【ストーリー】EPISODE 7-133 虚構プロタゴニスト!

| EPISODE ◆ 7-133 虚構プロタゴニスト! 深淵の支配者 |
登場人物
ネージュ、シルバー、警備員A、警備員B、オルト、ルーク、グリム、エペル、セベク、イデア
テキスト全文
── 美粧の街‐クインズ・フィルム・スタジオ ──
ネージュ:「素敵な夢……邪魔しないで……」
シルバー:「ふぅ……みんな、怪我はないか?」
警備員A:「コラーーー!お前たち、そこで何をしている!」
警備員B:「『クインズ・フィルム・スタジオ』の前で魔法の撃ち合いをするだなんて! どこの学校の生徒だ!」
オルト:「みんな、ここは一度撤退しよう。」
オルト:「これ以上騒ぎが大きくなると、『闇』(ゲームマスター)がさらに集まってくる可能性がある。」
ルーク:「ウィ! 得られた情報も整理したい。どこか腰を落ち着けられるところを探そうじゃないか。」
── 美粧の街‐クリスタル・ギャラリア ──
ルーク:「ここがかの有名な『クリスタル・ギャラリア』……」
ルーク:「その名の通り、透き通ったガラス天井がとても美しい!」
ルーク:「細部までリアリティがあって、これが夢の中というのを忘れて観光に没頭してしまいそうだ。」
グリム:「はぐはぐっ!この街のメシ、どれもウメェんだゾ!」
グリム:「茨の谷でリリアたちと冒険してる時の食事は本当に味気なかったからなぁ……。」
エペル:「本当だ! このポークマリネのサンドイッチ、アップルビネガーが効いてて、たげんめぇ!」
エペル:「でも、ちょっとは慣れてきたけど、」
エペル:「夢の中でご飯を食べたり眠ったりするのってちょっと不思議な感覚だよね。」
セベク:「『闇』がいつ襲ってくるかもわからん状態だというのに、貴様らには緊張感というものがないのか?」
シルバー:「腹が減っていては満足に力を発揮できない。」
シルバー:「親父殿も言っていただろう。食べられるうちに食べて英気を養ったほうがいい。」
グリム:「つーか、セベクが一番食ってるんだゾ。」
セベク:「僕はこの中では最も背が高い。だから貴様らより少し量が多いのは当然だ!」
オルト:「みんな、盛り上がってるみたいだね。」
エペル:「おかえりオルトクン。」
エペル:「「みんなが食事をしているあいだに、行きたい店がある」って言ってたけど……どこに行ってたの?」
オルト:「本屋さんだよ。」
オルト:「さすがは映画産業で栄える美粧の街……」
オルト:「というより、ヴィルさんのイマジネーションで作られた街。」
オルト:「イマジネーション強度がすごいね。様々な情報が詳細に掲載された雑誌が豊富に揃ってた。」
ルーク:「やや!! オルトくんが手にしているのは……」
ルーク:「若手アクター情報マガジン『プリンス☆ファン』と映画情報誌『月刊シネマフリーク』だね。」
ルーク:「どちらも表紙や巻頭特集にヴィルが取り上げられている。」
オルト:「うん。ざっと内容に目を通したけど、どうやらこの夢の中でのヴィル・シェーンハイトさんは……」
オルト:「子役時代からたくさんの舞台や映画の主演に抜擢されているみたい。」
オルト:「……“ライバル役”じゃなくてね。」
セベク:「なになに……」
セベク:「「子役時代から卓越した演技力でミュージカル界を沸かせてきた実力派俳優。」」
セベク:「「昨年主演を務めた児童文学原作の映画は、興行収入が初週から20億マドルを超え……」
セベク:「続編の制作も決定している。」」
セベク:「「同作にて、本年のダイヤモンドムービー主演賞に弱冠18歳にしてノミネート。」」
セベク:「「今この時、世界で一番輝ける彼が、栄誉ある王冠をその頭上にいただく……」」
セベク:「「その瞬間を、世界中のファンが固唾をのんで見守っている。」」
選択肢:
├ ……ん? この『ダイヤモンドムービー主演賞』って…… ]
└ [ 『ダイヤモンドムービー主演賞』って、凄い賞なの? ]
ルーク:「輝石の国の映画産業の発展のため、」
