【白猫】Brave The Lion 3 Story6
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目次
>HARD
story44 ぐるぐるうなる
ウゥ……ウゥゥゥ……
コテツさん、大丈夫ですか?
あんまりグルグル唸ってるとあやしまれちゃうわよ?
そうだな……ムゥ……
……コテツ……?
……グレイヴ。お前は、どうだ?
なにがだ?
身の内を焦がすような怒り……感じてはいないか?
…………
?
ああ、ある。
あの女……クロエヘの憤怒が……!
え!?
目覚めたときから、俺の中にはうねる物があった。
それは不満。俺が、この世界に拒まれているかのような……
孤独感、疎外感、そして……怒り。
記憶がないのに……?
感情だけが、あった。そしてコテツの持って来た新聞を見たとき、その原因がわかった。
――クロエ。あの女は、俺を裏切ったのだ!
俺の信頼を!俺の忠誠を!俺の……愛を……!
……愛……?
どうして……?記憶を失くす前に、クロエが好きだったってこと……?
……わからない。
わからないって!?そんなんじゃ共感してあげられないわ!
なんかの間違いなんじゃないの!
いいや!あの女は裏切った!
だからさ!
俺を突き動かすのは、あの女への復讐だ!
それは誰にも……邪魔させない!
おかしいと思います!よくわからないのなら……!
……1
グレイヴ!?クロエになにする気!?ダメだよ、止めなくちゃ!
グレイヴさん、どうして……!
…………
……そう、仕込んでしまったからな……
story45 建国式典
グレイヴさん、どこに……?
うう、こんなにひとが多くちゃ、見つけられないわ……
式典はもうすぐ始まっちゃうのに……
復讐って一体、なにを……?
…………
そうだ!……ジョニー、ジョニー?
ジョにー!?
もう!なんで応答しないのよ!こんなときに!
始まる……!
(オズマ……!)
(しーっ……)
法王オズマの名においてここに宣言する。
ここに、一つの国が誕生しようとしている。
名を<ヒストリア>。古より妖精族の治める島。
正統なるドワーフの王デルガド、エンシェントエルフの末裔、クロエ・エルウィン。
二つの異なる血が混じり合うことで、<ヒストリア>の建国の証明とする。
千年先、二千年先まで――種族の垣根を越え、仲睦まじく、繁栄のあらんことを。
――白の加護あれ。
(……なにやってんのよ!?この国あやしいって言い出したのアンタでしょーが!)
(言ってたでしょう、オズマさん、立場上はああするしかないって……!)
(でもコレ、ダメだって!
こんな風に認めたら……!この国、堂々と悪いことが出来ちゃうんじゃないの!?)
(そうよ、闇の国なんだもの!)
(じゃあ止めましょうって!)
(わかってる!でも……どうやって……!)
(くぅ~……!ここでなんか悪いことすればいいのにい~……!)
永遠の契りを誓う者。<ヒストリア>の王と王妃よ、ここに。
…………
汝、地の妖精の王よ。
天より降りたる妖精、このエルフの者を生涯の伴侶とし――
病める時も健やかなる時も、支え合うことを誓うか。
誓う。
白の加護あれ……
…………
汝も異議はないか。
ありません。
(クロエ……!)
(クロエさん……!)
……白の加護あれ。
法王オズマは、王と王妃の建国の誓いを聞き届け、<ヒストリア>の生誕をここに認めるものとする。
…………
我らがここに<国>を建て、誓うのは<平等>である。
遥か昔……天空大陸が地へと落ち、全ての種族は大地に根を張り、生きることとなった。
時が経ち、最も繁栄を遂げたのは、人間族だったが――
英雄戦争を見よ。
あの過ちは、連邦と帝国、二つの人同族の派閥が引き起こしたものである。
あのような悲劇を――ニ度と、繰り返してはならない!
(帝国や連邦からも招待者がいるのに……)
(言わせておけば……!)
――ひいては――
我はここに宣言する!古き血の一族、ドワーフとエルフが意思を<統合>し――
争いの絶えぬこの世を、平和へと導いていくことを!
