【ハニプレ】イベント「トリック・オア・トリート」イベントストーリー

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人気アイドルユニット『LIP×LIP』として
活躍している勇次郎と愛蔵

ファンのことを『ジュリエッタ』と呼んで
大切にしている2人だけれど
実は、デビュー当時からお互いに折り合いが悪く
ケンカもしばしば

マネージャー見習いの涼海ひよりを含む
周囲の人たちは、そんな2人に
ハラハラしているようで…

その日、俺と勇次郎はハロウィンの夜に行う予定のライブについて話し合っていた

勇次郎

　セットリストは絶対こっちの方がいいよ
　愛蔵の案だと最初の盛り上がりに欠ける

愛蔵

　お前の案こそ、ラストスパートって感じしないだろ
　絶対こっちの方がいいって

勇次郎

　絶対こっち

愛蔵

　こっちだ！

涼海ひより

　もう、またケンカしとるん？
　廊下まで2人の声が聞こえとったよ

こいつは俺と勇次郎のクラスメイトの涼海ひよりだ
俺たちLIP×LIPの所属する事務所のバイトしていて…
俺たちのマネージャーである内田さんと一緒に働く
いわゆる『マネージャー見習い』だ

勇次郎

　愛蔵が言うこと聞かないから

愛蔵

　言うこと聞かないのは勇次郎だろ！？

涼海ひより

　もー…
　ハロウィンライブでは新曲のお披露目もするんでしょ？
　ケンカしとる場合じゃないと思うけど…

勇次郎

　言われなくてもわかってる
　愛蔵と一緒にしないでよ

愛蔵

　それはこっちのセリフだ！

涼海ひより

　ああ、もう…
　いつまでもケンカを続けるなら
　新しい衣装のデザイン、見せてあげんよ

愛蔵

　新しい衣装？
　ハロウィンライブのか？

涼海ひより

　そうだよー！
　見たらびっくりするよ
　じゃーん！

愛蔵

　（あっさり見せてんじゃねえか）
　…って
　なんだよ、この衣装

勇次郎

　これは…カボチャ？

涼海ひより

　そう！ジャック・オー・ランタンをイメージしとるんよ
　ハロウィンっぽくて可愛いでしょ？

勇次郎

　確かに可愛いは可愛いけど…

愛蔵

　衣装っていうより、被り物じゃねーか
　俺たちのイメージには合ってないな

涼海ひより

　そうかな？柴崎君がこれを着たら、ジュリエッタも
　「愛蔵くん、可愛いー！」って喜んでくれると思うよ

愛蔵

　可愛いよりかっこいいって言われたいんだよ、俺は

勇次郎

　ぷっ…
　くくく
　普段は女嫌いとか言ってるくせに
　女子にかっこいいって言われるのは嬉しいんだ。笑える

愛蔵

　う…うるっせえ、笑うな！
　…で？衣装は確か2パターンになる予定だったろ
　もう1着はどんなデザインなんだ？

涼海ひより

　えーっとね…
　こんな感じ！

勇次郎&愛蔵

　え…

愛蔵

　なんだよ、これ
　すっげえカッコイイ…！！

勇次郎

　ヴァンパイアの衣装か…
　雰囲気があっていいね
　ゴシックで品もある

涼海ひより

　でしょでしょー！
　デザイナーさんの自信作よ！
　気に入った？

愛蔵

　ああ！
