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【白猫】Gravity Horizon Story2

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最終更新者:にゃん



登場人物



目次


Story11 偵察前座の予行の練習

Story12 待ち時間

Story13 町……?

Story14 矛盾と理想

Story15 不在のうちに

Story16 翼

Story17 戦略の持ち込み

Story18 終わりの正しさ




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story11 偵察前座の予行の練習


――狙い通り。飛んで火にいるほにゃららだ。

そう、このセリフは二回目だ。同じセリフを二回言うのは、大切なことである場合と――

――気に入ってる場合だ!

ラデルテの雫、地水火風司りし大なる精霊アピスよ。

我がソウルを汝の心臓と捧げる!

ヤッチマイナ!


 ***


……たった二人?いや、三人か?よくもまあ、やるもんだね……

魔獣をけしかけたのであれば、卑劣と罵るところだが。

ギリ、黙認だ。

当然の黙認であってくれよ?俺たちは防備を固めただけ。

魔獣に狙われるのが嫌なら、同じことをすればいいだけさ。

方便だな。

まーそーゆーな。どっちにしろ、こんなのは偵察の前座の予行の練習だ。

どれ……?あれだな、噂の精霊アピスってのは。

奮戦してるな。

ああ。あんだけの数の魔獣を、たいしたもんだぜ。

…………

……強くね?

強いな。強すぎるな。

あっちのは使役してる主だよな。なんか、あれも強くね?

強いな。

俺とどっち上と思う?

あっち。

おーい!?だよなー!?

現時点では、我にも勝ち目はあるまい。

嫌になってきた。降参したい。

いいんだよ、別に、ー対ーにこだわんなきゃあ。……つーかよ。

あっちの男……

ん。

俺に似てね?

全然。

そうかー?

というか私は、他者を顔で判別したことはない。

えっ!?じゃあなにで!?

なんだろうな。そもそも、我と、我以外が認識できれば、困らん。

子供がかわいそうだ……

子はわかる。

わかんのかよ!

おい。そろそろ引くぞ。それとも観戦を続け、見つかりたいか?

とっくに気づかれてるよ。でもま、ここはー旦帰るか。

万ー戦闘になったら勝てる気がしねーや。

次の手は?

あるよ。聞く?

あるならいい。



討伐完了!アピス、ハウス!

リバースサイドディクショナリー!

オブザトップ!アンドプッシュ!

サブジョイン5ポイント!倍の倍で50ポイント!

ノーマンブルーザカァァァード!


……なんだよ。詠唱だよ。

詠唱だよ!!!



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story12 待ち時間



大丈夫かい?

ああ。悪かった。魔獣は?

レヴと彼が、向かってくれたよ。

そうか。

……平気なのかい、体は?

俺のは、時間で癒える類だ。

……そうかい。羨ましいよ。

お前も、そうかもしれない。望みを捨てることはない。

自分の体のことは、自分がー番わかってる。

命を線で表すと……僕のはずいぶん短いよ。

それか、進みがやたらと達い。その実感があるんだ。

気休めにもならないかもしれんが。

なんだい?

命が無限だったとして。永遠の時が与えられたとしても。

何も成し遂げられないのであれば、その生に価値があるとは、俺は思わん。

乱暴だね。

知っているからな。

……?

だが。夜は、眠った方がいい。己の線をさらに短くするぞ。

……焦るんだよ。気がね。外面は悟った風でも、終わりは、怖い。

ここで目を閉じてしまったら、もう二度と、開けられないんじゃないかと――

……それよりは、せわしなく何かしている方が、まだ、マシなんだ。

俺も同じだ。

君が?

…………

……意外だよ。君には知恵があり、力がある。求心力だってある。

君の持ち時間のうちに、成し遂げられないことなんか何もなさそうに思うけど。

…………

――フ――

いや、なんでもない。それは買いかぶりすぎだ。

時間があり、能力があったとしても。

目的を達成できるかどうかは、また別の話だ。

エヌマを倒し、世界を人の手に取り戻す。君なら間違いなく叶えられるよ。

それは過程のーつだ。

……そうかい。君の目的というものが、どういうものかは知らないけど――

果たされることを願ってるよ。

ああ……オルエン。

ん?

恋をしたことは?

なっ!?急に、なんだよ!?

…………

……いや、ありがとう。そうだね。燃えるような恋ができれば、僕の時間も意味を持つのかもしれない。

でも、駄目さ。相手に悪いよ。

そうか。

……それにね。

出会ったこと、ないから。

……出会うといいな。いずれ。

……そうだね。ソウルになって地に還り……

再び戻ってきた、ときにでも――



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story13 町……?



