【白猫】全滅勇者 Story3
story1 新たな冒険へ
<超SSS級難易度の依頼を無事にこなしたソアラー行だったが――
――以前よりもさらに規格外の魔物が現れ、姫をさらっていってしまった。
急迫、姫を救出すべく、魔物に勝負を挑むも……>
伝説の剣が折れていようとも、心が折れない限り――
<ソアラたちは、ぜんめつした>
……おお、目が覚めたようですね。
また教会か……
勢いじゃどうにもならなかたヨ……
代わりの剣くらい、用意しとくべきでしたな。
呪いも解けたことやし、最強の剣である俺ッチを装備すればよかったやん。
ノー。
世界ー短い全否定!
そういえばボクたち、元の職に戻れるんだ。それで本来の力を発揮できるかも!
なら。<ズットマ神殿>にいってみるか。
まさか定休日とは……
のんびりもしてられませんし、この職のままなんとかするしかないっすな。
せめて、俺たちの武器も最終進化していれば……
でも〈オンリーハルコン>はもうないヨ。
あるわ。
キャトラたちか?また会ったな。
ところで、ある……とは?
私たちはギルドの依頼で、この島のいろんな場所を調査してたの。
(そのときに、<オンリーハルコン>という名前をちらほら耳にいたしまして)
オンリーな素材ではなかったのか?
細かいことは気にしナッシング!
……それで、<オンリーハルコン>はとこにあるの?
事情はよくわかんないけど、場所のメモを書いてあげる。
(ただ、あの遺跡に立ち入るのは……)
ずいぶんと含みのある物言いよのう。
(遺跡にいってみれば真意がわかると思います)
説明が難しいのよ。意味不明すぎて。
なんか面白そう。早くいこう!
その前に、折れた剣をどげんかせんと。
修理しようにも、まともな素材がないとな……
ならぼ薄くしたり細くしたりして、長さを整えればよかろう。
そんなパンでも作るみたいに。
でも、物は試しっす。意外と軽くなって、使いやすくなるやも。
飛行島に寄って、バロンに鍛えてもらうネ!
そうと決まれば、みんな俺に掴まれ。チカヨレール!
と、飛んだ……!?
アイツらも意味不明ね……
story2 時のナス
<オンリーハルコン>がある遺跡に看いたヨ。
さて、何をもって意味不明なのか、確かめさせてもらおうぞ。
遺跡の中に、ゴーっす!
…………
……
またもや発見!メッチャ斬りじゃー!
<メタルアクーアをやっつけた>
おみごと。命中率も上がってきたようで。
剣を軽くしたことで、ー度に2回攻撃できるようになったおかげっす。
それにしたって、この短時間でたくましくなりすぎのような。
メタルアクーアは倒しづらいぶん、実戦経験が多く積めるんだろう。こ
こはレベル上げスポットかもしれませんな。
レベル?
今のところ、ソアラ氏の発言以外は意味不明な点はないが……
どんなとんでも遺跡かとわくついていましたか、なんだか拍子抜けっすー。
そういえばさっきから、ビスケの姿か見えぬのだが?
アクーア苦手やから、宝のありそうな部屋をあさりにいく言うとったけど……
ヘイみんな、力モ力モーン!こっちに立派な宝箱かあるヨ!……
おお、これは!この中にきっと<オンリーハルコン>があるに違いないっす!
宝箱の姿をした魔物という場合もある。
そんときはそんときだヨ!オープン!
<宝箱の中から、おじさんがあらわれた>
いや、魔物以上の恐怖ッ!
私は台無しおじさん。なぜ台無しかって?この<時のナス>をかじると、ちょっとだけ時間が戻るからだ。
ナス?なんたこいつ?箱を閉じちまえー!
ダーメ。カリッ……
え?
台無しおじさんがナスをかじった瞬間、遺跡の入りロに……?
空間が歪んだ気がしたが、入りロに戻すスキルとかじゃないのか?
いえ、レベルが元に戻ってるっす!メタルアクーアで稼いだ経験値かパーっす!
それって本当に時が戻ったってこと……?
