【白猫】ヴィレータ(バレンタイン)・思い出
ヴィレータ・パッタレラ cv.Lynn <心>を届ける天使の郵便屋さん。 大切な人にチョコを渡すため情熱を燃やす。 |
2022/02/11
思い出1
お世話に……なります。
いらっしゃい、ヴィレータ。
じ~~~~~。
あ、あの、顔が近いです……
失礼、いたしました……気になるものを、お持ちでしたので。
このチョコのことですか?
はい……
これはバレンタインで友人からもらって……
さては、自分もチョコが欲しくてうらやましいとか?
いえ……私は郵便屋さんなので、どちらかといえば届けるほうが嬉しいです。
気になったのは、チョコそのものです。
どういうこと?
<カカリオ島>で、大切な人への感謝を学び……チョコ作りにも挑戦いたしました。
そして……ご主人さまやリスティさんにチョコを渡すことができ――大変喜んでいただけたのですが……
ですが?
満たされないんです。
は?
私は……料理が不得手です。
ですのでもっと、美味しいチョコが作りたい……もっと、もっと……
気づけば……その探究心や好奇心といった感情が、胸の中で混ざり合い……
<情熱>となって、燃えたぎっているんです。
ヴィレータさんは<情熱>を司る天使ですもんね……
ようするに、チョコ作りに興味をもったというわけね。
そう……みたいです。
ですが……どのようにすればチョコが美味しくなるのか、皆目見当がつかず……
それなら、私が教えてあげます。
アイリスはお菓子作り得意だしね。
感謝……いたします。
けど、美味しいチョコが作れたとして、それだけでいいの?
せっかくだし、誰かに渡しにいく?といっても、アンタの友人は……
ルカさんとリスティさんにはもう、渡しちゃってますしね……
そのことですが……お二人は、私の<情熱>を知っていて――
美味しいチョコが完成したら、試食してくれるとおっしゃっていました。
ほほう。なら、決まりね。
お二人が満足するような、チョコが作れるように……頑張ります。
思い出2
材料はそろってるので、好きなチョコを作りましょう。
チョコを溶かして、肉球の型に流しこんだりね。
遠慮……いたします。
ガーン!アタシの渾身のアイデアが……
美味しいって、なんなのでしょう?
いきなりの哲学ね。
まあでもたしかに、定義がむずかしいわよね。味の好みなんて、ひとそれぞれだし。
だったら、二人の好みに合わせるとか?
ご主人さまと、リスティさんの……
こういうのは、ひとりずつ考えていきましょう。てなことで、ルカから。
ルカさんといったら……握り飯?
にぎりめし……とは、あの三角だったり、丸かったりする……
そうそう。それそれ。
何度か作っていただきましたが……どういった構造かを気にしたことは……
シンプルに、お米を握るだけよ。
握る……なるほど。
なにか、ひらめいたかしら?
チョコを握ります。
あんちょく!?
でも案外、おもしろいかも。
それでは……チョコを溶かさずに、このまま両手で――
ぎゅ~~~~っ!!!
思いっきり握ったわね。いや……
押しつぶしただけだわ!
できました。名付けて……<握りチョコ>です。
ぺったんこ……!
どこらへんが、三角や丸なのよ!
どうやら、失敗してしまったようですね……ですが、今度こそ!
丹精を込めて握りました……いかがでしょう?
チョコがキャトラの肉球の形に……!
なにがどうなって、こうなるのよ!よく考えたら、味とか関係ないし!
でも、それはそれでいいわ!
作り……直します。
ぎにゃー!
思えば、段階を踏んでいくべきでした……
チョコより先に、お米を握る練習をしましょう。
なんだかアレね……
遠まわりしてる気がするわ!
思い出3
<握りチョコ>はいったん置いといて。
次は、リスティさんのチョコを考えましょう。
リスティさんがお好きなものといえば――
<回転>ですね。
はい?
チョコに回転をくわえましょう。
意味わかんないわよ!
