【白猫】ヴィシャス・思い出
ヴィシャス・アレス cv.松岡禎丞 アレス三兄弟の次男にして、影の始末人。 美女にはめっぽう弱い。 |
2018/05/31
亡國のツバサ
思い出1
魔幻獣をめぐる兄弟たちの物語に決着がつき、しばらく後のこと……
飛行島に、影が舞い降りた。
俺が手を貸すとつまらないぞ……
<その自負は……おそらく……実力に裏打ちされたものなのだろう>
ふぉう!!!
思い出2
<ヴィシャスの兄、ディランと弟のノエルだ。>
<ヴィシャスは……ナイフを構えて……投げた!>
そういうわけだ。ちょっと外すぜ。
…………
……
思い出3
<<鋼の岡>の属国の一つ、灰の島……
そこは政府軍と反政府軍が争い続ける紛争地帯である。>
「――あれを使うぞ」
「……了解しました」
「不服そうだな」
「あんなものを使ってもいいんですか」
「反政府組織から、国を守るためだ。結果的に犠牲は少なくなる」
「……国を守るため、か」
<青年は、闇の中で静かにたたずんでいる……
誰一人、青年の存在に気づいてはいなかった。>
(こういう仕事が、俺には馴染む。……端から俺は、こっち側の人間だからな……
こっち側っていうと……なんかカッコいいな)
「異常なし!」
「……ブツはこっちか」
…………
……
”……お兄ちゃんだよ?”
<ヴィシャスは手にしたルーンに語りかける。
音を伝える、伝声のルーンであった。>
「気持ち悪い……」
<ヴィシャスの目の前には、巨大なゲートがある……>
「――三番格納庫奥のゲートに、細工をしてくれ」
”了解。十秒で片づけてね”
「三秒だ」
<ノエルが操る魔法により、ゲートを閉ざしていた魔法は一時的に解除される……
ゲートが開くや、ヴィシャスは奥へと忍び込んだ。>
「動かないで」
<背後から近づいた女は、ヴィシャスに銃をつきつけた……>
「美女!?」
「いい女なのはわかってるけど、今いうこと?」
「……クールビューティ!」
思い出4
「いたぞ! 追え!」
「……潜入した先で追われるとか、素人みたいだな!」
「さっさと逃げる!」
「わかってる。こっちだ!」
「そっちは行き止まり――」
…………
……
「こんなところに通じているなんて……」
「隠し通路くらい、普通だろう?」
「腕が立つのね、あなた」
「――それほどでもない。あと俺は美女に見つめられて動揺とかしてない」
「ハイハイ。ところで……あなたの持ってるそれなんだけど……」
「これは鋼の国が開発した<瘴気弾>という兵器だ。原理はよくわからんが――
スゴクヤバイ。一発で街が全滅する」
「それ、ゆずってくれない?」
「危険なものなんだ」
「駄目?」
「君に、こんなものは、似合わない~!
ええい、緊張のあまりイントネーションが変だ!」
「ありがとう……でも、私にはそれが必要なの」
「人殺しになるつもりなのか」
「それがどれだけ危険な代物か、私はよく知ってる……」
「――もしかしたら、君は……
「私はこの島の人間よ。気づいたとは思うけど、反政府組織側のね。政府軍の悪事を世間に公表するためには、それが必要なの」
…………
……
”よう弟。兄ちゃんが船を手に入れてやったぞ。港まで急ぎやがれ”
<伝声のルーンが、声を伝えた……>
”こっちはディラン兄と合流したよ。早く行こう”
「アニキ……ノエル……」
”何だよ”
”まさか……!”
「美女が……」
”あーん!?”
<ディランとノエルは、全てを察した!>
”このバカ兄貴!!”
”……瘴気弾はどうしたよ”
「クールビューティーが……政府の悪事をばらすために使うってさ……」
”どーしてお前はこう、綺麗なお姉ちゃんに弱いんだ!
「いいんだ、俺は……彼女が幸せなら……」
”落ち着いて聞いて、バカ兄貴。この島の政府は最悪だけど……反政府側も最低だ。
彼女はいい人かもしれないけど、瘴気弾なんてものを渡していい相手じゃない”
「彼女は……」
”……女は、嘘をつくもんだ”
「だったら、騙されてやるもんだな」
<ヴィシャスは、己の拳に武器を装着した……>
「……兄貴、ノエル。バックアップ頼む」
”手のかかる弟だ”
”手のかかるアニキだなぁ”
思い出5
――反政府軍のアジト
「……こいつは驚いた! まさか本当に……あれを奪ってくるとはなあ」
「――約束は、果たしてもらう」
「ブツが先だ」
「彼を解放して」
「ぐっ……」
「先にいっておくけど、手を出してきたら……このルーンを使うから」
<女の手には、檀色に輝くルーンがある……>
「爆裂のルーンか。肝が据わってるな」
「洞窟ごと吹っ飛ぶ。試してみたい?」
<反政府軍のメンバーは、人質の男を地面に転がした。>
「立てる?……
「瘴気弾を……渡しては駄目だ……!」
「もういいの。貴方はこの島を守るために頑張った。でも、もう終わり……
こんな島を救うのは、神様にだって無理だから……!」
<女は、瘴気弾を……指導者に渡した……>
「……あっ!」
<指導者の目が輝く!
女の手から、ルーンが零れ落ちた……>
「こいつは義眼でな。<麻痺>のルーンを仕込んである。効果は見ての通りだ」
「体、が……!」
「安心しな。政府は俺が倒す。島の資源もそっくりいただく。島の人間を掃除してからな。
じゃ、あばよ……」
<指導者は、銃を手にした……!>
「ひぎぃああああ!?」
「なっ、なんだー!?
ぎゃああ!? お、俺の腕が!?」
「我は影にありて影に死すもの。音もなく色もなく速やかに刹那の内に事を為すべし――」
<青年が影の中を己の戦場と選んだ理由は一つ――
聞こえたのだ。>
「ぐぇあっ……!?」
「すまんな……痛みもなく殺すほどの腕は、持ち合わせていない。」
<影の中でささやく声が――>
「あなたは――」
「怪我はないようだな。」
「クソッ……死ね!」
<反政府軍の指導者は、ヴィシャスを背後から撃った――!>
…………
……
思い出6 (友情覚醒)
<撃たれたヴィシャスは、その場でよろめき……>
<倒れるかと思いきや、指導者に顔を近づけ、手に握ったそれを見せた。>
<顔面にヴィシャスの拳を受け、指導者は倒れた……!>
どうりで……いつもより速く動けたわけだ……礼をいうぞ。
<ヴィシャスは、弾丸を指で弾いた……!>
…………
……
<ヴィシャスの背中越しに……
悪徳に救われた男女は、互いの命を確かめ合うように、身を寄せた――>
…………
……
この俺の存在が、お前にとってのジョーカーだったらしいな!
王の眼 ヴィシャス・アレス
その他
亡國のツバサ (四魔幻獣 Ep3) |
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ヴィシャス・思い出