【ハニプレ】イベント「恋人たちのハッピークリスマス」イベントストーリー

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桜丘高校イチの美少女・早坂あかりと
彼女に入学式以来ずっと前から片思いをしていた
もちたこと望月蒼太

高校3年のクリスマスイブに想いが通じ合った2人
それから月日を重ね、大学生になったあかりと蒼太は
晴れて恋人同士の関係になっていた

クリスマスイブを間近に控えたある日のこと――

僕はケーキショップ・星屋のカフェスペースで
1人で頭を抱えていた

望月蒼太

　はあ…
　（どうしようかなあ…）

榎本虎太朗

　お、もちたじゃん

望月蒼太

　虎太朗！来てたんだ

榎本虎太朗

　ああ。ケーキ買ってこいって夏樹に頼まれてさ

虎太朗は僕の幼なじみである夏樹の妹で
子供の頃からの顔見知りだ

榎本虎太朗

　もちたこそ、どうしたんだよ
　なんか重いため息ついてたけど…

望月蒼太

　うん…
　それがさ…

　　　数日前――

その日、僕は彼女であるあかりと一緒に
この星屋でケーキを食べていた

望月蒼太

　今年もあとひと月足らずで終わりか…
　なんだか早く感じるなあ

早坂あかり

　私も。なんだか、蒼太君と一緒にいると
　特に時間が過ぎるのが早く感じる気がする
　幸せ…だからかな？

望月蒼太

　あかり…
　（くうっ！今日もあかりんが可愛すぎる…！）
　（こんな可愛い子が僕の彼女だなんて
　僕はなんて幸せなんだ…！！）

榎本虎太朗

　いいから、早く本題に入れよ…

望月蒼太

　あ、ごめんごめん
　それで、そのあと今年のクリスマスイブを
　どう過ごすかっていう話になったんだけど…

早坂あかり

　蒼太君、確かクリスマスイブの日は空いてるって
　言ってたよね

望月蒼太

　ああ、うん。空いてるよ
　あかりは？

早坂あかり

　私も空いてるよ

望月蒼太

　そっか
　それじゃあ…

早坂あかり

　一緒に…どこか行く？

望月蒼太

　行っちゃおっか！

こうして、僕たちは
クリスマスイブを一緒に過ごすことになった

榎本虎太朗

　…
　…で？

望月蒼太

　え？
　「で」って？

榎本虎太朗

　今の話じゃ、付き合ってる彼氏と彼女がクリスマスに
　デートする流れになったことしかわかんねーよ…
　もしかして、「彼女が可愛すぎるのが悩み」とか
　言わないよな？

望月蒼太

　そんなんじゃないよー！
　…いや、それもちょっとあるけど…

榎本虎太朗

　あるのかよ…

望月蒼太

　僕が悩んでるのは、クリスマスイブのデートプランだよ
　せっかく一緒に過ごせるわけだし、あかりが
　感激するようなプランをバシッと立てたいんだけど…
　あかりとデートの約束した日から
　ずーっと考えてるのに全然いいのが思いつかなくて…

