茶熊学園2016 Story 2日目
目次
story1-1 行きたくない、朝
……ああ。私はまた、見ている――
……運動会だ。リレーをしている。
――抜いた。うちのクラスが一着だ。
……私は補欠だった。誰も欠けなくて……良かった。
期末試験の順位が貼りだされている。
今度は、手応えがあった。
上から見ていく。
ない。やめた。
私の努力が足りなかったのだろう。
私には話題がない。
勉強も苦手。運動も普通。
話題がないから自信がない。
自信がないから友達がいない。
それは私の……性格の、せい。
***
…………朝か。
……学校、行きたくないなあ……
Q1-1 眩しすぎる朝の通学路
story1-2 駆け抜ける校門
4「みなさま、おはようございます♪今日もいい朝ですね♪
「…………
4「あら? あなたは…… ?見学生の方でしたよね?
「…………
4「うふふ♪ おはようございます♪
「…………
マリはうつむくと、早足で通り過ぎた。
4「あっ……」
6「ボンジュールでござる~♪
「……!
6「オーララ?そんなに急いでどこに……
……行ってしまったでござる……
5「おはようございます!水泳部へ見学に――
3「YEAR!……って、アレ……?
1「園芸部に……ちょっと…… ?
視線を下げ、呼吸を止めて、マリは通り過ぎていく。
「………………っぷはっ!
……はぁ……はぁ……はぁ……
……はぁ……
…………」
story2-1 マイペースな新入生たち
2「みんな、おはよう!早速だが、まずは文化祭の出し物を決めよう!
「ほんとにやるの?私たち、入学したばかりなんだけど?
2「不満はわかる。だが、学長が決定したことだ。やるしかないだろう!
「……チッ……
2「ん?
「クライヴ先輩。オウガさんがいません。
2「なに!?
「ガレアさんと、エシリアちゃんも来てません~。
「あら? バイクがあったような気がしたけど……
2「なんてことだ……!風紀が乱れている!
「ちょっと探しに行ってきます!
「あたしも!
「あ、じゃあ私も。
2「あっ、おい!
「…………
2「……?
「わたくしも行って参ります。
2「シャルロット殿!生徒会長自らエスケープは……!
「みなを探す方が先決です。では。
2「! なんということだ……!
「…………
2「……カスミ殿は……?
「本を読んで待ってるわ。
2「そうか。
「全員ちゃんと戻ってくるかしら。
2「なっ……!? しまった!みんな! 待つんだー!
「……風紀、守りなさいよ……
Q2-1 サボリを探せ
story2-2 自由な連中
「たしか、バイクはこっちに……犯人は、犯行現場に戻ってくるって言うし……」
「メア殿? どうしたでござるか?」
「フラン!? あなたこそ授業はどうしたのよ?」
「上級生はカリキュラムがー通り終わってるでござるから、リベルテでござるよ~♪」
「りべるて?」
「授業を受けるもよし、部活に励むもよし、討伐へ行くもよし、で、ござる~♪」
「そうなんだ、いいなあ……」
「メア殿も来年はこうでござるよ~。」
「そうね、がんばろ。」
「して、ラクロス部に何か用でござるか?練習するでござる?」
「ううん、ガレアたちを探してるんだけどね。見なかった?」
「ガレア殿……見てないでござる。見てたら絶対覚えてるでござる。
髪の長さがシャンゼリゼでござるゆえ。」
「そうよね……どこ行ったのかな……」
***
ルーンコンポから大音量の音楽が流れている。
「ヘヘ、どうだ?ギターのリフがイカすよな!」
「ああ、いいじゃないか。テンション上がってくるぜ。」
「そーは見えねーぞ?」
「低血圧なのさ。」
「ふ~ん。授業はいいのか?」
「低血圧だからな。」
もうしばらく、爆音のサウンドを聴かせてくれよ、ブロウ。」
「おう、好きなだけ聞いてきな。朝は部室でタべる!それもロックだぜ!」
***
「……あのさー……」
「……なんだ?」
「困るんだけど。あたしが。」
「…………」
「教室戻ってくんない?」
「……オマエ……」
「あ?」
「……ま、いいぜ。貸しだかんな。」
「こんくれーでせけーこと言ッてんじゃねーっつの。」
***
「オウガさーん! ガレアさーん!」
「エシリアちゃーん!」
「お兄ちゃん、―回教室戻らない?」
「まだ誰も見つかってないぞ?」
「他の人が見つけて戻って来てるかも。」
「それにこのままじゃ、あたしたちまでサボりになっちゃうよ?」
「それもそうだ! よし! 戻ろう!」
Q2-2 クラスへ戻ろう
story2-3 カズノコ組会議
――カズノコ組。
ほとんどの生徒は集まったのだが――
「……エシリアちゃんだけ、来ないね……
「そうだね……
2「仕方ない。
「?