…………
……法王よ。異論はなかろう?
…………
……くくく……!黙してやりすごすなど、させんよ……!
まったく、流石の二枚舌だ。『聞き届け、認める』だと?踏みとどまるものだなあ?
デルガド。
構わんではないか?奴らがそんな態度だからこそ、この式典を開いたのだからな。
なに、ほんの少し早くなるだけのことだろう?
……しょうがアリませんねェ……
王の発言は抱負としてしかと耳にした。王妃にも言うことはあるか。
一言だけ。
お馬鹿さん♪
!
時間をあげると思いましたかァ?法王サマァ?
あの言葉づかい!
クロエさんじゃない!あれは……ルエル!?
ギャハハハハ♪もう、手遅れですから~♪
なぜこの島の、この宮殿なのかも疑って欲しかったですね~♪
え……?
妖精族たちは、守ってたんデスよ?この島に眠る、古くて純粋な、力を秘めたルーンをねェ……?
それと療気と<闇>を混ぜれば、いろ~んなコトが出来そうでしてね~……♪
たとえば、こんなこととか♪
うっ……?
なに……これ……!?
イタタタ!頭イタ!
ルーンの力……?頭の中に、声が……!
うぅ!?誰かが、頭の中に入ってくるみたい……!!
<会場中、誰もがうめき声を上げ、苦しんでいる……!>
ギャハハハハ!この力!この現象!思った通り!ルーンと<闇>と療気の複合念波ですよぉ~♪
<統合>させてくださ~イ♪あなたがたの意思をォ!?
……<統合>だと……?
別に、全世界のミナサンと一緒になりたいとかは言い出さないですから?
ここにいる要人サンたちだけで、ジューブン世界を動かせるでショウ?
<目的>さえ、統合させてもらえればネ♪
……馬鹿なことを……!
ギャハハハ!いえいえ、現実的なやり口じゃないですかぁ~?
現に、チェックメイト、って雰囲気ですがァ~?
……嬉しいぜぇ……尻尾を出してくれてよ……
出すタイミングでショ?この<機>で問題ないと思いますが~?
グッド・タイミングはあなたの十八番でしたっけ~?ギャハハハハ!
ちっ……!
!
間に合ったか!?
オズマ様!
あれは、王と王妃!?
……こっから逆転も、なくも、ねえだろ……!?
ですから、<機>は熟しているんですってェ~?
……そういうことかよ……!わかったぜ……!
オイ。姉ちゃんから出ろ。
……ルゥエェェルゥーッ!!!
ギャハハ……♪お姉ちゃん、デスよォ~♪
story46 獅子の刃
どけえっ!!!
うぉおおっ!!
終わりだ!
お姉ちゃんの命が?
!?
どうぞお好きに。体だけを乗っ取っている、と言えばわかり良いデスネ♪
どうします?その刃でバッサリいきますか?
てめぇ……!出来ねえと思ってんのか!
首、細いですヨ?
……クソがぁっ!!
緑の髪……こいつがオリジナルか。
ぐうっ!?
おい、小僧。仲間に降伏させろ。この女を殺すぞ。
!?てめえの結婚相手だろ!?
面白い奴だな。教えてやろう。瘴気で滅んだ幾つもの島……ありゃ俺とこいつの仕業だ。
!?ンなこと、なんのために……?
そりゃ仕事だろ。そうすりゃ<闇>の中での俺の立場が上がる。
ンだと……!?
たいへんなんだよ、こっちも。企画を受けて、きっちりやり遂げなきゃいけねえんだ。
そろそろ黙れ。
この瞬間、仕方ない。好きなんだがな。おい、早くしろ。
……そんなら、てめぇを……!
デスから、人質♪
……!!
みんな!!!戦闘を、やめてくれ……!
で、でも……!
頼む!姉ちゃんが……!
…………
……くっ……
……!
ハ~イ、お利口さん♪じゃあ、改めて、もう一度やりましょうカ……♪
うぅっ!?
