【白猫】アセト・思い出
孔雀羽の占い師 アセト・サビール 占いを得意とする美しき女性。 その力で一国を統治してきたと豪語する。 |
思い出1
――頭が高い!わたくしを誰だと思っているの!?
<妖艶な美女が、こちらを見るなり怒声を放った。>
知らないわよぅ!初対面なんだから!
わたくしを知らない……?
まあ、いいわ。わたくしはアセト・サビール。一国を治める女王である。
はあ……
おまえたちがここに来るだろうということは、わかっていたわ。
へ? なんで?
占いよ。 わたくしは、占術で人を導き、統率し、国を治めてきたの。
占いねぇ~……にわかには信じがたいけどぉ~。
フ……いずれ知ることになるわ。わたくしの占いに誤りはないとね。
思い出2
ちょっと! どうなっているの!?
<アセトが、ぷりぷりと怒っている。>
さっきから召使いを呼んでるのに、誰も来ないじゃないの!
そりゃそうよ。そんなのいないんだから。
……いないの?
では食事の支度は?湯浴みの世話は?
食事はレストランを使うとか……湯浴みは人それぞれですね。
なんてこと……
<アセトは、この世の終わりのような表情で地に膝をついてしまう。>
<かと思うと、突如、力強く立ち上がった。>
召使いがいないなら、新しく雇えばいいのだわ!
主人公、おまえ、わたくしに仕えなさい。
拒否権はありません。今日からわたくしがおまえの主です。いいわね?
思い出3
アセトさんは、どんなことを占うんですか?
なんでもよ、天気や吉凶、近い未来から遠い未来までもね。
へえ……すごいですね。
当然です。わたくしは、この力で、みなを導いてきたのだから。
そうだわ、主人公、おまえも占ってあげましょう。
<アセトは杖をかざし、精神を集中し始めた……>
……出たわ。
おまえは、<いつか、数多の命のさだめを左右する>……
ど……どういうこと?
そして、<わたくしの頼みを断ると不幸になる>……
は?
あと<お茶の用意をした方がいい>わね。あ、<ケーキも持ってきなさい>。
アンタね……
思い出4
遅いですよ!主人公!呼んだら3秒で参りいなさい!
またムチャクチャ言ってるわね~。
わたくしの国の召使いなら、呼ばれる前から、それと察して控えていたところよ!
え~、そんなのホント~?
本当よ!いいこと、わたくしの家臣たちは……
家臣たちは……
アセトさん……
わからない……
え……?
確かに家臣がいたはずなのに……誰の顔も、思い出せないの……
そもそも、わたくしの国はどんなところにあったの?どんな民が暮らしていたの……?
思い出せない……何も……自分の国の名前さえも――
思い出5
わたくし……わたくしは――
<アセトが、辛そうに頭を押さえている。>
ちょ、ちょっと、だいじょうぶなのぉ~?
……まるで思い出せないの。己の国……己の民のことなのに!
それどころか……怖くなってくる。
思い出さない方がいいような気がしてくるの……
わたくしに――わたくしの国に、いったい何があったの?なぜ、わたくしはこの島にいるの?
いいえ……そもそも――
<アセトは、今にも泣き出しそうな顔を見せた。>
わたくしの国は……本当に存在していたの……?
思い出6
おお……荘厳で厳粛な輝き……無限の光明――まるで未来そのもも……
ああ……そうね。そうだったのね――
<ルーンの光を見たアセトは、はらはらと涙をこぼした……>
すべて思い出したわ……
わたくしの国は、確かにあった。けれど、遠い昔に滅んでしまった……
えっ、じゃあ、アセトって幽霊とかなのぉ!?
霊体とは、少し違う感じがするけれど……
今のわたくしは生きてもいなければ死んでもいない、国のルーンに魂を宿し、破滅を逃れたの。
家臣たちが、そうしてくれたのよ……わたくしの力は、いつか世界の未来を照らすだろうから、と……
いい人たちだったのねぇ……
ええ……みな滅んでしまったけど。生きているとすれば、寿命の長いあの鳥人くらいかしら……
アセトさん……
……ありがとう。アイリス、キャトラ。それに主人公……
泣いている暇などないわ。わたくしは見つけねばならない。未来を照らす希望の光を……
おまえたちと共にいれば、それが見つかる。きっとね……
それは……占いですか?
いいえ。わたくしの――絶対に当たる、直感よ。
かつて栄華を極めし女王
・相関図