【黒ウィズ】時詠みのエターナル・クロノスⅡ Story
2016/04/28 |
目次
story0 プロローグ
ある昼下がり……
君とウィズは仕事を終え、ギルドヘ向かっていた。
時計塔のある広場を抜ければ、すぐギルドに着く。
「簡単な仕事に少し時間がかかり過ぎたにゃ。
時間の無駄はよくないにゃ。私の昼寝時間が少なくなっていくにゃ。」
ウィズがそういうものだから、君は時計塔を見上げてみた。
ふと妙な違和感を覚えた。
この光景、前にも見たことがある……と君はつぶやいた。
「それは錯覚にゃ。そういうふうに目の前の光景に見覚えがあるのは全部、頭の中で起こる錯覚のせいにゃ。
たとえば時計を見た時の最初のー秒が長く感じるのも錯覚にゃ。」
君は時計を見ながら、確かにそうかも、と思った。
…………! というか動いてない!
「にゃ? 壊れているのかにゃ?」
違う! 周りを見渡して、君は事態を把握した。
自分以外の広場にいるすべての人々がまるで彫像のように静止していた。
「なんにゃ? まるで時間が止まっているようにゃ!」
さらに、街の時計塔を中心として、周囲の景色がめまぐるしく入れ替わっていく。
これはもしかして……。
そうだ前にも同じようなことかあった。あの時は……。
「上にゃ!」
「わわわッー! た、助けて!」
君はすぐに反応した。……。つもりだった。
ダメだ。ぶつかる……。
story1
あ、起きた! だ、大丈夫ですか?どこか痛いところはないですか?
目を覚ますと、目の前にはかつて工ターナル・クロノスで知り合ったアリスがいた。
君を心配そうに覗きこんでいた。
やれやれ。ようやく目を覚ましたにゃ。本当に心配させるにゃ。
またアリス様を助けて頂きありがとうございます。そして……。
工ターナル・クロノスヘようこそお出で下さいました。心より歓迎申し上げます。
それ、いま言う事かにゃ。
エイミーの言葉でふと冷静になって、周りを見てみると……。
たしかにそこは以前来た工ターナル・クロノスだった。
二人に会えたのはうれしいけど、またこんな形になっちゃったね。
いったい何か起こっているにゃ。またヴァイオレッタたちの仕業かにゃ。
今回は〈バグ〉が大量に発生したせいでこの時計塔が緊急停止しちやつたの。〈バグ〉? 聞きなれない言葉だと君は思った。
〈バグ〉は時間が流れていくことで生まれる澱みたいなものでね。
常に発生し続けるんだけど、―度にこれほど大量なのは初めてだと思う……。
いまユッカちゃんたちが〈バグ〉を退治しているけど、人手が足りなくって……。
アリスはその先を言うのをためらった。
ウィズはアリスにかわって君に問いかけた。
どうするにゃ?
手伝おう、と君は即答した。
ま、このままってわけにもいかないからにゃ。ところで、その子は誰にゃ?
その少女は黒い衣装の人形を抱えて、アリスの後ろに佇んでいた。
この子はミュウちゃんです。
あなたと同じで時空の歪みが起こったせいで工ターナル・クロノスに引き寄せられたみたい。
……ごめんなさい。
たしかに服装が他の人たちと少し違うように見える。だがそれ以上に……。
どこかで彼女を見た覚えがある。……気がする。
それもウィズの言う錯覚だろうか?それとも……。
ミュウちゃんが謝ることないんだよ。
自分のことや元いた世界のことならきっと思い出せるよ。心配しないで。
ミュウ様は記憶を無くされているのです。
と、エイミーは君に教えてくれた。
時空を移動することで、記憶に混乱が起こるのはよくあることだから、きっと一時的なものだね。
ともかく、ここが正常に戻らないと話にならないにゃ。
さっそく〈バグ〉退治に行くにゃ。
story1-2
君は時計塔の機構室めざして、時の回廊を進んでいった。
この先で〈バグ〉退治が行われているらしい。
にゃ!
見たこともない生き物が君の頭上をかすめてゆく。
いまのが〈バグ〉だよ。
変わった生き物にゃ。
〈バグ〉は時計塔のそこかしこに舞っていた。以前来たときは、こんなことはなかった。
そういえばどうしてこんなことになったにゃ?