ヴィレータさん、すり鉢を持ってなにを……?
レシピに書いてありました。美昧しさは、素材からだと。
……ですので、カカオ豆をすり漬すところから始めようかと。
そんな……!すごく手間がかかるので、チョコを溶かしたほうが……
リスティさんの気持ちになって、かき混ぜます――
くるくるぶーん。
すごい勢いで棒を……!まさか回転をくわえるって……
くるくるくるくる。
やめて!いろいろ飛び散ってるから!
でもちゃんと、力力オ豆がペースト状になってるわ!?
さらに湯煎で溶かします。
いろんな工程を飛ばしてる……!
くるくるくるくる。
だからやめてー!
最後にチョコを冷やします。
<ルーン扇風機>のほうに向かってる……!
これがスイッチですね……風力最大です。
か~ぜ~が~つ~よ~す~ぎ~ま~す~。
アホー!スイッチ切りなさい!
髪がボサボサになってしまいました……
ですが、おかげで……十分に冷やせた気がします。
おや……?すり鉢の中身か空っぽに……?
ええ。おかげで、真っ白なキャトラさんがチョコまみれよ!
ずーん……
落ち込みたいのはこっちのほうよ!
だいたいチョコが固まったとして、受け手にどうやって回転を伝えるのよ!
ずーん……ずーん……
とりあえず、掃除しましょうか……
思い出4
紆余曲折、ありましたが――納得のいくチョコが完成いたしました。
この鉄球みたいなのが<握りチョコ>で……
こっちのドリルみたいなのが<回転チョコ>ね……
これで……お二人に、私の<情熱>が伝わるでしょうか?
どうかしら……味は好みがあるから、正直なんともだけど。
チョコを渡すとさに言葉を添えないと、作品の意図がわからないかも。
面と向かって、伝えるのですか……?そういうのは苦手です……
なら、手紙も一緒に渡すのはどうでしょう?
いわゆるメッセージカードね。
お手紙……かしこまりました、五七五のリズムでしたため……
なんで俳句なのよ!てか、よく知ってるわね!
私は……字が下手っぴなので、ちゃんと読んでもらえる自信がありません……
なので、興味を惹かせつつ、短い文章で思いの丈を……
困らせるだけだから、やめときなさい。
手紙はあきらめて……チョコの梱包作業に移ります。
私も手伝います。
それでは、私の心が伝わりません。
でも……そんな大きな箱にそのままチョコを入れるのは……
違うのですか?
こういうのって小さい箱に入れて、オシャレな紙とかで包んだりするんじゃないの?
今のままじゃ、ちょっと雑な気がするわ。
なるほどです……
それに包み方を工夫すれば、気持ちも伝わりやすくなるかもしれないしね。
アンタは郵便屋さんだし、包むのは得意なんじゃない?
わかりません。お手紙以外の郵便物は、直で配達することが多いので……
……ですが、やってみます。
チョコを包装紙の上に乗せて……
ここを山折りにして、角と角を合わせると――折り目が反対に……?
チョコがはみ出てる……!
紙を丸めたみたいに、ぐちゃぐちゃじゃないの!
どうして、こんなことに……?
こっちのセリフよ!こんなの渡されたらたぶん、二人とも引いちゃうわよ。
これならまだ、皿の上にチョコを乗せたまま渡したほうがいいかもね。
それでは私の〈情熱>が……上手く伝わらない気がします。
だったら、覚悟を決めるしかないわね。
アンタの言葉で気持ちを伝えるのよ!
で、ですが、私には……
練習すれば、きっと大丈夫です!
私と主人公を、二人だと思ってくれていいので……
ありがとう、ございます……
思い出5
飛行島に来たったらい!
ワタシたちのチョコはどこデスかぁ~?試食しにきましたよぉ~。
ふたりとも、いらっしゃい。
ところで、ヴィレータさんの姿が見えないようですか?
