【ストーリー】EPISODE 7-63 懸念ステート!

| EPISODE ◆ 7-63 懸念ステート! 深淵の支配者 |
登場人物
リリア、バウル、セベク、シルバー、グリム
テキスト全文
── 茨の国-野営地 ──
リリア:「バウル、お前結局3回も『りぞっと』とやらをおかわりしてたな。」
リリア:「そんなに美味かったか? くふふっ。」
バウル:「……よ、よく考えれば、食べ物に罪はありませんので。」
セベク:「お口に合って良かったです!」
バウル:「ごほん!」
バウル:「それにしても……です。」
リリア:「ああ。『銀の梟』の連中が、随分と頻繁に風鳴き渓谷からこちら側へやってくるようになったな。」
バウル:「我が物顔で茨の国の土地を荒らしおって……」
バウル:「卑しい盗掘者どもめ!」
リリア:「100年ほど前、来光岬にたどり着いたのは小さな帆船1隻……」
リリア:「だが、奴らは瞬きの間に数を増やし、この国に住む妖精を上回った。」
リリア:「今じゃ風鳴き渓谷から東は、すっかり奴らの住処だ。」
バウル:「ぐぬぬ……人間め〜〜〜〜!!こんなことなら、最初に追い出しておけば!!」
リリア:「女王陛下も、当時はこれほど手を焼くことになると思っていなかったんだろうよ。」
セベク・シルバー:「………………。」
リリア:「自然や動物たちを敬い、慎ましく暮らすってんなら捨て置くところだが……」
リリア:「これ以上あちこちの山や森を掘り返されちゃたまらねぇ。」
リリア:「急いでマレノア様の書状を東の砦まで届けねぇとな。」
グリム:「マレノアさま? 誰なんだゾ、それ。」
セベク:「貴様、マレノア様を知らないのか?かのお方は若様の……」
セベク:「はっ!」
セベク:「……マレノア様は、この茨の国の姫君であらせられる。」
リリア:「小僧の言うとおりだ。」
リリア:「現女王マレフィシア様の一人娘であり、俺たちの主であり、『野ばら城』の城主でもある。」
シルバー:「『野ばら城』? 竜の都にある王城、『黒鱗城(こくりんじょう)』ではなく?」
リリア:「茨の国の南に広がる湿地、翠が原。」
リリア:「その中央で、珊瑚の海や風鳴き渓谷の向こうからやってくる不届き者に睨みを効かせている城塞……」
リリア:「それが『野ばら城』だ。」
バウル:「マレノア様は、我ら近衛隊を指揮するこの国の守りの要でもある。」
バウル:「我ら王宮近衛隊は、マレノア様から『銀の梟』への要求書を届ける使節団として」
バウル:「今日、野ばら城から出立したところだ。」
セベク:「要求書、というと……」
バウル:「決まっているだろう!! 我らの国での『銀の梟』による無礼な振る舞いを即刻やめよとの最後通牒だ!!」
リリア:「はぁ……魔法で飛べば、すぐに奴らの砦までたどり着けるんだがな。」
シルバー:「飛行術を使わないことに何か理由が?」
リリア:「俺たち以前に書状を持って東の砦へ向かった使節団が、次々行方不明になっている。」
セベク・シルバー:「えっ!」
リリア:「俺たちの仕事は書状を届けること。」
リリア:「次に目的地までの道すがら、行方不明者を捜索すること。そして……」
リリア:「妖精に無断で採掘行為をする『銀の梟』を見つけて駆逐することってわけだ。」
バウル:「くっ……」
バウル:「外交は本来貴族連中の仕事。なぜ右大将殿が押し付けられねばならないのです!」
リリア:「妖精は人間に比べて数が少ないからな。『銀の梟』が現れてから常に労力不足だ。」
リリア:「それに、貴族連中は鉄の匂いを嗅いだだけで卒倒しちまいそうな頼りにならん奴らばっかりときた。」
リリア:「マレノア様もその辺を考えて俺を選んだんだろうさ。」
バウル:「それは…………。」
リリア:「俺たちはこれから、この闇夜の森を抜けて翠が原を通り、」
リリア:「風鳴き渓谷へ向かう。」
リリア:「風鳴き渓谷を抜けたら……」
リリア:「紅が原と竜尾岳で行方不明者の捜索を行いつつ、」
リリア:「大陸の東端(とうたん)にある『銀の梟』の砦を目指すことになる。」
シルバー:「……長旅になりそうですね。」
リリア:「くふふっ、怖気づいたか?」
リリア:「なぁナイトレイブンカレッジの使者ども。この俺に学校なんぞに通ってる暇があるように見えるか?」
セベク・シルバー:「…………。」
リリア:「骨を折って俺たちについてきても、危ないばっかりでお前らに旨味はすくねぇ。」
リリア:「悪いことは言わねぇから、さっさとテメーらの学校に帰れ。」
シルバー:「……いえっ! こうしてお話をうかがったことで」
シルバー:「ヴァンルージュ殿にナイトレイブンカレッジへご入学いただきたい気持ちが、より一層強くなりました。」
リリア:「はぁ?」
シルバー:「たしかに、我々があなたに教えられる“魔法”は少ないでしょう。」
シルバー:「しかし……」
シルバー:「きっとあなたにとって、学園生活はかけがえのない思い出になるはずです。」
セベク:「シルバー……。」
シルバー:「だからこの任務を終えた時に、改めてご招待します。」
シルバー:「俺たちの母校、ナイトレイブンカレッジに!」
リリア:「この任務が終わったところで、俺の考えは変わらねぇだろうが………」
リリア:「それでも、俺たちにひっついてくるつもりか?」
シルバー:「はい!」
リリア:「命の危険があってもか?」
シルバー:「はいっ!!」
リリア:「……………………。」
リリア:「人間のことはよく知らんが……もしかしてナイトレイブンカレッジってのは、」
リリア:「人間の中でもかなり変なやつが集まってんじゃねーのか?」
シルバー:「確かに、かなり個性的な者は多いです。」
セベク:「出身地も、種族も、文化も……」
セベク:「多種多様だ。」
シルバー:「だからこそ毎日多くの学びがある。」
リリア:「はぁ……勝手にしろ。もう俺は知らん。」
シルバー・セベク:「ありがとうございます!!」
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