　俺はこのヴァンパイアを着るよ

勇次郎

　僕も

涼海ひより

　2人とも、カボチャよりヴァンパイアがいいん？

勇次郎&愛蔵

　当然

涼海ひより

　うーん、困ったねえ…

愛蔵

　どうした？

涼海ひより

　実は、このヴァンパイア…
　衣装さんの都合で1着しか用意できんのよ

愛蔵

　え…

勇次郎

　それって、つまり…

涼海ひより

　うん。染谷君と柴崎君のどちらか一方に
　譲ってもらうことになっちゃうね…

涼海ひより

　うん。染谷君と柴崎君のどちらか一方に
　譲ってもらうことになっちゃうね…

勇次郎&愛蔵

　…

勇次郎

　…どうもありがとう、愛蔵
　譲ってくれて

愛蔵

　はあ！？ちょっ…なに言ってんだ、お前
　誰も譲るとか言ってねえし！

勇次郎

　こういうときは目上を立てるものでしょ

愛蔵

　なに言ってんだ
　俺とお前は同学年で誕生日も同じだろ！

勇次郎

　精神年齢の話で言うと
　愛蔵より僕の方が大人だよ

愛蔵

　どこがだよ！こうやって張り合ってる時点で
　お前も俺も同じじゃねえか！

勇次郎

　一緒にしないでよ
　僕は愛蔵みたいに子供っぽく怒ったりしないし

愛蔵

　ったく…
　ああ言えばこう言う…！
　とにかく…俺はヴァンパイアの衣装を着る！
　これだけは譲らねえ！

勇次郎

　僕だって同じだよ
　この衣装、ひとめ見た瞬間に気に入った
　これは僕のものだ
　何があっても渡さない
　譲るのは愛蔵の方だ

愛蔵

　いや、勇次郎だ

勇次郎

　愛蔵だ

愛蔵

　勇次郎だ！

涼海ひより

　もう…。相変わらず、譲り合いってことを
　しない2人だなあ…
　こうなったら
　内田マネージャーの言うとおりにするしかなさそうやね

愛蔵

　あ？

涼海ひより

　染谷君と柴崎君が揉めたら、2人に勝負してもらって
　衣装を決めるように言われてたんよ

勇次郎

　勝負…？

涼海ひより

　そうそう。勝負に勝った方が、好きな衣装を
　選んでいいって

愛蔵

　はあ？
　なんだよそれ…

勇次郎

　僕たちに何をさせようっていうの？

涼海ひより

　えーと、ハロウィンライブで新曲のお披露目を
　する予定やろ？
　その新曲の振り付けを先に覚えた方が勝ちやって！

勇次郎

　つまり…ダンスで勝負ってこと？

涼海ひより

　そう！
　明日テストするから、それまでに
　より完璧に踊れた方が勝ち！
　振り付けはこれから先生がしてくれるよ
　どう？

愛蔵

　まあ…1曲分だろ？
　余裕だな。今日テストしてもいいくらいだ

勇次郎

　…
　ちっ…
　なんでよりによってダンスなんだよ…

愛蔵

　（勇次郎のやつ、焦ってるな…）

それもそのはずだ。運動能力でいうと、勇次郎より
俺の方がずっと高い
振り付けをマスターするのも、いつも俺が先だ

愛蔵

　（まあ、いつも歌の方は
　勇次郎が俺より先に覚えるんだけどな…）
　（それにしても…）
　内田マネージャーは、どうして
　俺たちにこんなに勝負をさせることにしたんだ？
　ダンスで勝負なんて
　結果はわかりきってるだろ

