目次
Story7 ハイテンション
Story8 滑る床
Story9
Story10 オンリーハルコン
Story11 大騒動
Story12 隠蔽の連鎖
Story13 ちからをひとつに
Story14 続く脅威
TOP↑
story7 ハイテンション
＜メタルアクーアの欠片＞を手に入れて、武器を鍛えてきたようだな。
おかげで武器から、納豆の臭いが漂ってきそうだヨ……
そうしょげるな。新たなスキルが使えるようになったんだし。
今度はストレスフリーなのがいいっすな。
よく回るパチンコ台かよ！ちょっくら打ってくる！
待て。次の素材の場所を教えるのだ。
オレのクチからは言えん！
なんでや！
うるせえ！来い、占いオババ！
ほっほっほっ。わしが次の目的地を占ってしんぜよう。
見える、見えるぞ！水晶玉に！わしの反射した顔が！
たりめーだろ。
茶番はもうやめじゃ！わしはただの物知りオババ。勝手に占い師とかいいおって。
目的地じゃが遺跡にいくとええ。わしはこれから整骨院にいく。じゃあのう。
なんだったのだ。
ひとまず、遺跡に向かいまひょ。
…………
……
この遺跡の奥に、＜母なるクルミ＞とやらがあるらしい。
いてて……中は薄暗いし、ぶつかるし、軽くパニックだヨ。
ご案じ召されるな。ダンジョンマイスターの私がついておる。
まともに攻略せんヤツがよう言うで。
あたしも数多のダンジョンを潜り抜けた身！本能的に罠も察知できるっす！
二人とも、頼りにしているぞ！
お～、罠踏みました。
察知はどした？
代わりに罠を仕掛けておこう。
それで帳消しにはならんやろ。
みんな、まさか、気をつけろ！さっき踏んだ罠で……
どえらい数の魔物っす！？
まさにこれは、＜モンスターハウジング＞！
逃げ道がないくらい、ぎっしり囲まれとるで！どないする！？
今までのボクたちとは、ひとさじ違うネ！
ひと味な。そう、俺たちには新たな武器スキルがある。
となれば、私は〈ハッチャケの舞＞で援護する。
ハッチャケて踊るのはなんとなくわかるのですか、効果はいかほどに？
とにかく元気になるらしい。
よくわかんないけど、ボクたちは――
手当たり次第、魔物を倒すのみだ！
そーれ、ハッチャケハッチャケ♪
ふだんテンションの低いコルネが、ハッチャケとる！？
なんだか力がモリモリ湧いてきましたぞ！
鍾乳嗣にぶつかってできた傷も癒えていくネ！
これなら、戦え――
フゥ……ちょっと休憩。
おい！？
ち、ちからがジワジワぬけますー。
いてて、痛みがぶり返してきた！？
どわー！？やられるー！
コルネさーん！
おっと、すまぬ。ハッチャケハッチャケ♪
ＯＨ！痛みがひいて……
疲れた。休憩。
どわー！？
コルネ、真面目にやりーや！
疲れるのは仕方なかろう。あんたこそ、踊り子の格好をしてるんだし手伝って。
俺ッチもハッチャケろってことか？
この遺跡を出禁になるくらいにね。
お店かここ！
わー！？おたすけー！
……なんて悠長に話しとる場合やないか。わかった！やるで！
そーれ、ハッチャケハッチャケ♪
ハッチャケハッチャケ♪
あ、あれは……
ルグノスが加わることでなんか……
こわっ！
＜魔物たちは、逃げ出した＞
ルグノスよ、お主のおかげだ。よくやった。
ショック死するわ！
TOP↑
story8 滑る床
さて、いろいろ割愛して、次なる素材を探しにいこう。
トッテンさんいわく、この塔の頂上に＜しもふりちくわ＞があるらしいが……
天ぷらにしたら、美味しそうな名前ネ。
食べもののことなら、アタシも話にまぜて。
キャトラさん？なぜここに？
塔の調査の依頼できたの。
アンタたちこそ、なによその格好？
これには、のっぴきならねえ事情が……
（なんでもいいですが、私たちの仕事の邪魔だけはしないでくださいね）
む？あそこにいるのは……
＜リリアとブライが仲間になりたそうに、こちらを見ている＞
すまぬリリア。巻き込むわけには……
すまないブライ。これ以上、話をややこしくしたくない。
＜リリアとブライはさみしそうに去っていった＞
