【白猫】リオーネ・思い出
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思い出1
空の上……初めてだわ、こんな場所……
感想はどう?
高い……
まんまだ……
……でも、嫌いじゃないわ。
お!
ふふ、気に入っていただけて、よかったです、リオーネさん。
なぜならね……
はい。
クイロネは、流氷の『天使』……そうとも呼ばれているからね。
一回、味わってみたかったの。本当の天使の気持ち。空を飛んだ気分……
……これからここで、お世話になるわね。
大丈夫。すみの方で、じっと静かにしてるから……
いや、もっと自由にしていいから。
思い出2
ねーねーリオーネ?
なにかしら?
『くりおね』だっけ? アタシウ、実物見たことないんだけど、どんなものなの?
よく聞いてくれました……
ごくり……
わたしの周りに浮いている、これよ。
それか!
姿はね。では次に、生態をお話するわ。
うん。
クリオネとは、巻貝の一種。
貝かー……
貝は嫌い?
ん~ん、ふつう……でも、貝の強いヤツって、アタシにケンカで勝つからさ……
(キャトラって、突然すごく弱いときがあるのよね……)
そして、『流氷』の天使、と言われるだけあって、冷たい海にしか住めないの。
氷になるくらいの海でしょ?それは寒そうよね~……
そんな過酷な海を漂うクリオネ……生存競争で勝つのは、容易なことではないわ。
でも、成長したクリオネは、とても餓えに強い……長い間の空腹を耐えられるの。
うんうん。
そしてね……最も特徴的なのだ、エサを捕える際の……
うん!
バッカルコーン!
バッカルコーン!
バッカルコーン
バッカルコーン
バッカルコーン
バッカルコーン
(生態を教えてもらってたのは、もういいのかな……?)
思い出3
ねーねーリオーネ?
なにかしら?
こないだは夢中になっちゃってよくわかんなくなったんだけど……『バッカルコーン』ってなに?
……それを聞いてしまうのね。
ごくり……
バッカルコーンというのは……クリオネの持つ、六本の触手のことよ。
触手だったかー。
転じて……
おお!?
獲物を捕らえるときの一瞬の凶暴性のことも、俺はバッカルコーンと呼んでるんじゃあ!
<突如として、リオーネからキャトラに向かって触手が伸びる!>
ひいっ!?
生きるためには、喰わねばならんのじゃあ! 情けは無用! 俺の血となり肉となれぇ!
バッカル、コォオオーーーン!!!
……とまあ、そういうわけなの。わかったかしら。
リオーネさん……
え?
うぇーん、うぇーん……
キャトラ、自分が食べられると時間違いしたみたいで……泣いちゃった。
ごめんなさい、驚かせるつもりはなかったんだけど……
あんな豹変、だれでもびっくりするわよぅ!
ごめんなさい……ほ~ら、触手だよ~?
だからそれが怖かったんだって!
ダメね、わたし……
思い出4
キャトラちゃん……
つーん。
キャトラったら、ダメだよ。
ふんだ。つーんだ。
……悲しいわ。せっかく仲良くなれたと思ってたのに。
だっておどかすんだもの。
もうしないわ……
ホント!?
ええ。
じゃあいいよ!
よかった……
リオーネさん、でもそれって……?
大丈夫。わたしはクリオネの化身。
クリオネと同じように、食事を我慢しても生きてはいけるわ……
そう……ですか……?
平気よ……キャトラちゃんに相手にされないほうが辛いもの。
ううん、アレやんないなら、相手にするする~♪
キャトラ……
なにして遊ぶ~?
そうね……ぷかぷか遊びはどう?
ぷかぷか遊び?
昼寝をするでしょ……そのまま主流に流されて、どこへ着くかを楽しむ遊び。
それ海じゃなきゃできないじゃーん!
うふふふ……
(まあ……いいのかな……)
思い出5
リオーネさん!?いつにもまして、顔色が悪いですよ!?
……そう?
気のせいじゃないの?リオーネはいつも青白いじゃない。
その通りよ……
リオーネさん……
さあ、遊びましょう、キャトラちゃん……
わーい!
***
ターッチ!じゃあ今度はリオーネが鬼ね!
(キャトラ……!鬼ごっこをかれこれ半日……飽きないのかしら……!)
…………
ん? どーしたのリオーネ?
……あっ……
リオーネさん!
……平気よ……少しふらついただけだから……
やっぱり、おなかが減ってるんじゃ……
ちがうわ……
え!? もしかして……アタシがアレを嫌がったから、それ以来食べてないの!?
ごめん!そんなつもりじゃなかったんだけど……!
ううん……それとは別……
だってそんなに弱ってるじゃないですか!?
…………
どうしよう……主人公、アタシのせいだ……
どうしよう……!
思い出6
光は凝縮し、結晶になると
周囲に降り注いだ……
あ……
ん……?なんか、粉みたいな……う、口に入った!
うぇっぺっ!しょっぱい!塩だコレ!
…………
……ありがとう。
えぇっ!?
え……?それは、どういう……?
わたしは……海水が欲しかったの。
つまり、塩が。
なるほど……クリオネは、海の生き物ですもんね……
なによ~、心配させて~!そうならそうっていったらよかったでしょぉ~!?
ごめんなさい……だって……
だって、なに?
塩分を摂って元気になったら……食事もしたくなるだろうと思って……
…………
……キャトラ?
……いいよ。
え?
バッカルコーン、いいよ!だってごはんだもん!食べなきゃしんじゃうわ!
ありがとう、キャトラちゃん。
じゃあ、ハイ。こんなこともあろうと持ってきていたお魚をどうぞ。
<道理でずっと、魚臭かったと思った……!>
……本当にいいのね?
うん。めしあがれ。
それなら……
……うおおおおらあああ! バッ! カル! コォーン!
<リオーネから触手が走る!>
うぐっ……!
この魚野郎、お高くとまったツラしやがって! 大人しく俺に食われてしうまえやぁ!
ハグッ! ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ……!
ひ、ひぃ……
……けぷ。ごちそうさまでした。
お粗末さまでした。
うぅ……!やっぱりその食べかた、怖いよぉ~……!