2「みんなは、文化祭の出し物について話し合っていてくれ。
俺はもうー度学園内外を探してくる。
では、シャルロット殿。お任せする。
「わかりました。
2「大丈夫だ。エシリアは必ず見つけ出してみせる!安心してくれ!
「最後のー言、いやに力がこもっていたな。決め台詞ってやつか。
悪くない。俺も考えてみるかな……
「あ~……じゃ、文化祭の出し物決めまーす。あたしは特に意見ないから。てきとーに決めといてー。
「えっ……
「無責任ね。
「アイディアね一んだもん、しょーがないっしょ。終わったら起こして……
「あっ、シャルロットさん……!……寝ちゃった……」
「……はぁ。」
「……ま、コイツは起きててもややこしいだけだ。」
「あなたがそう言うなら、それでもいいけどね……」
「で、どうする?それぞれから一案ずつ募るか?」
「あ、それがいいと思います!公平だと思います!」
「その後で、上位の案で決選投票をするのはどうでしょうか。」
「よし、いいだろう。」
「じゃあみなさん、紙をお配りしますので、やりたい出し物を書いてください!」
「誰かと相談して書いてもいいですよ~。」
「ええ、わかったわ。」
「なにがいいかなぁ…パフェが食べられるのがいいかなぁ……
でも、食べ過ぎると体重がアレだし……でも、毎日運動してるから……」
「あなた、割と独り言が多いのね。」
「えっ!?ご、ごめんなさい……」
「ううん、いいけど。……ふふ。」
「……あの子供たちは、しっかりしているな……」
「ああ。」
「双子だそうだ。」
「わかるさ。よく似てるぜ……」
「……えヘヘ……」
「ん?どうしたミレイユ?」
「なんでもないよ。書いた人から、この箱に入れてくださーい。」
Q2-3 あとはおまかせ
story2-4 投票の結果は
「……うぐ……ぐぐぐぐう…………ぐあ……ファ!?
「オマエなあ……
「あ、終わった?
「うん。
「……はぁ。
「どんな?
「お化け屋敷とプラネタリウム、二つの案に絞って投票をしました。
「で?
「四対三で、お化け屋敷に決定です!
「……ガキっぽくね?
「そうなるだろうな。このクラスには子供が多い。
「ま、そ一ね。しゃ一ないか。
「…………
「ほんじゃ、それでクマ公に伝えとくわー。
「「「「…………」」」」
***
――学長室。
「どうぞー。」
「失礼いたします。カズノコ組の企画をまとめました。」
「ハイハイ、拝見いたします――って……これ……ホンキですか……?
「何か問題でも?」
「……ガチ?」
「クラスの総意です。」
「ハァ……まあ…………イヤ、でもですね……」
「失礼いたします。」
「あっ、ちょっ!シャルロットさん!」
「……これは…………よくありませんよ……」
story3-1 またもや会議
一方、イクラ組では――
「さて――話し合おう。
「…………」
「…………」
――二人は思った『この、クラス話し合い多っ!』
文化祭といえば、校内だけでなく、外部にも向けた、その学校のアピールの機会と聞く。
入学早々の我らに文化祭を命じた意図は不明な点もあるが……
決まったからには!手を抜くことは許されない全力で盛り上げよう!
お~っ!!!
…………
全力投球には全力で同意よ!学校―番の出し物にしましょう!
お~!!!
ゲオルグ殿の心意気やよし!我ら<鬼退治>の一族も、全霊をもって助力いたします!
はっ!
おっおお~!!
「皆……ありがたい!姫様!
「えっ!?
「アイディアを!
「えっえっ!?
「自分に出来るのは、あくまでとりまとめまででありますゆえ!
「…………
「……ゲオルグ。
「なんだ? バイパー殿。
「そこでエクセリア単独に振るのはよせ。
「そーよ、そこをみんなで話し合えばいいんだから。
「……たしかに……!
「申し訳ありません姫様。このゲオルグ、いささか気が急いておりました。
「ううん、ちょっとびっくりしただけだから……
「では、あらためて、ここから議論としゃれこみましょう~♪
「おっおっお~♪
(……いいチームワークだ。この面子には、心配はいらないかもな……)
――というソウマの安堵とは裏腹に!
会議は破裂した!
Q3-1 会議は破裂
story3-2 意見百出
「――ダメだダメだ!仮装喫茶なんてありきたりだ!