あの二人がいるってことは……
おひさ～、ビスケッタ。なにその服、超ウケる～♪
＜究極本＞の新たな力とかですか？
ただの転職だヨ。わけあって、元に戻れないけど。
はい？
そんなことより、アタシらの依頼を達成しにゴーコー♪
どんな依頼だろ？ミトラたちも素材を狙ってたりして。
だとしたら、急いだほうかよさそうだが……
ぎにゃー！？すべるー！
（これは床の矢印とおりに、体が勝手に進んでしまう罠ですね）
なにそれ！？アタシ、どこに向かってるの？
（穴です）
ぎにゃー！？
落ちちゃった……
（たいていこういうのは、下の階に落ちても大丈夫なのですが……追いかけましょう）
ライバルが減ったようだな。
今のうちに、あたしたちは塔の頂上へ。
＜ゴーレムがあらわれた＞
行手を阻む曲者め！＜らえー！＜作裂拳＞！
なんちゅう連打や！腕がぎょうさん見えるで！
ん？ゴーレムの体が光って――
＜ゴーレムは爆発した＞
ビスケッタさん！大丈夫ですかー！？
なんとか間ー髪、回避したヨ。
さすがは素早さに定評のある武闘家だ。
感心しとる場合やないで。なんや今の？あれが作裂拳か？
いや、あれは爆弾ゴーレムだ。
ぞの名の通り、下手に刺激を与えると爆発する。
なにそれ、やばたん。
ここをいったん離れましょう。リリアさんとフライさんも、どこかにいってしまいましたし。
ボクたちはどうする？爆弾ゴーレムはまだ他にいるみたいだヨ。
刺激を与えないように進むしかないな。
それは当たれというフリか？
そうでなくても、当たらずにはいられないかもですぞ。床の矢印を見てください。
前前右前……げっ！？ゴーレムのとこに続いてる！
上の階にいくには、ぶつかってでも通るしかないようだな。
どないする？床が滑るんじゃ、爆発したら避けようないで。
ボクの背中を押して、ゴーレムにぶつけて！＜微動立ち＞なら、あんな衝撃わけないネ！
なんとも無茶な手ではありますが、ここはビスケッタさんを信じましょう。
押すなよ～というのが合図だな。
普通に押すでー。
＜ビスケッタは柱のように、まっすぐ立った＞
せーの！
しゅっぱーつ！
もうすぐで、ゴーレムにぶつかるっす！
え？
道を譲ってくれたようだな。
いや、親切！
TOP↑
story9
＜相変わらずソアラたちは、素材を手に入れては武器を鍛え、村に戻っては素材のありかを聞き、探しにいくを繰り返していた。＞
この橋を渡った先に、＜紋章のしるし＞があるらしいヨ。
なんすかその頭痛が痛いみたいな名前は。
むむ？紫色がー面に……あれはもしや……
毒沼か。
ベリベリバッド。遠回りしようヨ。
ですがトッテンさんのメモだと、素材があるのは毒沼の中のようですぞ。
死ねというのか。
以前の状態ならな。だが、＜ケガニー＞を駆使すればわけないさ。
毛ガニ？
鍋の具材じゃないさ。解毒と回復を兼ね備えたスキルだ。
それで毒沼を渡るんです？解毒したところで、ー歩進めばまた毒におかされる気が……
ちゃんと考えてあるさ。さあ、いこう。
＜クライヴに言われるがまま、ソアラたちは毒沼の上を歩き始めた。＞
ぐぬぅ、歩くたびに体力が削られていく……
たびたび赤いフラッシュが見えます……
なんだそれは？毒の症状か？
そんでどうすんだヨ？このままじゃ、また教会に運ばれちゃう。
ケガ二ー！
これで毒は消え去り、体力も回復したはずだ。
ははーん、クライヴさんの考えが読めましたぞ。
そうだ。毒で体力が尽きる寸前に、ケガ二ーで回復。これを繰り返していけば、毒沼も渡れる。
何度も瀕死の状態になるのか。私はルグノスのようなドＭではないというのに。
ドＭちゃうわ！
ボクも我慢はやだヨ。急いで渡ろう。
待て待て。ちゃんとー列になって……
お？なんだあれ？誰かが道を通せんぼしてる。
俺は覇座王！ここからはー歩も動かねえ！
は、はざおう……？彼は毒沼の上でなにを？
ここは俺が横取りした花見の席だ！誰にも譲らねえぞ！
この周辺、草木枯れとるやろ！なんや花見って！
しかも横取りしているにもかかわらず、なんて言いぶんだ。