涼海ひより

　え？さ、さあ…
　うちもわかんないなあ…

勇次郎

　ちょっと、愛蔵
　わかりきってるってどういう意味？

愛蔵

　そのままの意味だよ。新曲が出るたび
　振り付けをマスターするのは、俺がいつも先だろ
　今回も俺が勝つに決まってる

勇次郎

　はあ…？
　そんなの、言い切れないでしょ

愛蔵

　言い切れるだろ
　いつもの流れからいって、結果は予測できる

勇次郎

　…
　わかった
　この勝負、乗るよ

愛蔵

　いいのか？
　そんなこと言って

勇次郎

　ああ
　本当に愛蔵の言う通りになるか、試してみよう

愛蔵

　後悔すんなよ

勇次郎

　そっちこそ

涼海ひより

　ど、どうなるん
　この勝負…

ダンスの先生から一通り振り付けをしてもらったあと
俺と勇次郎は各自で練習に励むことになった

愛蔵

　…よし！
　（大まかな振り付けは覚えたから…
　あとは細かいところの調整だな）
　（この分なら、今日中には完璧に仕上げられそうだ）

ふと気になって勇次郎の方を見ると
やっぱり苦戦しているようだった

愛蔵

　（同じところで何回も突っかかってる…）
　（まあ、あのステップ、難易度高いし
　勇次郎には難しいよな）

勇次郎

　…

愛蔵

　（あいつ、イライラしてんな…
　大丈夫か…？）

愛蔵

　（もうこんな時間か…
　そろそろ帰らないと）
　おい、勇次郎
　そろそろ切り上げるぞ

勇次郎

　僕はまだいる
　愛蔵は先に帰って

愛蔵

　まだって…
　いつまでいるつもりだ？
　明日もスケジュール詰まってるんだから
　無理してもろくなことないぞ

勇次郎

　放っておいてよ
　ちょっとくらい寝ないでも平気だし

愛蔵

　（こいつ…
　いっつも眠い眠い言ってるくせに…）
　なに意地になってんだよ
　そんなにあのヴァンパイアの衣装が着たいのか？

勇次郎

　…
　衣装の問題だけじゃない

そう短く言うと、勇次郎はまた練習に戻ってしまった

愛蔵

　（どういう意味だ…？）

勇次郎はもう俺には目もくれず、同じステップを
何度も繰り返している

愛蔵

　（あれ、さっき突っかかってたとこだ…）
　（衣装の問題だけじゃない…か
　なるほどな…）

今の勇次郎にとっては、衣装のことなんて
もうそれほど大きな問題じゃなくなってるんだろう

愛蔵

　（あいつはただ…
　自分に乗り越えられないことがあるのが、嫌なんだ）
　（癪だけど…
　俺にもその気持はよく分かる）
　…
　ったく…

見ていられなくなって、俺は勇次郎の隣に立った

愛蔵

　そうじゃねえよ。足を引くときは
　もっと浅く引け。体の中心に持ってくるつもりでな
　あと、お前は足を大きく広げすぎ
　だから曲とズレるんだ

勇次郎

　ちょっ…
　放っておいてよ。勝負なんだから

愛蔵

　うるせえな
　お前の練習、見ててイライラすんだよ
　ほら、もっと体の軸を意識して！
　もう一回やってみろ！

勇次郎

　…
　こう？

愛蔵

　違う