頭の中に……!誰かの、意識が……!
ぎ、ぎにゃぁ……
加勢する。
さて、ぶっ放すかのう。
……待って!
戦わないでくれ……!
人質デ~ス♪
しまった。
なんじゃと……?
頼む……
…………
何人来ても無駄でェ~ス♪増えたところで、また最初からいきマスよ♪
きにゃぁぁぁぁ……
うぅぅぅぅ……
あなたたちの企みは終わりよ!
人質♪
すまん、戦わないでくれ……
…………
もう一度デ~ス♪
き、きにぁ……
<闇>を、穿つ!
人質♪
すまん……
…………
もう一度デ~ス♪
き、きに……
来ましたよ、ボス!
人質♪
だれだか知らんが、すまん……
…………
もう一度デ~ス♪
き、き、き……!
コレダメなヤツだー!!!!!
助け来て!人質いて無力化されて!
学習してーっ!!!
…………
急に黙るなぁーっ!!!
きゃ、キャトラ、すごい……!
こちらに有利だったので遊んでいたのですが、お気に召しませんでしたか。
いいんデスよ?それならそれで。では……仕上げといきま――!?
”オズマさん!あったよ!”
この声は……!
ペンタ!?
”これが<闇>に力を与えてるんだね!?”
”<古きルーン>……瘴気と<闇>に冒されてます!”
ジョニーも!?どこにいるの!?
”宮殿の裏に。どうしますかこれ?”
爆破出来ない?
”試してみます。”
こっ……!!
”うーん……”
じゃあ、先に<吸引のルーン>だな。
<白眼の狗>ゥウウウウ!!!
お、当たりかな?
!!頭痛が……!
あ~……イタかったわよぅ……
クソが、クソがぁあああ!!!小賢しい時間稼ぎなどしおってぇええええ!!!
遊んでくれてありがとうな。たまにはこんな演出もさ、な?劣勢に見えただろ?
人間風情が……!貴様、この場の意味がわかっていないのか!?
舌の根を乾かしてんじゃねーよ。さっきペラペラしゃべってくれたじゃねーか。
――法王オズマが宣言する。この国、<ヒストリア>は<闇>に操られている!
建国は認められない!ここで……消えちまえ!
……!!おい!兵を呼べ!
なにが、なんだか……!?どうして<統合>しない?お前、<影繰>か?裏切ったな!?
このような手法をスパイと言いますれば。
<黒の民>は<闇>ではないのか!?
とも限りませぬゆえ。
ない頭で語るな!
ちっ!衛兵!
<闇>よ……来い!
ほほー。やったるかのう。
悪は討つ。
待ってくれ!姉ちゃんが……!
おまえは……?
……その女は、滅ぼさなければならない。
あやつられてんだよ!
だからどうした!
なぜ……信じてくれなかったッ!!!
どういうことだよ!?
グレイヴ……!
stor47 嘘の裏側y
どけっ!!
なんなんだよ!この人は何も悪くねえ!
いいや!その女は屈した!この俺を見捨て……!愚かにも、<闇>に!
あぁ!?そんなワケねえ勘違いじゃねえのか!?
俺の心がそう教えるのだ!その女を……殺せと!
!!
だからっつって……やらせねえってんだよ!!!
グレイヴさん!どうして!?
なんで……!?なにも覚えてないんじゃ……!
……裏切られた、という過去。そして――憎悪。
それを私は――グレイヴに仕込んだのだ。
コテツ……?何を言ってんのよ……?
オレは……ヨーゼフ、なのだろうな。
ヨーゼフって……!?
ダグラスさんを……造った、あの科学者……!
……の、頭脳を、移植されている……な。
私は……思い出したのだ……
いったい……何を……?
……私は、叛逆したかったのだ。
神、と崇めるエピタフ様……私なぞでは決して敵わぬと知りつつも……
あのお方を超え――――あのお方を!造ってみたかった!
!!
最上を、究極を求め続ける、それが科学の<真理>だ。
あの方を冒涜する行為だと知りながら、私は――
――神を作りたかったのだ!
