【ストーリー】EPISODE 6-51 友情オンライン!

| EPISODE ◆ 6-51 友情オンライン! 冥府の番人 |
登場人物
イデア、リリア、シルバー
テキスト全文
── S.T.Y.X.研究所‐個室 ──
イデア:「はぁ~……問題児たちの検査、ようやく全行程終~了~。」
イデア:「グリム氏に施されている魔術については引き続き調査をするつもりだけど……」
イデア:「魔力保有量からして、なにか問題が起きても大事にはなりっこない。」
イデア:「まあ、経過観察でOKでしょ。」
イデア:「それにしても……」
イデア:「ナイトレイブンカレッジの生徒を収容調査するよう『S.T.Y.X.』に依頼してきたのって誰?」
イデア:「『黎明の国』政府を介して、匿名での通報……逆探知対策バッチリなところが怪しさ満載。」
イデア:「怪しさ満載と言えば……」
イデア:「この短期間で5人が連続してオーバーブロットしたこと自体そもそも異常ではあるんだけど。」
イデア:「ナイトレイブンカレッジで過去100年のうちオーバーブロットした生徒は10人にも満たない。」
イデア:「それが半年足らずで5人。今の在校生が特別問題児揃い、ってことで片付けられるレベルを超えてる。」
イデア:「でもテストの結果を見るに、被検体自身になにか特異性があるわけじゃないんだよなァ~。」
イデア:「封印されていたファントムや強力な呪いを解き放ってしまった影響で」
イデア:「オーバーブロットした事例も、ないわけじゃないけど……。」
イデア:「でも、賢者の島は嘆きの島(ココ)と違って」
イデア:「“良くないもの”が大量に封じられてる場所や遺跡があるって情報もないし……。」
イデア:「まさか……」
イデア:「誰かが人為的に、オーバーブロットを誘発させている?」
イデア:「………………いくらなんでも現実的じゃないか。」
イデア:「世間一般的にオーバーブロットの原因は、」
イデア:「魔法の使いすぎによるブロットの許容量超過、並びに術者の負の感情の高まりによるもの……」
イデア:「と言われているけど、そんな単純じゃない。」
イデア:「オーバーブロットには、無数の因果……」
イデア:「原因と結果の連鎖がある。」
イデア:「全ては過去から連なる因果の積み重ね。」
イデア:「そして感情を暴走させるトリガーとなるのは、1番存在の証明が難しく、数値化が不可能とされる“心”。」
イデア:「“心”だけは……制御しようと思っても、制御できない。」
イデア:「つーか人為的にオーバーブロットを制御できるなら、『S.T.Y.X.』はとっくに解散してますよネー。」
イデア:「はぁ……なんで人間には“心”なんて厄介なものが標準装備されてるんだろう。」
イデア:「動作が不安定、しかも制御不能なシステムなんて完全にバグだし、初期不良じゃん。」
イデア:「デバッギング本当にしたんか?嫌んなりますわ……。」
イデア:「……ん?『マッスル紅』氏からのメッセ?」
イデア:「あーっ!! 今日は新実装の高難易度クエ行こうって約束してたんだった! 忘れてた!」
イデア:「実家のパソコンに最新拡張パッケージインストールしてないし……」
イデア:「今日一緒にクエ行くのはちょっと無理だな……。」
イデア:「……待って……さらっとそのセリフ出てくるの、カッコよすぎか……?」
イデア:「『マッスル紅』氏。一緒にゲームやり始めてもう2年は経つけど……」
イデア:「踏み込みすぎない距離感といい、ぼっちオタクがグッとくる言葉をかけてくれる優しさといい……」
イデア:「「ありがてぇ~」っていう感情しか沸かんのですわ。」
イデア:「クセが強すぎる問題児たちにリアルで長時間囲まれていたせいか、めちゃくちゃ染みるゥ……。」
イデア:「友だちっていうのはさ、こういうのだよ。こういうの!!」
イデア:「とか言って、リアルでは1度も会ったことないんですけどねー。」
イデア:「しかし……『マッスル紅』氏、たまに自分を「じじい」って言うけど、リアルでは何歳なんだろ?」
イデア:「いつも落ち着いてるし、多分年上だろうけど……オタクって若くてもジジイを自称することあるしな~」
イデア:「ま、オンゲ仲間のリアル年齢なんて、いくつだっていいけどね。」
イデア:「素性を明かさなくても、どれだけ距離が離れてても、気の合う人と一緒にゲームができる。」
イデア:「オンラインゲームのある時代に生まれたことに感謝せねば。」
イデア:「フヒッ!」
イデア:「ぐふふ! 来週が楽しみでござるな。」
── ディアソムニア寮‐リリアの部屋 ──
リリア:「ふぅ。『ネクラ侍』には悪いことをしたが、今は遊んでいるわけにもいかんからな。」
リリア:「突然寮長がいなくなり、他寮はどこも混乱が収まっておらぬ。」
リリア:「『S.T.Y.X.』襲来によって我が寮内で被害を受けたのは、軽症のシルバーとセベクのみだが……」
リリア:「ラギーたちが言っておったように、“嘆きの島の番人”がいつなにを仕掛けてくるかわからん。」
リリア:「警戒しておくに越したことはなかろう。」
シルバー:「親父殿、いますか?」
リリア:「おう、どうした? 入れ。」
シルバー:「失礼します。実は、マレウス様が……」
< >

