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【黒ウィズ】アイドルωキャッツ!! Story3

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2018/00/00


yほら。半分の人員でもちゃんと稼働するじゃないですか。

以前とは打って変わり、和やかな雰囲気の労働者をユッカは指差す。

ハイ……。

yこれからはちゃんと、お仕事の効率を意識して、ラインを稼働させて下さい。ちなみに今後の計画はどうなってますか?

「最近ハ サンドイッチモ 売レナイカラ……製造ラインノ 稼働時間モ 見直シマス。

yよろしい。……あれ? このサンドイッチ売れてないんですか?

「ハイ。地上デ 販売シテイルノデスガ、ナンデモ 別ノサンドイッチガ 流行ッテイテ 徐々二 販売数ハ 減ッテイマス。

それは由々しき事態ですね……。せっかく労働環境を守っても、このままでは雇用が守れません。

「ア、ウチハ 強制労働所ナノデ ソコハ気ニ シナクテモ……。

マネージャーの訴えを無視して、少女たちは議論を進めた。

mこのサンドイッチ、素朴でおいしいけど、ちょっと新しさがないかもね。学校の売店でもこういうの売れ残ってる。

b斬新なものが必要ですね。

Eですが、大量生産できるものでないといけませんね。

我が家で作る〈魔界のはらわた〉というソーセージはとても美味ですが、大量生産は出来ません。

t飽きない味であることも重要だねー。

y斬新で、飽きなくて、大量生産が出来る……。

ふと、ユッカは自分がこの世界に来る前のことを思い出した。それはティータイムの直前……食べ損ねたのは大好物の……。

yそうか! パンケーキだ!

「「「「パンケーキ?」」」」


 ***


きゃっつはロディのライブ会場となる〈偶像の塔〉の最寄り駅に到着し、テンションが上がり切っていた。

アイドル界の頂点のライブです! 今から楽しみで仕方がないです!

ライブビューイングだけど、事務所の小さなテレビで見るよりいいよね。

ええ、観客との一体感を感じることができますからね。

オメエたち、浮かれるのもいいけど、はぐれねえように気をつけろよ。人気アイドルの物販会場は戦場だからな。巻き込まれて迷子になるんじゃねえぞ。

そんな話をしていると、エターナル・ロアが妙に低い声で呟いた。

おい、ペオルタン。それは比喩的な意味か? それとも本当に戦場なのか?

魔杖の……そんなこと聞き返すんじゃねえよ。大げさに言っているだけに決まってるだろ。

我には、そうは思えんな……。


駅を出たところで、エターナル・ロアの言っていることがきゃっつにもわかった。

ぞば?

なにこれ?

人形のように押し黙った人々が、物販の行列を作っていた。

そこに生気はなく、ただ前々に進むという意思は強かった。まるでそれは亡者であった。

わーい! ライブ! ライブです!

あ! リリー! 気をつけろ!

無邪気に飛び出したリリーが、物販を待つ行列に飲み込まれるのは一瞬だった。

うわ! うわ! うわわわわ! 身動き取れません。ドンドンみなさんと離れていきます! 誰か助けて下さい!

リリー! 掴まれ!

と、手を差し出したセラータももっていかれた。

セラータ! え? あれ? ダンダァくんのキーホルダー!

と、腰につけていたダンダァくんのキーホルダーがひっかかり、アイラがもっていかれ。

たーすけてくださーい!

エクセリアはすでにもっていかれていた。

やべーことになった……。

小娘、ぼんやりしている場合ではないぞ。追いかけろ。みんな、もっていかれるぞ。

そうだった! 助けなきゃ!


ガドリン! ガトリンは大丈夫か!

天下分け目のぞばヶ原! 我に続けー!

わりと前の方にいた。

アレは放っておこう。


 ***


眼下の風景を一瞥し、ロディは呟いた。〈偶像の塔〉上階から見る地上の景色は、人が豆粒のように見える。

それでも、何が起こっているのかはわかった。

「始まったのね……。」

「なんだい? 今頃後悔してるのかい?」

「バカな質問ね。」

なせなら彼女は知っていたからだ。

「ねえ……。このお弁当食べないなら。僕が食べていいかい?」

「いちいちそんなこと聞かないで。勝手に、好きなだけ、食べなさい。」


 ***


mユッちゃん! ミルクとバター! ウチの親戚からいっぱい仕入れてきたよ!

yありがとう!

bハーネット商会にお願いして、魔道島民から買い入れた魔道バナナも譲ってもらえることになりました。

tお友達に、商売繁盛の招き猫もらってきたよー。

E我が家から、秘薬を持ってきました。これをパンケーキに練り込めば、絶対にまた食べたくなります。

mエレちゃん、それってニンゲンが食べて大丈夫なものなの?