その欲求を抑えることが出来なかった……!
…………
…………
……じゃあ、グレイヴの正体は、ダグラスと同じ人造人間……?
それで、本能にも何かプログラムしたってこと?
いや……グレイヴのベースは人間だ。
私は、エピタフ様も、元は一人の人間だったのではないかという仮説を立てた。
そして……仕込んだのだ。
知り得る限りの……『同じ過去』を……!同じ感情を……!
同じ、過去……!
完全にではないがな……私の推測する限り、あの方は――
――愛する者からの裏切りを発端とし、絶望し!あの境地へ至ったのだ!
はぁっ!!!
くっ!?
……おい?何を押されている?
姉が大事ではないのか?
うおおおおっ!!!かはあっ!
なっ……!
おおおおおおおおっ!!!
ダメ!グレイヴさん!!
俺の恨みを思い知れぇええええっ!!!
ちぃっ!
<分けろ>ぉおおおおーっ!!
!?
……わ……わた……し……は……?
姉ちゃん!
ダグラス……?
良かった……!気がついてくれたか……!
えぇ……!ありがとう……!
礼なら、こいつに。
…………
やっぱり、だったな。
おめぇの目は……仕込まれた奴の目じゃあなかった。
あいつと……同じだった。
どういうこと……!?
すまない。また嘘をついていた。
え……?
嘘をついてた……?コテツもグレイヴも、ずっと嘘をついてたの!?
ずっと演技してたってこと!?
そうだ。私か使命を思い出すより前から、グレイヴは巧妙に演技していた。
全てはあのお方に……『計画通り進んでいる』、『人間を出し抜いている』と思わせるために……
グレイヴは、自分に仕込まれた感情に、支配されているフリをわざと続けていたのだ。
じゃ、じゃあ、本当のアンタたちは……?
俺とコテツは……良心だ。
俺は、一人の科学者の、気まぐれにも似た正義の心が残した――
――<闇の道化>に対抗するための、<分ける>力だ……!
分ける……力……
道化!聞いているのだろう姿をあらわせ!
イヤ~、オミゴトですねェ……♪ヨーゼフさん、そ~ンなコトを考えていたなんて……
そレに……♪不細工ですけど、ちゃァんと分けられましたねェ♪エライエライ……♪
ギャハハハハハ!
貴様の企みを、潰す。俺はそう『仕込まれ』た。
どうぞご自由に♪デスガ、欲張りはどうデスカね?
ルエルちゃん、本体も来てマスよ?確実に、そっちだけにマトを絞っちゃどうデスカ?
逃げる気か!?
……待ちなって。
俺を止めるな!
じゃ、道化は頼んだ。おい、主人公!オレたちはルエルを狙うぞ!
……それでいいのね!?
……しゃーねえのさ、今は。バイパー、セラ!ここの始末は頼んだ!
了解だ。
任せて。
よっしゃ、ついてこれる奴ぁ一緒に来てくれ!
邪魔しま~ス♪
こいつは……!
元気そうでショ?新しい子デスんでネ♪
ハハ……夢、だろ……どうして、あなたがここに……
どぉ~してデショ?――ギャハハハハハ!
…………
……
――その時が最初で最後だった。
あの方が――自らのことを、語って下さったのは――
「――熟成、ですか?」
「エエ♪」
それは、合成魔獣の研究を始めて、まだ間もない頃。
前触れもなく訪れたエピタフ様は、<退魔士>を巻き込んだ、あの計画の進み具合を確認したのち――
ほんの少しだけ、明かしてくださった。
「例えばここ二、正義に燃えた若き騎士がいマス。
お姫サマが彼を裏切ったとき。騎士は――歪みますネェ。とってもとっても憎みますよネェ?
