【白猫】シズク(茶熊)・思い出
ビーチバレー部のエース シズク・エンジュ 熱い砂浜でビーチバレーに青春を燃やす乙女。 エースとして部員たちを勝利へ導く。 |
思い出1
なっ!?
……今の、シズクさん?
どう見ても間違いないでしょ! ちょっと、シズクッ!!
みなさま。こんにちは。……どうかされましたか?
どうもこうもないわよ!アンタ、なんてカッコで出歩いてるのよ!
あ、いえこれは――
まさかまた、ふにゃふにゃモード?!
目を覚ましなさい! いくら呪いだからって、それはマズいわよ!!
お、おちついて下さいキャトラ様。私は大丈夫ですから!
ぜんぜん大丈夫じゃないから! こんな……下着みたいなカッコ!!
叫ばないでください! それにこれは、下着ではなく水着です!
ねえ、キャトラ。シズクさん、ちゃんと受け答えできてるわよ。
え……あれ、本当だ。でも、下着――
水着です!
水着でうろうろしてるのよ?まともなワケないじゃない。
あの私はビーチバレー部へ入部したので、水着姿であってもおかしくないのですが……
ふ~ん……それって普通のバレーとなんか違うの?
バレーではあるのですが、少しだけ違うかと思います。
そうなんだ……あっ! わかった!
ビーチバレーは、みだら!
違います!
じゃあ、いかがわしい!
じゃあってなんですか! いかがわしくもありません!
キャトラ、言い方がよくないわ。そういう時はセクシーっていうの。
なるほど。じゃあセクシー。
そういう視点から離れてください! ビーチバレーは、砂浜で行うバレーのことです!
あ、それで水着なんですね?
はい。下が砂地ですから、体力とバランス感覚が必要なバレーボールです。
へ~、そうなのね。
これで私の水着も、おかしくないとわかっていただけましたか?
まあ、言い分はわかったわよ。でもさ?
はい、なんでしょうか。
それなら着替えは砂浜に行ってからすればいいんじゃないの?
……そ、それは……楽しみだったもので……つい……
思い出2
いきます! そーれッ!
<シズクがボールを打ち、それを他の部員がレシーブする。
そこには本気の熱がこもっていた。>
そうです! 体の正面で受ければ、ちゃんと前に返せます!
<『はい!』と気合いの入った返事にシズクも笑みを強くする。>
次いきます!
……すごい迫力ね。なんかシズク、キャプテンみたいになってるし。
『みたい』ではなく、私、キャプテンになりました。
そうなんですか?
みなさんから、丁寧にお願いされては、断ることなどできません。
だけど、アンタも入部したばっかりでしょ。大変じゃない?
もちろん大変なのですが、しかし頼って頂けるのは嬉しいことなのです。
ふ~ん。シズクって、リーダーとか先生とかむいてるのかもね。
そんなことは……私ごとき若輩者が指導するなど、おこがましい話です。
いえ! そんなことはありません! シズクさんは立派な指導者であります!
カモメ?! アンタ、どっからでてきたのよ?
こっちから砲撃のような、力強い音が聞こえたので、確認にきたのであります!
……実際はボールを打つ音でしたけど。
ああ、いい音してたもんね。
でも、おかけでいい練習風景を、見ることができました! ありがとうございます!
私も今日の部活は、気合いがはいりそうです!
そ、そうですか。頑張ってくださいね。
はい! では、みなさん。水泳部へ出撃してきます!
……ちょっとビックリしたかもしれないですけど、カモメさんはいい人ですから……
あ、はい。大丈夫です。私も練習の続きに戻りますね。
いきます!
……アタシ、やっぱりむいてると思うんだけど……
そうね……少し自分に厳しいけど、私もそう思うわ。
なんていうか、一族の当主なだけあるってことね。
もう一本! そーれ!
思い出3
ふわ~すごいねえ~! キレイにできてる~!
いえ。私の腕など、まだまだ拙いものです。
<シズクはエシリアと話しながら、手にしたバッグに空いている穴を、縫ってふさいでいく。>
それより、あまり危ないところへは行ってはいけませんよ。
大丈夫だよ。エシリア、強いからね~!
でも心配はします。怪我などしてほしくないですから。
ん~……エシリア、ホントにだいじょうぶなんだけどな~……
でも、いいよ。気をつけてあげる!
そうしてください。どうぞ。できましたよ。
わぁ~い! ありがと~!
あら、珍しい組み合わせね。
あっ、チェシャだ~!ねえ、みてみてほら~!
<エシリアはバッグをキャトラたちの前に差し出した。>
……可愛いバッグですね。あ、ここ縫い目が……
キレイに縫ってあるけど、やぶいちゃったの?
うん。でも縫ってもらったし、もう大丈夫~!
それじゃ、エシリアは学校探索にいくから、またね~!
