【黒ウィズ】エターナル・クロノス3 Story5
story 想い出のバナナパンケーキ
今起こっていることをわかってくれましたか。
この事態を引き起こした原因が失われてしまった。微妙に変化する繰り返しで、同じことが起こらなくなっている。
ええ〈黄金のー日〉とは、現在の状況を生み出す原因となった一日のことです。
君は、原因を知るためのヒントがないのか、とセティエに尋ねる。
その原因となったー日と出来事がー致しなければ、それが特定できないのです。
君は、自分の胸の奥に、新たに生まれた疑問について尋ねる。
出来事が一致するのはどれくらいの頻度なのかと。
貝殻を海に投げつけた時の水しぶきは、何回投げれば、最初の一回と一致するのだろうか。
彼女の得意分野だからか、アリスが一番最初に声を上げた。か弱く気落ちした声だった。
それを待っている間に、時間は死んでしまいます。
明日がそうならないとは限らないでしょう。
アリスは力なく椅子の背もたれに倒れ掛かる。彼女の落ち込みようを察知してか、エリカはアリスの膝の上に乗る。
慰めのつもりなのだろう。
君も近くの椅子に腰かけた。急いでやるべきことは何もなかった。いや、できることが何もなかった。
何か原因を特定できる方法があれば……。
だがそんなものはない。それは、みんなわかっていた。
沈黙が続くなか、セリーヌが控えめな声で呟いた。
劇的な効果は見られなかったが、みんな素直にその提案を受け入れる。
気まずさをやり過ごすには、食事するのが一番である。
待ち構えていたように、エイミーが準備を始める。いや、もうずいぷん前から準備を始めていたのだろう。
配置されるティーとお菓子。
とだけ言って、エイミーは奥へ去ってゆく。従順さを崩すことのない彼女なりの叱咤なのかもしれない。
ワゴンを押して戻って来たエイミーは、パンケーキのプレートを君を含めた数人の前に置くと、再び引き返していく。
目の前に置かれたパンケーキの香りが君の鼻腔をくすぐる。君は思わずプレートを見つめた。
頭に浮かんだ何かを確かめるために、慌ててパンケーキを口に放り込んだ。
このパンケーキがユッカの好物なのか、と改めて一同に尋ねた。
ユッカの「おすすめ」の食べ方だよ。
君はセティエとカヌエにすぐにパンケーキを食べるように促し、自分のプレートを差し出した。
ワゴンを押して、追加のパンケーキをエイミーが運んでくる。
と君たちが急いて食べ始めたことに、エイミーは軽い驚きを見せる。
君はこのパンケーキの昧が、ここで食べたものと同じだとエイミーに伝えた。
本人の話では、ここのパンケーキを食べたことは一度もないらしい。
君は奇妙な違和感を覚える。何かがおかしいという感覚があった。
エイミーは、パンケーキを食べたことがある。と君は呟いた。
と君が呟いた言葉にエイミーは律儀に答えた。彼女は嘘をつくようなことはしない。もしそれを覚えていないだけなら?
君はセティエの顔を見た。彼女も何かに気づいたようだった。
それが持ち越されている。
何かに閃いたように、セティエが快哉を上げた。
時を司る女神たちには何かがわかったようだった。君にはまだ違和感だけしかなかった。
線の関係ではありません。環の関係です。未来の出来事が過去に影響を与えることはあります。
エイミーは緬り返しの中で、パンケーキを食べて、その味を元に自分のパンケーキをつくっている。
ここが全ての始まりの場所になっている。全ての原因がここにあり、全ての過去がここを元にして再構成されている。
皆さんが、過去の出来事だと思っていたユッカさんとパンケーキの思い出は、実はこの事件を経た後の記憶です。
いま、時間はここにしかありません。ここで行ったことは、過去にも未来にも影響を与えています。
過去と現在と未来が交じりあう今なら、そういうことがありえるのかもしれない。
そこにヒントがあるはずです。皆さん、ユッカさんとの思い出を教えてください。
マシな思い出と言われて、皆、う一んと腕組みをして、頭を突き合わせてしまった。
その場は沈黙に包まれる。
アリスが遠慮気味に切り出した。
「「「「それだ!」」」」
どうやら、指針らしきものが見つかったようだと君は安心する。ふと隣のセリーヌを見ると。
平和そうだった。
story ‐1 絶級 目指せ時計塔!
