【白猫】光彩たちの幻想曲 Story
2015/12/07
目次
登場人物
アマーリエ・グラス 世界を放浪し唄を聞かせる吟遊詩人のエルフ。その清らかな唄声に全ての生命が耳を澄ませる | |
ヒナ・バーディー 鳥に育てられた不思議な少女。マーチングバンドにいたことがある。 | |
テレーゼ・マイスナー 演奏旅行を続けるピアニスト。秘められた激情は人の心を震わせる。 | |
アルチュール・カプリス 世界を気ままに渡り歩く、吟遊詩人。彼の行くところ、決まって奇妙な事件が起こる。 | |
ダリル・キルブリッジ 工場の島インダストリア出身のアウトロー。狂気の叫びがキッズを熱狂させる。 | |
ジョバンニ・タクティモニス 作曲家の少年。曲を書き上げることに鬼気迫る熱意を見せる。 |
story1 小さなリュミヌ
にくきゅうタッチ~♪幸せのぷにぷに♪うるわし尻尾も、ゆれてるわ~♪
まぁまぁキャトラちゃん!素敵な歌ね!
まぁね♪アタシが作ったんだし当然よ。
あら。その歌、キャトラちゃんのオリジナル?
今、ちょっと飛行島で、音楽がブームなんです。それに影響されたみたいで……
アタシの音楽を響かせてあげるわ!
音楽がブームなんて、いいわね♪
ねぇキャトラちゃん。あたしも一緒に演奏したいなぁ~♪
もちろん、いいわよ。
あ、主人公とアイリスちゃんも一緒にね♪
私たちもですか?
いいじゃない。アイリスはピアノ、主人公はギターで!
みんなで音楽を奏でるなんて、きっと素敵な時間になると思うの。
ねぇ、キャトラは何を演奏するの?
アタシは、この美声を活かして、歌うわ!
うふふ。なんだか、バンドみたいね。
いいわね。バンド、カッコイイじゃない!
メンバーを集めてバンド結成!アタシたちが流行になるのよ!
うふふ。楽しそうね。
それじゃ、メンバー探し、してみましょ~
story2 小鳥のシャンタン
あら……澄んだ音色~。木の上から聞こえるみたい。
<耳を澄ますと、かすかに美しい音色が聞こえる。>
この音色……ヒナちゃん?
そうみたいね。でも、また木の上なのね……
登っている場所、かなり高いし……危ないよね。
ヒナーーー!!おりてきなさーーい!
<…………>
……聞こえてないみたい。
あんな所じゃ風も強いだろうし、フルーピョまで吹いてたら、声は聞こえないかもね。
それなら、あたしがやってみるわね。
どうするよ。
この竪琴の音色を風に乗せれば、こっちに気付いてくれると思うの。
<ヒナのフルーピョの音色に合わせ、アマーリエが竪琴をかき鳴らした。>
……?
あ、こっち向いたわ!
――♪
――――♪
――♪――♪――――♪
――♪――――♪――♪
――――――♪――♪――♪
……ふたりとも、演奏でお話してるみたい……
――♪………
おりてくるみたい……よかった。
…………
アンタねえ……あんな高い木に登ったら危ないでしょ!
ヒナ、慣れてるから平気だよ?
そうね。でも登る時は、十分に気をつけてね?
ピヨ。
わかったならいいけどね。
さて、それじゃヒナちゃん。バンド、一緒に楽しみましょうね♪
ピヨ。みんなと一緒……楽しみ。
ねぇ?なんでヒナが、その話知ってるのよ?
さっきお話したからよ~。
あの、もしかして……さっきの演奏ですか?
うふふ、そうよ~。とっても素敵な演奏だったから、思わず誘っちゃったの。
あれで通じるって、意味わかんないんだけど……
大丈夫。きっとキャトラちゃんとも通じ合えるようになるわ。
音色で通じ合う前に、言葉を使いなさいよ!
story3 虹色リトム
パパ……小鳥がいるよ。
小鳥くらい、どこにでも――って、どこいくのよ!?
<ヒナの後を追いかけると、次第に綺麗な音色が聞こてきた。>
――――――♪
ピヨ。綺麗なさえずり……
ヒナちゃんが『小鳥』って言ったのテレーゼさんの事だったのね。
本当に綺麗な音色ね~♪テレーゼちゃんっていうの?
そうよ。見ての通りのピアニストで演奏旅行してるの。
――♪
って、人の話を聞きなさいよー!
……え?
――――♪
……ふふ。――♪
<テレーゼのピアノの音色にアマーリエの音色が寄り添い、強く弱く……美しい旋律を奏でる。>
……ふたりとも楽しそうね。
そうね。なんだか音が、嬉しそうに跳ねてるみたい。
すっごく素敵な演奏だったわ!
ありがとう。私の演奏に他の音色が重なった時は驚いたけどね。
あの演奏を聞いたら、弾かずにいられないわ~♪
ふふ。気に入ってもらえて、なによりね。
テレーゼさんがピアノを弾くなら、私は別の楽器がいいかな?
……私がピアノを弾くならって、それはなんの話なの?
実はね、あたしたちでバンドを作ろうと思って――
そう。メンバーを探していたのね。いいわよ。参加させてもらうわ。
ただし、アイリスも私と一緒にピアノを弾くこと。
一緒にですか?
アイリスとの連弾も興味あるし、アマーリエ……だっけ。彼女の演奏は素敵だった。
それに次は、みんなとも一緒なんでしょ。それってすごく楽しそうじゃない。
うふふ、決まりね。素敵な音楽が奏でられそうだわ~♪
story4 詩人のプレジール
やあ、みんな。話は聞いたよ。
あら。こんにちは~。キャトラちゃんたちのお知り合い?