その憎悪が、長い年月をかけて熟成されていったトキ――
憎悪が熟成され、頂点に達したその瞬間。少~しだけ、覗くチャンスが来るカモしれません。
この世界ではない場所を――ネ♪
そこにはネ、あるンですヨ……♪見たことも無い<力>が……♪
運が良ければ、その<力>ヲ、かすめ取って帰って来れるカモ……?」
「……エピタフ様のお力は、それによって……?」
「ヒントはココマデ♪バイバ~イ♪」
「…………」
――私は、ヒントを受け取った。
それは解答へと至る標。活かさねばならぬ。
あのお方は、言外にこう伝えてきたのだと、私は解釈した。
『二人目の道化を造れ』
『自分と同じように、憎悪に塗れた道化師を』
――その指令通り、オレは、造った。
名もなき孤児だった少年に、研究途中であった『本能への命令』を促す遺伝子を組み込み――
――あのお方を模した。一人の女性に裏切られたという過去と感情を与えた。
あのお方の感情は、想像の域を出なかったが……挑戦してみる気になった。
自分が造れる限りの、最高の憎悪の感情を仕込んでみよう、と。
「…………
……遺伝子の操作は、まだ完成していない研究だった。
科学者であるオレが、どうしてそんな不完全な物を使う気になったのか?
気の迷いか?」
……その通りだろう。なぜなら、オレは、あれほど崇め、奉っていたあのお方を――
――超えたくなってしまったのだから――
story48 一瞬自己紹介
こっちの奥だ!飛ばすぜおめえら!
はい!
この先にルエルが……!
くくく……あの白き死神は、伸びシロがありそうですなあ。
ストーップ!オズマ・ストップ!
なんだよ~急いでんだけど~?
わかるけど、一瞬自己紹介!ね!?
しゃーねーなー。
アタシはキャトラ、アイリスと主人公、飛行島組よ!
オズマ様より<竜守り>の使命を仰せつかっております、ケイです。
その弟、ショウっす!
ふむ。また詳しく教えてね。次のひと!
ルーグだ。久しぶりだな、子猫ちゃん。
久しぶりね!でもゆっくりできないのごめんね!
いい。
ファルファラよ。作戦中だから、このくらいで失礼させてね。
人魚のユーリエじゃ。カティアの先生じゃて~。
”ちょっと!……まあ、事実ですけど……”
カティアさんも近くにいるんですね♪
サポートをしてくれているわ。私はハーブ。医者よ。
私めは腐りかけたアメちゃんにございます。名を、シュガー。
うっ……!ツッコまないわ!
で、オレがオズマな。
それは知ってる。
オレも全員知ってる。なんせ、作戦立案者だかんなぁ。
”ふん……!もっとマシな作戦はなかったのかしらね?”
そういうなって。一旦は『勝った』と思わせねえと、上手く転がんねえんだから。
この状況は上手く転がっているのか?
いまんとこな。みんなには感謝してるぜ。
そういうの、後でいいわよ。
ヒュ~♪ファラちゃん、いつにも増してクールだね~♪今夜、飲み行く
……この状況で、よくそういうことを……
”ホントにねぇ……”
おうカティア、オメーも一緒にどうだ?
”いらないわよ!ジョニーとペンタはもっと奥よ!
こんなまわりくどいことして、おしゃべりで失敗したら許さないからね!”
ヘイヘイ。んじゃあ、みんな、いっか~、と。
緊張感がないな。
あればいいというものでもありませぬぞ。
……あんた、スパイだったんだ。
おお、めんこい子供たち。あのときは悪うございました。
……う~ん……
ホントにそう思ってる?
私めは、一つ一つのことに真摯に向き合うようにしているのです。
演技であろうとも敵は敵。無論、刺殺する気で挑みました。
げっ……
こういう人なの。いちいち気にしてたらもたないわ。
わかりました、ハーブさん。
…………
守ってやればよい。のう?
ええ、わかってる。
…………
……
「――ふぅ。
「…………
「己以外の生命あるいは無機物への記憶と意思の引き継ぎ……
借りたぞ、アルベルト。……勘弁しろよ?ククク……
……驚くだろうなぁ、オレがまだ生きておれば……
若かりし日の正義の心……!ハハハ……!なんと青臭い……!さながらタイムカプセルか……!