おい。

なに。

なぜ、町だ。

…………

次の手、あるって言ったな。

ありゃ嘘だ。

よし。首を出せ。

ストップストォ――ーップ!!!違う違うんだ聞けいや聞いて下さい!

言え。聞く。

だから聞けって!

聞く。

聞け!聞――――――け!!!

殺す。

やっぱな!

はぁっ!

消えた。

半分の半分のそのまた半分以下、くらいで実体化してたかね。

抜かった。逆に追跡されるとは。

自信無くす。

なんでだ。

なんでだと?感情は理屈ではあるまい。

理屈でもいくらかコントロールできるでしょ。

してみろ。

なんかヤな予感したから、陣に戻らず町へ来た。

向こうが握った情報はそんだけだ。

自信回復。

そりゃ結構。じゃ、ついでに行っとく?そりゃ結構。

どこへ?

エヌマサマんとこ。

力を授かりにか。

そ。もうちょっとくらい、何かあるっしょ。

この『見た目』と些細な力くらいじゃ、世界なんか統べられんよ。

それも<可能性>か?

や、かなりの確度っしょ。

付き合おう。



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story14 矛盾と理想



お。

早かったな。勘づかれたか。

――

いい。けん制くらいにはなったろ。

町へ向かったと言っていたな。

方角は、そうだね。

やはり様子見か。

時間稼ぎではなかろうな。準備が整っているからこそ、探りを入れてくる。

ふむ。らしくないことを考えてしまったようだ。

大丈夫。みんな考えてたことだから。

これだからいけない。皆も思うことであれば、私が考える必要性もない。

未来のことを考えさせてもらおう。夢のような。空を飛ぶ船であるとか。実物の如き絵であるとか。

ハイハイ。

ルチアーノ。お前の思い描く物は全て、いずれ現実となるだろうさ。

さすがリーダー。話せるな。

さて。

主人公。お前はどうする。

この先は命の奪い合いになる。

エヌマか、我らか。どちらかがこの世から消えねば、事態は終息しない。できれば手を賃してもらいたい。

俺は弱いからな。

俺はもはや満足には戦えぬ。いや、仮に全盛期の力を取り戻していたとしても。

俺ー人では何もできぬ。だから、同志たちを集め、討伐軍を組織した。

だが、この軍もまた、ー人ー人は小さく、弱い。

弱くてもいい。俺は、そう思っている。

ただ、目的が成し遂げられれば。

しかしそのために――カがいる。

これは矛盾ではあるが――

――矛盾する想いを抱え――

――自分のすべきことを見出し――

――理想の実現のため命を燃やす。

それが人だと、俺は思う。

リーダー……

……期せずして、演説になってしまったな。

改めて請う。

失われし時を生きた者よ。その剣を振るってくれないか。

――感謝する。

おしっ!よろしくな!頼りにしてるからな!

――



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story15 不在のうちに



――失敗。

お前たちは、過ちを犯した。

恒久の均衡を望みながら――

――揺らぎも求めた。

愚か。

あまりにも愚かだ。

個に力を与えすぎれば必然、舵取りは困難になる。

<見よ、再びの介入に、どれほど時間をかけている>

お前たちが不在のうちに、我がこの世界を、創り直してくれよう。

同じ轍は踏まぬ。失敗は糧。

我が書き記す歴史をなぞれば、均衡は永遠のものとなる。

――書物はー冊でよい――


恐れながら。<神獣>エヌマ様。

かの異物。こちらの想像を遥かに超える力を擁しておりました。

――アピス――

……まさに。

――――

あの精霊は、小賢しくも仕込まれていたあの精霊は、小賢しくも仕込まれていた再誕の起点。

捨て置けば、失われし過去の大陸を復元させるべく、周囲を侵食するやもしれぬ――

過去の大陸……

二エル、そしてユベルよ。

はっ。

ー刻も早く打ち滅ぼせ。反逆の意志に触れし者、ー人たりとも漏らさず。

島ごとえぐり、微塵のソウルすら残すな。

循環から排除せよ。

…………

……は。

……恐れながら。今の我らに、かの精霊に打ち勝つ術はなく。

力を、お授けください。

――――

二エルよ、ユベルよ。乳飲み子の頃より我の寵愛を受けし現世の王よ。

各々のー族をよくまとめ、争乱を鎮めた功を認め。

授けよう。我が力、我が翼を――

――その身で果たせ――

――我が願いを――



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story16 翼



……とよ。

…………

…………

ほっ。

おい。

いや、ずっとだと邪魔だし。それに温存しといた方が。

それもそうだな。

ほっ。

案外簡単だな。

出し入れ勝負する?