あいかわらずね……っていうか、シズクって裁縫とかできたのね。
『それくらいは出来るようになれ』と、イサミに言われたのです。
ふ~ん。実際に役にたったみたいでよかったじゃない。
はい。おかげでエシリア様と話す機会を得られました。
……もしかして、あまり話したことなかったんですか?
そうですね。まだ数回といったところです。
へ~。さっきのアンタたち、仲よさげに見えたのにね。
本当……ですか?
エシリアも大人しく待ってたし。生徒同士ってよりは、先生と生徒って感じだったけど。
そうですか……そんな風に見えたんですね……
……シズクさん?
あ、もうしわけありません。そろそろ私は部活へいきます。
それでは……
……ほんとうにシズクさんなら、いい先生になりそうよね。
アタシもそう思うわ。
思い出4
――ふ~ん。じゃ、学校は楽しめてるのね。
はい。多くを学ばせていただき、とても充実しています。ただ……
ん? なんか困ってるなら、相談にのるわよ。
いえ、困るというか……イサミと少し時間が合わないので……
そうなんですか?
互いにやる事があり、顔を合わせる時間も減って……それが少し……
……寂しくなっちゃった?
さ、寂しいなど――ッ?!
<キャトラの言葉に振り返った瞬間、シズクは降りはじめていた階段を踏み外し――>
シズクさんっ!!
<――『偶然』階段の下にいたイサミに抱きとめられた。>
え、あ、イサミ……?
『イサミ?』ではない! 階段の上でふざける馬鹿がいるか!
す、すまない……
……みなさま方、お騒がせして申し訳ありません。
ううん、アタシにも責任あるし……ごめんなさい。
いえ、気を抜いていなければ、この様なことはなかったはずです。
……そうですね。私の不注意です。申し訳ありません。イサミも、すまなかった。
次から気をつけろ。それではみなさま方、失礼いたします。
改めて申し訳ありません。お騒がせしました。
え……マール様?
……ハッピー?
あー!? さっきの、アンタのしわざね!
だって、なんかしょんぼりしてたから。
マールさん、親切心なのはわかりましたけど、階段では危ないですよ。
そうよ! 場所を考えなさい! 次から気をつけんのよ!
え~!
あ、いえ、場所とか……そういうことではないのですが……
思い出5
あ、みなさん、これからお帰りですか?
そうよ。アンタも帰るんなら、一緒しましょ。
私が一緒でもいいのですか?
良くなきゃ誘わないわよ。
ありがとうございます。イサミ以外の方と、帰宅するのは久しぶりです。
……そうなんですか?
イサミと別の時は大抵ひとりです。……最近は、お誘いくださる方もいますけど。
その人たちと帰らないの?
部活の片付けなどをしていると、遅くなってしまいますから。
……キャプテンも大変ねぇ。
いえ。私にとっては、やりがいを感じてるくらいです。
それに、こんな穏やかな日常を、経験してはきませんでしたから……とても新鮮で楽しいです。
そういやアンタ、鬼退治ばっかりの生活だったんだもんね。
はい。鬼を討つことが、私たちの生きる意味でしたから。
ここへ来なければ、こんな生き方があることも気づかなかったでしょう。
……シズクさん……
もし……私が鬼退治の一族でなかったら……
たとえばのお話です。
もしも……そうだったなら、私もなにか、違う生き方が出来ていたのかもしれません。
たとえば……学校の先生とか?
……そうですね。先生なんて夢もみられたかもしれませんね……
思い出6 (友情覚醒)
……これほ……ルーンの光……
ねぇ、シズク。夢なんて言ってないで、叶えちゃえばいいじゃない。
……いいえ、キャトラ様。さっきの話は、ただのたとえ話。ありえない妄想の話なのです。
ありえないなんてこと、ないと思うけど?
……え……
もちろん簡単じゃないと思うわよ。アンタの呪いは弱まったけど、まだ解けたわけじゃないもんね。
シュゴウが加護の力で守ってても、あっさりふにゃふにゃになるし。
そ、それは……
でも、だったら全部解決してそれから叶えたら、いいじゃない。
全部……解決してから……?
そうそう。ま、鬼退治は学校にいてもできるしあとは呪いだけ解けばいいでしょ。
……そうね。簡単じゃないけど、できなくもないわね。
……キャトラ様……アイリス様……
シズクが先生をしてみたいなら、アタシたちが、いくらでも協力するわよ。
……ありがとうございます。みなさまのお気持ち、本当に嬉しく思います……!
ですが私は一族の当主として、淡い夢をみることはできません。
もう……ほんとかたいわね……
……でも、将来の目標のひとつとして考えてもみます。
……いつかそんな未来を望める日がくるかもしれませんから。
……きっときます。そう私も願っています。
そうそう。それくらい柔軟でいいと思うわよ。ね、シズク先生♪
っ……はい! 先生にまかせてください!
眩しい渚の青春 シズク・エンジュ
その他