白猫温泉物語2 Story9
2018/00/00 |
目次
主な登場人物
消えた温泉
それで、これからどうするの……?
アオイの島から温泉が消えちゃったのよね……
ガッッデム!
ホメ様もご立腹や……
俺が施設を建て直してやるから安心しろって。
アンタというか大工がね。
であるからして、放っておいても勝手に施設が次々と建っていくのだが……
ガッッデム!
だからなんでキレてんだよ!
しかし、施設があっても温泉がなければ……
rだったら、お湯が出るまで地面を掘ってみるとか?
うーん、望み薄かもな。源泉そのものが枯れてもうたから……
せやけど、なんもせんよりマシや!可能性がある限り、ウチはあきらめへんで!
それでこそセオリやで!
ウチらも手伝うで!
では、私たちも……
いや、みなはんはホメ様のことを頼む。
どういうこと?
ホメ様はなにやら機嫌が悪い……また暴れられて<島の怒り>に触れたらかなわんからな。
それに、この有様や。お客さんらの信頼は今、地の底まで落ちとる。
ホメ様の力を借りんと、とても挽回できひん……
要は接待も兼ねろつ一つこったな。
sそういうことならまかせて。
アオイの島の危機をお救いいたします。
でだ、お二人さん。
お付きのものを外してはくれませんかね?
sフレイヤのこと? なんで?
これからやることを妨害されそうなんでな。
まあ、フレイヤはそもそもみんなといたがらないと思うし……
よくわかりませんが、騎士様には上手く伝えておきますね。
ほな、温泉を掘りにいってくるで!
コマちゃ~~~ん!
姿が見えないと思ったら……
温泉が湧き出そうな地脈なんかは、空からのほうが見つけやすいと思ってな。
ま、ウチは専門家やないし、気休め程度やけどな。
頑張ってください。温泉が元に戻ることを祈っております。
さて、ホメ助を接待するための施設が建ったようだな。
皆の者、ついて参れ。
rな、なんか不安……
ガッデ~ム……!
接待
ご来場、誠にありがとうございます。どうぞ夢のひとときを。
ガッデ~ム……
どうか機嫌を直してください。
お茶でも飲みますか?
ノー!
s野菜でも食べる?
ノー!
rお菓子は?
ノー!
<不機嫌なホメ様を中心に女性陣が取り囲んでいる。>
s麻雀でもやる?
ぐぬぬぬぬ……
なっとらぁぁああん!!!
お前ら、ちょっとこっちに来い。
な、なんでしょう……
いいか。接客するときはまず、膝をさりげなく、相手にくっつけるんだよ!
s接客……? というかこれなに?
温泉がない以上、こういうサービスに頼るしかないのだよ。
とにかく、俺らはやるしかねえ! それと人数多いから二人一組な! まずはお前とお前!
……しょ、承知しました。
…………
sえっと、まずは膝をさりげなく……
アウチ!?
sあ、ごめん。膝が入っちゃった……
どうしてそうなるんだよ! 不器用か!
アウウ……オウウ……
大丈夫ですか?
<トワはホメ様の膝を優しくさすった。>
サ、サンキューね……
さりげないスキンシップ! それそれ! それが欲しかったのよ!
よし、この調子で次はお前とお前! サービスでボトルを入れておやりなさい!
ボトルとはこのお水のことですね? 急いでお運びいたします!
sそんなに焦らなくても……
きゃっ!?
ワオ!?
水ひっかけんなや!
し、失礼いたしました!
s顔がびしょ濡れね……ちょっと、じっとして。
<シエラはおしぼりで、ホメ様の頬を優しく拭いた。
s……はい、これで大丈夫。
…………
よし、畳み掛けるぞ! 最後にお前だ!
rえ? ひとり?
安心しろ。そのカメラでツーショット写真を撮ればいいだけだ。
rそれなら簡単そう。
…………
rとなり失礼しまーす。えっと……カメラを持たされたってことは……
そう、自撮りのツーショツトだ。つまり自然と体が密着する運びとなる!
rはい。たぶん、いいの撮れたよ。
…………
よくやった。この怒涛のスキンシップ攻撃で、ホメ助も有頂天に……
ノット・ワビサビー!!!
rひえっ!? 怒らせちゃった……?
ちっ……またのご来店をお待ちしております。
s帰してどうするのよ……
追いかけませんと。
story ここ掘れキャトラ
どうだった、空からの様子は?
