焦げた枯木
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
-10
入手方法
厳さま
物語
焼け焦げたにおいが未だ消えずあたりに漂う頃、白い靴が土にめり込んだ横額を踏みつけた。壊れた壁や煉瓦に、焦げた木と汚泥。見渡す限り、廃墟が広がるばかりだ。がらんとした廃墟に、ため息が響く。吹き抜けた風が、火に焼かれた紙屑や灰を巻き上げた。董其昌は、黒焦げになった石の腰掛けに腰をおろした。かつての庭の賑わいが、目に浮かぶ。彫刻が施された梁や柱、池や東屋が彩る庭園、庭いっぱいの花木、白壁に青瓦、立ち並ぶ奇石、回廊と橋に揺れる柳の木……かつての全てが、大火事とともに過去の夢となり果てた。董其昌は立ちあがり、ゆっくりと庭のあった場所に足を踏み入れた。本来なら、今頃庭には初春の梅が咲き乱れ、花びらが風に舞い、香りが園内に満ちているはずだった。しかし、今の庭を飾るのは、火事で焼け焦げた枯れ木の幹のみ。董其昌は枯れ木をそっと撫で、雑草の生えた地面に涙を落とした。「まるで、泡沫の夢のようだ。」