　足を開くのと同時に肘を曲げろ

勇次郎

　これは？

愛蔵

　まだ軸がブレてる
　もう一回！

勇次郎

　これでどう？

愛蔵

　さっきよりはマシだな
　一度、通しでやってみるか

結局、夜が明けるまで
俺と勇次郎はレッスンスタジオで過ごすことになった――

振り付けのテスト当日――

勇次郎

　ねむ…

愛蔵

　だから言っただろ、あんま無理す…
　ふああ…

涼海ひより

　どうしたん
　2人して、あくびしちゃって

愛蔵

　なんでもねぇよ
　ほら、早くテストやろうぜ

涼海ひより

　わかった
　先生呼んでくるね！

愛蔵

　手は抜かないからな

勇次郎

　…
　こっちのセリフだし

振り付けのテスト終了後――

愛蔵

　くっそ…！！
　なんで俺が…！！

涼海ひより

　柴崎君、そんな落ち込まんでよ
　いい勝負やったよ
　負けちゃったけど…

愛蔵

　くっ…

勇次郎

　今日は調子が悪かったみたいだね
　振り付け覚えのいい愛蔵くん？
　昨日、「俺が勝つに決まってる」って
　言ってたの、どこの誰だったかなあ

愛蔵

　うるっせえ！
　俺だよ！！

勇次郎

　ふふ
　まさか、愛蔵があんな簡単なところで
　ミスするなんてね。びっくりだよ

愛蔵

　くっ…
　（こいつ、殴りてぇ…）
　（とはいえ…俺がミスをしたのは事実だし
　ここは負けを認めるしかないか…）
　…わかった
　今回は俺の負けだ

勇次郎

　「俺が」「誰に」負けたんだっけ？

愛蔵

　くっ…
　…じろう…

勇次郎

　聞こえないなあ

愛蔵

　うるせえな！
　俺が勇次郎に負けたんだよ！
　（ああ…
　こいつ、ほんとに殴りてえ…）

とは思うものの
俺はどこか、ほっとしてもいた

愛蔵

　（勇次郎の振り付け、完璧だった）
　（徹夜で練習した甲斐は…
　まあ、あったのかもな…）

それから、数日経って
ハロウィンライブのリハーサルの日が来た

勇次郎

　どう？

涼海ひより

　わあ、かっこいい…！
　ねえ、柴崎君

愛蔵

　ああ、最高に似合ってるよ
　この衣装のダークな雰囲気が
　お前の性格の悪さとベストマッチだ

勇次郎

　…
　それはどうも

愛蔵

　（さて、俺も着替えるか…）

涼海ひより

　柴崎君、ほんとにあれ着るつもりなん？
　カボチャの…

愛蔵

　着るしかないだろ
　勝負に負けた方が着る決まりだったんだから
　まあ…よく見ればかっこいい気がしないでもないし
　よーく見ればな

涼海ひより

　そっか…
　でも、珍しいね
　柴崎君がダンスの最中にミスするの

愛蔵

　…
　お前も仕事あんだろ。さっさといけよ

涼海ひより

　うん
　じゃあ、リハーサル頑張ってね

愛蔵

　…
　言えるかっての…
　（勇次郎がちゃんと踊れるかどうかがきになって
　自分のダンスに集中できなかったなんて…）
　はあ…
　（俺もたいがいバカだな…
　勇次郎のことなんか、放っときゃよかったのに…）
　…って
　あれ？
　俺の衣装、どこいった？

