【白猫】友達になりたい Story
目次
登場人物
リーゼロッテ・フレンディア 大悪魔と契約した貴族の少女。友達をつくることを目標としている。 | |
パン・メルヘラヴィー いつもウサギといっしょにいる少女。ウサギに限り、失われた魂を呼び戻す力を持つ。 | |
バニー・モモ バニー姿のマジシャン。最高の舞台で最高にかわいい自分を魅せるべく、マジックの練習に励んでいる。 |
story1 友達を探しに
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追いついたわよ、リーゼロッテ。
……トラ…………せんぱい…………わたし……まけない…………
相変わらずの人見知りね~。
ひとりじゃ危険よ。ここは夜になると魔獣が――
ふははっ!独りではないぞ。とこしえの闇とは盟友、大悪魔の吾輩がついている!
う~ん……何度見ても、しゃべるぬいぐるみにしか見えないわね。
ええいっ!そこいらのデク人形と同じにするでない。吾輩は――
はーい、わかった。ところでアンタたち、なんでこんなところに?
それはだな。この口下手な我が契約者に友達をつくるための破壊工作……あ、いや、打開方策を思いついてだな。
牛は牛連れ馬は馬連れ。似た者同士は惹かれあう。そこで、こやつにぴったりの相手を探し当てたのだ。
だからって、こんな物騒な森にその人を探しにきたってわけ?
そんなに必死に友達つくらなくてもアタシたちがなってあげるわよ。
ダメだっ!貴様らはなんかダメだっ!
なんでじゃあー!
さあ、ゆくぞリーゼロッテ。この道の先に貴様と同じ、孤独なうさぎの匂いがする。
……っちに……ともだち……いるの………
待って!?その先は崖よ!
…………
ふははっ。そのようだな。
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…………………………………ちっ!
ふう。小娘の助言でなんとか命を救われたな。気をとり直して、あっちに行くぞ。
……………………このバカチンが。
おい……なぜわざわざ細い道を歩いている。吾輩の体に枝が刺さったぞ。
おい……なぜ普段しないような全力疾走をしている。
気をつけてみんな!魔獣がきたわ!
クマロンシールド。
ぬわああああああああぁぁぁぁ。
story2 雨やどり
……つめたい…………
にわか雨みたいね。大丈夫、すぐに止むわよきっと。
あ、あ、雨……だ……と……?
どうしたのよ?
水は吾輩の天敵なのだ。
そっか。ぬいぐるみだから水吸っちゃうもんね~。
こうしてはおれん。早急に雨宿りできる場所を確保せねば。
聞いているのかリーゼロッテ?はやく動かんか。
かさ…………
ふさげるなつ、貴様!吾輩を魔除け、いや、雨よけにするなっ!
おおげさね~。
もう我慢の限界だ!貴様の四肢をひきさいてそこからあふるる……生き血を……
あま……す……ところな……くぅ……
だんだん重たい感じになってるわよ。
……………………
動かなくなっちゃったわね……これ、本気でマズイやつなんじゃ?
クマロンさん!
えい。
あっ。しぼった。
――ハッ!?
復活した。
ふははっ!危ない危ない。川の向こうで悪魔が手招いておっ――
そい。
枝に干した。
story3 友達になれるかな
いたぞっ!あやつこそが我が契約者の願いを叶える友達候補だ!
あなたたち……だれ……?
ふははははっ!聞けぇい、低俗な人間よ。わがはっ――
ぎゅううう。
リーゼロッテ、貴様!吾輩が話をしているときは口を握っ――だからにぎっ――にっ!
…………
騒がしくてごめんなさいね~。
こんな場所でなにをしてるんですか?
失われたうさぎたちの魂を呼び戻しているの……
貴様、ネクロマンサーか!?ならば吾輩に近寄るな。めんどうなことになる。
アンタ、この子と友達になりに来たんでしょうが。
あの……わた……リー……ッテ……
おおっ!よいぞ、リーゼロッテ!第一印象がその後の関係を決める!先手必勝、その意気だ!