ぐるっとスルーしよう。
そのことなんたが、寄り道できるほど俺のソウルが残っていない。
覇座王さんにどいてもらって、まっすぐ進むしかないと？
そういうことだ。かといって、どうやってあの人を説得するか……
そんなもん、強行突破ネ！
これは、あやつのためでもある。毒沼から解放してやろう。
この覇座王をみくびるなよ！毒沼に足がはまって、自分でも動くことができねえ！
だったら、ぺったんこになるまで沈めてやる！
そこは引っこ抜けよ！
それ以前に、こやつに近づくと私たちも沼に巻き込まれる。
モタモタしとっても、体に毒がまわるで。
ぷっぷー。
ソアラ？こんなときに、なにを吹いてる？
バロンさんが余った材料で作ってくれた角笛っす。
武器と同じように、この島でこれを吹けば、きっとなにかしら起こるはず！
起こるってなにも……
なんや！？遠くからなにかが走ってくるで！
あれは馬……いや、馬車だ！
笛の音色に反応して、やってきたんす！
その程度の超常現象で、この覇座王を――
＜暴走する馬車が突っ込み、覇座王を吹き飛ばした！＞
ぬわああああっ！！！
道があいたぞ。
ついでに馬車が毒沼を舗装して、歩きやすくなってるヨ！
……いいのかこれで。まあ、いいのか。
TOP↑
story10 オンリーハルコン
ほほう。ずいぶん、たくましい装備になったじゃねえか。
次はいよいよ、最後の素材。つまり、武器が最終進化するってわけだ。
今の武器のままでも、あの魔物を倒せる気もしますが？
甘ったれんじゃねえ！こんなもん、茹でる前のパスタ同然だ！
魔物を倒したいなら、＜オンリーハルコン＞を探してこい！
それはどこにあるんだ？
おねだり王の城にむかえ。
なんや、王様のくせにねだってきそうやな。
その通りだ。おねだり王のおねだりを聞くことで素材をもらえる。
だが、＜オンリーハルコン＞はこの世に二つとない希少な金属。
とんでもない、おねだりがくるに違いねえ。心していけよ。
…………
……
＜＜＞
ようこそ我か城へ。わしがおねだり王じゃよ～。
前置きはいいから、＜オンリーハルコン＞ちょうだい。
直球でいいね～。でも、ハードル高いよ～？
素材のためだ。ひねくれずに、おねだりを受け入れよう。
それじゃあ、ねだるよ～。
お金ちょうだ～い。
そのなりで！？
はい、１ゴールド。
これっぽっちじゃ足りないね～、金のメダル５万枚でもいいよ～。
そのメダルは、そんなに存在するものなのか？
ないよ～。
無茶苦茶やん。
＜オンリーハルコン＞には、それほどの価値があるのだろう。
ねぇ～ねぇ～、無理そう？じゃあ、他のおねだりにするよ～。
遊園地いこ～よ～。
子供か。
けど、さっきのに比べるとそこまでハードルは高くなさそうですぞ。
チカヨレールで、ひとっ飛びだしな。
飛ぶの？ダメダメ～。わしは高いのとか、絶叫系が苦手だから～。
ほな、遊園地いくとかいうなや。
なんで～？
だんだん、はっ倒したくなってきたヨ。
このまま無理難題をふっかけられては、らちが明かぬ。
それなら、あのスキルを使うか。あまりにも役に立たなそうだから、封印していたんだが。
おねだり王よ、我か呪文を受けよ！＜アマガミ＞！
え～、なにふぃたの～？
こやつ、甘噛みしおったぞ。
そういうスキルだ。効果は持続しないが。
こんなんでなんとかなるの？
案外いけるかもっす。おねだり王よ、次なるおねだりを！
わしと付き合ってよ～。
よく聞こえませんでしたので、もうー度おにゃしゃす！
え～、いいよ～。
今ですクライヴさん！
アマガミ！
わしを突き剌してよ～。
よし、噛んだぞ。
そんなレベルちゃうやろ！
あれれ～？いまのおねだりは……
お望みとおり、この剣でグサッといったりましょう！
待って待って～。かんべんして～。
勘弁しやした。
ほっ……
ではない。勘弁してという、おねだりを聞いてやったのた。褒美をよこすがよい。
わ、わかったよ～。＜オンリーハルコン＞あげるよ～。
イェーイ！うまくいったー！
だいぶ強引ではあったがな……
