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【黒ウィズ】ユッカ&アリス(謹賀新年2016)Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

開催期間:2016/1/1 ~ 1/12 15:59



story1 パーティの出しもの



「油断してたらニューイヤーパーティー?」


「そう。ほら、ティータイムでも、作業しながらまだかな? まだかな? って待ってるよりも、

 ティータイムだよー! って急に呼ばれた方がうれしくない?」

「そうかな……?」

「だからさ、急にニューイヤーだよー!ってパーティー始めるの!」

「急にニューイヤーになるの?」

「油断してて、気づいたら新年。あ、もう年越し?」

 パーティー? うれしー、みたいな?」


「そんなうかつな人いないよぉ。」

「うーん。そう言われてみると、そうだね……新しいと思ったんだけどな。」




 時を司る時計塔エターナル・クロノスには娯楽が少ない。

 時計塔で働く者の常として、時間の正しい管理のため、羽目を外すことは出来ないのだ。

 娯楽らしい娯楽はなく、必ず時間通りに行われるティータイムだけが、楽しみ――

 という者も少なくない。


「年に一度の大イベントだもんね。」

「出来ればすごいものにしたいよね。」


 だが、それではいけない、という時の女神イレーナの提案により、

 ユッカとアリスは生活向上主任に就任することになった。


 そして、今回のニューイヤーパーティーが彼女たちの最初の大仕事となるのである。


 いやがうえにも、肩に力が入る。

 なんとしてもパーティーを成功させたい。

 彼女たちはそのための、最後のピースとなるものを探していた。


 パーティーの目玉となる何かを。


「うーん。やっぱりここはみんなの意見を参考にした方かいいんじゃないかな?

 その方がみんな喜んでくれるだろうし。」

「そうだね………みんなの意見を聞いてみるか……。」


 ***


 時の3女神に意見を聞いたところ――



「私は皆さんの自主性にお任せします。」


「ウチは急にパーティーが始まった方がうれしいな。

 そうだ!いきなりニューイヤーパーティとかどう?」


「とりあえず、ティータイムにしましょうか?」



「……なんの参考にもならなかったね。ステイシー様のアイデアもちょっとね………」

(ユッカちゃんも似たようなこと言ってたけどな……)


 ニューイヤーパーティーのアイデアに進展は見られなかった。



「アイデアと言われても……申し訳ございません。お力になれず……。

 ですが、料理のことはお任せください。腕によりをかけて作りますので。」


「普通にやりなさいよ。普通に。これだから子どもは……。」


「わ、私はふたりが考えたことならなんでも楽しいと思う………」


 ***


「うーん……むずかしいなあ。」

「なんかないかなあ……。」


 迷走する二人に、ひとつのきっかけをもたらしたのは、ルドルフの一言だった。



「そうですな。ならば吾輩の発明品をずらりと並べそれを眺めながらのパーティーはどうですかな?」

「却下。」

「そ、即答………」


「そうだよね、そんなの見ても面白くないもんね。」

「そんなの………失礼ながら、吾輩が造る機械の仕掛けはまさしく芸術ですぞ!」


「仕掛け?……これ、使えるかも。」

「どうしたのユッカちゃん?」

「時計塔に大きな仕掛けを作るんだよ。それで新年を迎えると同時に、その仕掛けが動き出すの。

 バーンって、音楽とか鳴って、お祝いするんだよ。」

「それ……いい! すごくいい! それいいよ、ユッカちゃん!」


「よし、じゃあルドルフ行くよ!」

「へ?どこへ?」

「機関部だよ……大掃除しなきゃ!」



 ***




「皆さん、悲しいことか起きました………と、エリカはおごそかに切り出します。」



「是……。」

「無念!無念!」


 アムドはただ様子を見ていた。



「せっかくのパーティーだというのにアリスもユッカもエリカをないがしろにしています。

 エリカの「エ」はエターナル・クロノスの『エ』であるにもかかわらず………」


「是!」

「エの字!エの字!」

 アムドはただ黙っていた。


「彼らに思い出させてあげないといけませんね。

 エリカの仕事が、人の幸せにけちをつけることだということを!」


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story2 カウントダウン、その時に



「エイミー、それは何を作っているの?」


「これですか? これは煮詰めた血色の豆に甘味を加えたものでございます。」

 これでライスを包んだ魔界のお菓子があるのでございます。」

「ら、ライスを? 魔界ってすごいところなんだね。」


「わたくしの生まれ故郷に近いところの銘菓で。〈ダークサンブラッド〉と言います。」

「へえ、楽しみ。」


 一年という時間の区切りを迎えつつあるエターナル・クロノスはにわかに色めきたっていた。

 エイミーはいつも以上に、料理の腕を振るおうと張り切り、


「ちょっと!なんでわたしだけが整備作業してるのよ!