榎本虎太朗

　クリスマスデートって言ったら、たいていのカップルは
　ちょっといいレストランとかに行くもんじゃないのか？

望月蒼太

　それも考えたけど、ありきたりなデートじゃなくて
　あかりが感動するような何かが欲しいんだよね
　何かいいアイデアない、虎太朗？

榎本虎太朗

　俺がそんなの思いつくと思うか？

望月蒼太

　…
　ごめん
　思わないかも…

榎本虎太朗

　だろ…？
　って、自分で言って悲しくなるな…
　こういうときに相談に乗ってくれそうなやつって
　言ったら、優かな

望月蒼太

　あ、確かに！
　ちょっと連絡してみよう

瀬戸口優

　なんだ、俺がどうかしたか？

瀬戸口雛

　あれ、もちたと虎太朗じゃん！
　やっほー！

望月蒼太

　優…！
　それに雛ちゃんも…

望月蒼太

　優、来てたんだ
　雛ちゃんも

瀬戸口雛

　うん。ここの紅茶、お母さんのお気に入りだから

優は僕の幼なじみで、雛ちゃんは優の妹
雛ちゃんは虎太朗と同級生で、僕の2つ年下だ

瀬戸口優

　もちたと虎太朗は何してるんだ？

榎本虎太朗

　俺はもちたの相談に乗ってたとこ

瀬戸口優

　相談？

望月蒼太

　そうなんだよ！聞いてよ、優…！
　あのね…

僕はあかりとのクリスマスイブのデートプランに
悩んでいることを優に相談した

瀬戸口優

　なるほど…

望月蒼太

　何かいいアイデアないかな、優？

瀬戸口優

　なんで俺に聞くんだ？

望月蒼太

　だって、優だったらちゃんと夏樹と恋人らしい
　クリスマスを過ごしてそうだなって思って

瀬戸口優

　うーん…
　そう言われてもなあ…

瀬戸口雛

　お兄ちゃんとなっちゃんは、クリスマスはいつも
　私や虎太朗と家で過ごしてるしねー

望月蒼太

　そっか。優と夏樹の家って、親同士が仲がよくて
　クリスマスはいつも一緒に旅行に行ってるんだっけ？

瀬戸口優

　そうなんだよ…。だから、クリスマスらしいデートって
　そんなにしたことないんだよな

望月蒼太

　そっか…

瀬戸口優

　うーん…。早坂ももちたも芸術家っぽいところあるし…
　美術館とかはどうだ？

瀬戸口雛

　いいね！クリスマスでも静かに過ごせるだろうし…
　食事の前とかに行ってみたら？

望月蒼太

　美術館…
　先月行っちゃったんだよね…

瀬戸口優

　そうか…。じゃあ、映画とか？

望月蒼太

　好きだけど、いつものデートコースと
　変わらなくなっちゃうかな

瀬戸口優

　確かにそうだな
　なら、花束でも渡すのはどうだ？
　行き先はいつものデートコースでも
　特別感が出るだろ

瀬戸口雛

　お兄ちゃん、なっちゃんに
　そういうことしてあげてるんだ

榎本虎太朗

　ああ、そういや、夏樹がめずらしく
　部屋に花を飾ってたことあったな

望月蒼太

　優、けっこうマメなんだね

瀬戸口優

　う、うるさいな…
　そんなことばっかり言うなら
　俺はもう帰るぞ

榎本虎太朗

　ごめんごめん
　あ。せっかくだし、女子の意見も聞いてみたいな
　雛ちゃんはどう思う？

瀬戸口雛

　え、私…？

望月蒼太

　クリスマスイブに彼氏と一緒にどこに行きたいとか
　こういうことをしてほしいとか、ある？

瀬戸口雛

　か、彼氏って…
　…

榎本虎太朗

　…

望月蒼太

　（あれ、なんか微妙な空気になってる？
　気のせいかな…？）

瀬戸口雛

　あ、あかりちゃんを喜ばせたいんでしょ？
　だったら、あかりちゃん本人に聞けばいいんじゃない？

瀬戸口優

　確かに、その方が確実ではあるな

望月蒼太

　そうだけど…
　それじゃダメなんだよー！
　いいプランを立てて
　あかりにかっこいいところを見せたいんだから…！

早坂あかり

　私がどうかした？

望月蒼太

　え…

早坂あかり

　？

望月蒼太

　あ、あかり…！

望月蒼太

　あ、あかり…！
　来てたんだ…！