まさに意味不明だ。
あんなん無視して、<オンリーハルコン>を探そうや。
そう上手くいけばいいがな……
見つけたぞ。例の宝箱だ。
無視したいけど……開けたくなっちゃうヨ!
やはりそうなるか……ここは我慢してくれ。
宝箱は無視、無視っと……あっ、足をぶつけて――
…………
衝撃を与えても衝撃を与えてもダメらしいな。
おそらく、ナスをくわえて宝箱の中で待機しているのだろう。
なんて絵面や。
今度こそ無視を決め込もう!
宝箱だ!みんな、遠回りを――
ダーメ。
自分から出てきたヨ!?
私だってね、何度もナスをかじりたくないさ。でも、そこの宝箱を守らなきゃね。
なぬ?その宝箱はもしや……
間違いないっす!あの中に<オンリーハルコン>が!
焦るな、奴の思うツボだ。ここはいったん、体勢を整えるぞ。チカヨレール!
たんま!まだ入り口に戻って――
<ソアラたちは飛び上がり、天井に頭をぶつけた>
ゴーン……
す、すまん。
コブができたが、時を戻せばいい。さあ、ナスをかじるのだ。
む、無理だ、ひっくりひて、舌噛んで……
なぬ~。
ともあれこれで、邪魔されずにすむネ。<オンリーハルコン>ゲットだヨ!
みんな、俺に回復呪文をかけさせてくれ……
story3 武道大会
キャトラたちの情報によれば、この闘技場に<オンリーハルコン>があるらしい。
あるとはおかしな表現ですな。地べたに落ちてるとでも?
いいえ、武闘大会の優勝商品です。
OH~、カクリア。土偶だネ。
それをゆーなら奇遇っしょ。アタシもいるよ~。
コルネちゃーん!
おお、リリア。抱きつくと苦しい……
ん?ブライがいないぞ?
それが……ブライさんは、この闘技場の地下牢に閉じ込められてまして……
いったい、何があったんだ?
突然、馬車か暴走し、乗客だった大会の優勝候補者たちを振り落としたとか……
その近くをプライさんが、たまたま通りかかってしまい……
連れのアタシらは元罪人だし、襲撃犯って疑われちゃって~。
それでブライさんを人質に、代わりに武闘大会で優勝してトロフィーを持ってこいと……
なんやその流れ……
まさかバロンさんの角笛を吹いたときに……
はい?
……ねえ、ボクたちが代わりに大会に参加しちゃダメなの?
ちと、優勝商品に用があってな。
おねげーしやす!罪滅ぼしをさせておま!トロフィーは必ずやお届け致すゆえ!
は、はあ……よくわかりませんか、そこまで言うのなら……
…………
……
さあ、今年も血湧さ肉躍る闘いの祭典が始まりました!
歓声の渦のその中心!命知らずの参加者たちが今か今かと奮い立っ!
生き残りをかけたサバイバル、ここに開幕!準備はいいか!
うぉぉぉぉ!!!
個人戦じゃなくて、助かったな。
最後に残った者が優勝というわけか。
てことは、ボクたちのうち一人でも残っていれば……
始まるみたいっす!
レディ~~~……ゴォ――――ーッッ!!!!
うぉぉぉぉ!!!
逃げるのは性に合わないネ!ー気に蹴散らしてやらー!
マギアス・エンゲェ――ージ!!!
切り捨てメーンゴ!真空飛び膝斬り――ー!!!
「「「ぐあああああ!!!!」」」
膝蹴りをしながら斬るとは、なんと器用な。
武闘家と剣士のスキルの合わせ技か。
あたしも負けてられませんな!勇者と戦士のスキルを合わせた――
ガガガガスラッ――――シッ!!!
剣こすりすぎやろ!
「「「ぐあああああ!!!!」」」
なのに威力すごっ!
だが。今のであらかた片付いた。ピーヒャラ踊るまでもなかったな。
残るは拙者とお主らだけのようだな。
して、お主は?
拙者はナメゾウ!前大会のチャンピオンにして最強なり!
我が分身の術で、主らの命脈を絶たせてもらう!
4人に増えおった。
こうなっては、拙者を捉えることは不可能!幻影の檻の中で苦しみもだえよ!