 ルドルフちゃんも、ユッカのバカもパーティーの準備とか、なんなのよ!」


 ヴァイオレッタはいつも以上に、整備の仕事に忙しかった。

 いや、働かされていた。



 当のユッカとルドルフはというと、時計塔の機関部にこもり、最終確認を行っていた。



「どう?順調?」

「吾輩にかかれば、このようなもの造作もないことです。所詮、ただのからくり時計ですからな。」

「ということは……準備万端だね!」

「そうですな。」


「よし。じゃあ戻ろう。」

「承知いたしました。」

「ところで、ルドルフ? あれは出来た?」

「は?」

「私の新作ハンマー。」

「ああ、あれですか………あまりかんばしくないですな。……ちょっと無理というか。」


「やっぱりしゃべるハンマーはダメか……。」

「あと、飛ぶのもむずかしいですね。……というかそれってもうハンマーではないですぞ。」


「ちょっと別案考えるか。」

「現実的な案をお願いいたします……。」


 ***



 その日の夜から始まったパーティーは午前零時が近づいた頃、山場を迎えつつあった。



「皆さん、注目してください!そろそろ時計の針が零時に近づいてきましたよ。」

「今回はみんなで一斉にカウントダウンを行っていただきます。」

「そしたら、私とユッカちゃんが用意したとっておきのサプライズが起こりますよ。」


「へぇ、なんだかおもしろそうだね。」

「もう充分楽しいパーティーなのに、ふたりとも本当に頑張りましたね。」

「こんなパーティーなら毎日あってもいいかも。」


「おっと、おしゃべりはそこまでですよ。」

「あ、そうだ。皆さん、カウントダウンです。カウントダウン。」



 一同はそろって大時計の針を見た。その針は年明けへの時を一秒一秒を刻んでいた。

 みんな、声をそろえて、その刻まれる時間を読み上げた!


「さーん!」


「にー!」


「いーち!」


「ぜー!……あれ? 時計が止まった?」




 と、同時にパーティー会場の部屋の扉が開け放たれ、大量の〈バグ〉と共に、エリカがその場に乱入してきた。



「ふっふっふ! そこまでです! 本当のサプライズはここからですよ!」

「是!


「時計塔はエリカと闇の同志たちが占拠させてもらいました。と宣言します。」

「占領じゃ!占領じゃ!」


 アムドはその場の様子を見ている。


「悔しかったら、エリカと終わりなき宴をしなさい。

 エリカか満足したら、年を明けさせてあげます。とにやりと笑ってやります。」



「もうエリカ!なんてことするの!」

「こうなったら整備班の全力をあげて、事態を収拾してみせる!」



 ***



 パーティ会場での戦いを終え、一同がその場を

 見渡すと、すでにエリカの姿はなかった。



「もう! 逃げ足速いなあ………」

「まだ時間が動いてない………」

「きっとエリカが何かしてるんだよ。」

「それなら追いかけるしかないね。行こう、アリスちゃん!」


「ウチたちも手伝うよ。エリカたちをぎゃふんと言わせてやらなきゃね。」

「そうだよ。こっちはもうプンプンしてるんだから。」


 加勢に名乗り出た一同をたしなめるように、ユッカは首を横に振った。


「だめです。これはパーティーの責任者である私たちの仕事です。」

 皆さんはもてなされる側なんです。ここは私たちに任せて、ゆっくりしていてください。」

「そうです。ユッカちゃんの言う通りです。私たちに任せてください。」


「……そうですね。今回は、ふたりに任せましょう。ただし、その時間に限りはありますよ。

 問題が大きくなるようなら、有無を言わさず、我々が介入します。」


「はい!」

「じゃあ、行ってまいります! ヴァイオレッタ! ルドルフ! 行くよ!」



「は?」

「え? 吾輩たちも?」


「だってふたりは整備班だし。違う?」


 (そこは譲らないんだ……)


 そして、ユッカたちはエリカの後を追い、部屋を飛び出していった。



「アリスちゃん、ユッカちゃん……頑張って。

 にしても、あの子たち、成長してるんだね。」

「……そうですね。」

「ほんと、頼もしい。ねえ、エイミー?」


「…………。」


 (誰?)


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最終話 時よ、止まるな!