ルーク:「優れた作品、そしてキャストやスタッフを表彰するために作られた由緒ある映画賞だよ。」
ルーク:「授与式は、美粧の街の『クインズ・パレス』で毎年行われる。」
ルーク:「時代とともに注目度が増し、今では輝石の国で作られた作品だけでなく、」
ルーク:「世界中の作品がノミネートされるようになった。」
ルーク:「ゆえに、実質世界最高峰の映画賞と言っても過言ではない。」
ルーク:「「この舞台で表彰されることを夢見ない映画関係者はいない」と言われるほどさ。」
ルーク:「中でも『主演賞』は、最も注目度の高い賞だ。」
ルーク:「そして……」
ルーク:「現実では[白雪の君(ロア・ドゥ・ネージュ)が弱冠14歳、史上最年少でこの賞を得ている。」
エペル:「現実では、ネージュが受賞した……。」
シルバー:「だが、先程見た彼は役者ではないようだった。」
セベク:「あの人間、まるで従順な召使いのように振る舞っていたが……」
セベク:「全てはヴィル先輩を幸せな夢に耽らせるための策略、ということか。」
オルト:「うん。」
オルト:「エペルさんやルークさんの時と違って、『闇』(ゲームマスター)が常時夢の主に張り付いている状態だ。」
オルト:「兄さんの時も同様だったことを考えると……」
オルト:「寮長クラスの魔法士は、マレウスさんも警戒して監視の目を強めているのかもしれない。」
エペル:「……ちょっと待って。」
エペル:「これが幸せな夢だっていうならネージュ(ストレス源)を付き人にしてるなんて、ちょっと変だよね?」
エペル:「僕なら顔を見るのも嫌な相手となんかずっと一緒にいたくないし……」
エペル:「余計に心の闇が深くなりそうな気がする、かな。」
グリム:「ヴィルのヤツ本心ではネージュに意地悪して、こき使ってやりたいって願ってたのかもしんねーんだゾ。」
グリム:「アイツならあり得る!」
エペル:「え~~~っ!? さすがのヴィルサンも、そこまでは……。」
エペル:「か、完全に否定はしきれないけどさ……。」
オルト:「これはあくまで憶測だけど……」
オルト:「“最高の美しさを目指し、ストイックに高みを目指すヴィル・シェーンハイト”」
オルト:「彼の在り方には、かなり深くライバル(ネージュさん)の存在が関わっている。」
ルーク:「負けたくない相手がいるからこそ、ヴィルは自分を奮い立たせ、努力を重ねることができた……」
ルーク:「ということだね。」
オルト:「うん。“無かった”ことにするには、ヴィルさんにとってネージュ・リュバンシェの存在は大きすぎる。」
シルバー:「なるほど。」
シルバー:「現実世界における重要な要素の変化や欠落は、夢の世界での齟齬や破綻を生みやすいということか。」
オルト:「そういうこと。」
オルト:「でも潜在的な防御本能ゆえに、」
オルト:「この夢の中では“ライバルになり得ない存在”として設定されているんじゃないかな。」
イデア:「で、ライバルが存在してないから、」
イデア:「ダイヤモンドムービー主演賞はあっさりヴィル氏が獲るってこと?」
ルーク:「ノン……! そんなシナリオは、ヴィル本人が一番許せないはずだよ。」
ルーク:「ネージュくんは、確かに数々の痛みをヴィルに与えただろう。しかし……」
ルーク:「ヴィルは誰よりもネージュくんの実力を、強さを知っていた。」
ルーク:「だからこそ『VDC』の日は追い詰められあ、あ、あんな行動に……」
ルーク:「ううっ!」
ルーク:「本人に自覚がないままに踏みにじられているヴィルのプライドを想うと、胸が張り裂けそうになる。」
ルーク:「今のヴィルは挫折や嫉妬を味わうことのない、幸せな状態だろう。」
ルーク:「だが、その代償に一番大切なものをなくしてしまった。」
ルーク:「奮励の魂だ! 彼を彼たらしめる、美しき女王の精神!」
ルーク:「ああ、早く目醒めさせてあげたい。あんなヴィルの姿、見ていられないよ……!」
エペル:「ルークサン……。」
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