【ストーリー】EPISODE 6-52 悠久スターライト!

| EPISODE ◆ 6-52 悠久スターライト! 冥府の番人 |
登場人物
セベク、シルバー、リリア、マレウス
テキスト全文
── ディアソムニア寮‐リリアの部屋 ──
セベク:「リリア様!!!!!マレウス様のお姿が見えないのです!!!!!」
シルバー:「うるさい、セベク。大声を出すな。」
リリア:「シルバーの言うとおりじゃ。わしの耳はまだそこまで遠くなっとらんわ。」
セベク:「し、失礼しました!」
セベク:「昨日の騒動を受け、マレウス様になにかあってはいけないと思い寮内の見回りを強化していたのですが……」
セベク:「先程マレウス様のお部屋にうかがったところ、お姿がなく……!」
シルバー:「どうやらセベクは10分おきにマレウス様の部屋を見回っていたようで……。」
シルバー:「逆にご負担を与えるから、ほどほどにしろと止めたのですが。」
セベク:「なんだとシルバー! もし再び敵襲があり、マレウス様が狙われたらどうするつもりだ!!」
リリア:「落ち着けセベク。昨日も説明したが、“嘆きの島の番人”は我らの敵ではない。」
リリア:「奴らは誰の敵でもないかわりに、誰の味方でもないんじゃ。」
リリア:「生きとし生けるものすべてに平等であり、無慈悲な奴ら……とも言える。」
シルバー:「……セベク、親父殿もこう言っている。」
シルバー:「不必要に気を張りすぎると、本当に必要な時に動けなくなるぞ。」
セベク:「ぐっ……そんなことはお前に言われずとも分かっている!」
セベク:「だが、僕はマレウス様の護衛を任された者の責任として!!!」
リリア:「そう心配せずとも、あやつなら気まぐれに夜の散歩に出ただけじゃろう。」
リリア:「行き先には心当たりがある。様子を見てくるゆえ、お前たちは先に休むがよい。」
セベク・シルバー:「はっ!!/はい。」
── オンボロ寮‐談話室 ──
リリア:「やはりここにおったか、」
リリア:「マレウス。」
マレウス:「……リリアか。どうした?」
リリア:「お主が部屋からいなくなった、とセベクが騒いでおってな。探しにきたのだ。」
マレウス:「ああ……何故か昨日から10分おきに僕の部屋の前へ現れるものだから、気になってしまって。」
リリア:「はっはっは! あやつは声もでかいが、気配も騒がしいからなぁ。」
マレウス:「少し1人になりたくて、ここへ来た。」
リリア:「……ここは入学して以来、お主のお気に入りの秘密基地じゃったからのう。」
マレウス:「そうだな。ユウが現れてからは、そうもいかなくなったが……。」
マレウス:「……ユウがここに住み着き、最初は残念に思った。」
マレウス:「僕は、廃墟が好きだ。崩れた壁に這う蔦、割れた窓から忍び込む風……」
マレウス:「人々に忘れ去られた場所の孤独で静かな空気は、僕を落ち着かせてくれる。」
マレウス:「歴史に置き去りにされるのは、僕らだけではないのだと。」
リリア:「…………。」
マレウス:「でも……何故だろうな?」
マレウス:「ユウたちがいなくなり、活気が失せたこの場所を歩いていると……」
マレウス:「茨の棘が肌を擦るような不快感がある。」
マレウス:「僕が気に入っていた廃墟の姿へ戻ったはずなのに……。」
リリア:「マレウス…………。」
リリア:「……マレウスよ。上を見てみるがよい。」
マレウス:「……天井にすごい大穴があいているな。」
リリア:「違う、その先じゃ。天空を見上げてみよ。」
リリア:「この上なく美しく、星が並んでおるじゃろう。」
リリア:「ああして星が一直線に並ぶのは古来より吉兆とされ、今日は18年ぶりに……」
リリア:「いや100年だったかな……やっぱ300年ぶりじゃったかも?」
リリア:「ともかく、ひさしぶりのことじゃ。」
マレウス:「ふっ……。つまり人の子らは何度も見られるものではない、ということだな?」
リリア:「うむ。じゃが……お主は長い生の中で、何度もこれと同じ星の並びを見ることになる。」
マレウス:「………………。」
リリア:「次に星々が整列するまでには、きっと世界は大きく変化を遂げているはずじゃ。」
リリア:「お主はそれを受け入れていかねばならぬ。わかるか?」
マレウス:「分かっているさ。だからこそ、この学園に入学した。」
リリア:「よいかマレウス。今日この場所で感じた痛みを決して忘れるな。」
リリア:「その痛みは、お主がこの先長い刻(とき)を生きていくうえで失くしてはならぬものじゃ。」
マレウス:「…………心に留めておこう。」
リリア:「よい子じゃ。」
リリア:「さあ、今はみなが無事に日常へ戻れるよう、あの星に祈ろう。」
マレウス:「そうだな、リリア。」
リリア:「………………。」
リリア:「わしも幾度となくあの星に願いをかけてきたが……これが最後かもしれん。」
マレウス:「…………え?」
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