君たちは、ユッカが初対面のアリスに対して「会ったことがある」という発言を、ひとつの指針とすることにした。
それが現在と過去と未来の混じり合う〈結束点〉、つまり最初の一日に起きたことではないか、と推測したのだ。
E要するに、アリスとサマーを会わせればいいんですね。
アリスとサマーを会わせる、という目的を達成するために、君たちはいつもの店に向かった。
サマーがパンケーキを食べる、あの店である。
と、サマーの侍女を装っていたセティエが自信を持って答えた。
今が、正常な状態です。
時界の監視者である彼女には、いくつかの特別な能力があるのだという。
そのひとつが、サマーの侍女としていた時のように、存在を紛れ込ませる能力なのである。
店の前に着くと、アリスはそう言って微笑んだ。
親友に会うことに、時間を元に戻すためのヒントがある。
もし自分がそんな立場に置かれたら、確かに妙な緊張をしてしまうかもしれない。
体がむず痒くなってしまうそんな緊張。
君は「だーいじょうぶだから」とアリスを励ました。
ウィズに指摘されて、君はしまったと思う。
どうやら神の影響力というのは、相当大きいようだ。
隣でにょほほと笑う神を見て、君は自分を戒めた。
扉を押して、店の中に入る。いつも通りなら、サマーはそこでパンケーキを食べているはずである。
店の中はいつも通りである。フライパンの上で油が弾ける音。包丁がまな板を叩く音。
そして、心地よいパンケーキの甘い香り。
当然あるべきものは全てあった。だが肝心のものがなかった。サマーがいなかった。
遅れているのかな?
しかし、いくら待ってもサマーは来なかった。
そう言う彼女自身が、あまり釈然としていないようだった。
ぽつりとカヌエが呟いた。相変わらずの凧々とした物言いだった。
どういうことですか?
カヌエの話では、緑というのは、例えアリスとサマーのように時間を隔てた関係でも、少なからず必ずある。
だが、サマーとアリスにはまったくなかった。それは不自然なほど。
誰かが切った。たぶんソラだろうね。
〈黄金のー日〉だよ。……ぬへへへ、〈黄金のー日〉だって、むず痒い。
カヌエの言う通り、誰かの作為があるということは、そこにはなんらかの目的があった証拠だ。
疑う理由は充分にある、と君は思った。
君は、それならソラに頼むことは出来ないのか、とカヌエに尋ねた。
それに、サマー同様にソラが事件の核心に関わっていることは明らかである。
だが、カヌエは首をぷるんぶるんと横に振って、君の意見を否定した。
どっかに消えちゃう前から、ブツブツ独り言を言うようになってたしさ。
どうやら、その方法は取れないようだった。思い出したように、ウィズが言った。
君はウィズの意見に同意する。
以前、マニフエとしてウォーター戦に参加した時に、マニフエの御子ホリーと会つたからである。
それなら、ヴィジテとして参加し、時計塔まで炎を運べば御子であるサマーと出会えるかもしれない。
今は、サマーが来ないだけで済んだけど、もっと荒々しい運命もある。ちよつと気を付けた方がいいよ。
ま、だーいたいだいじょぶなんだけどね。
story
君は時計塔を目指していた。君だけではないアリスも一緒だった。
ウォータ戦で炎を時計増に持ち込んだ者は、直接御子に炎を渡す。
それならアリスを時計塔まで導けば、サマーはアリスと会わなければいけない。
走りながら、アリスは君に尋ねる。それはもっともな意見だった。その可能性は捨てきれない。
だが。
その時は、また別の方法を探す。何度でも何度でも、繰り返すだけだ。とアリスに伝えた。
笑い話にしているが、本当は笑えないことだ。けどこういう時こそウィズはよく笑う。
色々な場面で、苦しい時、辛い時、ウィズは笑った。今もその笑いだった。
アリスの隣を浮遊しながら、エリカはそう言った。
最初は不安混じりに、もう一度言った時は強い決意が見えた。彼女も、少し吹っ切れたのかもしれない。
どうですか、魔法使い?あなたも黒猫と縁を切って、エリカとコンビを組むのは?
