観音座
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
入手方法
梅山の七怪
物語
同一和尚は観音座を指して、小坊主に問いかけた。「どうして観音座に観音像が無いか、わかるかい?」小坊主は期待に胸をふくらませた。もしやこれは、悟りを開く絶好の機会なのでは? すぐに、彼の脳裏には、六祖の慧能禅師の偈(げ)や、拈華微笑(ねんげみしょう)、趙州従諗の『喫茶去』などの公案が浮かんでいた。 彼は水平線の浮雲を、遠くの稲穂を、そして目の前の観音座を見て、極楽浄土に至った心地がした。小坊主はまっすぐに答えた。「『観自在』だからです。」同一和尚は頭を振った。 小坊主は、今度は丹霞禅師の公案『丹霞焼仏』をすぐに思い浮かべて答えた。「観音様は僕の心に住んでいらっしゃり、実像を拝む必要がないからです。」同一和尚はまた、頭を振った。 これ以上答えを出せず、困った小坊主は口を尖らせた。「お師匠さま、もう分かりません。」同一和尚は、振り続けていた頭を止めた。やっと自分を刺してくる虫を払うことができたのだ。同一和尚は小坊主のつるつるした頭を撫でて言った。「今までの話、聞いておらんかったよ。もう一回言ってごらん。」