴走して……!
しかたがない……!君はやむを得ず、実力行使に出た!
***
BOSS:ロレッタ
***
ご……ごめんなさい……私……取り乱し……て……。
嫌なら無理しなくても、と君はロレッタを気遣うが、彼女は静かに首を振った。
ううん……そういうわけにも……いかないから……。
私は……ギルドマスターだし……それに……。
いつかラリドンを訪れる……新人のみなさん……どんな人たちか……見たかったから……。
ギルドマスターとして……森の巫女として……力になって……あげたいって……思うから……。
遠目から会場に集う人々を見つめながら、ロレッタは言葉を紡ぐ。
そんなロレッタに、君は再度協力を申し出る。
……ありがとう……あなたには……迷惑かけて……ばかり……。
気にしないで、と君はロレッタに言った。
そして、再び彼女の手を引いて、人がひしめく会場へと戻る。
あう……あうあう……。
ロレッタが緊張のあまり、君の手をすごい力で握り返す……!
あ……ご、ごめんなさい……。
き、気にしないで、と君はロレッタに言うとの手を優しく握り返してあげた。
ありがとう……少し……落ち着いたみたい。
その……こうしてると……あまり緊張しないから……できればその……。
式典が……終わるまで……こうしてて……もらえると……嬉しい……かも……。
(……まったく、やれやれにゃ)
君は、式典が終わるまでロレッタに付き添ってあげたのだった――。
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いつまで立ち止まってるにゃ?
君はウィズの声で我に返り、大きく頭を振った。
現実とは思えない不思議な空間に、ついぼーっとしてしまっていた。
ははっ、驚いたかい?ここはね、普通の魔道士では立ち入ることができない場所なんだ。
今日は、ウィズがルシエに無理を言って、ギルドの式典に連れてきてもらったのだ。
ー体どういう心境の変化なのか、と当初は疑問に思ったが……。
式典で出される料理は、どれも絶品の超高級料理ばかりにゃ。
こんなときしか絶対に食べられないにゃ。今日はー生分食べるつもりでかかるにゃ!
……その理由に、君は大いに納得したのだった。
ご馳走はどこにゃ?ご馳走はどこにゃー?
ウィズは相変わらずだね……。仮にも四聖賢のひとりなんだから……。
いまの私はご飯を食べに来た、ただの猫にゃ。
あまり目立つのはよくないからね、と君は付け加える。
元々招かれて来たわけではないため、ルシエの傍にいなければ不審に思われてしまう。
今日のために朝食はとらないで来たにゃ。
全く……君は、今日の式典がいったいどんなものなのか理解してるのかい?
だいたいわかってるにゃ。堅苦しい話よりもまずはご馳走にゃ。
ウィズの答えに、君は苦笑を禁じ得ない。
……それにしても、ここに来ると思い出すことが多い。
思い出すこと?何の話にゃ?
それは後で話すよ。さ、行こう。
***
それでさっきの話って何にゃ?
うん、あれはいつだったか……ウィズが初めて式典に参加したときのことさ。
新人だったウィズは、あろうことかここに忍び込んで、さる高名な大賢者様と出くわしたんだ。
にゃにゃ!?その話は……っ!
師匠のこと、君は気にならないかい?
君はウィズが口を挟む前に、二度、三度と頷いた。
今は式典や美味しそうな料理よりも、ウィズの昔話のほうが気になった。
ウィズには悪いけど、君のお弟子さんがそう言うなら話さないわけにはいかないね。
やめるにゃ!あれは消し去りたい過去にゃ!
偉大な先達を前にしていたにもかかわらず、今日のように料理に目を奪われてしまってさ。
そ、そんなことないにゃ!ちゃんと気づいていたにゃ!
それでね、この先がもっと面白いんだけど、あろうことかウィズは……。
にゃっ!?それ以上は言わせないにゃ!
そう言ったウィズが、ルシエに飛びかかっていった。
おっと……ウィズ、いきなり危ないじゃないか。
その口を閉じるまで、私は戦うにゃ!
キミもー緒に戦うにゃ!これは師匠命令にゃ!
そこまでしなくても……と君はウィズをなだめる。
ふむ……それも面白そうだね。
えっ!?君はルシェの言葉に耳を疑った。
君とは前から手合わせしたかったし、これは良い機会かもしれない。
少しだけ相手になってあげるよ。もちろん、式典の場を乱さない程度にだけどね。
やる気満々のウィズ、そしてまさかのルシェ。
……君は観念し、懐からカードを取り出した!
***
BOSS:ルシェ
***
勝負がついてもなお、ウィズはルシエに飛びかがろうとするので、君は慌ててウィズを抱きかかえ.、る。
あれは絶対に知られたくないにゃ!秘密にゃ!
喚きながら暴れ続けるウィズを見て、ルシエは肩をすくめた。
わかったよ、この話はおしまいにするよ。これでいいかな?
まったく、乙女の過去を暴露しようとするなんて、ありえないにゃ!