なぜだ。だが、やろう。

上等。

ほっ!

ほっ!

ほっ!

ほっ!

ほっ!

俺の勝ちぃ!

わざとだ。気色悪い。

気色悪いって。

二人同時に腕を組んだ時のような気まずさがある。

俺も思ったけど。

じゃ、帰るわ。

ユベル。

なによ?

我がー族から、向こうについた者もいる。

こっちも。

慈悲は、ないのか。

…………

循環からの排除。そこまでせねばならぬのか。

おーせのままに、さ。

茶化すな。

……子は里の子。そっちもだよな。

ああ。

とはいえ……やっぱかわいいもんでさ。

毎日、成長してるんだ。

そしていずれ巨人に。

茶化すなって言ったのそっちでしょー?

……でさ。思うんだ。いつかさ、俺の目の前に立って。

そしていつか……俺を越して。

…………

あんまりさ、やいやい世話を焼こうとは、思ってなくって。

俺みたいなのは、俺で終わりでいいかなって。

……そうだな。

でさ。

俺が間違ったら――

――止めてほしい。力づくでも。

なんでも。

…………

わかる。

わかってくれると思った。二エルだけは。

そう思えばこそ、我らも――

ストップ。ちょっと早いよ。

早いか。

多分ね。もうちょっと待とう。

野盗に毛が生えただけのような連中だったら、討ってお終いだし、さ。

…………

早く顔が見たくなった。じゃあな。

……特別だもんな、あの笑顔は……



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story17 戦略の持ち込み


――対する敵の数はこちらのおよそ倍。

だが、その全てを討つ必要はない。狙いはエヌマただー人。

神獣だなどとのたまってはいるが、魔獣同然のあの化け物を、玉座から引きずり下ろし――

――首を斬り、滴る血を衆目に晒せば我らの勝利だ。

…………

それで連中は瓦解する。最小限の犠牲で済む。

……そうだね。

だが、如何にして玉座に到達する?全兵力をつぎ込んだとして、あちらの半数が城に残るぞ。

だよね。てかあんた、軍議はヤなんじゃないの?

そう言っていられる局面ではあるまい。

このルチアーノ、歳の数ほどの戦を傍らで見てきた。

体は動かずとも、戦術のイロハくらいは知っておる。だが……

戦争は数。これまでその法則が覆った例を私は知らぬ。

一度に衝突しなければいい。

戦線を絞る。局所的であれば数で上回ることも可能だろう。

相手の50に対しこちらが100になる状況を作る。

そして、ー人に対して必ず二人以上でかかり、装備の差を埋める。

……わかる?

……いいや。相手が50いれば、即ちそれはー対ーが50組。

そして勝ち残った者はさらなる敵を探す。それが戦争だ。

リーダーは何を言っているのだ?

う~~~~~ん???

…………

いいか。図にすると――


……………………

…………


――リーダー天才!

なんと……!これは魔法か!?

いいや。理解さえすれば、誰もが取れる戦法だ。

兵のー人ー人に同じ説明をしてくれ。

あいよ!

うむ!

<>

……リーダー……

…………

君はこれまで、どこにいたんだい?

こんな戦い方、見たことも聞いたこともない……

この知恵があれば、島を征服することも可能だったはずだ。

なのに、なぜ?君がいたということすら、誰も知らなかった。

もしかして、外から来たのかい。

…………

……そう。外からだ。

もう少し詳しく聞かせてくれよ?

時間がない。お前も行け。

あっ。

…………



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story18 終わりの正しさ



主人公、ここにいたのか。

頼みがある。

俺と共に行動してくれないか。

別動隊として動く。

適宜判断し、エヌマを狙う隊だ。

俺はまだ、満足には戦えぬが……

レヴも同行する。本来であれば、本隊を任せたいところだが。

それでは勝ちの目は薄い。

わかっている。策を授けたとはいえ、彼我の戦力差全ては埋まらない。

犠牲は生まれるだろう。だが……

微々たるものだ。

この世界は、欺瞞と悲しみの上にある。

だが、終わらせられる可能性がもしもあるというのなら――

――俺がこの手で、成し遂げたい。

確かに伝えたぞ。


――この世界は――

――欺瞞と、悲しみの――

――っ……!

頭が……

…………

もし、それが真実なら――

――終わらせることが――正しいのか――?




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