もしかしてぇ~、恥ずかしくなって逃げちゃいましたぁ~?
ヴィレータさんなら、ここにいます。
チョコ……お持ちいたしました。
なんデスぅ~?お皿の上にチョコなんか乗せちゃってぇ~。
しかも、生まれたての小鹿みたいにプルプル震えてるじゃないデスか~♪♪リ
リスティさーん!?なんだか真剣な様子ですし、からかっては……!
え~?なんでデス~?
びし。
あいたー!いきなり、おでこチョップしないでくださいよー!
大事な場面なので、静かにしてください。
わかりましたよぉ……
ヴィレータさん、練習の成果を見せるときです。
ど、どうぞ……私のチョコを受け取って、ください……
うおおっ!?近いです!顔が近いです!
申し訳ございません……二歩ほど下がります。
大丈夫かしら……
こ、これはチョコ……?
ご主人さまは握り飯がお好きなので、チョコを握り続けたんです。
鉄球のように重くて硬いですね……!
…………
こっちの、ぐるぐるしたチョコはなんデス~?
リスティさんが好きそうな、回転をくわえてみました。
食べ物にまで回転求めてない――!!
…………
ヴィレータさん?
やはり……上手く伝えることができませんでした……
私の<情熱>は、伝わらなかったようです……
私はただ……お二人に心から喜んでほしくて……
だいじょうぶです!気合で完食したらーい!
ワ、ワタシだって、別に食べないとはぁ……!
私……あきらめません。
へ?
お二人に喜んでもらうまで、あきらめたりしません!
ヴィレータの翼が……
燃えてる……!
どうか私の<情熱>を――受け取ってください!!!!
あっつ!?
食べます!食べますから、落ち着いてくださいって!
はい……
フゥ。ー気に涼しくなったわね。
でも、今のでチョコが……
と、溶けて――
目に汗が……
もぉ~、なんなんデスかぁ~。
二人はまだ気づいてないわ。
あんなの渡したら、台無しよ!主人公!
思い出6
この、情熱的な光は……!
まぶしいですー!
今度はなんデスかぁー!!
それで、どうなったの?チョコがもとの形に戻ったとか?
ううん。それどころか……
私のチョコが……見る影もなく、ドロドロに溶けています……
お皿の上にチョコの池が……
これって、サプライズかなんかデス?
ち、違います……
ちょっとー!状況を悪化させてどうすんのよー!
(このままでは……お二人を喜ばせるどころか、悲しませる結果に……)
(なんとか、しなくては――)
ヴィレータさん、これはいったい……?
原型なくなっちゃいましたけど……?
どうしよう……
あのチョコの形……そうだ!
ヴィレータ!山よ!山!あの大会を思い出して!
山……?山……マウンテン……
チョコファウンテン……!?
はい?
これは……ドロドロのチョコなんかじゃありません――
チョコフォンデュです!
言われてみれば、たしかに!シャレてますね!
(なんとか、ごまかせました……)
でも、フルーツとか見当たりませんよぉ~?
ハッ!?
それなら、こちらに。
おおっ!イチゴにバナナ、色とりどりのフルーツが!
ワタシはマシュマロがいいデス~♪♪
アイリスさん、感謝いたします……
いえいえ。
キャトラさんも、ヒントを与えてくれて……
いいのよ。むしろ、ピンチにさせちゃったし。
このバナナ、甘さが際立って美味しいです~♪
マシュマロも相性バッチシって感じい~♪
ひとまず、何事もなくてよかったです。
満たされません。
え?
お二人が美味しいと言ってくれました……ですが――
本来あるべきチョコの姿でなければ、真の<情熱>は伝わりません。
な、なにする気?
握り飯をチョコに浸して、フォンデュにします。
ぎにゃー!たぶん、美味しくないからやめときなさい!
あと、お皿を回転させます。
みんなチョコまみれになるわ!
だとしても、妥協は許されません。
私は――<情熱の天使>なのですから!
もう好きにしなさーい!
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