僕はアルチュール。旅の詩人で、彼らの友達さ。エルフのレディ。
あなたも詩人なのね!あたしはアマーリエ。よろしくね。
詩人仲間とは面白いね。改めて、こちらこそよろしく。
それで、どうしたのアルチュール?
どうしたなんて水臭いじゃないか。こういう時は遠慮しないで、僕に声をかけてくれたらいいのに。
あの……もしかして、バンドのお話ですか?
ああ、その通りさ。僕のリュートはいつでも準備できてるよ。
たしかにアンタ、演奏はいいけどね……
なにか彼に問題があるの?
<奇想曲のルーン>を持ってて、それが問題を起こしそうなのよ。
僕だって、いつも波瀾万丈なわけじゃないよ。
それに演奏を聞いたら、きっとメンバーにほしくなるから!
あたしは演奏、聞いてみたいわ。
それじゃ、聞いてもらおうかな。タイトル『イチゴリメンバー』
イチゴ~真っ赤なぁイチ~ゴ~
ケーキに乗ったその姿は~みんなの人気もの~
最後に食べたらダメさ~酸っぱい切なさが、残るから~
……やっぱりよくわかんないわ。アマーリエはどう?
そうよね、イチゴは最後にしたらダメよね。
誰かに食べられることもあるもの。それはとても切ないわ。
わかっちゃったんだ……
これで僕もメンバーだね。
もうそれでいいけど、言っておくわよ。
なんだい?
今回はみんなのバンドだから、アンタの変な歌はなしよ!
ああ。任せておいてくれ。僕の演奏で、最高の花を添えるよ。
すごく不安だわ……
story5 静寂と喧騒のフォルス
そうだ、アマーリエ。演奏する曲とか、どうするの?
それはジョバンニくんに、お願いしようと思ってるの。
きっと、みんなで楽しく弾ける曲、いくつも教えてくれると思うから。
それもそうね。それじゃ、早速行ってみましょ!
あら?誰か先客がいるみたい。
先とか後とか~関係ねぇぜッ!俺は~俺だけの道をゆくのさ!!
ダリルじゃない。アンタなにしてんのよ?
なんだっていいだろ~!どうたっていいはずさ……誰にも俺は縛れねえッ!!
別に邪魔するつもりはないってば。っていうか、うるさいわよ!
楽しい声が聞こえたと思ったら、やっぱりキャトラたちだったね。
こんにちは、ジョバンニくん。元気にしてた?
うん。ここは空気がいいからね。それでみんなは何をしてたのかな?
実はね、今あたしたち――
……………………
みんなでバンドをね……うん。面白そうだし、僕も協力するよ。
ありがとう、ジョバンニくん♪
せっかくだし曲の提供だけでなく、演奏指揮もさせてくれるかい。
作曲とかで忙しいんじゃないの?
大丈夫だよ。<衝動>を感じないと良い曲は書けないからね。
だから僕は剌激がほしいんだ。みんなとの演奏を楽しめたら、それが得られる気がするんだよ。
そういう事なら大歓迎よ♪
さて、あと足りなそうなのは、ドラム奏者あたりかな。
それはちょっと、あてがないわ~
HA!凹んだツラ上げやがれッ!希望は何も失われちゃいねえッ!
な、なによいきなり?
だってそうだろ?間違いないさ~お前らがいて~俺がここに~いるんだゼッ!
あの……ドラムが出来るんですか?
希望なら聞かせてやるぜ……俺の叫びを、痺れるほどな!
最終話 奏者たちのレープ
メンバーも揃ったし、ここからアタシたちの歴史が始まるのよ♪
キャトラの意気込みはわかったわ。でも、歴史より先に音合わせね。
そうね。あたしも、みんなと一緒の演奏を早く楽しみたいわ~♪
ピヨ。ヒナも楽しみ……マーチングバンド。
いやいや、マーチはしないんだよ。小さなお嬢さん。
…………ピヨ?
行進したって構わねぇだろ。悩むこともねぇだろ……ただ~叫べば~イイッ!
いよいよって思うと、ドキドキするわね。
このメンバーを指揮すると思うと、僕も胸の旋律が早くなるよ。
ところで、アマーリエさん。演奏場所は決まっているのかな?
ええ。とってもいい場所があるの。きっとみんな気に入るわ~♪
どんな所なの?
広くて気持ちいい場所よ。きっと今の時間なら、いつもの観客もいると思うわ。
へ~、いいね。観客がいると気分も違うよ。
いつもの……と、言う事は、アマーリエの演奏を聞いてる、耳の肥えた相手というわけね。
そ、そんな相手に、いきなり演奏聞かせて大丈夫?
こわいひと……いる?
怖い人なんていないわ。みんな音楽好きのいい子たちよ。
……子たち……?
あ!わかった!その観客って、森の動物ね!
キャトラちゃん、大正解♪
なるほど。アマーリエさんらしいね。
動物たちのオーディエンス……メルヘンだね。
動物相手なら、失敗しても大丈夫ね……
でも、あんまり下手だと、みんな森へ帰っちゃうの。
どんな動物たちよ!
それはそれは。ますます手が抜けないわね。
YEAH!!俺たちの叫びで、野生を切り裂いてやろうぜッ!
それは楽しそうだね。森の動物たちを虜に出来たら、次は、僕がステージを用意するよ。
そうしたら本当にみんなで、デビューになるわね~♪
いいじゃない!いくわよ、みんなアタシについてきなさーい!
ふふ。さぁ、みんなで素敵な音楽の時間を楽しみましょう~♪