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【白猫】プリティフレンズ Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

目次


Story1 カニカマの結ぶ出会い

Story2 戦いと哀しみと白い猫

Story3 追いかけて、追いかけられた

Story4 こねこの事情

Story5 おとめプライド

最終話 喧嘩するほど





「さいかわ猫決定戦2016」



優勝 すず





story



<降り注ぐ太陽の光と、寄せては返す潮騒の音の中、大勢の人たちが働いていた。>

……撮影って、こんなにたくさんの人が関わるのね……

アタシもちょっとナメてたわ……

でも今回の仕事はモデルなんだし、準備は任せておきましょ。

そうね。キャトラは段取り覚えてきた?

新商品の<力二カマ>を美味しそうに食べたらいいんでしょ。

まかせて!イメージトレーニングは、バッチリよ!


???

へ~、イメトレしてきたんだ。良い心がけじゃない。

wすずさん、はいられましたー!

おはようございます。

wおはようございます!

えっと……誰?

今日いっしょに撮影をする、すずさんよ。

あ……思い出したわ!ごめんね、今日はよろしく♪

ええ、よろしく。でも――

共演者の名前も覚えてないとか、真面目に仕事する気がないなら、帰ってもらっていいから。

え……

それじゃ!

怒らせちゃったみたいね……

たしかにアタシも失礼だったけど、あの態度はないでしょ!

でも報酬のことしか頭になかった、キャトラもちゃんと反省しないとね。

w撮影はじめまーす!準備してください。

ほら、出番よキャトラ。笑顔で、ね?

はーい!

……フン!

かっちーん!アンタねぇ――

ちょ、ちょっと、なによあんた?私のお仕事を邪魔する気!

違います!魔物です!

魔物っ?!

なんでこんなタイミングで出てきてんのよ?!

……たぶん、この香りだわ。

香りって……この新商品の力二カマ?

それってつまり……アイツら、アタシの力二カマを狙ってんのね!

……あんたのじゃないでしょ……!

許せないわ!いくのよ、主人公!

アイツらー匹のこらず、やっつけるのよ!



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すごい……っ!?きゃっ!!

<魔物の攻撃からすずを庇いつつ、主人公は魔物を切り伏せた。>

これで全部片付いたわね!

あの……大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?

だ、大丈夫よ!だけどその……えっと……あ、あ、あ……

あ、あんたたち、なかなかやるわね。強いじゃない。

ふふーん♪あの程度ならアタシたちの敵じゃないのよ!

それより早く、撮影よ!力二カマがアタシを待ってるわ!

w……すみません。撮影は中止です……

え……な、なんでよ!?

w実は……機材と商品が……

<スタッフの視線を追うと、メチャメチャになった機材と商品があった。>

wこれじゃ撮影は無理だ。悪いが今回の仕事はキャンセルさせてくれ……

そ……そんな……じゃあ、アタシの力二カマは……?

w悪いな。

そんなあああああ――ッ!!?

ちょ、ちょっと、そんな大げさな……

アタシの……アタシの力二カマがあああ!

ねえ、聞いてる?ねえってば!

キャトラ……元気出して?

でも、アタシの……アタシの力二カマが……

ちょっと、私の話を聞きなさいよ!こらぁー!

……これじゃ、仕方ないわよ……今回はあきらめましょ。ね?

なんで無視するの!無視しないでよ!

……うん……

ちょっと待ってよー!もー、ばかー!!




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ねえ、ねえったら、待ちなさいよ!

あ……?あれ?アンタ、撮影の時の……なんでここにいるのよ?

あんたたちが私の話を聞いてくれないからでしょ!

だいたい、なんでさっさと帰るのよ!

だって力二カマも無いのに、いてもしょーがないでしょ。

それは、そうかもしれないけど……

文句とか聞くつもりはないわよ?

そ、そんなんじゃないわよ!

なら、なんなのよ?

え、えっと、えっとね。その――

さ、さっき魔物が出てきたから、あんたたち仕事がキャンセルになったでしょ。

……ええ。そうですけど……

それがアンタになんか、関係あるの?

か、関係はないけど、あんたたちは悪くないじゃない。

ま、魔物だって追い払ってくれたし……それに……

なによ?

わ……私は頼んでないけど、いちおう助けられたでしょ。

だ、だから、その……お礼っていうか……

ほうほう。なるほど。つまりアレね。

アンタはお礼を言いに来たのね。なんだ思ったよりイイ子じゃない。

い、イイ子ってなによ!子供じゃないんだからね!

はいはい。それじゃ早く、お礼の言葉聞かせなさいよ。ほらほらあ♪

うぐぐ……

wねぇねぇ……あそこにいるのって……

wえ……あっ?!ちょ、本物!?まぢで!?

‥……なんだろう。すごく注目されてるみたい……

もしかしてアタシの可愛さに、みんなメロメロになっちゃった?

どちらかというと、注目されてるの、すずさんみたいだけど……

え?あっ!?

……あの、すずさん……?

ちょ!?こんな街中で名前――ああもう!こっち!走って!

え、え?!

な、なによ、いきなりっ?引っ張らないでよー!!



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こ、ここまでくれば、もう大丈夫よね……?

はあはあ、な、なんなのよ。なんで逃げるのよ?

だって、あのままたったらファンに囲まれて、大騒ぎになっちゃうじゃない!

大げさじゃない?そんなの――

隠れて!

<すずに小さな路地へ押し込まれると、大勢の走る足音が近づいてきた。>

な、なにこれ?!地響き?!

しー!

 wあーん!見失っちゃったぁ!すずちゃーん!!

 wきっとまだこの辺にいるって!あっち探してみようぜ!?