まあまあ、となだめながら、君たちは料理のある場所へと移動していく。
にゃにゃ!いいにおいがするにゃ……待ちに待ったご馳走にゃ!
君は、ウィズのために料理を取り分けてあげた。
にゃは!いただきま~す、にゃ!
ふぅ、どうやら機嫌を直してくれたみたいだね。
ルシエと君は、ほっと息をつく。
今日は楽しんでもらえたかい?
君は、もちろんと答える。
はは、喜んでもらえて良かったよ。僕も連れてきた甲斐があった。
っと、僕たちも料理を頂こうか。このままじゃウィズに全部食べられてしまうよ。
そうだね、と君は苦笑する。
君は、ルシェとウィズと共に、楽しいひとときを満喫したのだった。
story
「お前に伝えたい事がある。ギルドの式典にぜひ参加して欲しい。
色々あって中央には顔を出しにくいとは思うが、名前と顔を隠せば問題は無いだろう。
ちなみに、そのための変装用の衣装はこちらで用意しておいた。送った服を着て来るといい。
それではな。」
という手紙を受け取り、君は渋々送られてきた衣装を着て式典へとやってきた。
……その服、とんでもなくダサいにゃ。
君を見て、ウィズは舌を出しながらそう言う。
それもそのはず、なんだかこう……仮面も服もギンギンに金色の輝きを放っているのだ。
輪をかけてひどいのが、やたらと体のラインを強調し、肉体美を追求したデザインになっていること。
これなら確かに普段のキミだとわからないけれど……キミは本当にそれでいいのかにゃ?
いいわけがない、と君は苦々しく言い放つ。叶うならばこんな服は着たくはない。
とはいえ中央に気取られるよりはマシだろうという判断だった。
で、手紙に書いてあった部屋はこの先かにゃ?
そうみたい、と君は言い、改めて手紙に視線を落とす。
どうやらドゥーガは「修練室」という場所で待っているらしい。
……な、なるべく早くそこに行くにゃ。キミ、やたらと注目されてるにゃ……。
ハッと気付いて周囲を見ると、ギンギラギンの君を新人魔道士たちが怪厨な表情で見つめている。
恥ずかしいやら悔しいやら、君はそそくさと修練室へと足を進める。
手紙の端には、ドゥーガ自身であろうと思われるヘタクソな似顔絵が……。
親指を立てて君へ笑いかけていた。
***
足早に廊下を進み、修練室へとたどり着いた君たちは――。
眼前に広がる異様な光景に息を呑んだ。
これは……!?
足下に転がっているのは、恐らく新人魔道士と思われる人々。
彼らは何故か満身創痍の様子で、床に突っ伏している……!
よく来たな、歓迎するぞ!!
その声に顔をあげると、そこには礼服に身を包んだドゥーガの姿が。
さあ、始めようではないか!新人魔道士たちへの「指導」は終わったぞ!
さあ、さあさあ!!
彼はそう言い、両手を広げ、魔力を込めた拳を握りこむ!
手紙には伝えたいことがある、と書いてあったじゃないか!と君は思わず後ずさる。
だが、ドゥーガはそんなことお構いなしに、君へとー歩ー歩近づいて来た!
そう、お前に伝えたいのは情熱、そして情熱!戦うための情熱だ!
新人魔道士たちへはこの拳で充分に伝えたぞ最後の仕上げは貴様だ!!
どうやらドゥーガは今気分が盛り上がっているようで、聞く耳を持たない!
さあ!!覚悟しろ!!
金ピカ対金ピカの戦いが、今、始まる!
***
BOSS:ドゥーガ
***
うおおおおおお!!
ドゥーガ渾身の右ストレートに、君も最後の力を振り絞り腕を突き出す!
ぐっは!
ドゥーガの拳は君のアゴをとらえ、同時に君の拳もドゥーガのアゴをとらえた!
そして……君とドゥーガは大の字になり、床に突っ伏す。
周囲から上がる歓声。新人魔道士たちは金ピカ同士のバトルに沸いていた。
お前も……強く……なったのだな……!
ゼエゼエと肩で息をしながら、立ち上がったドゥーガは君に向かって手を差し伸べる。
その手を掴み、立ち上がる金ピカこと君。
もうー度湧き上がる新人魔道士たち。そこには汗臭いが美しい友情の形があった。
ギルドマスターとか新人とか、階級の上下なんて関係ない。拳で語り合えば、きっと皆分かり合える。
そんな何だかよくわからないー体感がそこにはあった。
拳と筋肉があれば世界はひとつ。金ピカに彩られた腕で、君はガッシとドゥーガと握手をした。
そう、それだ……!!情熱だ……!
胸が熱い。泣きそうになりながら、君はうなずく。強く、強く!
そう、情熱だ。情熱があれば、きっとこの先も冒険を続けられるだろう!
今日というこの日、君と新人魔道士たちは、ドゥーガから大切なことを学び取ることが出来たのだ。
……いや、魔法使えにゃ。