魔法使いと黒い少女エリカ……。どこかの物語にありそうな題名ではないですか?
君は遠慮しておく、とエリカに告げた。
そんな、君達の行く手を阻む影がある。
人は皆! あたしのことをこう言う!「勝ち方を知っている女」と!
微妙にふたつ名が変わっているが、そのまんまなのは変わっていなかった。
ともかく、今の彼女は敵である。炎を消されるわけにはいかない。
この炎は、希望の炎なのだ。あの時計塔に、この炎を届ける。あの時計塔に。
君は、ヨッココに向かい、―歩前に出た。
***
時計塔の最上階。ウォーター戦の参加者がたどり着きたいと願う場所である。
そこにヴィジテとマニフエの御子が揃っていた。
ふたりはともに祝福を与えるべき勝者の豊場を待っているのだ。
サマーは対となる少女。マニフエの御子であるホリーに声をかける。
ただ、こうしてお祭りを離れて、何かを待っているのが、とても面白いなと思ったんです。
本当に何かが訪れる気配を感じてしまいそうです。
私は、頑張っているみんなの傍にいられないことが、少々苦痛です。
ふたりは同時に言い終わり、ふたり一緒に笑い始めた。
story
ヨッココ率いるマニフエのインテルディの戦いは防衛というよりも攻撃のようだった。
熱く、激しく、前へ前へとこちらを押し込んでくる。
通り抜けられる前に、炎を全て根絶やしにしてしまえという考えだろうか。
激しい攻勢の前に、君も建物の影に隠れ、彼らの攻撃をやり過ごすしかなかった。
一歩も前に進むことが出来ない。君は傍らのアリスを見やる。
どこか抜け道があれば……。
アリスもここを抜けることが難しいと理解しているようだった。
彼女の言うように、どこか抜け道があれば……と君はあることを思い出す。
「ヴァイオレッタが悪いんだ!ヴァイオレッタが守っていた方面から大量に通過者がでたんだ!」
ヴァイオレッタが防衛していた方面から抜けられるかもしれない、と君は答える。
そこがマニフエの防衛線の穴だ。
誰かが注意を引いて、アリスが迂回する時間をつくるにゃ。
それなら自分が、と君が言うとエリカが小さい手をチッチッチとゆっくり左右させた。
きっと前世は囮だったのでしょう。
そんな前世であってたまるか、君は思う。囮って前世なのか、そもそも。君の反応を待たずにエリカは続ける。
くるりと一度体を回転させて、エリカは体をすぼめ、精神を集中し始めた。
両手と両足を一挙に広げ、よくわからない負の感情を解き放つ。
光が拡散し、まばゆさが過ぎ去ると、そこには闇の同志がいた。
現れた〈バグ〉たちが騒ぎ出す中、ただひとり鋼鉄の騎士アムドはその場の様子を見ていた。
君はアリスの手を取る。エリカたちでも作る隙はほんのわずかだろう。その隙を逃したくない。
エリカたちはがやがやと騒がしく突撃していった。
さすがマニフエのインテルディたちも、その考えのない突撃には面食らったのか、統率が乱れたようだった。
すかさず君はアリスを連れて、路地に向かう。
遠ざかってゆく君の背中を見て、アムドは呟いた。
そう言われアムドは、悲しそうに黙った。
***
考えていた通り、そこは前へ出るマニフエのインテルディたちがいなかった。
ただの一本道だが、侵入するにはかなりの迂回を強いられるため、攻撃しつつ前に出る彼らにはどうしても盲点になるのだろう。
時計塔!近い!