原因はまだ現在調査中。それより早く時間の流れを回復させないといけないの。
このまま時間が止まっていると……。時間が死んでしまう。
血が止まったまま生き続ける人開かいないのと同様に、時間も死んでしまうのです。
なるほどにゃ。
ミュウちゃん。〈バグ〉が飛んできたらすぐ逃げてね。あいつら意外と強いから。
うん。気をつける。
あそこで誰か戦っているにゃ。
あれは……ユッカちゃんだ!
そう言ってアリスは嬉しそうに駆け出した。
……。
ユッカちゃん! お待たせ! 助っ人も連れてきたよ。
あ、目を覚ましたんですね。
ユッカと呼ばれた少女は君を見ると、安心したようにそう言った。
えーと、初めまして、ですけど、噂はアリスちゃんから聞いてますよ。
私はユッカ。時計塔の整備主任です。で、あっちが下働きのみんなです。
ちょっと、紹介が雑じやない!久しぶりね、黒猫の……。
君を睨みつけるヴァイオレッタの目は怪しく濡れている。
そしてもうひとり、復讐に目をぎらつかせる者が……
まさか再び相対することが出来ようとは。ヴァイオレッタ様、いまこそ復讐の時です。
吾輩ルドルフが助力いたしますぞ。
アンタたちのせいで誇り高き空族が下つ端扱いよ。
この恨み、どうしてくれようかしらん。
二人はいまにもこちらに飛びかからんとしている。
やる気にゃ!
君はすぐに戦いの柵えをとる。ところが……。
こーら!
ユッカが持っていたハンマーを振り下ろし、地面を叩くと……。
その場を小さな揺れが襲う。
……とんでもない馬鹿力にゃ。
いまそれどころじゃないでしょ!
ひい! 違うのよ。ルドルフちゃんがやれって言ったのよ。
私はどちらかと言うと反対だったのよ。
ヴァイオレッタ様、ご無体な!あなただってその気だったではありませんか?
ユッカ。ルドルフちゃんは頭がおかしいのよ。気にしないで。
ひどい!
目を離すとすぐこれなんだから。いまやることは?
〈バグ〉の退治です!
よろしい。助っ人も来たことだし。集中して取り掛かりましょう!
それでは〈バグ〉退治の再開です。噂通りの腕前を見せてくださいね。
と、ユッカは君に微笑んでみせた。
story1‐3
よいしょ!
ユッカのハンマーが最後の〈バグ〉を打ち据える。
すると〈バグ〉はポンッと音を立てて、跡形もなく消えた。
よーし。これで全部かな?
これでこの区画は安心だね。
すごーい。ユッカちゃん。
アリスはユッカを讃え、手を叩き続けた。
いやいやいや。それほどでも。
整備士と言う割には戦闘がこなれているにゃ。
はい。整備士の仕事の半分は〈バグ〉の退治ですから経験は豊富ですよ。
ユッカ様はどちらかといえば、整備よりはくバグ〉の退治のほうが得意ですから。
実は私細かい作業が苦手なんです。前もネジ締め忘れちやつたし。
吾輩がここに来てからは細かい作業はだいたい吾輩に丸投げでございますからね。
そのおかげで私も〈バグ〉退治に専念できる。適材適所のいい配置ですね。
それってもう整備士とは言わない気が、と君は思ったが、口には出さなかった。
さ、ここはもういいから次に行こ。過去も未来もまだまだ止まったままだし。
イレーナとステイシーを助けに行かなきゃ。
さんせーい!
物音が聞こえた気がした。羽音……。〈バグ〉の音だ。
部屋の奥から飛び出してきた〈バグ〉は君の脇をすり抜け、一直線に……。
あ、あ……。
ミュウの元へ向かっていった。
危ない!
すぐそばにいたアリスがミュウをかばうように押し倒し、難を逃れる。
だが、〈バグ〉は旋回し、再びアリスとミュウに追い打ちをかける。
させない!
〈バグ〉がアリスたちに届く間際、ユッカのハンマ一が〈バグ〉をとらえた。
ふう……。
怪我、ないよね、ミュウちゃん?
うん。大丈夫。
アリスはミュウを立ち上がらせると、服についた埃を払ってやった。
これでよし。
そう言い終わるや否や緊張の糸が切れたようにアリスは情けない声を出した。
ユッカちゃーん、ありがとぉ……。怖かったよぉ。
おー、よしよし。もう安心だよ、アリスちゃん。
ユッカに頭を撫でられているアリスを見てミュウは少し暗い顔をした。
二人は仲いいんだね。
え?うん。ユッカちゃんとは一番の友だちだよ。
私も誰か大切な人がいたと思うんだけど……。
そっか……。ミュウちゃんも大切な人のこと思い出せたらいいね。
うん。
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最終話
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