【白猫】レイヴン(ギャラクティカ)・思い出
レイヴン・ザ・ダークホロウ CV:石川界人 黒き炎をまとう騎士。 全てを忘れても、誰かが覚えている。 | ||
2017/09/25 |
思い出1
――風が止んだ。嵐が来る。備えろ。
――。
俺は流れ者だ。お前は、俺を知ってるのか。
――。
そうか。
主人公、嵐が――
!
あっ、アンタは……レイヴンじゃないの!
レイヴン……?
アンタの名前よ……アタシらの知ってる、ね。
……お前たちの方が、俺にくわしいようだな。
こんなこと、どこかで……
俺について、どこまで知っている?
アンタはわすれんぼで、原因はその武器。それ以外は……
ああ。この鎌は俺の記憶を喰らう。喰らえば、炎が出る。
<レイヴンの手にした鎌が、ちろりと焔を吹いた。>
繰り返しの台詞――なのだろうな。
いつもいってることだけど、もう一度いっていい?
予想はつくが、なんだ?
その武器、捨てるつもりはないのよね……
俺にはこれで、やることがある。
アタシは……アンタにも幸せになる権利くらい、あると思うわ……
幸せ――
だったら俺は、幸せだ。
思い出2
<レイヴンが、己の荷物を調べている……>
記憶がなくなるというのは、不便なものだ。
全てが失われるわけではない。
具体的には、己に関する記憶だけが失われる。
体で覚えたことや、一般的な事柄は、失われない。
レイヴンは、わずかな荷物から小さなメモ帳を取り出した。
書置きか。俺も少しだけ学んだらしい。
これは……
レイヴンの秘密が記されたメモってわけね……!
大したものではない。
メモ帳に、何かが挟んである。
……それ……手紙?
そうらしいな。
何よ、読まないの?
キャトラったら……
内容は確認する。
書かれていたのは、文章ではなく、絵であった。
子供らしいタッチで描かれた、女性と子供、そして黒い翼を生やした甲冑の男。
これは……俺か……?
アンタ、誰かと暮らしていたのかしらね?
俺が?
そうしたい理由があったのよ。
理由、か――
思い出3
数ヶ月前――
ここは……どこだ……俺は――
「おい、兄ちゃん。
何だ?
「隠れた方がいいぜ。ここはアイツらのナワバリだ。
浜辺には、打ち上げられて久しい廃船がある……
レイヴンは廃船の中に隠れた。少年も後に続く。
「気が合うね、兄ちゃん。
「あのガキ、どこにいった……!
「よく探せ、ボスはガキにちゃかされるのがお嫌いだ。俺も嫌いだがな。
何をしたんだ?
「仕返しだよ。大人だってするだろ?
二人は声を潜める。
服の下にルーンを隠してるな。たちの悪い連中のようだ。
「ご明察。
いつもこんなことを?
「今日はいいほうだよ。だれも死んでないし。
***
「危ない真似をして……!
母親は、少年を抱きしめた。
「母ちゃん……
「その人は?
「俺は……
流れ者の傭兵。名前はレイヴン。
少年は、小さな手帳を読んでいた。
「兄ちゃん……記憶が無いのか?
ああ、そうだ。その手帳は俺のものか?
「勝手に取るなんて……
「悪かったよ。レイヴン兄ちゃん。
む――
「あっ!?
「来やがった……!村の中にまで……!
「聖堂にいきましょう。あそこなら大丈夫。
「兄ちゃん、早く。
――待っていろ。
レイヴンは、手にした武具を構える。
思い出4
視界を埋め尽す敵は、およそ数百。
巨大な獲物を手に、炎まとう影は荒れ狂う。
築かれる、無数の屍。
「すげえ――すげえよ兄ちゃん!
「伏せろ。
「うわぁ!?
少年の背後にいた魔物が、断ち切られる!
事情を聞かせろ。
***
「この島は、見捨てられたんだ。
どうしてだ?
「島では収穫を、税として納めていたのですが……
魔物が増えて、畑が荒らされて……納める税が減って……
「だから、駐留する兵を減らしたのか。
「ほら、浜辺にいた連中だよ。あいつらが島を守る兵隊様。
奴らか――
***
古に建造された、村の聖堂―
そこは今、荒くれものたちの根城と化していた。
「なんだてめえ、やろうってのか!?
お前たち次第だ。
「まあまて。俺が話す。
「ボス……!
「……あんたも俺達と同じ、傭兵らしいな。
ああ。
「だったら、わかるよな?
何かだ?
「傭兵は命をさらして稼ぐ。だが命ってのは一つしかない。
「稼げない戦いはしない。それが流儀か。
「こんな島、守る価値はねえ。
義務も無いか。
「それよりあんた、俺らと稼がねえか?
