【白猫】ノエル・思い出
ノエル・アレス cv.三瓶由布子 アレス三兄弟の三男にして、知的な少年。 かわいいものが大好き。 |
ノエル・アレス cv.三瓶由布子アレス三兄弟の三男にして、知的な少年。かわいいものが大好き。
亡國のツバサ亡国のツバサ
思い出1
魔幻獣をめぐる兄弟たちの物語に
決着がつき、しばらく後のこと……
無邪気な少年の声が、飛行島に響いた。
わぁあ……すっごい広い!
こんな大きな島が、どうやって飛んでるんだろう……!
いらっしゃい、ノエル君。ようこそ飛行島へ♪
改めて、ノエルだよ。みんな、これからよろしくね!
お、来たわね末っ子。
あっ!キャトラ~~~~!
また抱っこしていい!?ねえ、お願い~~~!
ダメよ、いまは。
猫はね、気まぐれなの。構われたくないときだって、あるのよ。
キャトラ、どうしたの?
誰にだって、静かに過ごしたいときくらいあるでしょ?
つまり、それよ。
あ、だよね……キャトラの気持ちわかるよ。
あら、ものわかりが良いわね?
僕にも、おせっかいな兄貴が二人いるしね。
ほっといてほしい時だって、構わず世話焼こうとしてくるし……
でも、楽しくて優しいお兄さんたちたよね。
うーん、まあね。
僕たちの故郷……<アレス王国>が魔獣の襲撃で滅んで、大事な人たちをたくさん失って……
それでもやってこれたのは、兄貴たちのおかげだから。
みんなも、この間はありがとう!
いまも僕たちが三人一緒にいられるのは、みんなのおかげだよ。
ノエル君たちの力になれたなら、私たちも嬉しいな。
ところで、そのお兄ちゃんたちは?一緒じゃないの?
さあ。その辺にいるんじゃない?
そっけないわねー。
僕だって、別に四六時中、二人と一緒にいるわけじゃないよ。もう子どもじゃないんだから……
ふふ……初いわね。
キャトラが優しい目を……!
思い出2
これで明かりが点くと思うんだけど……どうかな?
……あ、ちゃんと点いたよ!
よし、修理は完了。他に調子悪いのかあるならまとめて直すよー。
おーい。なにしてるの?
壊れたランプを、ノエル君に直してもらってたの。
ずっと点かなかったやつ?そんな簡単に直せるもんなの?
難しい作業じゃないよ。古い部品を交換しただけ。
ヘー、器用なもんねえ。頼りになるじゃない。
そ、そうかなあ……えへへ。
あれ、ノエルじゃないか。お前らも一緒か!
あ……
ディランじゃない。やっほー!
こんにちは、ディランさん♪
おう!で、みんなで何してたんだ?
いや、別に――
ノエル君にランプを直してもらったんです。
あっという間に直してくれて、助かっちゃいました。
だろ!俺の弟はすげえんだよ!
ノエルは本当に賢くてさ、魔幻獣の操縦だって一人でこなしてたんだ。
ちょっと……みんなの前でそういうのは……
小さい頃から頭が良い奴なんだぜ。それでいて武の腕も立つ!
文武両道ですね!
こ、このバカ兄!人前でする話じゃないだろ……っ!
照れることないぞ?弟が立派に育ってくれて、兄ちゃんは誇らしい!
自慢の弟さんなんですね♪
あ……う……
(……ダメよ、アイリス!)
(え、な、何が?)
も、もう知らない!
僕は用事があるから!じゃあね!
お、おいノエル!?行っちまった……
ディラン、アイリス……やっちゃったわね。
え、え……?
知り合いの前で、自分の自慢話を家族の口から惜しげもなく語られるなんて――
年ごろの子にとって最大のちじょく……!
まして、それに相槌を打たれるなんてただの拷問よ……!
そういうものなの……!?
マジか!?褒められたらふつー、嬉しいもんじゃねえのか!?
思い出3
買い出しおつかれー!