時計塔の入り口に突入し、階段を駆け上がる。最上階にいるサマーに炎を届けるために。
アリスとサマーが出会う運命の中に、何かがあった。
この歪な時間世界が生まれてしまう何かがあった。
それがこの後に訪れる瞬間だったかもしれない。
君たちは階段を上り切り、御子が待つ部屋に繋がる外廊下へ出た。
暗い時計塔の内部から、太陽の真下に飛び出したかのように錯覚するほどの熱気が君に襲いかかる。
眩章。感じの良くない眩車をまた感じた。足を止めた君をウィズは心配そうに見た。アリスは気づかずにその先を走っている。
何かを忘れている、と君は思った。 前に眩章を感じた時、起こったことは……。
君の耳にどさりという音が思い起こされる。肉の落ちる音だった。
「時計塔の改修に向けて、ご協力をおねがいします。時計塔の外廊下は老朽化が激しく、改修は必須なんです。」
老朽化。外廊下。
「わわわー!」
アリスの声。上から聞こえた声。
そうだ、アリスが落ちてきたんだ。あそこで、時計塔の下で。君はハッとして前を見た。
目の前を走るアリスの背中がある。外廊下のー部が崩れ、アリスが落ちていく。
「今は、サマーが来ないだけで済んだけど、もっと荒々しい運命もある。ちょっと気を付けた方がいいよ。」
時間の進み方が遅く感じた。ゆっくりとアリスの背中が消えていく。動けと願うが、君の手も足も動かない。
時間はゆっくりと進んだが、君は何することも出来ず、ただアリスが落ちていくのを眺めていた。
その声が君の金縛りを解いてくれた。
君は傍に立てかけられた棒を手に取り、アリスの後を追い、時計塔から飛び降りた。
story
落ちてゆく感覚は独特だ。
足場を失った瞬間は本能的に怖さを感じる。それを過ぎると、重力に導かれるような気持にさせられる。
導かれ、正しい場所に向かつているとさえ悪う。間違いではないはずだ。
重力は常に正しい。逆らうことができないほどに。重力は、物が下に落ちるという未来を変えない。
アリス・スチュアートは落ちている間、記憶と戯れた。
初めてユッカと会った時の事。
「こんにちは、アリスちゃん。私はユッカ・エンデ。時計塔の整備士をやってるの。」
「う、うん。……よろしく。私、アリス。」
「あれ? アリスちゃんと私って……どっかで会ったことある?」
「え……?」
ふたりでニューイヤーパーティーを準備したこと。
「油断してたらニューイヤーパーティー?」
「そう。ほら、ティータイムでも、作業しながらまだかな? まだかな? つて待ってるよりも、
ティータイムだよー!って急に呼ばれた方がうれしくない?」
「そうかな……?」
時計塔をー緒に救った時の事。
「でも、時を正常に戻すことは大事だよ……。」
「そんなことわかってるよ。でも、ミュウちゃんを消すなんてできないよ。それに……。
私がこの事件の犯人なんだよ。」
「それはちがうよ、アリスちゃん。」
「何もちがわないよ……。」
「ううん。全然ちがうよ……。それが私やエイミーだった可能性もあるんだよ。」
だから、自分だけのせいにしないで。
ユッカが風邪をひいた時の事。
「あと……もしかしてユッカちゃん、風邪ひいてる? なんかいつもと声が違う気がしたけど?