Eなんとなく……大丈夫だと思います。

mま、なんとなくなるか。

ユッカのひらめいたアイデアを元に、少女たちはサンドイッチの製造ラインをパンケーキに変更することに決めた。

彼女たちは、一旦それぞれの世界に戻り、必要そうなものを持ち寄った。

yラインの機械も改造済みだし、バンケーキのレシピも教えてもらった。あとはもう作るだけだね。

新たな目的を見据え、前に進む少女たちの瞳は輝いていた。

みなさん! わたし、みなさんが一生懸命働いている間に握り飯をつくりましたよ。

みなさんがお腹空いているだろうと思って……。愛情を込めて! 握りました!

しこたま握り飯が置かれているトレイを、ルカが持ってくるのを見て、ユッカは言った。

yよし! ティータイムで一息いれようか!

tそれなら私は緑の方も呼んでくるねー。


少女たちは、稼働を止めているベルトコンベアの前に立つ緑の人を見た。

彼は動かなくなったベルトコンベアを見て、寂しげに佇んでいた。

mなんか……寂しそうだね。声をかけづらいかも。

y私が行くよ。

ユッカは緑の人の隣に立った。

yごめんなさい。パンケーキにキュウリは使わないんです。でもみんなの雇用を守るためなんです。分かって下さい。

「……。

y今はまだアイデアはないけど、絶対にキュウリを使った商品考えます。だから……一緒にティータイムしませんか?

その大きな目がごろりとユッカに向けられる。頭の皿が上下してキラリと光輝いた。頷いてくれたのだ。

それはパンケーキ製造の本格始動の合図でもあった。


 ***


リルムは、きゃっつのメンバーをもっていった行列に並走しながら、様子を窺っていた。

小娘、何か考えがあるのか?

とりあえず杖を投げる!

相変わらず手管が少ない!

リルムー! あったぜ、ロープだ。

おっけー!

受け取ったロープをエターナル・ロアの下の方の返しになった部分に結びつける。

まさか、紐で結びつけた我を投げて、みんなを引き揚げようというのか?

うん。

珍しく頭を使ったのは認めるが、掴まれたり、引っ張られたりすると我がどうなるか考えたか?

……死ぬ?

それを想定出来ているなら、なぜ選択した!

ロープのもう一端を電柱に結びつけ、ペオルタンが合図を送る。

リルム! こっちも準備オッケーだぜ!

よーし、ちょっと待ってねー?

おいおいおい、肩回りの筋肉をほぐすな!入念にほぐすな!腰と肩の連動を意識してほぐすな!

これがこういって……アレがそうなるから……。

こらこらこら、投擲の角度を綿密に想定するな! 風の影響を気にするな! 風の影響を!

じゃ、行きますかー!

リルムがエターナル・ロアを肩に担った。そこに至り、エターナル・ロアも体の力を虚脱させた。

といっても、杖なので、そんな気分になっただけである。

そういえば、お前、我の話聞かなかったな……。久しぶりに思い出したわ。

もういい……。我、一介の鉄棒なり。諦観の極みなり。好きにして……。

いっけー! グレェェーート! ザッパーーッ!!

いやっほぉぉぉーいぃぃぃッ!

空に、魔杖が舞った。


 ***


いやっほぉぉぉーいぃぃぃッ!

群衆の波に飲み込まれ、もみくちゃにされていたリリーたちの眼前にエターナル・ロアが突き刺さった。

みんな! ロアさんに捕まって!

少女たちは、なんとか人の流れをかき分けて、エターナル・ロアに捕まった。

それを確かめるとロアが頭の部分を点滅させて、合図を送る。

おーい。小娘ー。引き上げろー。我、死ぬほど痛いけど引っ張りあげろー。

合図を受けて、リルムがロープを引っ張る。

よいしょ、よいしょ。あー、これ無理だ。

が、比較的簡単に諦めた。4人と1本を引きずり出すような筋力はリルムにはなかった。

投擲に必要な肩周りのインナーマッスルと牽引に必要な腎部及び後背部のアウターマッスルでは役割が違う。

彼女は投げることは出来ても、引き上げることは出来なかった。

それ最初っからわかってなかったか?

うん。でもとりあえずやることが大事だと思う。ガドリン呼んで、ふたりで引っ張るか。おーい、ガトリーン!