それは、ー対ーなら効果的だが……
ボクは手前のヤツ。
私は右にしよう。
4対4では、意味ないですな。
あ……
みんなで、同時攻撃っす!
<<>
助かったよ、クライヴ!ボクのために尽力してくれて……あれ?クライヴは?
うるさくなりそうだからって、どっかいった。
クラアアアイヴ!!!!
story4 ダブルアップ
ここは……アミューズメント施設というやつらしい。
ゲームの景品の中に<オンリーハルコン>があるそうですが……
これはこれは、いらっしゃいませ。
なんか店員っぽいのがきた。
私はダブルアッパー。ここのディーラーの一人です。
これからやるゲームに勝利すれげ、景品をプレゼントいたしましょう。
ただし、<オンリーハルコン>が欲しければ同じものを賭けていただきます。
負ければもちろん、没収ですが。
それくらいのリスクはつきものか……
よし。やろう。で、どんなゲームだ?
私の出すお題に対して、上か下かを当てるだけ。試しにやってみましょう。
私の身長は150センチより、上か下か?
そんなもん上に決まっとるやろ。ちっこいコルネと比べたらー目瞭然や。
身長曖昧太郎のあんたと比べてもね。
もちろん上が正解。これはサービス問題です。では、次が本番。
私の年齢は100歳より、上か下か?
どう見ても下やろ。
そうとは限りませんぞ。長寿の種族もいますし。
と見せかけて、ひっかけかも……
(ふふ、悩め悩め。この問題はそもそも――)
たわけめ!年齢の証明ができない以上、ゲームにならんだろう。
ハッ!?たしかに答えなんて、とうにでもでっちあげられるネ!
こいつはインチキつす!
クソ……<オンリーハルコン>を手に入れるはずが……
さてはこやつ、ディーラーですらないな!
そうだよ!そいつをよこせ!
しまった!?<オンリーハルコン>を盗られたぞ!
逃がすかー!足払い!
おっと、避けられた!ソアラ、お願い!
ギリギリ斬り~~~……
おい、どうした!?
なんだかこのスキル、出し惜しみをしてしまうっす~。
なにそのスキル!?
びびらせやがって!あーばよ!
させぬ!ピーヒャラヒャラヒャラ~。
なんだあの間抜けな踊りは……なぜだか見入ってしまう……!
うっ、恥ずかしくなってきた……もう踊りたくない……
我慢せい!
今のうちだ!入りロはもうすぐ、このまま逃げ切って――
メダルトラブル!
な、なんだ!?
<スロットが壊れたように大量のメダルを吐き出し、激流のごとく押し寄せる!>
ぐああっ!メダルに飲まれるー!
動きが止まったネ!成・敗ッ!!
グハッ……!
<オンリーハルコン>は返してもらうぞ。
フゥ……なんとかなったな。
ところで、メダルトラブルとは?
見ての通り、こういう場所を混乱させるスキルだ。
店に迷感がかかるから使いたくはなかったか、緊急事態だったしな。
この大量のメダルはどうするのだ?
そちらは、景品と交換させていただきます。
誰だ?
私はここのオーナーです。
というか、よいのか?イカサマまがいで手にしたメダルだが……
さっきのお客様には迷惑していたんです。そのお礼も兼ねて特別に……
<オンリーハルコン>を、どうぞ。
……ま、結果はどうあれ、これで武器を……
最終進化させられるヨ!
story
ついに伝説の武器が我が手に。
杖の先から、光かほとばしっている……!
これでどんな魔物も、ブッコロリーだヨ!
あたしにとっては、過ぎし日の栄光ですか……
この薄い伝説の剣でも、十分に戦えるっす!
準備はええか?おそらく、例の魔物はすぐ目の前やで!
だれか~!たすけて~!
姫の声だ!
でたな、魔物!
グガ――ーッ!!!!
<<>
さっそく、やばいのきたで!
なんの!くるりんぱ。
舞だけで炎をかき消したのか……さすがは伝説の武器だ!
これならイケる!ー気に攻めよう!
いくぞ!聖なる裁きを!グランドクローズ!
セクシーレーザー!