私は……パン……
なんだかぎこちないわね。
ふん。吾輩の出番のようだなぁ。この13億とんで99匹の悪魔を盛り上げた会話術を披露してやろう。
まずは、かるーくお互いを知ることで心の距離を縮めるのだぁ!
おほん。えーではでは貴様らの趣味はなんだ?
うさぎたちと遊ぶこと……
……コインを………垂直に……立てること……
今までで一番印象に残った夢は?
うさぎたちと遊んだこと……
魚の……ほねが……のどにささる夢………………
無人島に持っていくものは?
うさぎたち……
……クマロン以外。
貴様……っ!
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盛り上がってないじゃないのよ。
見ろっ!あの美しい夜明けを……
あっ、現実から逃げたっ!
story4 もう一度、友達を探しに
こりないわね~。友達さがし、まだ続ける気?
当然だっ!吾輩が真の姿をとり戻すため……――いや、これはシークレットだった……!
どうでもいいけど、こんなところに次の候補者がいるの?またうまくいかないんじゃない?
ふははっ……このおっぺけぺえがっ!!
誰がおっぺけぺえよ!?
前回は同族嫌悪という壁に阻まれてしまった……だがっ!今回はその逆ぅ!!
吾輩のこの地獄耳に入ってきた情報によれば、ここに活きのいい少女が夜な夜な徘徊しているという。
なにその怪談みたいな情報……本当なんでしょうねぇ?
ふん。ついてくればわかる。
あら?クマロンさん。顔に糸のほつれが。
むっ……そういえばあのとき枝にひっかけて……
ねえねえ。これひっぱっていったら毛玉になるんじゃない?
チビスケめ、縁起でもないことを。
けだま……
おい、リーゼロッテ。なんだその母親に新しい遊具を買ってもらったときのような目は。
えい。
貴様ぁぁぁあ!ひっぱるなっって、けっこういったなおいっ!
ううううもっと……
おい、貴様!自分の髪の毛をひっこ抜かれたら嫌だろう!つるっぱげだぞ!貴様がやろうとしていることはそういうことだ!
けだまぁ……
やめてぇぁぁ……
ふたりとも落ち着いて。
えーっと。止めるわよ主人公。
最終話 友達になるために
いたぞ!あれこそ我が契約者のつがい鳥!
意味がズレてるわよ。
あちゃー、また失敗しちゃった……
大丈夫ですか?ケガしてるみたいですけど。
心配してくれてサンキューね☆ちょっと手品の練習をしててさ。
なんでこんなところで練習してんのよ?
いやー、大爆発からの脱出マジックを街で練習してたら怒られちゃって。
それでここでひっそりと、ってわけね。
そういうこと~☆
ほほう。それは悪魔式逃走術427型、<不意打ちは風のように去りぬ>!
おや?キミ、それ腹話術?
……ちがう……これは……クマロン…………
――むっ!こほん。わが、わたしはパペットのマロンっていうの。よろしくね。
マロンて。
わお……口が全然動いてないよ。すごいね、キミ。
どうかな?もしよければモモと一緒にマジックショーに出てみない?
……わたし……そんな……できない……
ふひひっ。やりましょう!ぜひ、やりましょう!
んー、でも腹話術だけじゃちょっと地昧だね。もっと派手なマジックはできないの?
吾輩の体中に針を刺し、上手くいけばポーンと飛び出す――名づけて<クマロン危機一髪>を!
いいね~☆でも。もうちょっとかな……そうだ!ねえ、この大砲の中に入って脱出マジックやってみない?
無茶ぶりきた……
……な……わたしが……
ぜっ~たい、そのほうが派手で盛り上がると思うんだ~。<奇跡の大脱出>ってやつ☆
……だ……しゅ……む……
ふははっ。こうなれば死なば諸共!やってやろうではないか、リーゼロッテ!
……いやぁぁぁぁ…………
これが成功すれば友達に……?
なれるのかしら……
ま、いっか。
リーゼロッテ、がんばれ~!