これが〈オンリーハルコン＞か……やけに小さいぞ。
希少な素材やからな。
これでは、一人分しか鍛えられぬ。
まさにオンリー！でも、ボクたちは４人。どうするヨ？
これは、作戦会議ですな。
TOP↑
story11 大騒動
＜＜オンリーハルコン＞は一つしかなかったため、誰の武器を鍛えるべきか真剣に話し合い――
――その結果、ソアラの剣を最終進化させることとなった＞
ジャジャーン！ついに完成しましたぞー！
剣を掲げただけなのに神々しい。
伝説の武器というのは嘘ではなさそうだな。
これならあの魔物もサクッとぶっころっけヨ！
よくぞ、ここまで頑張った。もうオレに諭せることはない……
屋根のまで日焼けでもしながら、お前らの武勇伝を楽しみに待ってるぞ。
なんでバカンス風やねん。
いざ尋常に、魔物退治へ！
まあ待て。ー刻も早く姫を助けたいが、素材集めで疲労困懲だ。
このまま戦いに挑んでは、いかに伝説の武器といえど、勝てるかどうか……
だから今日はゆっくり休もう。
暴論だな。
正論やろ。
クライヴの意見に賛成だヨー。フカフカのベッドで休みたい。
伝説の剣を早いところ使いたくて、うずうずしとりましたが……
仕方ないですな。宿屋に向かいましょう。
…………
……
部屋割りはこれでよかろう。
ボクはコルネと同じ部屋だネ。
ルグノス、男同士仲良くやろうな。
おう、熱い話でもしようや。
ところで、ソアラ氏は？
部屋を決めたあと、すぐに出かけたヨ？
素振りでもしにいったんだろう。気持ちはわからんでもない素振りでもしにいったんだろう。気持ちはわからんでもない。
おもてかわしい。
うらやましいやろ。暗号みたいに言うなや。
……ボクたちの武器は最終進化じゃないから、ちょっと不安。
俺たちもそれなりに強くはなってるさ。とっておきのスキルも覚えたしな。
へぇ～、どんなん？
死の呪文死の呪文＜アンチョビ〉だ！
ひょえー！？
はは、安心してくれ。こういうのは味方に効果はないはすだ。
現に今、呪文を唱えたが、なにも起こっていない。
ん？誰かノックしてる。ソアラかな？
どもー、ピザ屋です。熱々のピザをお届けに参りました。
誰か頼んだか？
知らぬ。
なんだっていいヨ！おなかペコペコだったから食べたい！
どうそ、お受け取りください。
いただきま――
死ねええええっ！！！！
ぎゃああああ！！！！
なんやこいつ！梶棒振り回すなやー！
ピザ……アンチョビ……そうか、これが死の呪文！
冷静に解説しとらんで、こいつを追い払うんや！
＊＊＊
なにやら宿屋のほうが騒がしいですな……
そんなことより今は、このほとばしる衝動に従うのみっす！
伝説の剣の斬れ味がいかほどか、試させていただきましょう！
＜ソアラは硬そうな岩の前に立った＞
この岩は、＜金剛石のルーン＞よりも硬いという噂ですが……
伝説の剣というくらいです。こんな岩、豆腐のように斬れて当然っす！
いきますぞー！とりゃああああ！！！！
…………
剣が折れました……
…………
あかんかんかんっす！失態どころの騒ぎじゃないっす！
このことをみなさんが知ったら、シンプルに軽蔑されるっす！
なんとかせねば……！ハッ！？こんなところにテープが！
いったんこれでごまかし……ぎょえー！？はがれたー！どないしたらええんやー！
TOP↑
story12 隠蔽の連鎖
ただいまっす。
おかえり。剣の使用感はどうだった？
な、なんのことですかな。あたしはただ、散歩してただけです。
ボクも散歩してればよかったヨ。ピザ屋が襲いかかってきて大変だったネ。
ピザ屋？
気にするな。みんな、しっかり休もう。
…………
……
＜――夜も更けたころ、決戦前日の緊張感から眠れぬ者たちがいた。＞
洗面所にバナナ味の歯磨き粉がないとは解せぬ。
なあコルネ、なんで俺ッチを連れ歩いとんねん。せっかくクライヴと熱いトークを……
……さて、ここなら踊りの練習ができそうだ。
踊り？
シナジーブレイクと、ハッチャケの舞を組み合わせたスキルを思いついたのだ。
