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セティエ・レー

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セティエ・レー CV:
2017/00/00


story1



かつて「時界」は、「あらゆる冥界を総べ、司る絶対の世界」たる「神界」に属し、なかでも「時間」の管理を任されていた。

ゆえに今でも、108の異界すべての時を総べている。


「また、時を乱す人が出てしまったのね……」


巨大な鋼鉄の歯車が無数に回り、重い音色を響かせるなか――

その歯車の上を無造作に飛び移りながら、少女はため息を吐いていた。


「こう世界が多いと、やっぱり管理も大変ね。

 ささいな時の乱れなら、個々の世界に任せておきたいところだけど―ー」


つぶやきながら、彼女は、とある歯車群の前で足を止めた。


どこかの世界の時間をあらわす異界が、本来とは逆に回っている――


「これはまた、とんでもないことをしてくれたわね……

 時聞の流れを変えたくなる気持ちは、わからないでもないけど……」


少女の手に、1本の槍があらわれる。

いや――『槍』と呼ぶには、いささか柄が細すぎる。

全体の長さは槍のそれだが、形状は……そう、『針』に近い。

かちりかちりと時を刻む、細く鋭い時計の針に……


少女の瞳が、すうと細められる。

鋭利きわまる針の眼差しで、逆回転する歯車を見つめる――


「時の歩みは、永劫不変。非情だとしても、それが摂理だから……

 あるべき流れに、戻さなければ……!」



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story2



年の瀬を迎えた時界に、セティエ・レーの明るい声が響いた。

「一年間お疲れさまでしたー」

彼女は年中無休で動きっぱなしだった巨大な装置に油を差しながら優しく慰労の言葉を掛けていた。

「今日はクリスマスだっていうのに、こんなことしかしてあげられなくてゴメンね」

そんな彼女の思い遣りに、時を刻む鋼鉄の歯車の重低音が「十分だ」と返答したように聞こえた。


部品の具合を確かめるため、歯車の上を舞うように飛び移っていたセティエは、歯車の隙間から何気なく他の異界の様子を覗いてみた――

するとそこかしこで戦火が広がっているのが見える。

その様子を見つめるセティエの表情が、にわかに曇りはじめた。

「そういえば今年はどこもこんな調子だったな……」

この一年、世界は凄惨をきわめていた。

彼女の心に浮かんでくるのは、天災、人災、戦争……悲しい出来事ばかり。

いまこうしている時もどこかで悲劇が起きている。そう思うとセティエはひどく心が痛んだ。

「あの人たちはどこで歯車を狂わせてしまったのかしら? この歯車たちのように仲良く歩調を合わせていけばうまくいくのに……」

彼女のため息が、白い息となって浮かんでは消えた。


彼女は平和な世の中へと戻すために、歯車を逆回転させて、争いの原因を摘み取ろうとさえ考えた。

それは彼女には容易いことだった。

しかし彼女は時を司る監視者である。

そんなことをすれば世界にどんな歪(ひず)みが生じるかは、セティエ自身が誰よりも理解していた。


「時計の針は元に戻すことはできない……だけどきっと、時は憎しみを和らげてくれるはず!」

セティエは忙しい手を止め、胸の前で秒針型の杖をかざし願った。

「新たな時が平和でありますように」


普通に生きる人々にとって、時間は前にしか進まない。いがみ合い争った悲しみも、戦い傷ついた苦しみも、いつかは過ぎ去ってしまう。

だからこそ、セティエは人々を信じていた。今は争っていたとしても、きっといつか分かり合うことが出来ると。

「それがいつになるかは、わからないけれど……」

不安を抱えた言葉とは裏腹に、セティエの見据える先には希望の光が灯っている。

空には満天の星。それぞれに輝くひとつひとつの世界を想って、セティエはもう一度強く願う。

「来年はきっと、みんなにとって、いい年でありますように……」

彼女の祈りに応じるかのように、空を流れ星がよぎった。



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