名探偵コナン 魔法世界の来訪者 Story1
名探偵コナン 魔法世界の来訪者 Story1 |
開催期間:2015/12/21 |
目次
story0 プロローグ
story1
「ねえ君、大丈夫?」
目を開けると、ひとりの少年が君の顔を覗き込んでいた。
パーティーの最中だろうか? 壁には装飾が施され、テーブルには食事が並んでいる。
「わー! ライオンさんがいるよ!」
「歩美ちゃん! そんなに近づいたら危ないですよ! 突然襲われたらどうするんですか!」
ライオン…? 君はバロンが横たわっているのを見つける。
どうやらバロンはまだ気を失っているようだ。
一体何が起こったのだろう?
確かさっきまで、君はいつものように街のギルドにいた。
バロンがどこからか見つけてきた大きな宝石について調べていたのだ。
それで、ウィズが宝石を覗きこんだ時、急に宝石が光って――
そうだ! ウィズは? ウィズも一緒にいたはずだ。
そう思い、君は慌てて辺りを見回す。
「大丈夫ですか? 怪我はありませんか…?」
と、体を起こした君にひとりの女性が心配そうに尋ねる。
見ると、彼女の腕にウィズがちゃっかり抱かれている。
「にゃ!」
ウィズは彼女の胸から飛びおりると、君に駆けよる。
(キミ、どうやら私たち、また変な異界へ迷い込んじゃったみたいにゃ)
君は耳元で囁くウィズに頷いた。
「わあ! しゃべる猫ちゃん!」
しまった。ウィズの声が耳に入ってしまったらしい。
「にゃ? にゃにゃにゃ?」
黒猫然とした鳴き声をあげ、ウィズはなんとかしゃべった事実を誤魔化そうとする。
異界にはそれぞれ独自の理があり、魔法や亜人が存在しないところもあるのだ。
不要なトラブルを避ける為にも、状況を見極めるまで迂関に素性を話すべきではないのだ。
それが、これまでの経験から君とウィズが得た教訓だったのだがーー。
「しゃべる猫ちゃんに、ライオンさん、それにその格好… もしかして魔法使いさん?」
「マジかよ歩美! こいつら魔法使いなのか?」
「元太君… 魔法使いなんて現実にいるわけないじゃないですか…」
「非科学的ね…」
「非科学的って… どうせ博士が呼んだ手品師かなにかだろうけどよ…」
「ほら、みんな! そんなにジロジロ見たら失礼でしょ…
きっとマジックに失敗したのね…」
君たちは既に人に囲まれ、目立ち過ぎていた。
「うう……」
(バロンが気がついたみたいにゃ)
ウィズは先はどよりもかなり小さな声で囁く。
「……!? ここは…どこだ?」
「なに言ってんだ、オメー? 「米花町」に決まってるだろ?」
「ベイカチョウ? なんだそれは?」
「それにしてもよく出来た着ぐるみですね…」
「まるで本物のライオンね…」
と、少女がバロンのたてがみを強くひっぱる。
「い、いたたた! な、何をするか!」
「きゃっ! 妙にリアルね…」
「ハッ! もしや…ここは、異界?」
「だからここは、イカイじゃなくてベイカだぞ! ライオンのおっちゃん…」
「ベイカ… この世界はベイカというのか…」
「おっちゃん、もしかして外国人か?」
「そういうことになる…
私はクエス=アリアスの魔道士、ギルドマスターのバロン・ライオネルだ!
(バロン…普通に自己紹介してるにゃ…)
君の知る限り、バロンはこれまで異界に行ったことがない。
魔法の存在しない世界があるなんて、おそらく想像すらしていないだろう。
「魔法使いだと~? そんなものいる訳ないだろう!
だいたい、いきなり現れて何なんだ、あんたたち?」
「毛利君… 子ども相手に言っていることを本気にしてどうする?」
余興に呼ばれた手品師なんだろう? いいじゃないか、魔法使いで…」
「そうよ、お父さん… ちょっと飲み過ぎよ…」
やはり、この異界には魔法は存在しないらしい。
君はそのことをバロンに伝えようとするが、
バロンはなんの警戒心もなく、子どもたちの輪に加わっていきー-
「ねえ、何か魔法をみせてよ!」
「オレも見てーぞ!」
「いいだろう!」
子どもたちにせがまれるまま、次々と魔法を放ち、空間に光で色を添えていく。
その度に歓声が上がる。
(どうやら、危ない異界ではないみたいにゃ)
確かにこの異界の住人は、友好的であるらしい。
子どもたちに囲まれてはしゃいでいるバロンを見て、君も胸をなでおろす。
「ワシの発明品が!」
声のする方を見ると、白髪の男性が煙をあげる仰々しい装置の前で立ち尽くしている。
(キミ、あの人に話を聞いてみるにゃ)
(あの装置から魔力を感じるにゃ… あれのせいでこの世界に紛れ込んじゃったみたいにゃ)
(あれを使えばクエス=アリアスに戻れるかもしれないにゃ)
君はその男性に近づき、自分たちがパーティーを台無しにしてしまったことを詫びる。
「いいんじゃ… 君たちが来てくれたおかげでパーティーも盛り上がっておるしのう…」
それにしても、この装置は一体なんのためのものなのだろう。
君は彼に訊ねてみる。
「ワシは科学者の阿笠じゃ…これはな、ワシの最新作でな…
人の記憶を映像に起こす事の出来る画期的な装置なんじゃ!