リルムの声が、行列の中にめちゃくちゃ馴染んでいたガトリンの耳に届いた。


やっぱり使用するものとは別に、保存用と予備は必要ですよねー。あ、物販終わったら、お昼ご飯どうします? え? よくばりサンドイッチで済ませるんですか? わたくしはファミレスがいいですねー。

やや? 何か聞こえる……あれはナースコール!

見ると、ペオルタンが空中で『ナース』の文字を描くように飛んでいる。

ガトリンはそれを見るや否や、おっとりガドリン・チャンバーでリルムの下へ駆けつけた。


ガドリン、みんなをあの、人がぐちゃぐちゃしてる所から引っ張り出したいんだ。……ていうかガドリンはあそこからどうやって帰って来れたの?

秘密です。

秘密か。それなら仕方がないか。ガドリン、それじゃあ、このロープを引っ張るよ。

殿、お待ちくだされ。このガト子め、忍法には自信がありますが、腕力にいささか不安がございます。ここはこのガドリン・チャンバーにロープを結び付け、ウィンチの如く巻き上げるのはいかがでございますか?

是非も無し。

早速、ガドリン・チャンパーにロープを取り付け、巻き上げる。

ほれほれ、もっと近う寄れ、近う寄れ。来ぬというならこちらから行くぞ~!

お主も悪よのー。

巻き上げられるロープはすぐにビンと張りつめ、人がぐちゃぐちゃしている所にいるエターナル・ロアも牽引の気配を感じた。


お、これは……来たな。いたた! いた! すごい痛い!めちゃくちゃ痛い!

あ、この勢いを利用して、脱出できそうですよ。

エターナル・ロアの悲咄を行軍の掛け声にして、人のぐちゃぐちゃの中にいたリリーたちは脱出に成功した。

痛かった……すごく痛かった。死ぬかと思った。小娘……覚えておけよ。

というかさ。杖なのに痛いわけないじゃん。本当に痛かったの?

あ。……言われてみると。そうでもない。

杖の人さ、そういうとこあるよね。良くないと思うよ。

ごめん……。

セラータは群衆の中でぎゅうぎゅうにされて、痛めた体をさする。

それにしても……これは一体なんだ。常軌を逸しているぞ。物販はいつもこうなのか?

さすがにそれはねえ。こりゃ異常だ。何が原因でこうなってるのか、さっぱりわからねえよ。

渦巻く疑念を振り払うように、リリーが挙手する。

議長、緊急わからないこと会議を提案します!

皆、その瞳には同意を伝える光が宿っていた。セラータがひとつ頷くと、会議が始まった。

はい! ここの人たちは地下の人たちと似ている気がします。心ここにあらずといった雰囲気がとても似てます。

人形になっちまうのは、〈ボエーナ〉のつまり悪魔の力なんだ。地上じゃそんなことは起こらねえ。

こんなに大勢の人が同じ症状を見せているのには、きっと共通の何かがあるはずだと思います。

そういえば、並んでいるみなさんは、よくばりサンドイッチを食べていましたよ。

それを聞き、みんなは行列の方を見た。

人形のように無機質な表情の人々が、ガツガツとあの何味かわからないくらいカラフルなよくぱりサンドイッチを食べている。

行列だけではない。物販のスタッフもライブに関係のない通行人も、よくばりサンドイッチをかじっていた。

サンドイッチだ……。

私たち茶色弁当ばっかり食べてたからわかんなかったけど、あのサンドイッチ食べると人形になるんだ!

魔道具のー種かもしれんな。魔法薬のような服用すると効果があるものだ。

知らずにみんな、そんなものを食べているんですか? 大変です。何とかしないと。

でもどうやって?

わからないこと会議に沈黙だけが残った。


「やれやれ。やっぱりアタイ抜きじゃ、ダメみたいニャね。」

きゃっつは一斉にその声が聞こえた方を見た。


よっ。

「「「「ウィズ!」」」」

そこにいたのは、ウィズ。かつて異界クエス=アリアスの最高意思決定機関、四聖賢の地位にいた大魔道士である。

ひとまずアタイの店に来るニャ。何が起こっているか説明してあげるニャ。

いまはこの世界で、スナックを経営していた。




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アイドルキャッツ!!


  プロローグ 

1 Heart break Work(初級)

  無防備会議

2 キューリー(中級)

3 物販戦線異状アリ!(上級)

  リアル・ブラウンの弁当

4 アイドル特攻大作戦(封魔級)

5 フルタイム・チケット(絶級)

6 番外編

7 嘘猫は眠らない






~ 白猫プロジェクト ~
登場人物画像ストーリーテニスの話

~ 黒猫のウィズ ~
登場人物イラストストーリー

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