【白猫】セラ・思い出
ルーンギムレットの退魔士 セラ・エレオノラ cv.伊藤静 <ルーンギムレット>を携えた退魔士。 あらゆる塊から一点の脆さを見抜く。 | ||
2015/09/30 |
Brave The Lion 2
思い出1
飛行島はまた新たな仲間を迎えた。
ダグラスらと共に、あの島の冒険を乗り越えた、槍使いのセラだ。
でも、極端なことを繰り返して、安定するラインを探していくんじゃないかしら。
でも、心配はいらないわよ?
色んな方向に踏み出してみるつもりよ。
(キャトラって、大人の女の人にあこがれがあるのかな……?)
思い出2
思い出3
セラさんは、強い人だから……踏み出した一歩を、止めることはできないわ。
だいじょうぶよ、キャトラ。『しばらく』って書かれてたなら、セラさんは必ず戻ってくるわ。
…………
……
「……飛び込みだったけれど、いい宿が取れちゃった。」
宿の室内に荷物を運び入れたセラ。
窓際の机に、手にしていた読みかけの本を置く。
と。南向きに備え付けられた窓から、
サンサンとした日差しが入り込んでくることに気づく。
「窓は、開くかしら?
素敵……! 潮風の香り……さざ波の響き……
……この島には誰もいないのよね。あたしのことを知ってる人なんて……
……ふふふ……
いっそのこと……この島に、住んじゃおうかな……?」
思い出4
「おじさん、このフルーツ一ついくらかしら?」
「それは――!? 美人のお嬢さん、見ない顔だが、観光客かい?」
「移住希望者よ♪」
「はは、そいつぁいい!それは私からのお祝いだ!代金はいいさ、持ってきな!」
「ありがとう♪」」
今にも鼻歌を歌い出しそうなセラが賑やかな大通りをウキウキと歩いていく。
「……町の人もみんな、優しくていい感じ……
本気で、考えちゃおっかな……
……あら?」
ふと、小路に目をやると、そこに佇んでいた一人の少年が目に留まる。
みすぼらしい衣服に身を包み、絵筆を構えてキャンバスに向かっている。
「あんなに小さいのに……絵を……?」
***
「こんにちは。あなたは、画家さん?」
「あっ!? えっ、えっ!?」
「何を描いているの? 良かったら、見せてくれない?」
「あっ、あの、その……!」
「ふふ、緊張しないで。ね?」
「あの……ごめんなさい!」
少年は一目散に駆け出すと、雑踏の中に消えていってしまった。
「あんなに慌てて……ふふふ……
……この絵、やっぱり。道行く人の似顔絵も描いているんだわ。
今度描いてもらおうっと。置いていった道具も、返してあげなくちゃね……」
思い出5
「こんにちは、小さな画家さん。」
「あっ!? こ、このあいだの……?」
「忘れ物よ。」
そう言って、セラは預かっていた少年の画材一式を渡す。
「ごめんね、見ちゃったわ。」
「…………」
「絵、上手なのね。良かったら、あたしも描いてくれない?」
「え……?」
「おいくらかしら?」
「あっ、その、お代は、出来てからで、その、良くなかったら、タダでも……」
「ふふふ。自信があるのね?」
「そ、そういうわけじゃ、あの、下手な物じゃあ、かえって迷惑になるし……」
「そんなことないわ。あたしはあなたに似顔絵を描いて欲しいの。お願い出来ないかしら?」
「あっ、あの、その……!……わ、わかりました……!」
「ふふふ。美人に描いてね?」
「…………」
正面にセラが座ると、少年の様子が一変した。
透き通るようなまなざしでセラを見つめたかと思うと――
やがて、絵の具をのせた筆を、一心不乱に動かし始める――
「…………」
「…………」
…………
……
「――で、できました……!」
「ふふ、すっごく集中してたわね。あたしの方がみとれちゃった。」
「は、はい、こ、こ、これを……!」
「さてさて、君にはあたしがどんな風に見えて――!?
――これ、って――」
少年が描き上げたセラの似顔絵。
それは――
――深い深い悲しみに、
唇をかみしめ、涙を流している表情だった――
「……こう、見えてるの……?」
「お、おねえさんには、きずがあります……まだ、ふさがってない……絵を通すと、見えます、わかります……
あなたは、まだ、全部は、受け入れきれては、いません……これが、あなたの、いまの、すがたです……」
「……そう。……やっぱり、そうなのね……
……う……
……うぅ……あああああぁぁぁぁ…………!」
顔を覆った両手の指の隙間から、とめどもなく涙が零れ落ちる――
――まるで、少年の描いた絵、それそのものになってしまったように……
そのとき。
遥か彼方より、想いが光となり、空より射してくる――
思い出6 (友情覚醒)
「この光は――?」
「!! お、おねえさん! 顔を上げて!」
「え……?」
「描きます、描き忘れていたものが、ありました!」
――涙でべとべとになったセラの顔が乾くよりも早く、少年が筆を走らせると――
「で、できました!これで、完成です!」
「……あ……!」
少年が筆を加えたその絵には――
セラのことを心配そうに見つめる、キャトラやアイリス、主人公に……
メアやバイパー、オズマとおぼしき、多くの人影が加わっていた――
「…………」
「描けました……! こんなの、ぼくも、はじめて描きました……!
よ、よかったら、受け取ってください、ぼくも、満足した、初めての作品です……!」
「……ええ。
ありがとう……大切にするわ……」
***
<そう言うと、セラは読みかけの本に挟んであったしおりを取り、ひらりと投げた。>
――続きはいいの。ずっと途中で止めておくわ。
アンニュイヴィジョン セラ・エレオノラ
その他
【メイン】 Brave The Lion 2 Story | 2015/09/30 |
オズマ・思い出 | |
メア(ダグラス2版)・思い出 | 2015/09/30 |
Brave The Lion 3 Story | 2016/10/31 |
・相関図