「ユッカちゃん、後ろ!」

「そこか!」



 アリスの指示に合わせて、ユッカは振り向きざまに、ハンマーを横に振り抜く。

 彼女の背後に忍びよった〈バグ〉を打ち落とした。


 それでも、そこらじゅうには〈バグ〉たちがけたたましい羽音をたてながら、飛び交っている。


「やっぱり、エリカを見つけてなんとかしないと……。」

「でもこれじゃあ………」


 目の前の〈バグ)たちは幾重もの壁となり、ユッカたちの行く手をさえぎっている。

 そうやすやすと、その壁は抜けられそうになかった。


「仕方がないわね………ねえ、ルドルフちゃん?」

「マダム……ちょうど吾輩も同じことを考えておりました。」

「ユッカ、アリス。ここは私たちが引き受けたわ!先に進みなさい。」


「ヴァイオレッタ………あなたたちだけじゃ………」

「ユッカちゃん……ふたりの言う通りにしよう。いまは急いだ方がいい。」


 ユッカはうつむき、しばらく考えて、顔を上げた。


「……うん。ヴァイオレッタ、ルドルフ。ここをお願い。」

「主任にそう命令されちゃ、断れないわね、ルドルフちゃん。」

「……ですな。」


「さあ、私たちが道を開くわ。その隙にここを抜けなさい!」



 ヴァイオレッタはありったけの銃弾を放ち、〈バグ〉が作る壁に風穴を空ける。

 そこヘユッカとアリスは間髪入れずに飛び込み、包囲網を抜け出した。


「ヴァイオレッタ!無理だけはしないでね。」

「……ユッカ。ほんと、バカな子ね。」



「……それにしても、この後どうしようかしら、ルドルフちゃん?」

「……完全にノリで言ってしまいましたな、マダム。」

「……逃げるしかないわね。」

「……ですね。」



 ***




 時計塔の機関部にエリカはいた。


 追い詰められたというよりは、待ち構えていた。

 そんなふうだった。



「ほほう。どうやらエリカを止めるのは、あなたたちふたりですか。

 少々物足りないと、エリカは断言します。」


「エリカちゃん。わたしたちが物足りないかどうか……。」

「やってみなくちゃわからないよ。」


「まあ、口ではなんとでも言えます。まずは実力を示しなさい。

 いでよ、我が闇の同志たちよ!」



 エリカの呼びかけとともに〈バグ〉たちが現れ、一斉にユッカたちに襲いかかる。


「アリスちゃん……行くよ。」

「うん。私たちの手で新しい年を取り戻すんだね。」

「さあ、来い!」



 ***



 激闘は終わり、エリカはしこたま叱られた。



「しくしく。しくしく。しくしくのしく。……エリカはただ、寂しかっただけなんです。

 ニューイヤーパーティーだというのに、エリカはアリスたちの仲間に入れてもらえないし。

 特に意見も求められないし……悲しかったんです。

 エリカの「エ」はエターナル・クロノスの『エ』なんですよ。ひど過ぎる。

 エターナルひどいです。」


「そっか……エリカちゃん。寂しかったんだね。それなら、これからパーティをやりなおすから……

 是非参加してくれるかな?」

「ホントですか! エリカ、エターナルうれしいです!」

「じゃあ、改めてパーティーの再開だよ!」



(絶対、エリカ、ウソ泣きだったんだけどなあ………まあ、いいや)



 ***



 再びパーティーの会場に一同は集まった。


 時は止まったままだったが、元に戻す準備は整っていた。

 今度のカウントダウンは、時の再始動と新年を同時迎えるカウントダウンである。



「では、いきますよ!さーん!にー!」


「いーち!」


 すると、時計塔から仕掛けが出てきて、楽しげな音楽と共に動き出した。

 ユッカとアリスが企画したエターナル・クロノスのニューイヤー特別仕様である。

 その夜、その瞬間、時計塔の住民は見慣れたはずの時計塔を飽きずにずっと見上げていた。




「アリスちゃん!」

「ユッカちゃん!」

「やったね!大成功ー!」


 時計塔エターナル・クロノスの時は淀みなく流れ続ける。

 永い時計塔の歴史の中で、それはたった一年の時を刻んだだけに過ぎないかもしれないが………

 時計塔のふたりの少女にとっては、たった一年とは言えないなにかがきっとあったはずだ。



「……と、エリカはいい感じに語ります。

 いやあ、一件落着。エターナル幸せな感じです。

 めでたしめでたしです。」

「そうだね!」


(ユッカちゃん、だまされちゃだめだよぉ!)



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