<…………>

さっきの話……本当だったのね……

なにそれ!ホントに疑ってたわけ?

今はもう信じてるわよ。でも相手がファンなら、逃げなくてもいいんじゃ……?

ダメよ!騒ぎになったら、事務所に迷惑がかかっちゃうもん!

それに次のお仕事だって……あーっ!?

どうしたんですか?

次の現場……反対方向だった……

アンタ……結構なドジっ娘ね。

そ、そんなことないわよ!こんなのたまたまなんだから!

うんうん。そーねー。

あんた、信じてないでしょ!

だいたい時間だってまだあるし、急げば間に合うんだからね!?

でも、このままファンから逃げ回ってたら、遅刻するでしょ?

それは…………そんなのは……ダメよ……

ダメって言っても、仕方ないんじゃない?

それでもダメなの!

なにか理由があるんですか?

…………

私……今はモデルで人気も出て、ファンもたくさんできたけど……

元は……捨て猫だったの……

そんな私を拾ってくれたのが、おかあさん……事務所の社長なの。

私、おかあさんに、たくさん優しくしてもらったし、たくさん幸せにしてもらったわ……

だから私、おかあさんに絶対、心配や迷惑をかけたくないの!

……そうだったんですね……

オッケー!アンタの気持ちはわかったわ!アタシたちにまかせなさい!

任せろって……どういうこと?

アンタを見つからないように、次の仕事先まで送ってあげるのよ。

絶対、時間に間に合わせてみせますから、安心してください。

……あんたたち…………

ほら、そうと決まったら急ぐわよ!

――う、うん!




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……よし、ファンはいないわね。ほら、次の路地まで、ささっと移動するわよ!

う、うん……でもさ……

なによ?

こんなにコソコソしてたら……余計に目立たない?

ファンに気付かれなきゃ、それでオッケーなのよ。

それは……そうなんだけど……

しっかし、モデルって大変ねえ……アンタのファン、全然あきらめないし。

人気商売だから、熱心なファンがいてくれるのは嬉しいけどね……

人気商売……モデルのお仕事って、そういうものなんですか?

だから私は、いつだって魅力的でいないといけないのよ。

プロ意識ってやつね。ちょっと見直したわ。ただのエラそうな奴じゃないのね。

誰がエラそうなのよ!

だって最初に会った時、ものすごいイヤミ言われたし。

あ、あれは共演者の私を知らないっていうからよ!

イメトレしてきたって言ったから、真面目な子だって思ったのにさ。

キャトラがしてきたのは、美味しく食べるイメトレだけだったから……

こっちは久しぶりに誰かと一緒の撮影で楽しみにしてきたのに……

ん?アンタ、仕事はいつもひとりなの?

うっ!……そ、そうよ。私と共演してくれる子、すっごく少ないの!

そうなんですか?

アンタ、アレでしょ。共演者にも厳しいから、嫌がられてんでしょ?

な、なんでわかるの?!

ここまで話せば、なんとなくわかるわよ。アンタちょっと真面目すぎだし。

しょーがないでしょ、お仕事は大切だって、社長に言われたんだから!

……たしかにいつも真面目すぎで、つまらないって言われるけど……これが私なの!仕方ないでしょ!!

すずさん……

ま、機会があれば、またアタシが共演してあげるわよ。

ほ、ほんと?

アタシもやりかけでモヤモヤするしね。感謝しなさいよ♪

なっ!なんで感謝しなきゃいけないのよ!あんたこそ感謝しなさいよ!!

すずさん!

 wねえ?今こっちから声が聞こえなかった?

 wすずちゃーん!

いきなり大声なんか出すからよ!

だってしょーがないでしょ!

あっ……

急いで逃げるわよ!ダーッシュ!




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ついたわね。ココでいいんでしょ?

――ええ!時間も……間に合ったわ!

よかったですね♪

ええ!あっ、その……あんたたち……

あ、ありがと。ここまで送ってくれて……

へ~♪アンタ、ちゃんとお礼いえるんじゃない。

あ、あたり前でしょ!バカにしないで!

それじゃ、あとはしっかりやんなさい。

え……

ふふ。お仕事、応援してますね。頑張ってください、すずさん。

あっ、ま、待って!

なに?まだなんかあるの?

え、えっと……あっ!私の最初の用事が終わってないわ!

最初の用事……って、なんだっけ?

魔物退治して助けてくれたでしょ!私まだ、お礼してない!

ああ、そういう話だったっけ。

なんで忘れられるのよ……って、もういいわ。時間なくなっちゃうし。

なんか今さらになっちゃったけど……はい、これ。

<すずはずっと持っていた紙袋を、差し出した。>

これは……?

新商品の力二カマよ。あんたたち報酬無かったでしょ。

力二カマっ?!

私、サンプルでもらってたの。キャトラはこれが欲しかったんでしょ。

アンタ……アンタ、イイヤツね!

いいのよ……そ、それから……中に……お、お礼も入れてあるから……

ほうほう。どれどれ……これ、かつお節?

‥……私のお気に入りよ。力二カマより美味しいんだから!感謝して食べなさい♪

ありがと。でも……美味しいのは、力二カマの方に決まってんでしょ。

はあ?なに言ってるのよ。かつお節のが美味しいわよ!?

アンタこそなに言ってんのよ!力二カマのが美味しいわよ!?

かつお節だってば!

力二カマよ!

かつお節よ!

力二カマ!!

かつお節!!


大丈夫よ主人公。だってふたりとも楽しそうだし、それに――

喧嘩するほど仲が良いっていうでしょ♪

仲良しじゃないわよ!!




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