大荷物になっちゃったね。
ノエル君も、今日は手伝ってくれてありがとう。
ううん、お安い御用。力仕事は得意だしねー。
それじゃご飯食べて、飛行島に帰りましょ!
***
ごちそうさまー。あぁ、美味しかったぁ♪
お客さま、食後のコーヒーです。ご一緒にデザートはいかがですか?
特にこちらのラブリーロールケーキは、女性にオススメとなっております♪
あら、おいしそー♪
なにこれ!?うわぁ、すっごいかわいい~~!
あらあら。アンタってかわいいもの全般、大好きなのね?
食べる?今日のお礼にごちそうするわ♪
えっ?あ、いや――
……コーヒーだけで大丈夫。
***
うぅ……
ノエル君、苦くない……?
無理しないで、お砂糖とミルク入れなさい。
だ……大丈夫……!
こんなことで大人ぶっても、あんまり意味ないわよ?
ディラン兄もヴィシャス兄も、すぐ僕のこと子ども扱いするんだ。
どこへ行くにもついてくるし、遊ぼう遊ぼうってうるさいし、いろいろ詮索してくるし、すぐプレゼントとか買ってくるし。
兄バカね。
ノエル君のことが、本当に大好きなんだね。
いくらなんでも過保護すぎるって……
だからってね、見かけの『大人らしさ』にこだわっても意味はないわ。
アンタが背伸びすればするほど、ディランたちも世話を焼きたくなるの。
じゃあどうすればいいんだろ。
無理をせず、等身大の自分でいなさい。それが素敵な大人への近道よ。
うん……たしかにそうかもしれないね。
だからケーキ注文しましょ。アンタが遠慮したせいで、アタシまで食べそびれたわ。
キャトラ……
あの、こちら、ラブリーロールケーキになります。
<テーブルにケーキの皿が置かれた!>
うわぁああ……かわいいい……!
え、ちょっとまって。まだ注文してないわよ?
あちらのお客さまから、『奢るぜ』と……
あれは……!
…………
ええと、これで良かったでしょうか……?
……ブリリアント。
はあ……それで、お客さま自身のご注文は……?
(麗しい)
な、な、な――
なんでヴィシャス兄がいるんだよぉ!!
これは偶然を装った隠密行動……
じゃあ出てくるなよ!
思い出4
はぁ……ヴィシャス兄も、いい加減にしてほしいよ。
あれはきっと、ノエル君のことが心配だったからで……
隠れてついてきたなら、いっそ買い出し手伝えよ……
まごうことなき正論ね。
……わかってるんだ。二人が僕を大事に思ってくれてることくらい。
それに僕だって、その気持ちは同じだし……
あらあら、お兄ちゃんたちがいないと素直だこと♪
か、からかわないでよ!
からかってないわよ。自分の気持ちに素直になるのは、本当にむつかしーもの。
その点、アンタはちゃんとできてるみたいたからね。
キャトラは……オトナなんだね。
えへ。
(嬉しそう……)
でもやっぱり、思うところはあるよ。
ディラン兄もヴィシャス兄も、アレスが滅亡する前は、父さ――国王に仕える戦士だったんだ。
歳が離れてた僕は、二人の背中を見なから……いつか自分も一緒に戦うことを夢見てた。
でも、それか叶う前に国は滅んだ……
……辛かったね。
あの時、僕は何もできなかった。だからこそ、唯一残った家族だけは何かあっても守りたいんだ。
立派な心がけだと思うわ。
でも二人は、いつまでたっても僕を子ども扱いしてくるし……
子ども扱いっていうのとは、ちょっと違うわ。
ディランやヴィシャスも、家族を守りたいって気持ちはアンタと一緒。きっとそれだけよ。
うん。だからこそ、末っ子のノエル君が心配なんだと思う。
守りたい気持ちは同じなのに、末っ子だからってだけで、守られる立場になっちゃうんだね。
やっぱり悔しいなー……
ずっとそれか続くわけじゃないわ。あと少し時間がいるだけよ。
僕だってもう、二人と肩を並べて戦えるのに……
思い出5
えっと……道は、こっちで合ってるよね。
急がないと……まだ残ってますように……!
