【白猫】黒翼の宿命 Story
2015/03/27 |
目次
主な登場人物
story1 似合いの依頼
……あんたがレイヴンだな?
ああ。
金次第で、どんな依頼も引き受けるって噂は――本当か。
ふむ。そんな噂があるのか?
しらばっくれおって。……依頼料は、弾んでやる。あんたの腕、頼りにしているぞ。
***
依頼ねえ。それでどんな依頼を受けたの?
消せ――と。
消すって……アンタまさか――
相手は魔物――だ。
魔物、か……なんだ……脅かさないで。
……島が一つ、食い尽くされた……ということだ。
魔物に……?
そんな……ひどい……
誰もいない島で魔物を倒して、だれの得になるの?
さあな――
……何か、裏があるんじゃない?
だろうな。わざわざ俺に依頼するくらいだ。
レイヴンさん、私たちも行きます。
ついてくる……だと?
いつもレイヴンさんには、島を見回りしていただいてますし。
……見たくないものを、見るかもしれないぞ。
みんな、レイヴンさんと、思い出をつくりたいんです。どんな形でも。
思い出、か……
いいだろう。だが……後悔はするなよ。
初級:鴉は凶兆を告げる
story2 守りたいから
やったわ!
……終わったか。
こんな感じなら楽勝じゃない?
……やはり。
レイヴン?
……お前たちは、来るべきではなかった。
<瘴気が……あたりにたちこめていく。
光あるものを憎み、恨む……悪意の粒子が――>
これは、この感じは……!
――戻れ。
……いいえ、戻りません。私は……
私はきっと、目をそむけてはダメなんです。
この……闇から……!
――いいだろう。それも、お前の選択だ。
<一行の向かう先に……廃墟が見える。
その廃墟の中に――灯火が輝く。
灯火。否、それは……魔物たちの目――>
みんな、気をつけて!
<だが魔物たちは、襲い掛かってはこない。
まるで廃墟を囲む壁のように、一行の前に立ちふさがる――>
……雰囲気が妙ね……?
……マモル……!
マモル!! マモル!!
……守る……?
オレタチハ……!!
コノシマヲ……マモル……!
……これは……! この意志は……
敵意……だけじゃない誰かを守る心……
アイリス……どうしたの、しっかりして!
どうして……どうしてこんな思いを……!
……構えろ。――こいつらのようになりたいか。
やるしか、ないのー!?
中級:闇の中に光るもの
…………できることは、一つだけだ。
story3 葬送の炎
オオオオ……オレタチハ……
オレタチノ……シマヲ……
……ごめんなさい。
でも、この島には……あなた達が、守りたかった人たちは……!
……アイリス、もしかしたら、この魔物たちって!
……人よ。……人間、だった……!
<倒れたはずの魔物たちが、再び起き上がる。
魔物たちは……悲しい叫びをあげた。>
……マモル……!!
……人間が、魔物に変わったっていうの!?
じゃあこの魔物たちは……ずっと、自分の村を守って……
そんな、そんなのってないわ!
そうだな――猫よ。
<レイヴンは、矢をつがえた。黒き弓が、炎を上げる。>
レイヴン……!?
……レイヴンさん、やめて!
<……黒き炎の矢が、魔物を貫く……
魔物は黒い炎に包まれ――消えた。>
何してるの!?
やめて!! やめなさいよ!
……この弓は、記憶を喰らう。
<レイヴンは――続けざまに矢を放つ。>
怨みの記憶が消えれば、おそらく……人として死ねる。
……やめなさい! やめなさいよ!
ばか! ばかレイヴン!!
<アイリスは、涙を流しながら、キャトラを抱きしめた。>
アイリス……
……レイヴンさんは……救おうとしてる……だから……!
<最後の魔物が……炎に包まれた……>
……これしか、なかったの……?