「そこをあえてー周まわってでしょ!?
「うさぎさんたちのラインダンス~♪
「お待ちください!それでは主役がうさぎになってしまいます!
「ならばドラゴンでは!?
「論点はそこではないかと!
「おかしやさん!
「俺の腕はパティシエ級だぜ!
「わ~い!
「待ってくれ!甘いものが苦手な者はどうなる!?」
「「「「「▲※■○×▼○♪※◇」」」」」
「……ええい! これではまとまらん! ならば多数決だ!
「異議あり!」
「ぬう!?」
「多数決などと!―見民主主義風味の、みせかけの公平だ!
そんなものは尖ったアイディアを絶滅させる、悪しき風習だ!」
「悪しき風習!」
「改革こそそれを断ち切る術!バイパー殿の考えに賛同いたします!」
「そっかな~?習慣ってさ~、それなりに意味もあると思うんだ~。」
「こねこね、こねこね~♪」
「あらツキミさん、おだんごですか?」
「いきなりこねないでいただきたい!」
「俺の腕はパティシエ級だぜ!」
「バイパー殿ぉおおお!!!」
「…………」
「…………」
「! あんたは……」
「…………」
「あたしもおだんごこねるんだ一!ラッキー・こねこね~!」
「なるほど……シズク。今日の昼飯はぜんざいでどうだ?」
「よいな。」
「あら、イサミさんお上手~♪いい手つきですね~♪」
「『こね』の本質も鍛練と同じ。自分と向き合うことですから。」
「なにっ!? これも鍛練なのか!?ならば……ツキミ殿は、武の達人?」
「俺も達人だぜ!」
「君はなにかと乗っかってくるな!?」
「ヘイヘーイ♪」
「ウォウウォーウ♪」
「楽しい連中だろ?」
「そうは思いません。」
「あっ……」
「ねーっ!!!みんなー!!!脱線してるよーっ!!!」
「「「「「▲※■○×▼○♪※◇」」」」」
Q3-2 終わりなき脇道
story3-3 決まれば一瞬
……まったく。廊下まで響いてましたよ。何やってるんですか……
ソウマさんもですよ。こういうとさのための担任じゃありませんか。
「めんぼくない……
「申し訳ない……!全ては、学級長である自分の責任。
いかようなりとも処罰をお受けします!
「い、いや、そこまでのことでもありませんけど……
…………ゲオルグさん。ちょっと学長室までいいですか?
「はっ。
「では……ソウマさん。あとお願いしますよ。
「はい。
(……怒られちゃったね……)
(調子に乗りすぎたな)
(がっきゅーちょー、お説教かな?)
(どうだろうな)
「はぁ……それじゃあ、学級長抜きで決めよっか。
「そうですね……あの、私、思ったのですが。
「なあに、姫様?
「みなさん料理がお上手ですし、飲食店の方向性は合ってるのではないでしょうか。
「エクセリア様の言う通りですね。及ばずながら私も、料理ならば心得がありますし。
「おぉ~? じゃあ、なんのおかしにするか決めればいいんだね~♪
「ツキミ殿が本職のおだんご屋にございますが……
「えっと……でも、本職だから、みんなでやるのとはちがうかな~? って。
「配慮ある意見、さすがにございます。
「それはほめすぎですよ~♪
「なら、甘い物から離れるか。
「えぇ~!?!?
「よく考えて、マール。甘い物だったら、他の人が出してる店で食べればいいじゃない?
「あっ、そうなの~?
「ええ、むしろその方がよいかと。
「なら、わかったよ!だんちょーのおもいでおかしはやめよ~!
「となると……
そ「…………
「お好み焼きだな。
「ええ。
「だね。
「異議なし。
「同意します。
「そうなっちゃうよね。
「そうなるでしょうね。
そ「えっ!?
「ソウマ。決定した。イクラ組の出し物は、お好み焼き屋だ。
「そっ、そんなあっさりでいいのか? いや、いいならいいんだが……
「満場一致いたしましたゆえ。
「……わかった。なら、お好み焼き屋で書類を提出しておこう。」
(きっと、議論してるうちになんとなく気持ちが通じ合ったん……だろう……)
story4-1 垣根を越えて交流
Q4-1 廊下で井戸端会議
story4-2 友達たくさんできるかな
Q4-2 それぞれの課題
story4-3 秘密の購買部
story5-1 学長面談
Q5-1 誰も知らぬ『場』
story5-2 遥かなる魔法少女
Q5-2 学園を取り巻く噂
story5-3 二人の懸念
Q5-3 忍び寄る謎
story5-4 マリ:二日目を終えて
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