【白猫】とらぶるトラベラー Story0
2018/04/12 |
目次
下準備も突然に
旅立ちの森
主な登場人物
story1
学術研究都市・フィジカラム――
繁華街の一角に、とある謎の建物があった。
その名を<アサノ・マッスル研究所>という。
リリー |
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クロードさん、発見しました!
クロード |
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なんだ、リリー。どうした? 今日は両手にアイスか?
チョコとバニラのソフトクリームを交互に食べてもおいしいです!
そうだな。あいかわらず、当たり前のことしか言わないな。
クロードさんも食べますか?
いや、俺は糖質制限中だ。それより、リリー、事務所はどうしたんだ?
お客さんが来ないんです! なので、クロードさんのところに来てみました!
それ、なに見てるんですか?
……依頼の資料だ。とある遺跡を調査してほしいという内容なんだが……
遺跡の調査は探偵業とも筋肉業とも無関係だ。報酬にふさわしい仕事ができるとは思えん。
筋肉業ってなんですか?
フロントダブルバイセップス!
サイドトライセップス!
こういうことだ。わかったか?
はい! わかりません!
それに他の依頼もあるからな。手が回らない。断ろうと思っていたんだが……
だったらお仕事ください! 最近、お金の問題で、ごはんの量も減ってきてるんです!
アイスは食べるんだな。
ドヤァ。
褒めてないぞ。
とにかく、お前が受けてくれるならクライアントを紹介しよう。
ありがとうございます! 犯人は私が捕まえます! これがフーダニットです!
リリー、今回の依頼は犯人がいないやつだ。
クロードさん、違います。事件はまだ起きてないだけです。じゃあ、準備してきますね!
…………
事件、起きちゃダメだろ。
story
数日後――
…………
こちらがコーネル探偵社?
はい、コーネル探偵社のリリー・コーネルです!
古美術商を営む探検家フィオナ・オルブライトです。こちらが……
考古学者のドーリー・アームストロングです。
遺跡調査の依頼人の方ですね! どうぞ、座ってください!
というわけでございまして、数万年前に作られたと思われる遺跡がみつかったのですよ。
これは、もう世紀の大発見! あら、失礼しました。私ったら興奮しすぎてしまったようですね。
わかりました! 遺跡を調べればいいんですね! 任せてください!!
本当に大丈夫? 遺跡というのは思っている以上に波乱万丈。危険に満ち溢れているわ。
危険と言っても、行ってみたら取り越し苦労なことってあるじゃないですか。
海外旅行とか! そういうのと同じだと思います!
フフッ……旅は道連れということね。遺跡探索も罠にハマれば、みんな道連れ。なるほど……
なるほど?
リリーさん、あなたには探検家としての才能がある。
一緒に道連れでいきましょう。私も探検家として、いろいろ道連れにしてきた実績がありますから。
道連れ~♪ 道連れ~♪ がんばりましょう!
もしかして、私……
……依頼の人選、間違えた?
story2
<旅立ちの海>のすぐそばの島にそびえたつ<チョマ神殿>
――の近くにある小さな島の一角で今日も特訓は続けられていた。
ェファーーーーン!
今日も今日とて走れソアラよ! 明日も走れ! 明後日も走れ! 貴様に許されているのは走ることだけだ!
ソアラ |
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別にいいんですが、そんなんで勇者になれるんですかな?
ならばなればいい! 貴様が一番最初の! 走り込みしかしなかったのに、勇者にまでなった者に!
なるほどなー! カルロっさんの手抜きも、そう言われりゃまあまあですなー!
だれが手抜きだっ! 結局、走り込みに勝る特訓など、ありはしないのだっ!
その時――
ソアラの前に巨木が――
あぁっ!?
***
はっ! たしか、ここは、おっかさんと再会した場所……即ちあの世。
やっちまいましたなー。よもや、特訓で命を落とすとは……
でも、言いますからなあ。毎年何人かが、訓練で命を落としているとかなんとか……
まあそのパターンでしょうな。ランダム要素ですわ。自分には起きないなんつー方がムシがいい。しゃあないですなー。
勇者ソアラの大冒険は、まだまだ続く! 続かない!
