碧草茂る池(2023夏)
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
7510
入手方法
厳さま2023夏限定建築
物語
夏の夜に、響き渡る蛙の声。魚くんは磁器の瓶を持ち、こっそりと家を抜け出し、池のほとりにやって来た。そよ風が一日の暑さを吹き払う。月の光が水面に反射して、まるで昼間のように明るく、辺りは草や蓮の花の香りに満ちていた。魚くんが口笛を吹くと、あちこちから点々と灯火が池の周りに集まってきた。魚くんは満足げに笑った、その灯火が彼の仲間のものだったのだ。「魚兄さん?」「おうよ、早く来な。」やがて十数人の少年が次々とやって来て、魚くんは手始めにみんなの持って来たものを調べた。ある子は磁器の瓶を、ある子は陶器の壺を。中には、輪っかにした先端の上にクモの巣を付けた、とても長い竹ひごを持って来た子もいた。「魚兄さん見て、うちと近所中の梁の上から、クモの巣を全部くっつけて来たんだ!丈夫さは保証するよ、今夜は絶対逃さない!」「よし、みんな良いものを持ってきたな、今夜はきっと大漁だぜ!」「さっそく始めよう!」魚くんの一声で、仲間たちは散りぢりになった。池のほとりに伏してオタマジャクシをすくう子に、草むらに身を潜めて蛍の群れを驚かせる子。そして、竹ひごをふりまわしてトンボを追いかける子……ゲコゲコと辺りを包む蛙の大合唱すら気にせず、みんな夢中だった。怒りの叫びが、夜空を引き裂くまでは。「魚ッ!!今度はどこに行ったんだい!」魚くんは驚き、その拍子に捕まえたばかりの蛍が指の間から飛び去ってしまった。「まずいまずい、作戦終了、みんな家に帰るぞ!」ぽつぽつと灯りが散っていき、やがて池は静まり返った。草むらから蛙たちだけが、懸命に声をあげ続けていた。