いつの間にか施設がようさん建ってたわ。
じゃなくて地脈よ。温泉が湧き出そうなところは見つかった?
いや。やっぱこういうのは専門家じゃないとわからんわ。
うーん、だからって当てずっぽうで掘っても時間が……
なら、猫のカンよ。
え?
アイリスも知ってるでしょ。アタシのカンはよく当たる。
このキャトラさんが掘るところ、温泉だろうが大判小判だろうがジャンジャンバリバリよ!
さすがにそこまでは……
今は猫の手も借りたいところや! 頼むでキャトラ!
まかせんしゃい!
むっ!? 感じるわ! 硫黄の匂いよ!
ここほれ、ぎにゃー!!!
ぎにゃー! ぎにゃー! ぎにゃー!
で、出たわ! 卵の殻だったわー!!!
…………さて、真面目に探しまひょか。
待って! なんかあったかいのが……
<地面から大量のお湯が噴き出した。>
ほ、ほんまに掘り当ておった……
「おうおう、温泉がなくなったと思ったらこんなところに……
だれあのひと。唐突にやってくるなり温泉に入ったわ。
「――んだあこりゃ!? 自宅の風呂か!
肩こり腰痛、切り傷火傷、なんの効き目もありゃしねえ!
こんなもんただのお湯だ! これじゃ湯冷めしちまうぜ!
こ、これはどういうこと……
ハエヌキのアオイっ子にはわかるんや。あれは偽物の温泉やって……
せやから、なんとしても真の源泉を見つけなあかんのや!
「ヘーーっきし!!!
story ターザン
避けんなやーーーっ!!!
この高さから落ちましたね……
s……たぶん、大丈夫でしょ。
story 在庫
在庫処分
聖女さん、俺を救ってくれ!
グッズを買えばいいんですよね…………ごめんなさい。
畜生ォォォォッ!!!
story 一芸
逃げられたな。
お、追いかけよう!
story 油売り
協力して戦うぞ!
s唐突な展開ね。
じゃあ、あたしはトワの右を。
rわたしはトワの左を。
では、私はトワさんの後ろ?
なぜ私基準の陣形を……
story アルマッサージ
「え? なになに? エステ?」
「私もマッサージお願い!」
あ、いえ、これは……
ふむ。いい商売になりそうだな。
…………ノット・ワビサアァービィィッッ!!
違うんです! ホメ様! ホメ様~~……
また逃げられた……
s追いかけるわよ!
story スプリット
ノォーーーーーッ!!!!
sまた逃げた!?
追いかけましょう!
story 屋台の誘惑
とにかく追うぞ!
s走るわよ!
rベロベロダーッシュ!
story 馬の本懐
この流れは一体何なのですか。
story 不完全燃焼
ノット・バーニィィイイング!!!
ホメ様がまた逃走を!
sはあ……追いかけるわよ。
story カラオケあるある
では、私も外に……
…………バラードあるあるだな……
~~
さっきのはお前の仕業か。
ノット・ワビサビーーー!!!
待ちやがれええええっ!!!!
r戻ったよ~……って。
s壁、壊れてるんですけど!?
story 真っ白なゴエモン
ホメ助は!?
sあっち。
ぜってぇ、逃がさねえぞ……!
story 源泉再決戦
適当に掘ってたら見つかるもんも見つからへん。ちゅーこって原点回帰や。
<結局セオリたちは<源泉>のあった場所へと戻つてきた。
みんな、スコップの準備はええか?
う、うん。けど、こんなことしてまた<怒り>に触れないかな……
アオイの島に温泉を取り戻そうとしてるのよ。むしろ、いいことじゃない?
とにかく掘るで。まずは向こうから……
ノォー……
ホメ様!?
ここからは一歩もノット・パスね!
ホメ様、そこをどいてーや! ウチらは温泉を掘らんと……
ようやく追い詰めたぞホメ助!
みなはん!?
ガッデム……
さあ、観念しな。と言いたいところだが、ここは冷静にビジネスの話をしよう。
施設もほぼ復興できたことだし、さっさと温泉掘って、俺の偉業を本に書いてだな……
ノォーーーーッ!!!
だからなんでキレるんだよ!
トレンド、オシャレ、斬新さ……もちろんどれもインポータントね。
But 温泉へのリスペクトを忘れてはいませんか?
rそう言われると……
確かに途中から、温泉のことを忘れて楽しんでたわね……
私としたことが娯楽施設にうつつを……
ん? むしろよくね? 温泉に頼らずとも客を呼べるってことだろ?