……さあな。
上級:人として
………………………………行くぞ。
story4 黒き報酬
<人気の無い島の入江――
そこに、賊どもがいた。全員が、殺気を放っている。>
クククッ……実験は成功ってとこ……だな。
<賊の頭領は、奇怪なルーンを手にしていた。
ルーンは、禍々しい光を放つ……!>
……実に笑えたぜ。
魔物に変わった村人が、ほかの村人を食い殺す様はよ………。
なにより笑えたのは、魔物になっちまった連中に、心が残ってたってとこたよなあ……
このルーンの力を使いこなせるのは、選ばれた人間だけ……俺のように、な。
……あの黒いの、うまく相打ちになってくれましたかね?
報酬を取りに来ないってェことは、そういうこったろう。
『人間が魔物になった』なんて話は……まだ、バラシたくはねえ。
まったくいい玩具をくれたもんだぜ、あの女はよー!
なぜ、またついてきた。
私たちも、みんな同じ気持ちです。……絶対に、許せない。
……そうか。
……だ、誰だ!? あ、あの弓……! まさか、黒いのか!?
生きてたか、カラス野郎! なら報酬を払ってやるよ!!
この<焔印のルーン>でなあ!
ルーンですって?
……こんなに不安定なものが……?
――報酬には、お前たちの命をもらおうか。
……笑わせてくれるぜェ! じゃあ、見せてやるよ!
これが<焙印のルーン>の力だ!
……! そのルーンを使っちゃだめっ!
<賊たちの体を、黒い霧が包み込む。
霧は見る間に、どす黒い闇へと変わる。
そして、闇の中より……魔物たちが現れた!>
ドオダァ!!
オレタチハこのルーンヲ、完璧二操レルッ!!
なんてことを……!
……ははは……
……レイヴン、アンタ……笑って……!
……似合っているぞ、その姿……!
絶縁:悪意の焙印
破滅級:終焉を誘う矢
最終話 終焉を誘う矢
……く、クソッ……! エエイイ!!
<焙印のルーン>ヨ! 俺ニモットチカラヲ!
グッ……グエエエッ!!
ア、アニキィイ!! グ、グルシイ……
ウルセエ!!
コンナヤツラニナメラレテタマルカァアアアア!
もうやめてっ!! 人間に戻れなくなります!
……手遅れだ。お前たちは、人には戻れん。
ソ、ソンナアアアア!!
オレハ!! オレハアァ!! コノルーンデー!
<レイヴンは矢をつがえた弓が、黒い炎を上げる。>
ギエエエエエ!!
<黒い矢の雨が、魔物たちめがけて降り注ぐ。
矢に貫かれ、賊だった魔物は燃え上がった――>
ク……クソガアアアア!!
オ、オマエモ魔物ニナレエエ!!!
<<焙印のルーン>が禍々しい光を放つ!
どす黒い闇が、レイヴンを包み込んだ……だが――!
闇は、黒い炎に焼かれ……消え去った!!>
……これは<怨み>であり、<記憶>だ。
この弓は記憶を喰らう――
なっ、ナアアアアーッ!!
そのルーンのせいで、死に切れぬか――
<ルーンは、レイヴンの放った矢により、打ち砕かれる。>
ルーンがこれしきで破壊されるとは思えぬ……
何か、からくりがあるか。
アア……アアウ……
アアアアア……
様子がおかしいわ!
オ、オレノ体……ハァ?
ド、ドウシテ……ドウシテオレガ、魔物ニィ!!
イ、イヤダ……!! ドウシテコンナ……!!
……あいつの記憶も食ったか。悪食な弓だ。
<レイヴンは、最後の矢を放つ――>
燃え尽きろ!!
ギャアアアアア!!!
***
<黒い炎は全てを焼き尽くし……
周囲には何の痕跡も残ってはいなかった。>
…………アイツ、自分でやったこと、全部……
……レイヴンさんは、きっと……これしか手段かないと知って……
……レイヴン、さん?
……俺は、また何か焼いたのか――
レイヴン、……アンタも忘れちゃったの……?
力を使いすぎると、こうなる。何か――あったのか。
はい。……でも今は、帰りましょう。
…………
……ああ。
白猫 mark