岩石投げー!
ゴイコイスパ――ーク!!!
グオオオッ!?!?
ナイスー斉攻撃や!あれをくらったら、ひとたまりも……
ガアアアアッ!!!!
バカな!?効いていない?
それどころか、怒らせちゃったヨ。
ゴオオ――ッ!!!!
炎がきます!
くっ……今度のは舞では防ぎきれぬ。
みんな!散れ!
あぶねー……間ー髪!
けど、このままじゃジリ貧やで。どないする?
ー発でダメなら、手数で勝負っす。
それなら、速さを上昇させるこの呪文で――
セカス!
モタモ夕しおって!さっさとケリつけんかい!
急に誰かきたっす!?いつぞやのピザ屋みたいに!
せかせかじいさんじゃよ!話してるヒマがあったら終止符をうてー!
そうせかすなヨ。
だが、自然と手数は増えそうではある。
早く魔物に突っ込まんかー!
こうなれば勢いです!とわりゃ――ー!!!
!?
殴る殴る蹴る蹴る蹴ーるッ!!!
回る回る目か回る~!
斬る斬る斬る少し休んでまた斬るー!
なんやこの攻撃!
グオオッッ!?
だが効いてるぞ!
まだまだ遅いわー!努力・パワー・スピード!略してDPSをもっと上げろー!
その略し方、合ってます?
知るかー!パワーが足りないんじゃー!もっとだせー!
なら、すべてのソウルを解き放つ大呪文を使ってみるか……
そいつは、まだだって!最終手段だって!
そ、そうか……
グルルゥ……
モタモ夕すんな!魔物を休ませるな!たたみかけろ!
ゆけ――ー!!全てを過去にするんじゃー!
突撃――ーッ!!!!
俺ッチもダンスで援護するで!
巻き込み型自己責任呪文!
ドラゴン蹴りー!
グググーンサルト!
ギギガガでぃや――――ー!!!
<そのとき、ソアラたちのDPSは限界を突破した――>
最終話 冒険は終わらない
<魔物をやっつけた>
ブブイブイブイ、勝利っすー!
よくやった!拍手は省略じゃ!わしは急いで帰る!
ありがとう、じいさん。あなたのおかげで、信じられない力が出せた。
ほんまやで。ちゅうか……
やりすきじゃネ?武器もボロボロだし。
洞窟どころか、周辺が更地になってしまった。
近くに村がなかったのが、せめてもの救いですな……
待て!姫は……?
コホッ!コホッ!これはどういうことでしょう?
父上から護身用に持たされていた、<復活の卵>が輝いて私は……
とにかく、ご無事でなによりです。
これにて、ー件コンプリート!
報酬をもらいにギルドヘ向かおう。
…………
……
――ー周辺の建物、土地の損害。近くで待機していた職員のケガの治療費などを差っ引くと……
報酬はこれだけになります。
へ?これでは、ガムも買えませんぞ。
保険とかないの?
すいません。今回の損害は、とてもギルドではまかなえなく……
ハア……ここまでやって文無しかヨ……
これでは旅がでさぬ……
まだそういうこというー。
金に困っているなら、装備を売るというのも手ではあるが……
しかし、伝説の武器はボロボロに……
なんだかあの子ら、依頼は成功したのに、失敗した空気になってるわね……
(ソアラよ、私への借金はまだ返せないのですか?)
ビスケッタ、びえんっぽい?
仕方ありませんね。私たちの報酬を分けてあげましょう。
あたしのお金は、コルネちゃんのお金だよ!
クライヴがとうしてもというなら。恵んであげてもいいけどね。
まあ待ちなさい。そこまで落ち込んでるわけじゃないみたいよ。
ゼニは手に入らなくて残念だっだけど……
それ以上に、かけがえのないものを手に入れた……
パーティはこれで解散ではあるか……
みんなとの冒険は楽しかったっす!
また機会があったら、一緒に冒険しよう!
ボクたちの世直しを手伝ってヨ!
<嘆きのダンジョン>を共に攻略しよう。
俺ッチのことも忘れんといてな!
はいっす!
あたしたちの冒険は――ここからっす!