【白猫】ソウマ・思い出
帰宅部の少年 ソウマ・ホクト・バスクナ cv.岸尾だいすけ 茶熊学園に入学した少年。 スクールアーツという武術を習得している。 | ||
2015/06/09 |
メインストーリー
思い出1
えーっと、邪魔するぜ。
ようこそソウマ、ここが飛行島よ。
なんとも驚きだな……空飛ぶ島ときたか。
ビックリした?
いい勉強になったぜ。まったく世間は広いな。
……っつーか俺は、どんだけ井の中の蛙だったんだよ。
いきなり落ち込むわね。
落ち込むぜ。あんなところをすべてだと思ってた自分が、バ力みてーだ。
あんなとこ?
俺の通っていた学校だよ。あそこは俺の全てだった。
なんて学校なの?
名前はないが、通っている生徒はあそこをスクールと呼んでいた。
文字通りな名前ね。
あそこは、スクールアーツを教えるためだけに、存在する場所だった。
あらためて聞くかもだけど、スクールアーツって何なの?
武術だ。もっとも効率よく人間の戦闘力を最大限に引き出すための、な。
だからスクールでの授業は、戦闘訓練が中心だった。
戦いの訓練ばっかりなんて、楽しくなさそうな学校に通ってたのね。
楽しくないどころじゃない。毎日訓練ばかりで気が滅入ったぜ。
大変だったんですね。
今から思えばそうだな。まーでも、勉強になることもなくはなかった。
前向きなんですね、ソウマさん。
技術や知識を身につけるのは、好きだからな。俺は余計なことまで知ろうとして、よく怒られてたが。
余計なことって、どんなこと?
スクールアーツ以外の全てだ。俺は本が好きだったんで、スクールの本を勝手に持ち出して、よく怒られた。
本読むだけで、怒られるなんて。
スクールの基準じゃ重罪だぜ。よくお仕置き部屋に閉じ込められたなあ。
きゅうくつにもほどがあるわ。アタシだったら逃げてるかも。
俺もよくあんなとこにいたもんだ。外の世界ってのを知ってたら、逃げ出してたかもしれん。
ちょっとまって、アンタいつからその学校に通ってたのよ。
物心ついたときから、ずっとだ。
えッ!?
俺はあの学校以外、世間を知らないんだよ。
「……ソウマ、立て。
お前も、あいつらのようになりたいのか――」
……おっと、こんな時に思い出しちまうとはな。
だが兄貴……俺はもう、あんたの指図は受けないぜ。
「俺の支配を脱したいのなら、この俺を超えて見せろ。」
思い出2
ねえソウマ。アンタの使うスクールアーツってどんな武術なの?
一言でいえば学習能力を高める技だな。
学習能力?
そうだ。この世にはいろんな技があるが、全部覚えるのは到底不可能だ。
そうですね。学べる時間には限界がありますし。
だが、学習能力そのものを高めれば、どんな技でもすぐに覚えられる。
相手の使う技を、一瞬で覚えることだって可能だ。
すごいですね。
だがスクールアーツは、結構身につけるのが難しくてな。
どういうとこが難しいわけ?
体だけでなく、頭も鍛えなきゃならないからな。それが厄介なんだ。
暗算をしながら組手をしたり、迷宮の中を駆け回りながらテストを解いたり。
頭を使って、戦うんですね。
そうだ、そういう訓練を続けるうちに、俺も少しは記憶力と演算力を伸ばすことができた。
頭の回転が速くて記憶力がいいのね。でも、どのくらい?
そうだな。なにかゲームに使えるものはないか。
ちょうどトランプをもってました。これでいいですか?
ありがとさん。……よっと、こんなもんか。
<ソウマはトランプを手に取り、手の中に広げて見つめ、主人公に渡す。>
なになに……?
主人公、シャッフルして上から何枚かとって見てくれ。こっちに見えないようにな。
当ててやるぜ、右からハートの6、ダイヤの9、スペードのエース。
あたってるわ!?
力ードの裏面の傷や汚れを覚えた。スクールアーツの初歩だ。
賭けごとに使えそうだわね。
ギャンブラー相手には通用しないぜ余興に使えるぐらいだ。
……本物の、スクールアーツの使い手にもな。
思い出3
<ソウマが、パイ生地をこねている。>
いい手つきですね、ソウマさん。
料理は少し勉強したことがある。
hパイ生地のこね方で、食感が変わってくるのよ?
驚いたわ。いきなりパイの作り方が知りたいだなんて。
ヘレナさんのパイを食べさせてもらって、ちょっと勉強したくなったのさ。
気になったら試してみたくなるのね。
勉強してみたい性分なのさ。
それにしてもこの小麦粉、ずいぶんいいもんをつかってるな。
そうなの?
hそうなのよ!じゃ、できた生地はパイ皿にしきつめてね!
ところで今日はなんのパイを?
トビウオだ。
トビウオ!?
…………
……
なるほど、勉強になったな。
……ああいう味になるとは。
パイにはむいてないかもね。
トビウオは『なめろう』にするといいらしいぜ。
なめろうってナニ?
青魚をおろしてミソをまぜたものだ。
それって美味しいの?
俺も食ったことはない。そういう話を聞いたってだけだ。
ソウマっていろんなこと知ってるのね?
ぜんぶ聞きかじりさ。本当に学んで身につけたことじゃない。
いいじゃないの。これから経験すれば。
お夕食に、みんなで作ってみませんか?