その実験台にすべく、ルグノスを連れ出した所存。
怖いわ！いやや！
私はこのスキルを習得して、少しでもみんなの力になりたいのだ……
あのコルネが真剣に……わかった。好きにせい。
ありがとう、ルグノス。折れても恨みっこなしだ。
は？折れる？
シナジーブレイクダンス！
なんやその軽快なステップ！もう踊り子やのうてヒップホップダンサーやん！
その程度で驚くな。ここから背中だけで、クルクルクルー！
あぶなっ！やめーや！俺ッチにぶつかるやろ！
誰しも追い込まれたとき、限界を超えるもの。それが狙いだからな。
回りながら、説明すな！
剣が折れる音が……！すまぬルグノス、お主の死は無駄にはせぬ。
死んでへんし。
む？ならば、この剣は……
お、おい、これって……ソアラの伝説の剣やないか！なんでこないなところに！？
それより、剣を折ったことがみんなにバレたら、私は裸踊りの刑に……
ここはもう隠蔽するほかない。宿屋の店主から絆創膏をもらってくる。
そんなもんで、なんとかなるんか……
＜しばらくして――＞
ヒマだよ～。剣の稽古しないと、腕がナマコになっちゃうヨ～。
ハッ！？廊下に伝説の剣が落ちてる！ソアラったら無用心だヨ。
実はボクも試し斬りしたかったんだ。ちょっとくらい、いいよネ。
でも武闘家のままじゃ、装備できないし……
そうだ！＜究極本＞で変身できなくても、装備くらいできるようになるかも！
マギアス・トンプンカンチン！
＜目の前で何かが壊れる音がした＞
…………
ど、どうしよう……剣が折れちゃたヨ……
オー・マイ・！ッド！みんなにバレたら＜ハラキリ＞ネ！
こうなったら、折れた部分を米粒でひっつけて……それから外に出して……
＜しばらくして――＞
スゥー……ハァー……
外の空気は晟高だな。
ぽむぽむ。
あ、あの……
ぽむぽむ。ぽむぱむ。
近くで、ぽむぽむしないでください。その……
なによ！お化粧の邪魔しないで！これから彼と会うの！フェイスパウダーくらい塗らせて！
いいんですが、風に乗ってパウダーがこっちに……うっ、鼻がムズムズしてきた……
ヘーックショイ！！！！
ほら言わんこっちゃない、特大のくしゃみが……
＜＞
え？伝説の剣？なんでここに？
というか、パキーンって……まさか今のくしゃみの振動で……！
とにかくマズイぞ。磁石とかでひっついたりしないよな……
＜――翌朝＞
さあ、魔物退治に出発ですぞ！この伝説の剣がある限り、負けることはないっす！
せ、せやな。
（剣はどうにか、くっついているようだな……）
（戦ってる晟中に、米粒とれたらどうしよう……）
（折れる前に、なんとか……）
（ごまかすしかないっす！）
TOP↑
story13 ちからをひとつに
決戦の地にたどり着きましたぞ！
ぐつ、ここにきて腰痛が……
ボクもなぜか急に足の小指がつって…
…み、みなさん絶不調のようですな……ここは、いったん――
たすけて～！
この声は姫！？今すぐ助けに！！
帰るなんて薄情なマネはでさませんよなぁ。
こうなれば、野となれ山となれっす！特攻じゃー！
ここは俺の花見席だ！ー歩も通さん！
覇座王や！なんやこのラスボス感！てか洞窟で花見って！
グオオオオッ！！！
うしろにあの魔物が！？覇座王が邪魔や！
そんなものは関係ない！姫――ッ！！！
クライヴ殿に続くぞ！
ワザマエー！！！
（どうしましょう。このまま戦えば、剣が折れてることか……）
みなさん！ここは、命を大事に！
せぬ！特攻するぞ！
ほげー！？
貴様ら！俺を無視するな！
グオ――ーッ！！！
＜魔物は灼熱の炎を吐いた！＞
ぐああああ！！！！
覇座王燃えとるで！誰か気に留めろや！
このままー気に仕掛けるぞ！俺たちだけの力で！
承知の介！剣なんて必要ないヨ！
私は援護を！
なんだかみなさん、急かされるように魔物を倒そうとしているような……
しかしこれで、伝説の剣の出番がなくなれば好都合つす！
そ～れ、ハッチャケハッチャケ♪
パワーアップからの、＜青天突き＞――っ！！！！
ゴオオ――！！！