「待ちなさい。勇者ソアラよ。」
「お?」
「私の名前はベズトリフェニル。恩寵と導きの神島です。」
「しんちょう……あたしは低い方ですな。」
「それは身長です。」
「その神鳥さんが何用で?」
「目覚めるのです、勇者ソアラよ。あなたには使命があります。」
「やー、使命なら、今朝もう果たしたので……」
「新しい使命です。
「使命って毎日更新されるんです?
「そういうこともあるでしょう。さあ、目覚めるのです。
「目覚めなかったらどうなりますかな?
「本気で死を受けいれるつもりですか。ならば、こちらにも考えがあります。
とかく ちがは ろつぴね
ざせけ おむべ ゆめると
そすち はむへ びよるぐ
のきあ るちへ つもきな
わたべ じくり きでぐじ ペペ
***
はっ! いまのはもしや、復活のジュモーヌ……?
ソアラ、無事か!?
不思議とピンピンしとりまんがなー! ところで、カルロっさん、こちらの方は?
貴様が知らんのに俺が知るか! 貴様がブチ折った木から落ちてきたってとこだろ!
これはこれは見事に大木が折れてますなー。
…………
……むむむ?
(……だれだ!?)
(さっきの私です)
(さっきのあなたですか。どうして声が頭の中に?)
(念話です)
(念話にねんわ。みたいなことですか?)
(違います)
(ではまた……)
(お待ちなさい。ここは現実です。その手は通用しませんよ)
(ちぇっ)
(勇者ソアラよ、ご覧なさい。この樹齢二千年を越えた神樹こそ私の家。今は亡きマイホーム)
(折れてますねえ)
(折られましたから)
む……貴様ら、何を見つめ合っているんだ…… ?
ちょっと待っててもらっていいですか? いまこちらの方と話してるんで。
ほう……
(勇者ソアラよ。みなまで言わずとも、わかりますね。あなたの使命が)
(つまりあれですかな。ベストっさんマイホームの弁償をせいってことですかな)
(そうです。3LDK以上の間取りです。それ以下は認めません。また損害賠償として宝物も必要です)
(木の上の間取りとはコレいかに)
(木にも色々あるのです。認めますね、損害賠償の件)
(たしかに賠償責任がありますな)
(さあ、勇者ソアラ、いくのです。返済のため、旅立つのです)
(あたし一人で行きゃいいんですかな?)
(そこは一緒に行きましょう。私も鬼ではありません)
(なんか監視的なあれっぽい気がしますが、まあ一緒の方が話は早いですな)
(では旅立ちましょう。当然、私の宿代や食費はあなたの支払いです)
(それは構いませんが。路銀が尽きたらどうします?)
(稼ぐのです)
ほげー。
……どうした。
(まあそのあたりは追々、話して決めましょう。さあ、行くのです、ソアラ。使命を果たしなさい)
ガッテン承知! そういうわけで、カルロっさん、ちょっと賠償責任を果たすため旅に出ようかと!
そうか……ならば、ゆくがいい! ソアラよ! その冒険が、貴様をさらに一回り成長させるだろう!
おっすっす、おっすー!
(さあ、私の背中にお乗りなさい)
のっすー!
ふっ……!
story3
リリーが遺跡探索の依頼を受け、ソアラが旅立ったのと同じ頃――
四魔幻獣ねぇ……ほかのギルド支部にも聞いてはいるんですが、これといった情報は……
そうですか……ありがとうございました。
またなにかわかったら連絡ちょーだい。
お力になれず、申し訳ございません。
***
結局、わかんないことだらけね。
アイリス、主人公、全てを君たちに託す。これからのことは、きっと君たちにしかできない。
そして、君たちだからこそ、やらねばならないんだ。
でも、どうやって探すの? なんの手がかりもないわよ。
一度、リンツの島に行ってみよう。なにかわかるかもしれない。
それもそうね。ロイドの家になにか残ってるかもしれないし。
さあ、行くわよ! アイリス、主人公、アタシのおしりについてきなさい!
行こう、主人公。
白猫 mark