言うほど若くはないかぁ!?ハハハハハハハ……!
ともかく、これでアフターフォローは万全、と♪――おい。
こいつらをエデン島へ。
あの島の瘴気が、熟成を促進させるだろう。
ククククク……」
――不完全な物でも使いようはある。
貴様へ仕込み……見たこともない女、クロエヘの憎悪は、いつしか破裂するだろう。
その寸前――理由なき憎悪が頂点に達した時、目覚めるのだ!
あの方の真骨頂……!<混合>の力と対を成す、<分離>の力が!
……理論上は五分以下だが、なあに、信じているさ。お前の可能性を、な……!
――グレイヴよ。墓穴を掘れ。そして――
――墓標にあの方の名を刻むのだ!
それまで、安らかに眠っていろ。
――神の埋葬者よ――!
story49 神の埋葬者
ちいっ!
はっ!
ハイ、もう一体♪
キリがねえ……!姉ちゃん、オレの後ろにいろよ!
ええ……ありがとう……
だが、妙だ。
なに?
ワンワン、私のことも守ってくれ!
初めてワンと言ったか?いや、違うか?
おい、何が妙なんだよ?
あの道化、ここで時間を稼いで何の得がある?
イイトコロに目をつけました。特筆して、ナイんですよ。
デスガ……今後の参考と――
――最期を見届けようという、その気持チで、ネ……♪
へぇ、言うじゃねえか。
出来るものならやってみろ!
ダレの最期でもイインデスがネェ!!!
……なに……?
わ、私ではありませんよね?
そりゃ、アナタのカンパリ次第でしょネ……♪
――ギャハハハハ!
!!兵どもよ、魔物どもよ!
一人残らず賊を討て必ず、必ずだぞ!
チッ……!
私が足手まといなら、あなただけでも行って、ダグラス……!
冗談はよしてくれって。安心しな、姉ちゃん。
あいつらが……絶対に、戻って来てくれる!
オレは信じる!だから、姉ちゃんも!
ええ……信じるわ……!
ヘヘっ……!
私も信じている。
良心で良かったよな、俺ら。
そうだな。この居心地の良さ、悪者側では味わえなかったであろうよ……
story50 醜悪なる意思
――カスどもがぁっ!!!
うわわっ!?
ジョニー!
あ、ありがとうございます……
そんなブレスで……いつまでも防げると思うなよォッ!?
よくも、邪魔をしてくれたなぁ……!
生きてるかぁ!?
オズマさんっ!
ギリっすよぉ!
悪ィ悪ィ。
あれがルエルか。
”ええ。間違いないわ。”
わらわらと……ハエがたかってきましたねェ……
ならば貴方が汚物ですかな。
はぁ?このワタクシが?……笑えない!
いいえ。あなたは、もっと醜悪よ。
……醜悪……デスって……?
答えなさい、ルエル・サクラリッジ。
あなたは、瘴気を用いていくつもの島を滅亡させてきたわね。
……それが?
でも……どうして?自分の故郷、エデン島を滅ぼした理由は、なんなの?
……ああ……そんなことも、ありましたっけねェ……
答えなさい!
聞いてどうします?
どんな理由があろうと、同情するわけじゃない。
あなたを倒す決意を固めるだけよ!
これは愉快……♪自己満足じゃナイです力♪
…………
良いでしょう。むしろそれなら教えて差し上げ甲斐もありマス。
ワタクシは、この世に生を受けたときから、既に壊れていたのデス。
血の病です。ずーっとどうでも良かったんです。何もせずとも、早めに死にます。
ワタクシがいなくなった後の世界のことなんて、ドーでもイイじゃないですか。
ですから、門を開いたんです。瘴気の商人に、ね。
……!!
瘴気とルーンを混ぜた兵器は、潤沢なソウルを燃料として起爆することで、広範囲に破滅をもたらします。
エデン……でしたっけ。あそこでもそれをやりました。
――以上♪
……自分が病気だからって、島中の人々を道連れにしたの!?