うわーっ！？雄叫びうるせーな！
ひるんとる場合やないで！
こうなったら、死の呪文……アンチョビ！
どもー、ピザをお届けに参りました。
どこからともなくピザ屋が！？
死ね――ー！！！
さらにノータイムで、魔物に攻撃を！？
グオオ――ーッ！！！！
また炎吐いてきたで！
うわあああ！チーズが溶けるー！
死の呪文までもかき消されるとは。
やっぱり伝説の剣じゃないと……
だが、それは……
…………
みなさんがピンチだというのに、あたしはこんなところで突っ立って……
仮にも世界の危機に立ち向かう勇者の端くれ。
伝説の剣が折れてたから無理でしたは、子供のいいわけっす！
あたしが今、やるべきことは――
グルルル……！
ここまでかヨ……
みなさん！あきらめてはダメっす！
あたしたちにはこの、伝説の剣かあるではないですか！
しかしそれは折れて……
いや、コルネ。ここは絆の力や。そのために、アレを練習しとったんちゃうんか。
……そうだな。我々には信じるという武器がある。
みんな！ソアラに力を集中させるで！
うまくいかないかもだけど、やってみる！
攻撃力をあげるスキルが、たしか俺にも……
いきますぞ！
シナジープレイクダンス！
マギアス・トンプンカンチン！
ツヨナットール！
ぬおおお！？剣がバッチバチのビッカピカに輝いています！
この感じ、わかりますぞ……超ダメージか出るやつっす！
！？
これでも、くらいなはれ――ー！！！！
TOP↑
story14 続く脅威
ビクトリー！我々の勝利っす！
だが、剣は折れてしまった……
相当な威力だったからな。
不可抗カネ。
それなら仕方ないっすな。あははー。
（こうなっては、もともと折れていたとは誰も思いますまい）
（私の不祥事もバレずにすんだようたな）
（ハラキリしなくてすんだヨ……）
（安心したな、俺……）
あ、あの……助けてくれてありがとうございます！
姫！よくぞご無事で……って――
子供？
そうか……そういうこともあるさ。それでも姫には変わりない。
なんでちょっと悔しそうなん？
それより、報酬は？
そうだヨ！１００億ゴールドかあれば、武器の呪いを解けるネ！
報酬の支払いはギルドにいけば、処理してくれるはずたぞ。
では、いきましょう！
…………
……
１００億ゴールド、持ってきたようだな。
ええ、馬車を５台も使って運ばさせていただきました。
さっそく呪いを解いてもらおうか。
ああ、すべては契約書の通りに……だ。
よかったな。支払いが認められ、呪いは解除された。
……さあ、これで武器か外せるはずだ。
どれ……ほんとだ。これでルグノスを装備できる。
やっぱり、こうでないとな相棒！
これでシショーの剣を広められるネ。
ほっ、騎士に戻れる……
今度こそ、ソロキャンパーに転職するっす！
そうだ。自由を満喫しろ。そしてもう騙されるなよ。
どのクチが言ってんだ！呪いさえ解ければ、こっちのもんじゃー！
しょっぴいてくれる。
ま、待て！考え直して――
ま、魔物！？
ぐああああっ！！！！
＜何もいてない男は魔物の下敷きになった＞
因果応報ヨ。でも……
１００億ゴールドを乗せた馬車が驚いてどこかにいってしまった……
というかこの魔物、さっき倒したはずでは……？
似たような魔物なんてザラであろう。
けど、たしかなことは……
グォ――ッッ！！！！
＜魔物の咆哮が、山を消し飛ばした！＞
前よりも数段、強いで！
あれぐらい、ボクのトンプンカンチンでもできるヨ！
もう呪いは解けたから、あの現象は起こらぬのでは？
こんなときに張り合うな！
ただでさえ伝説の剣がポッキリいってるというのに、どう戦えば……
グルルル……
魔物が逃げてくヨ！
というより、俺ッチたちに興味がない感じゃな。
なんにせよ、助かった。
きゃー！助けてー！
姫！？なぜここに？王様のもとへ帰ったはずでは……
また魔物にさらわれちゃいましたな。
どうする？
助けにいくに決まってる！
魔物が強くなれば、報酬もあがるだろうしな。
ともかくや。
あの魔物を、倒しにいきますぞ！