早坂あかり

　うん。新作のケーキを買いに来たの
　瀬戸口君に雛ちゃん、虎太朗くんも…
　みんな揃って、どうしたの？

榎本虎太朗

　もちたが早坂先輩とのクリスマスデートの
　プランに頭を悩ませてるらしいですよ

早坂あかり

　え…

望月蒼太

　あ…

瀬戸口雛

　ちょっ…虎太朗！バカ！
　そこでバラしちゃうなんてサイテー！
　もちたがかっこいいとこ見せたいって
　言ってるんだから、ここは黙っておくべきでしょ！

望月蒼太

　（ひ、雛ちゃん…！
　それもあかりんの前で言っちゃいけないやつ…！）

瀬戸口優

　とりあえず…。いったん黙ろうか、雛
　虎太朗も

榎本虎太朗

　あ…

瀬戸口雛

　あ…！ごめん、もちた！
　私ってば…！

望月蒼太

　ううん、大丈夫…

瀬戸口優

　悪かったな、もちた。虎太朗と雛は俺が連れていくから
　あとは早坂と2人で話せよ

望月蒼太

　あ、あの…
　虎太朗や雛ちゃんが言ってたこと聞いてた…よね

早坂あかり

　うん…

望月蒼太

　（ああ…。あかりんに内緒で完璧なデートプランを
　立てて、かっこいい姿を見せたかったのに…）
　（ぜんぶバレちゃうなんて、かっこ悪すぎる…！）

早坂あかり

　クリスマスのこと…
　蒼太君、いろいろ考えてくれたんだね
　ありがとう

望月蒼太

　あかり…

早坂あかり

　もし、1人で悩んでいるなら…
　2人で一緒に考えない？
　サプライズも嬉しいけど…
　その方が、きっと私たちらしいでしょ？

望月蒼太

　（僕たちらしい…か）

あかりは、僕にとっての初恋の人だ
高校の入学式で見かけた瞬間、一目で恋に落ちた
そして、長いあいだ恋を知らずにいたあかりにとっても
僕がはじめての彼氏…恋に不慣れな僕たちは、お互いに少しずつ理解を
深めながら、今日まで付き合いを続けてきた

望月蒼太

　（確かに、普通のカップルにに比べると
　進展は遅いかもしれないけど…）
　（それが、僕たちらしいところでも
　あるのかもしれない）
　うん、そうだね
　クリスマスの行き先、一緒に考えてくれると嬉しいな

早坂あかり

　喜んで！

僕とあかりはクリスマスの行き先について
いくつか案を出していくことにした

早坂あかり

　あ、商店街のイルミネーションが綺麗なんだって
　ほら、前にパンケーキ食べに行ったところ

望月蒼太

　いいね！東京タワーの近くでやってる
　クリスマスマーケットも気になるな

早坂あかり

　行きたいところがいっぱいで悩むね-！

望月蒼太

　（こうやって2人で話し合うのも、すごく楽しいな
　僕は一人で気負いしすぎてたのかも…）

早坂あかり

　そういえば、私ね…

望月蒼太

　ん？

早坂あかり

　ええと…
　ううん、なんでもない

望月蒼太

　…？
　それならいいけど…

早坂あかり

　行き先、どうしよっか

望月蒼太

　そうだね。どれも捨てがたいし…
　そうだ、くじで決めるのはどう？

早坂あかり

　くじ…！いいかも！

僕とあかりは紙を小さく切り、そこに行き先の候補を
書いて、テーブルに並べた

望月蒼太

　ちょっと簡単だけど…これでくじの完成！
　せっかくだし、あかりが引いてみてよ！

早坂あかり

　うん！
　じゃあ…
　これにしようかな

望月蒼太

　開いてみて！

早坂あかり

　うん！
　えっと…

早坂あかり

　見てみて、蒼太君
　ペンギンの赤ちゃんがいるよ！

望月蒼太

　本当だ…！モコモコして可愛いね！

早坂あかり

　うん！すっごく可愛い…！

クリスマスイブ当日
僕たちが訪れたのは、水族館だった

望月蒼太

　（あかりんが引いたくじを見たときは、水族館って
　クリスマスっぽくないかもって思ったけど…）
　（館内はクリスマス仕様になってて綺麗だし
　これはこれで、すごく楽しいな…）
　あ！ほら、見て！
　クマとパンダの着ぐるみもいるよ

