厠
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
10-10
入手方法
厳さま取引
塩商
物語
春花が杭州に来てしばらく経った頃、商売もようやく軌道に乗り、すべてをひとりで回す必要もなくなった。やっと一息ついた春花は、強と杭州を散策し、おいしいものを食べ、気分転換することにした。二人は西湖のほとりにある有名な料理店に入り、たくさんの料理を注文した。今日はおいしいものを食べに行こう、と春花から聞いていた強は、昨日の午後から何も食べず、ご馳走でお腹を満たそうと準備していた。草魚の甘酢あんかけ、龍井茶のエビ炒め、スズキのあつもの、定勝こなもち、ジュンサイの汁物などが食卓を埋めつくした。強はお椀を手に取るやいなや、食事に集中し始めた。春花は、これまで世話になったお礼を強に伝えようとしていたのだが、その暇もないほどの食べっぷりだった。すべての料理をぺろりと平らげ、強はげぷっと満足した。「これから西湖に散歩しに行かない?」春花が提案した。西湖の美しい景色の中、散歩しつつ感謝の言葉を伝えるのも悪くないだろう。春花はひっそりとそう思った。二人は西湖のまわりを歩いた。美しい景色に囲まれ、周りに人影もない。春花は勇気を出して、感謝を伝えようと口を開いた。ところがその瞬間、強は急に顔が真っ青になり、両手で腹を押さえてうずくまった。春花は慌てた。「どうしたの?!」強は苦しそうな表情で答えた。「食べすぎて、お腹壊しちゃったかも。」「ど、どうすればいい?」「ちょっと厠に行ってくる。」春花はあたりを見渡してみたが、厠は見当たらない。「お手洗い、無いみたい。どうしよう。」「もう我慢できないんだ、先に家に帰るよ。また今度、一緒に西湖を回ろう!」腹を押さえて走り去っていく強の後ろ姿を見ながら、春花は怒りがこみあげ地団駄を踏んだ。二日後、西湖のほとりには厠が増えていた。西湖観光中の「緊急事態」を解決するために、春花が出資したという噂だ。