【ストーリー】EPISODE 7-96 緊迫リミット!

| EPISODE ◆ 7-96 緊迫リミット! 深淵の支配者 |
登場人物
リリア、バウル
テキスト全文
── 黒鱗城‐揺籃の塔 ──
リリア:「あっという間に150年……か。」
リリア:「俺ももう450歳……すっかりオジさんだ。」
リリア:「これだけ巡っても、まだ行ったことがない場所があるのが驚きだ。世界ってのは、広いものだな。」
リリア:「この150年で、外の大陸はかなり様変わりしたぞ。」
リリア:「最近は様々な国で、夜の眷属にも渡航許可が下りるようになってきた。大分旅がしやすくなったよ。」
リリア:「石を投げられることも減った……妖精と人間の対立は、人間の歴史の中じゃとっくに過去のものだ。」
リリア:「どんなに抗っても人間(かれ)らの文明の発展は止められない。」
リリア:「俺たち妖精はいずれ古きもの……御伽話の存在として忘れ去られていくだろう。」
リリア:「だが俺は、これから生まれて悠久を生きるだろうお前を、御伽話の主人公にはしたくないんだ、マレウス。」
リリア:「だから早くその狭っ苦しい卵から飛び出してこい。」
リリア:「外の世界は面倒なことも多いが、きっと卵の中(そこ)よりは楽しいぞ。」
リリア:「なぁマレウス。お前が生まれたら、見せたいものがたくさんあるよ。」
ヴァンルージュ殿、至急竜の都へ戻られたし。
殿下の卵から、急速に魔力が失われつつあります。
次の満月を待たずに、星にお還りになってしまうやもしれません。
ヴァンルージュ殿には直接顔をお見せいただきたく……。
── 茨の国‐黒鱗城 ──
ザッザッザッ!
リリア:「バウル!」
バウル:「ヴァンルージュ殿! よくぞお戻りくださいました。」
バウル:「うがっ!?」
リリア:「マレウスの卵が危ねえってどういうことだ!?」
バウル:「うぐっ……お、落ち着いてくださいっ、そんなに締め上げられては息が……ごほっ、ごほっ!」
リリア:「お前たちがついていながらどうして!」
バウル:「殿下は元々は200年前に星に還っていてもおかしくなかった。」
バウル:「それがどういうわけか奇跡的に永らえていた状態なのです。」
バウル:「しかしついに……」
バウル:「“その時”がきてしまった。」
リリア:「そんな……! もうどうにもならないってのか!?」
バウル:「塔の上をご覧ください。」
リリア:「なんだ……あれは?」
バウル:「3ヶ月ほど前から、マレフィシア様の魔力を一切受け取らなくなり……」
バウル:「どんどん鼓動が弱くなって参りました。そして先週からはあのように卵の周りに強力な結界を展開し、」
バウル:「近付こうとすれば激しい雷を発して拒絶するのです。」
バウル:「接近を試みた医者と近衛兵が重傷を負いました。」
バウル:「女王陛下が魔法で抑え込もうとしましたが激しい抵抗が続き……」
バウル:「無茶をすれば卵が中身ごと潰れてしまう。ですから、手も足も出ない状態で。」
キィイイイーーーー!!
リリア:「泣き声がする……。」
バウル:「えっ?」
リリア:「お前たち、あの声が聞こえないのか?」
バウル:「声? 風と雷の音以外は何も……。」
ビュウウゥウーーー!
リリア:「マレウス!!」
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