道連れ、は間違いですね。
エピタフ……様のおかげで、これこーして生きておりますから♪
外道が!瘴気は、人も、島も、まるごと蝕む!
死の島にされて、どれだけ多くの生命が苦しむと思っているの!?
たくさん、デスかネ♪ワタクシ、計算って出来ないンデスヨ♪育ちがイイもので♪
……あんたみたいな人間がいるからっ!
そう、元、人間ですネー。
人間が、<闇>を手引きするのか……!
……そう珍しいことでもないわ。
なんてことだ……!
人間だけじゃないわ。人魚や、妖精族にも……
利益という誘惑に負けて、<闇>に降った者が、大勢、おる……
種族は平等ですな。<国>を挙げて、わざわざ掲げなくとも宜しい。
逆に<黒の民>にも……私めやそちらの方のように、様々、おりますれば。
ククク……いえ、失礼。
シュガーさん……?
さて……おしゃべりは、これでヤメマス。
手前勝手だね~。ロクな死に方しないぜ?
ええ、もちろん。ワタクシ、もうオシマイですカラ。
……なんですって?
……のヤロォ……!
――クソッ!クソがアッ!!!
このワタクシを……!使い捨てになど……!
ヨクモ……ヨクモォオオオッ!
モウ、ドウデモイイ……
コノ島ノ、全テノ生命ト……
意思ヲ<統合>スル……!
……?
ちょっと、ヤバイよオズマ!
あ、あぁ……?
”この緊急事態に、何を考え込んでるのよ!?
あいつは<闇>と瘴気に守られてるのよ!?早く倒さないとでしょ!?”
おう……
(……まだ、何かひっかかるぜ……?)
ウゥゥゥゥウウウウ!!!
痛イ……痛イ……!腹ガァ……破レルゥ……!
哀れですな。許容量を超える<闇>に苛まれています。
……だが、同情など、ない。
姉貴……
が、たとえどんな悪党にでも……慈悲なら、ある。
ここで滅し――安息をくれてやる!
ああ……そうだな!
オズマさん!乗って!
おう!サンキュー!
えヘヘヘ……♪
どちらにせよ、あなたに――
未来はないのね。さよなら。ルエル・サクラリッジ……
ワタクシハ……消エナイ……コノ島ノ……一人一人卜……
<統合>……スレバ……!
story51 はじまり
アァァアアアアーッ!!!
やった!?
さてどうでしょうな?
……この感覚は……!
ウゥゥゥウウ……!
しまった!これほど蓄えていたとは……!
”これって、瘴気!?”
<闇>も、かのう。
……!?
ちっ……そういうことか……!
なんだよ姉貴!
見てわからんか!まだ終わってはおらぬ!
己自身も膨張し、大量のく闇>と瘴気を見境なくまき散らす気だ!
げぇっ!?
たしかに、オシマイだな!どちらにせよ!
みんな、逃げて!
…………
…………
――なんだ!?
イヒヒヒ……♪さあ~て、<成り>ましたねェ。
……なんのことだ?
これでモウ、グッチャグチャですヨォ?
その不細エナ真似事で、<分け>られますかネェ~?
……ちっ……
ムゥ……やはり、不完全か……
え、エピタフ様、これはどのような計画で……!?
サザ?ナニブン、スッゴク昔の企画デスカラ……
タダ、もうチョロットだけ、演出してモイイデスか?
う……!?あ、あぁ……!
ギャハハハハハ!
ダイコン役者でも、アンサンブルくらいにはなりますヨねェ~♪
おお……これが、真なる<分離>か……!
なんと……まさしく……!神の御業……!
ダグラス!
なんだぁ!?
ルエルはやっつけた!やっつけたけど……逃げよう!
あぁ!?
……どうした?
……いや。客は?
参列者たちなら、全員退避させたわ。
やるじゃ~ん♪
……浮かない顔だな。
……確信がねぇ。
ウフフフ……♪まだ、終わっちゃイマセンよォ~♪
後半戦、スタートです……♪
――ギャハハハハ!
next HARD