やめておこう。
「ブーツに気をつけろよ。御同輩。
***
あいつのブーツに何をした?
「馬糞つめてやった。
――そうか。
「すみません、こんなものしか……
テーブルの上にあるのは、薄い麦がゆだ。
「味わって食べるよ。
「それがいい。
「なあ兄ちゃん、傭兵って稼げるんだろ?
俺は文無しだ。
「兄ちゃん、商売に向いてなさそう。
「こら!
「俺が兄ちゃんくらい強ければ、いっぱい稼ぐんだけどな!
お前は商売に向いている。
「でも、この島じゃ稼げねえ。
***
風が止んだか……
レイヴンは、空を見つめた。
嵐が、来るな……
思い出5
レイヴンは、空を見つめている。
あの絵のことを考えてるのね。
昔の俺は消えた。炎と共に。
一緒に暮らした人にとっては、そうじゃないわ。
俺は、何も覚えていない。
アタシはね……みんな、笑ってアンタを見送ったと思ってるわ!
俺が記憶をなくしたということは、限界まで力を使ったということ。
その結果、誰かが救われたか。それとも、誰も救えなかったか。
俺にはわからない。
***
激しい嵐と共に――奴らは現れた。
村に接近する魔物の数は、数千に及ぶ。
「クソっ、魔物どもめ……!ああ、貧乏くじだな全く!
「ボス……大丈夫ッスかね。
「聖堂ってのはな、避難ができるように、頑丈に作られているもんだ。他よりはマシだ。
「ボス、村の連中が、聖堂に入れろと。
「追い散らせ。村の奴らを食って腹が満たされれば、連中も巣に帰るだろう。
「おい、聖堂に入れてくれ!頼む!
「もう、おしまいじゃ……!
「許して……こんな島で、あんなひどい暮らしをさせて。こんな最後なんて。
「母さん。俺、レイヴン兄ちゃんの手帳を読んで、わかったんだ。
「何が……?
「兄ちゃんは、力を使うと記憶がなくなっちゃうんだ。
「そんな……それじゃあ……
「もう、お別れなんだ。
***
レイヴンは、己の手帳を開いた。
黒い炎を使う前に現在までの記憶を、できるだけ書き残しておくつもりであった。
いままでの自分も、そうしていた。それに意味があるかどうかは、わからなかったが……
これは……?
手帳の脇に置かれていたのは、一通の手紙。
「俺には――過ぎたものだ。
レイヴンは、簡潔に、島での出来事を手帳に残す。次の自分のために。
「武具よ、思い出を燃やせ――
黒き翼は、空へとはばたく。
***
俺の、記憶を……取り戻せるのか……?
アンタがよければだけど。
今までも、お前たちに……?
「。
そうだったか。
「思い出すのが、辛いことなら……
そんな記憶こそ、忘れるべきではない。
やってくれ。
思い出6 (友情覚醒)
この光――覚えているぞ。
レイヴンさん……!
キャトラ、アイリス……主人公……か……
「思い出したみたいね!
ああ。
レイヴンの体から、黒い炎が吹き上がった!
ちょっと、どうしたの!?
行くところがある。
……思い出したんですね。
ああ。
「――。
――ついてくる、だと?
……見たくないものを、見るかもしれないぞ。
「それでも、私たちは――
――わかった。
***
「うっ、うっ……あの人が……あの人さえ、こなければ……
「――バカなガキだったな。
「――どうしたんですか…… ?
「魔物の、生き残りが……息子を……
「そんな……!
「やはり……仕損じていたか……
「あの子が、村人を逃がすために、囮になって……
「レイヴン兄ちゃんみたいに、みんなを守るんだ~。だってよ。
「なきがらはとこだ。
「いまごろ、魔物の腹の中だろ?
***
「レイヴン兄ちゃん……俺は……
少年の腹から、血が溢れた。傷口を抑える指から、力が失われていく。
「ううっ……
少年は、瞳を閉じた。
もう二度と、瞼を開くことはない。そう思うと、ただ怖かった。
消えろ。俺の――思い出ごと!
「!
今は、お前たちがいる、か……背中は預ける。
「あの子がどこにいるか、わかるの!?
ああ、覚えている――
***
「<*×○■!&%$…………>
アイリスの魔法が、少年の傷を癒やしていく……
「……あれ? ここはどこ……?
やっぱり、ここだったか。
そこは……少年とレイヴンが、初めて出会った場所。あの廃船の中だった。
「にい……ちゃん……!
俺のミスだ。
「主人公さんと……アイリスさんに、キャトラ?
知ってたの?
「手帳を読んだんだ。
俺が忘れても、か……
そうよ、アタシらだって覚えてるんだからね!
レイヴンは、武具を振り上げた。
ならば、覚えていてくれ。次の俺のために。
記憶されし黒翼
その他