勇次郎

　あのカボチャの衣装なら、内田マネージャーに渡した
　物販あたりで、涼海が着ることになるんじゃない

愛蔵

　は？
　なんで…

勇次郎は俺の問いかけには答えず
何か押し付けてきた

勇次郎

　愛蔵の衣装、これだから

愛蔵

　え…

勇次郎

　愛蔵の衣装、これだから

勇次郎が差し出してきたのは、俺が初めて見る衣装だった
ヴァンパイアでもカボチャでもない、新しいものだ

愛蔵

　これ…
　オオカミ男か？

勇次郎

　そう。衣装さんが作ってくれた
　かっこいいでしょ

愛蔵

　作ってくれたって、なんで…

勇次郎

　…さあね
　予算が余ったんじゃない？
　ほら、早く着替えなよ

愛蔵

　…
　（もしかして…
　勇次郎が頼んでくれた…とか？）
　（いや、まさかな…）

勇次郎

　ほら、ぐずぐずしないで
　さっさと準備してよ

愛蔵

　お、おう！

俺は勇次郎と一緒に、リハーサルに向かった
もちろん、新しい衣装に身を包んで――

ハロウィンライブ当日――
ジュリエッタ…ファンたちの声援に包まれながら
俺たちはステージに立った

勇次郎&愛蔵

　こんばんはー！

勇次郎

　LIP×LIPの勇次郎です

愛蔵

　愛蔵です！
　ジュリエッタたち
　今日は来てくれてありがとう！

勇次郎

　ハロウィンの夜、目いっぱい楽しもうね！
　そうだ
　ハロウィンといえば、この衣装どうかな？
　僕がヴァンパイアで…

愛蔵

　俺がオオカミ男！
　どう？
　ハロウィンの夜らしくていいだろ

観客

　かっこいいー！

愛蔵

　ありがとう、みんな！
　そう言ってもらえて、嬉しいよ
　この衣装…
　俺のお気に入りなんだ

勇次郎

　…
　ふっ
　良かったじゃない、愛蔵
　みんなに「かっこいい」って言われたかったんだもんね？

愛蔵

　ちょっ…
　それを言うなって！

勇次郎

　みんな、愛蔵は「可愛い」より「かっこいい」って
　言われる方が嬉しいんだって
　小学生の男子みたいだよね

愛蔵

　うっ…うるせえな…！

観客

　愛蔵君、かっこいいー！

愛蔵

　あはは、ありがと！
　みんながそう言ってくれるのは
　冗談抜きで嬉しいよ

勇次郎

　あれ。みんな、僕のことは？
　忘れてない？

観客

　勇次郎君もかっこいいー！

勇次郎

　ふふ、ありがとう
　ジュリエッタたちの笑顔も、すごくキレイだよ
　それじゃ、次の曲を始めようか

愛蔵

　ああ。次の曲は、今度リリースする予定の新曲なんだ

勇次郎

　このライブが初めてのお披露目だから
　喜んでもらえると嬉しいな

俺たちが新曲のタイトルを言うと
ひときわ大きな歓声が上がる

勇次郎

　愛蔵、今度はちゃんと集中してよ
　…自分のダンスにね

愛蔵

　…！
　お前…

勇次郎

　ほら、いくよ

愛蔵

　…
　おう！

束の間、視線を交わしたのを合図に、俺と勇次郎は
それぞれの立ち位置についた――

振り付けのテスト当日――
僕はなぜか、勝負の相手である愛蔵と一緒に
一晩中練習に打ち込み…気づくと、夜が明けていた

勇次郎

　疲れた…

愛蔵

　俺の方が疲れたよ…
　でも、まあ…
　これでもう、振り付けは完璧だろ？

勇次郎

　…まあね

愛蔵

　そりゃよかった
　誰のおかげだ？

勇次郎

　さあね

愛蔵

　…
　そういうところは本当にブレないな、お前
　ふああ…
　ねむ…

勇次郎

　まあ…でも…
　……ありがと

愛蔵

　…

勇次郎

　愛蔵？

愛蔵

　…

勇次郎

　うわ、寝てるし…

愛蔵

　う～ん…
　だから違うって、勇次郎…そこは左にターンだって…

勇次郎

　ちょっ…
　夢の中までダンスって…バカなの？

愛蔵

　だから…違うって、勇次郎…

勇次郎

　…
　ほんと、愛蔵はバカだよ
　僕のことなんか、放っておけばいいのに…

愛蔵

　う～ん…

振り付けのテストの結果は、僕の勝利だった
愛蔵が、彼には珍しく些細なミスをしたのだ
そして、その数日後――

勇次郎

　（ハロウィンライブまではまだ日もあるし…
　忘れないように、振り付けの練習して帰ろう）
　…ん

ダンススタジオに入ると、部屋の隅で
涼海と内田マネージャーが立ち話していた
2人とも、話に夢中で僕が入ってきたことに
気づいていない

勇次郎

　（なに話してるんだ？）

涼海ひより

　内田マネージャーの言った通りに
　なりましたね！

内田マネージャー

　本当ねー！まさか、ここまでうまくいくとは…

涼海ひより

　そうですね。柴崎君はああ見えて困ってる人を
　放っておけないところがあるから…

内田マネージャー

　あの2人、いつもケンカばかりだし
　今後もこういうこと仕掛けてみてもいいかもね

勇次郎

　ふーん
　「仕掛ける」ねえ…

涼海ひより

　ひっ…

内田マネージャー

　げっ、勇次郎…

勇次郎

　ライブの衣装のテイストに差をつけるなんて
　おかしいと思ってたんだ
　いま聞いたことから察するに…
　何かにつけて衝突する
　僕と愛蔵の協調性を育んであげようとか思ってた感じ？
　…まったく、呆れるね
　人のこと幼稚園児か何かだと思ってるわけ？

涼海ひより

　染谷君と柴崎君がケンカばっかりするのが悪…

勇次郎

　涼海さん、何か言った？

涼海ひより

　な、なんでもありません…
　え…笑顔が怖いぃ…

勇次郎

　ハメられたって知ったら、愛蔵はすごく怒るだろうな
　ヴァンパイアの衣装を譲れとか言い出すかも
　まあ、僕は絶対に譲らないけど
　あーあ、またケンカになるかもね

涼海ひより

　な、何が言いたいん…?

勇次郎

　そうだな…。2人がどうしてもって言うなら
　このことは愛蔵には黙っておいてあげてもいい
　ただし、僕の要求を飲んでくれるなら…ね

内田マネージャー

　要求…？
　な、何…？

勇次郎

　ハロウィンライブの衣装をもう1着、用意して

涼海ひより

　え…

勇次郎

　衣装のテイストは、そうだな…
　オオカミ男でよろしく