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オーギュスト・ランゲ

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オーギュスト・ランゲ CV:
2017/00/00

その小太りな貴族は、顔面を蒼白にして、私室の隅でへたり込んでいた。

絶対の信頼を置いていた魔獣兵たちを容易に全滅させられたために――


「オ……オ……オーギュストッ!!」

貴族は叫んだ。

「い――いまさら、何をしに来たっ!?

 おまえが戦う理由など、もうないはずではないか!」


名を呼ばれた青年は、冷徹な瞳を貴族に向けた。

窓から吹き込む風が、深紅のマフラーをたなびかせる。

手には剣。銃身めいた機構を備えつけられた異形の剣だ。

それが、左右に2振り。

魔銃剣――己の魔力を弾丸として発射する剣で、きわめて扱いが難しいとされている。

彼、そんな代物を二刀流で振るい、最強の兵士とされる魔獣兵たちを薙ぎ倒したのだ。


「……俺とあいつが守ろうとした者たちは、みな死んだ。

 おまえたちの裏切りにあい、魔獣兵の材科とされて……」

 「ふー―復讐とでもいうのかっ?そ、そんなもの、むなしいだけだぞっ!

 そうだ、わしに雇われんかっ?魔獣兵をも倒すほどの腕、わしなら高く――」

 「復讐じゃない」


青年は、一歩を踏み出した。

「が――戦う理由はある」

「な――なんだ、それは?守るべきものも、親友も失ったおまえが戦う理由など……何があるというのだ!?」


「あいつは、最期まで剣を振るって戦った。

裏切られてなお……民を救おうとした。救いたいと戦い続けた。

 その証明がこの剣だ。この剣には、あいつの魂が宿っているも同然だ……」


凍れる瞳が、炎と変わる。


「あいつは死んだ。もう助けることはできない。だが……あいつが気高く戦ったことを、その魂を証明することはできる。

 だから……俺が継ぐ。

俺があいつの剣を振るい続ける限り、あいつの魂が消えることはない――」


貴族は息を呑んだ。

止められない。戦うことそれ自体を戦う理由とするような者を、説得できるはずがない!


「ま、持て――やめろぉっ!」

「やめはしない」


銀が閃く。風が吹く。血色の闇がひるがえる。


他に誰もいなくなった部屋のなかで、青年は静かにつぶやいた。

「俺は戦う。この剣を振るい続けて……あいつの魂を、その気高さを、証明し続ける……」




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