ミソと酒、ネギ、シソ……それからショウガが必要らしい。
こいつも、俺が聞いた話だがな。
思い出4
アンタの通ってた学校ってどんな子たちが通ってたの?
クラスメートはたくさんいたが、全員無表情で、声のトーンやしぐさがみんな同じだった。
ちょっと、きもちわるいわね。
そうかもしれないな。だが俺も、みんなと同じだった。
なんでアンタの親、スクールなんかに子供を通わせてたの?
俺に親はいない。家族といったら兄貴だけだ。
お兄さんが?
俺と違って優秀な兄貴さ。スクールでは生徒会長と学園首席を兼任してたくらいだ。
弟にしてみれば、最悪の兄貴ってところだがな。
仲悪かったのね。
それをいったら、スクールにいる生徒はみんな仲が悪かったな。
どうしてですか?
スクールじゃ、常に生徒たちが競わされていたからな。周りは全員ライバルだったんだよ。
荒んだ環境だわね。
俺もテストの成績が悪くて、苦労したぜ。
あら、ソウマって成績は悪くなさそうだけど。
スクールでのテストは、実戦訓練なのさ。ターゲットを制限時間内に片づけたり、一対一でどっちか倒れるまで組手したりな。
そういえば武術の学校だもんね。怪我とかしないわけ?
するぜ?下手したら、大怪我をする。
よく無事でいられたわね。
……そこは、運が良かったのかもな。
ま、スクール出身の時点で、運勢は最悪ってところだ。
「お前には、スクールで生きる以外の道はない。
スクールで生まれた者は、一生をスクールアーツにささげ、新入生にその成果を託す。」
……こいつは、俺の記憶か――!?
クソッ……よりによって、一番思い出したくない奴の面を――
どうしたの、ソウマ?
なんでもない。ちょっと立ちくらみがしただけだ。
思い出5
……いい加減、あんたからは卒業したいんだけどな。
「だったら、俺のテストに合格してみせろ。」
お腹いたいんでね。今日は早退するぜ。
「早退など許さん。このテスト、赤点は退学と知れ。」
また思い出しちまったか。兄貴の『追試』を。
どうしたの?顔が青いけど
気分が悪いんですか?
嫌なことを、思い出したのさ。俺は、覚えたことが忘れられないんだ。スクールアーツのせいでな。
覚えがよくなるのも、善し悪しだわね。
俺の場合、中途半端だからデメリットの方が多い。
何を思い出されていたんですか?
兄貴から受けたシゴキをな。あの人は自分にも他人にも厳しかったんだ。
アタシならシゴキは御免こうむりたいわね。
スクールではシゴキなんか日常的だったぜ。最近なんか物足りないくらいだ。
うっそー……
冗談さ。いまさら、あの学校にもどりたいとは思わない。
「お前の居場所はスクールだけだ。テストに不合格だったお前は、もうこの世に居場所はない。」
……おいおいまたかよ兄貴。いい加減しつこいぜ。
「兄弟の情けだ。お前はこの俺が退学にしてやろう。」
このセリフ、あの時の台詞か。忘れられないってのは辛いね。
「喰らえ!これがスクールアーツの奥義だ!」
くっ……思い出しただけだっていうのに、効いたぜ……
ソウマ、どうしたのっ!?
思い出6
……なんだ、この光は……こんな技、スクールアーツにもないぜ。
「この一撃で退学しろ、ソウマ!」
記憶が蘇ってきやがったか。しかし兄貴、どうして額に血管浮かべてんだ?
あらためて見ると、面白い顔してるもんだな。俺はこんなのを怖がってたのか。
ソウマ、少しは楽になった?
主人公の光のおかげでな。
また昔のことを思い出してたの?
俺が退学したときのことをな。最終テストで不合格だった俺は、追試で兄貴と戦うことになった。
アンタの学校のテストって、野蛮なのね。
俺は、兄貴の一撃を受けて気を失い、気が付いたときには病院のベットにいた。
退学を告げられたのはその時さ。
くやしかったでしょうね。
それが、そうでもなかったのさ。ただ俺は、スクールの外で何をやったらいいかわからなくてな。
それで俺は茶熊学園に来たってわけだ。
何かやりたいこと見つかった?
そいつを見つけるのも学校、だろ。まあこれも聞いた話だけどな。
きっと見つかりますよ。ソウマさんのやりたいこと。
しょうがないな。じゃあとりあえず。依頼でも片づけにいくか。
今度は、私たちにも手伝わせてください。
俺と一緒に?
群れるのは慣れていないソウマなのであった。
それもそうだなこれも一つの勉強か。
兄貴……俺はあんたを、超えられないかもしれねえ。だが俺は、俺のやるべきことを見つけて見せる。
あばよ……兄貴!
答えを見つけた者
ソウマ、最近ずっと勉強してるのね。
目標が出来たのさ。
なになに?
教師になりたいんだ。
アンタが先生に?……いいわね!向いてると思うわ!
頑張ってくださいね!
で、どんな先生になりたいの?
そうだな……
ありがとよ。また一つ学ベたらしい。
なんで教師にって?超えたいやつがいるのさ。
学長じゃないって。いい先生とは思うけどな。
それが兄貴ともアイツとも違う、俺だけの道ってやつさ。
これからも学んでいくぜ。一生勉強だからな。