いっそのことプールでも設置するか。水なら引っぱってこれるし。
温泉怪盗にあるまじき発言やな。
つーわけで、これからアオイの島は大型アミューズメントパークヘと生まれ変わるのだ!
なんでやねん!
『……然リ……
……湯ヘノ敬意、慈愛、産声、温モリ、破棄スル事、罷リナラン……
この声は……!
まさか源泉の化身が……
『……私利私欲二塗レ、湯ヲ冒涜スル俗物二報イヲ……
復活したようだな。しかも何故だか怒っている。
たぶん、あんたのせいや。
理由はどうあれ、戦うしかなさそうですね。
正直、あの見た目は苦手だけど、やるっきゃないか!
r光れば怖くない!
「シエラ、加勢に来ましたよ。
sフレイヤ! もう一度、私に力を!
ルウシェ! いくぞ!
はい! アラストル!
主人公! 私たちも!
俺はサックスを……
吹かせないわよ。
『……コノ世ノ垢二喫ヲ……
何度だって、いてこましたるでー!
s心をひとつに!
rベロベロ巫女ストル!
ベロベロ巫女ストル!
ベロベロ巫女ストル!
ひ、ひとつにはなっていますが……
なんだっていい。
このまま畳み掛けるで!
最終話 ワビサビ
とどめやー!
『……グオオォォォ……
なんとか倒せたみたいね。
『……湯ハ永久二不滅ナリ……
いや、ここいらの温泉なくなってるし。
『…………
<温泉の化身(?)は悔しそうに三度、地の底へと消えていった……
なんというか、くたびれ損よね。
体が汚れてしまいましたね……
Aルウシェ、怪我はないか?
うへ~、汗でベトベトする……お風呂入りたい。
s近くに川でもないかしら……
…………
おや? あそこに何か落ちてますね……
風呂桶みたいやな。
見て! 中に……
<風呂桶の中には一杯のお湯が入っていた。>
これって……<源泉>の残り湯?
んだよ、ケチケチしやかって。これっぽっちじゃ髪も洗えねえぞ。
……それは私たち次第です。
体を清めるだけなら、これでも十分というわけですね。
それがお風呂の本質ね。
なんでもいいから早く洗おうよ~。
sじゃあ、このお湯をみんなで分けましょう。
<各々が風呂桶に入ったお湯を両手ですくうと、体についた汚れを洗い流し始めた。
rほんのりあったかい……
綺麗になりました♪
みなさん、お湯は限られているので適度に……
あたし、今まで考えもなしにお湯を使ってたかも……
sこうなってみると、お湯のありがたみがわかるわね……
これぞ、ワビサビね。
お、お湯が光っとる……
<突として、風呂桶から次々とお湯が溢れ出し、枯れた大地に染み渡っていく。
気がつけばそこらじゅうに、良質な温泉が湧き、アオイの島は元の姿を取り戻した。>
これ一体……
みんなの、温泉へのラブが通じたね。
それだけで片づけていい出来事なのかしら……
何はともあれ、温泉も戻ったことだし、一件落着だな。
まだや……まだやることがある。
ゴエモンはん、ウチに力を貸してーな。
なぬ?
***
あー、仕事終わりの風呂は染みるぜえ。
ご苦労様ね。
まさかアオイの島の施設を全部、ホメ助か来る前の状態に戻すことになるとはな。
ったく、客が離れても知らねえぞ。
ノープロブレムね。みなさん、温泉をリスペクトしています……
その気持ちさえあれば、オールオッケーね。
お、ようやく褒める気になったか。
ミーの評価は必要ないね。今のアオイの島なら……
みなは~ん、湯加減はどうや~。
sいい感じよ。
桜が綺麗ですね。
四季折々の景色が堪能できる温泉……そこがアオイの島の魅力やで。
いや~、それにしてものぼせちゃったよ~。
rセツナもフルーツ牛乳飲む?
私もいただいてよろしいですか?
ぷは~……温泉の中で飲むフルーツ牛乳も乙なものですね。
sこれぞ、ワビサビ……なんちゃって♪
――それからというもの、温泉の大切さを学んだセオリは――
流行りや小細工などをかなぐり捨て、精一杯の真心で観光客をもてなし続けた。
その温かな気持ちは世界中に行き届き、不況の波もなんのその――
――アオイの島は今日も、湧き立つような活気で満ち溢れている。
めでたし、めでたし――
その他
相関図