ユッカちゃん?」
「だ、大丈夫。ユッカ、バカだから風邪ひかないよ。」
「……ホント? 声、ガラガラだよ。オバサンみたいだよ。」
いろいろな事を思い出した。そのひとつひとつが黄金に輝く時間のようだった。
〈黄金のひととき〉だった。
「ユッカちゃんが私とあったことがあるって、どうしてそう思ったの?」
「直感だけどね、光景が思い浮かんだんだよ。」
これはどこの記憶だろうか。過去の想い出だろうか。でもそれは自分の知らない過去だろうか。
新たに生まれつつある、過去だろうか。
「たぶん季節は夏でね。匂いがしたの、ほら夏の夜の匂いって独特でしよ。でね場所は水辺。それで光がいっぱい浮かんでいるの。
すごい綺麗な光景だよ。」
彼女が言っているのは、祭りの〈火送り〉である。矛盾している。ユッカとサマーが混ざり合っている。
これは自分たちが探している〈黄金の一日〉に関係している記憶なのか。自分とサマーが出会った時のこと。
アリスは恐る恐る問う。
「そこで何か起こったの?」
「……あんまり良くないこと、かもしれない。」
その記憶を思い出すのは、ユッカにとって苦痛のようだった。眉をひそめ、頭を抱えていた。
「どうして?」
伏せていた目をこちらに向けてユッカは言った。
「だってアリスちゃんが死ぬんだよ。」
「……え?」
「アリスちゃんはサマーを守ろうとして、死ぬんだよ。だからサマーが時間の尾を結んだんだよ。
サマーに会ったら、アリスちゃんは死ぬ。それでも会うの?」
知りたくない事実がアリスの背筋を寒くさせる。〈黄金の一日〉で起こるのは自分の死だった。
でも、その事実を他の誰かに伝えることも出来ない。
自分は重力に導かれ、未来へ向かっている。物は上から下に落ちるということ。あの高さから落ちたら人は死ぬということ。
因果律は必ず守られるということ。原因があれば、結果が起こるということ。
結果とは自分の「死」なのだ。自分は地面に叩きつけられて死ぬ。
***
アリスの目元がわずかに動いた。君はアリスを抱え、日陰の方に向かう。
日差しの眩しさを少しでも和らげようと思ったのだ。
ベンチの前に着く頃に、アリスは目覚めた。
君はアリスをベンチに寝かせると、君は事の次第を彼女に聞かせた。
持っていた長めの紐を棒に巻き付け、時計塔の装飾にひっかけ、飛び降りたのだ。
そのまま、落ちてゆくアリスに追いつき、彼女の身体を捕まえることに成功した。
長めの紐を掴んでいたおかげで、地面に激突する前になんとか避けられたのだった。
猫はそうでも、人の体にはなかなかこたえる高さだった、と君は腰を抑えながら言った。
観客に混じっていた仲間たちが、落下したのが君たちと知って、駆け寄って来た。
知らないなら聞かないでほしい、と君は思う。
それにしても、長めの紐はともかく、あんなところに棒があってよかった。と君はウィズに言う。
あれがなければ、紐をかけることができなかった。
君は地面に落ちている例の嘩を手に取った。杖の割りには飾り気のない無骨な棒だった。一体何の棒だろう、と君は思う。
君がまじまじと棒を見ていると、その様子に気づいたステイシーが何気なく言った。
どうしてそう思つたのかと君はステイシーに尋ねる。
そんな暴論を、と思う君の肩をつんつんしてくる者がいる。たぶん神だと思った。
悔しいがたぶんそうなんだろう、と君は思った。
ふと、落ち着きを取り戻したアリスが、君を見つめていることに気づく。
〈黄金の一日〉がわかったかもしれません。思い出したんです。ううん、違う。
ユッカちゃんが教えてくれたんです。〈火送り〉の時です。その時に、私はサマーと出会った。
本当ですか。
そこで何があったの?と君はアリスに尋ねる。
アリスは少し困ったような苦笑いを見せた。
みんなが、息をのんだ。アリスの頬につたう涙が、その場の時を止めたようだった。
アリスは自分が泣いていることがわからないのか、そのまま言葉を続けた。
いつもの、エターナル・クロノスに戻るんです。元通りに……。
だから……私はサマーに会います。
涙が流れてても、彼女の声は普段と変わらない。いや、変わらないように思えた。
夕日が空を焼き、夕闇が広がり、夜が来る。
時が来た。
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