今日はそのお披露目を兼ねたクリスマスパーティーだったんじゃが…」
「まーた失敗作だったみたいだけどな…」
と、さきほどの少年が近づいてきた。
君は、子ども相手ならば、とバロンと同じように自分が異界から来た魔道士だと伝えてみる。
しかし――。
「魔道士ねえ…手品師っていうのも中々大変なんだね…」
バロンのまわりではしゃぐ子どもたちとは違い、彼は明らかに君のことを怪しんでいんでいる。
「ボクは江戸川コナン…よろしく、魔法使いさん…」
「博士、この装置が失敗した時のために、手品師を呼んだのか?」
やはり君たちのことを手品師だと思っているらしい。
「犯罪捜査にも使えるなんて言って、目暮警部まで呼んでるんだぜ… このままじゃまずいだろ…」
「いやー阿笠さん! 見事に一本とられました…」
「いや、これは何というか…目暮警部、本当に申し訳ない…」
「いやいや、部下共々このマジックショー、楽しませてもらいます…
(君、ここはとりあえずマジシャンになりきってここをやり過ごすにゃ)
君は魔法を手品にみせるため、カードにほんの少しだけ、魔力を込めた。
story2
種も仕掛けもない魔法という手品をひとしきり披露してから君たちはパーティーの輪に加わった。
魔法使いであることを信じてくれない以外、彼らは非常に友好的だった。
君は、自分が魔法使いである、と説明をしてみたが、彼らには冗談として聞き流されてしまった。
かろうじて『魔法使いさん』と呼んでくれるようになったが、
彼らは完全に君のことを『手品師』『マジシャン』として認識しているようだ。
パーティー会場にいる人々については、いち早く彼らと打ち解けたバロンが紹介してくれた。
「まずは少年探偵団の諸君を紹介しよう!」
(なんでバロンが紹介するにゃ!)
「吉田歩美です! よろしくね、魔法使いさん!」
「オレ、小嶋元太!少年探偵団の団長をやってんだ!」
「円谷光彦です! 米花町へようこそ!」
「灰原哀… 魔法なんて、私は信じないから…」
「灰原… お前相変わらずダークだな…」
「子どもだと思って甘く見てはいかんぞ! 彼らは実際に様々な事件を解決してきたのだ!」
(さっき会ったばかりなのに、馴染み方がとんでもないにゃ)
「しかし、異界「ベイカ」には、もっとすごい探偵がいる!
それでは紹介しよう! あの有名な名探偵を!」
(“あの”ってなんにゃ…)
「どんな難事件でも魔法のようにズバッと解決!探偵、毛利小五郎とは俺のことだ!」
かなり酔っ払っているようだが……名探偵とは一体何なのだろう?
「もう、お父さん! 恥ずかしいじゃない!
毛利蘭です… さっきはいきなり出てきて驚いちゃいました…」
「僕の名前は世良真純! 女子高生探偵をやってるんだ!」
「探偵の安室透です… といっても、まだまだ毛利先生の足元にも及びませんが…」
(探偵が多いにゃ…)
(そもそも探偵ってなんにゃ?)
君はバロンに説明を求める。
バロンによると『探偵』とは、事件や困りごとを、依頼を受けて調査をする職業らしい。
どこか自分が日常的にやっている魔道士の仕事に似ている気がして、君は彼らに親近感を覚えた。
「沖矢昴といいます…よろしく、黒猫の魔法使いさん…」
もしかして、彼も探偵なのだろうか? 君はそれとなく訊ねてみる。
「僕はちがうよ… ただの大学院生さ…」
「警視庁の目暮です…ワシも刑事だから探偵ではないですな…」
自己紹介を終えた君たちは、その後しばらくの間パーティーを楽しんだ。
「コナン君! バロンおじさんに街を案内してあげようよ!」
「案内するって…別にその必要はないんじゃねーか?」
「どうして? だって魔法使いさんたち、他の世界から来てるんだよ?
わたしたちの世界のことを知ってもらいたいもん……」
「江戸川君、女の子の夢を砕くような真似、ゆるさないわよ…」
「お、おう…」
「子どもたちだけじゃ危ないわ…」
「だったら僕が一緒にいきますよ…もう家に帰るつもりでしたし…
「そうですか? ありがとうございます!
「魔法使いさん、どうする?
君は少し考えて、バロンを説得することにした。
ここは魔法が存在しない異界なのだ。当然、獣人や亜人もいないだろう。
騒ぎの元になるであろうことは容易に想像が出来た。
バロンに問題があるわけではないが、やはり彼は外にでるべきではない。
「そ、そんな……」
(この異界には猫はいるみたいににゃ!
「着ぐるみ、脱げばいいんじやないかしら?」
「残念だが… これは着ぐるみではないのだ…」
どうやら、バロンの格好は仮装の類だと認識されているらしい。
「ごめんね、バロンおじさん…
結局、バロンをパーティー会場に残し、君たちは異界の街へと繰り出した。
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最終話