あら。今のノエルじゃない?
今朝から姿が見えなかったけど、ノエル君も街に出てたんだね。
なんか急いでたみたいね。追っかけてみましょ!
……やっと見つけた!
店員さん、<シュテルフ>のくまのぬいぐるみ、まだ残ってる!?
運が良かったですね、お客さん。最後の一体ですよ。
ああ……良かったあ~!これ、くださいっ!
ふああ~~!ふわふわの手触り、つぶらな瞳、あどけない表情……!それに黄色のイヤータグ……本物だ!
あああ……もう……かわいいな~~~~!
アタシとどっちか?
うわああっ!?キャトラ!?みんなも……!
こんにちは、ノエル君。さっき、通りで見かけたから……
そ、そうなんだ……
なによ、もじもじして。
だって、男のくせにぬいぐるみが好きだなんて……変だろ。
ちっとも?好きなら堂々としてればいいのよ。
……そう、なのかな……
わぁ、すごくかわいい♪縫製もすごく丁寧……!
なかなかのもんね。アタシの毛並みには及ばないけども!
<シュテルフ>製のぬいぐるみは、素材にもこだわってるから。
長い間、探してたんだけど、生産数が少ないからどうしても手に入らなくて……
この街で少しだけ再販されるって聞いたから、朝から探してたんだ。
無事にお迎えできてよかったね♪
うん、念願か叶ったよ。ああもう……かわいいなあ……!
それじゃ、帰りましょ!
そうだね。……ん?
…………
<小さな男の子が、涙を浮かべて立ち尽くしている……>
どうしたの?
……しゅてるふのくまさん、買いにきたんだ。
妹がすっとほしがってたから、おこづかいためて、誕生日にプレゼントしたくて……
……でも、売り切れちゃった。
そうだったんだ……
…………
思い出6 (友情覚醒)
はい、どうぞ。
え……これ、しゅてるふのくまさん……ほんとうにいいの……?
うん。だって君はお兄ちゃんなんだから。
それならこの子を連れて帰って、妹を喜ばせてあげないと。
でも……
大丈夫。だって僕は、君より少しだけお兄ちゃんだから。
……あ、ありがとう!お兄ちゃん!!
ふふ、やるじゃない。ノエルお兄ちゃん?
優しいんだね。
正直、断腸の思いだったけどね。
でも、なんだか放っておけなかったんだ。
それに……喜んでもらえて、嬉しかった。
その優しさは、理届じゃなかったでしょ?
きっとそれか、お兄ちゃんの気持ちの断片……いわゆる『兄力』よ。
(あにぢから……!?)
……そうだね。たしかに理屈じゃなかった。
妹のために泣いてるあの子を見て、『こうしなきゃ』って自然と思って……気づけば体が動いてた。
ディラン兄やヴィシャス兄も、こんな温かい気持ちだったのかな?
うん、きっとそうだよ。
お、いたいた!帰りが遅えから心配したぞー?
兄ズ参上。あくまで偶然。
…………うわ。
もしかして、またぬいぐるみ探してたのか?
よーし、兄ちゃんが買ってやろう!最近断られっぱなしだったしな!
いや、ほしかったのはもう売り切れちゃってたから……
ならスウィ~ツを奢ろう。
兄弟そろって女子力を磨こうぞ。
磨いてどうするんだよ……まったくもう……
あ、おいっ、ノエル!?
しまった……また怒らせちゃったか……
ディランは不器用だな。
お前もいうほど上手くやれてないからな?
アンタらね……
……おーい。二人ともなにぼーっとしてるの?
え?
買い物、付き合ってくれるんでしょ?
早く行こーよ!スイーツもごちそうしてもらうからねー!
……あれ、怒ってねえのか?
反抗期の終焉……?
ふふ、ああやってひとは大人になっていくのよ。
猫が人の道を説いた……だと?
覚醒絵
無垢なる賢人
その他
亡國のツバサ (四魔幻獣 Ep3) |
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