［頼れる先輩］宍戸亮

【前編】

宍戸亮　　「フッ！　はぁ、はぁっ…　もうこんな時間か…。仕方ねぇ、今日の練習はここまでにするか」

鳳長太郎　「はい。お疲れ様です、宍戸さん」

宍戸亮　　「お前もな、長太郎。スカッドサーブ、また速くなったんじゃねーか？」

鳳長太郎　「そ、そうですか？」

宍戸亮　　「ま、俺は返せるけどな！」

鳳長太郎　「はい、宍戸さんはすごいです！」

宍戸亮　　「バーカ、自分のサーブ返されて喜んでんじゃねーよ　…っと、ガムがもうないな。買ってこねーと…、長太郎、ガムやるよ。ラス１」

鳳長太郎　「俺はいいですよ。宍戸さん、食べてください」

宍戸亮　　「俺は今噛んでるのがあっから。ほら」

鳳長太郎　「それじゃ、遠慮なく…」

宍戸亮　　「いいよな、ミントガム。気分がスーッとする気しないか？」

鳳長太郎　「そ、そうですね…」

鳳長太郎　「…どうしよう。実はミントガムが苦手だなんて、今さら言えない…」

丸井ブン太「お、いいもん持ってんじゃん」

鳳長太郎　「え？」

丸井ブン太「あー、ミントガムか。それ、膨らまねーんだよなぁ」

仁王雅治　「ほとんどのガムは膨らまんじゃろ」

丸井ブン太「んなことねーよ。俺の持ってるガムは、膨らむのが多いぜい」

宍戸亮　　「そういやお前、よくガム噛んでるよな。今噛んでんの、何味だ？」

丸井ブン太「グリーンアップル。いるか？」

宍戸亮　　「お、悪ぃ。催促したみてーになっちまったな」

鳳長太郎　「俺まで、すみません…　…あ、思ったほど甘くないんですね」

宍戸亮　　「……」

鳳長太郎　「？　どうかしましたか、宍戸さん」

宍戸亮　　「お前も、膨らまないよりは膨らんだほうがいい派か？　さっきミントガムやった時、ちょっとガッカリしたような顔したろ」

鳳長太郎　「そ、そんなことありませんよ！」

宍戸亮　　「さっきのはポケットにしまって、今のはすぐに食ったじゃねーか」

鳳長太郎　「これは…その、どうしようか迷ったんですが、２つもポケットに入れると、かさばるかなって…」

宍戸亮　　「なんだそりゃ」

丸井ブン太「……」

仁王雅治　「おまんのせいで、ケンカになっとるぜよ」

丸井ブン太「俺は悪くねーだろ」

仁王雅治　「しょうがないのう…　ほれ、仲直りしんしゃい。俺のガムやるき」

宍戸亮　　「はあ？いいよ別に。それにケンカしてるわけじゃ…」

仁王雅治　「配るほどあるんじゃ。助けると思って、もらってくれんかの」

宍戸亮　　「…そうか？そこまで言うなら、もらってやっても…」

パチン！

宍戸亮　　「痛ってぇ！？」

宍戸亮　　「…あー、クソッ。あのヤロウ…」

鳳長太郎　「大丈夫ですか？宍戸さん」

宍戸亮　　「パッチンガムなんか、痛くもなんともねーっての」

鳳長太郎　「さっき痛いって…」

宍戸亮　　「あれは…ちょっとビビっただけで…って、言わせんじゃねーよ！ちょいダサだぜ」

鳳長太郎　「す、すみません。　あの、宍戸さん…」

宍戸亮　　「なんだ？」

鳳長太郎　「俺、ガムは膨らむほうがいいなんて思ってませんからね！」

宍戸亮　　「……は？プッ…ハハ…！ホント、真面目なヤツだなお前」

鳳長太郎　「すみません…」

宍戸亮　　「バカ、褒めてんだ」

鳳長太郎　「！　ありがとうございます、宍戸さんっ！」

忍足侑士　「なんや２人とも、こんなところにおったんか。招集かかっとるで。風呂入ってからレクリエーションルーム集合や」

宍戸・鳳　「招集…？」

【後編】