早坂あかり

　本当だ、可愛い…！
　一緒に写真撮ってもらおうっと

望月蒼太

　（楽しそうだな…
　ちょっと着ぐるみに抱きつきすぎな感じもするけど…）
　ねえ、次はイルカを見に行ってみようよ

早坂あかり

　いいね！行こう行こう！

望月蒼太

　（今日はこうして
　あかりんの笑顔がたくさん見られたらいいな）

と、思っていたのだけれど――

望月蒼太

　へっくしゅ！

早坂あかり

　くしゅん！

望月蒼太

　ああ、服も髪もすっかり濡れちゃったね
　ごめん、あかり…

早坂あかり

　ううん、大丈夫
　蒼太君のせいじゃないよ
　でも、まさかイルカがあんなに水をかけてくる
　なんて思わなかったね

望月蒼太

　（ああ…。いいデートにしたいと思ってたのに
　なんでこうなるんだろう…）

スタッフ

　先ほどは申し訳ありませんでした
　いつもはあんなに水をかけないんですけど…
　お客様のことが気に入ったのか
　はしゃいでしまったみたいで…

望月蒼太

　あ、あはは…

スタッフ

　それで、お客様の服が乾くまでこちらでお着替えを
　ご用意しようかと思ったんですが…
　あいにく、いまご用意できるのが
　こちらだけでして…

蒼太&あかり

　…え

水族館のスタッフさんが差し出してきたものを観て
僕とあかりは思わず顔を見合わせた

望月蒼太

　ど、どうかな…

早坂あかり

　わあ…！蒼太君、可愛い…！

望月蒼太

　えへへ…。あかりも可愛いよ！

早坂あかり

　ありがとう…！

望月蒼太

　用意してくれた衣装って
　クリスマスの衣装だったんだね…！

早坂あかり

　アルバイトさんが使ってた衣装って言ってたね
　ちょっと照れるけど…服が乾くまでのあいだだし
　これはこれで楽しいかも！

望月蒼太

　（あかりん…マジ天使…!）
　じゃあ、気を取り直して水族館を楽しもう！

早坂あかり

　うん！

2人で歩き出したとき、ちょうど僕らと同じくらいの
歳のカップルとすれ違った

通りすがりのカップル・彼女

　ねえ、知ってる？この水族館のどこかの水槽に
　ハート型の模様を持つ魚がいて…
　それを見つけたカップルは
　ずっと一緒にいられるんだって

通りすがりのカップル・彼氏

　そうなんだ！じゃあ、頑張って見つけないとな！

望月蒼太

　へー…。そんなジンクスがあるんだ
　面白いね！

早坂あかり

　あ、うん…

望月蒼太

　（僕も、その魚を探してみようかな
　見つけたら、喜んでくれるかもしれないし）
　（それに、あかりんとずっと一緒にいたいし…！）

早坂あかり

　…

望月蒼太

　…あかり？
　どうかした？

早坂あかり

　う、ううん…
　なんでもないの！

望月蒼太

　（あれ、なんだかぎこちない…？）
　（どうしたんだろう…？）

僕とあかりは、色とりどりの熱帯魚が泳ぐ
水槽の前に来た

望月蒼太

　（ハート型の模様を持つ魚を見つけられたら
　あかりんとずっと一緒にいられる…！）
　（よし、頑張って見つけるぞ…！）

望月蒼太

　ハート型…ハート型…
　（なかなか見つからないな…）
　（そう簡単にはいかないか…
　そのジンクス自体、本当かどうかわからないし…）

小さくため息をついた、その時――

望月蒼太

　あ…！

早坂あかり

　どうしたの？

望月蒼太

　見て、あかり！
　ほら、あの魚のお腹のところ…

早坂あかり

　あ…
　ハートの形…！

望月蒼太

　でしょでしょ？

早坂あかり

　うん…！よく見つけられたね、蒼太君の…！
　本当にいたんだ…！

望月蒼太

　（嬉しそうな顔してる…よかった…）

早坂あかり

　そうだ。せっかくだから
　この水槽の前で写真を撮らない？

望月蒼太

　いいね！撮ろう撮ろう！

僕とあかりは水槽の前に並んでカメラを構えた
距離が近くなると、あかりが何か言いたそうな顔をする

早坂あかり

　あ…あのね、蒼太君…
　私、蒼太君に黙ってたことがあるの

望月蒼太

　え…

早坂あかり

　今日、2人で水族館に行くって
　決まったときのこと、覚えてる？

望月蒼太

　うん、覚えてるよ
　くじを作って、あかりがそれを引いたよね

早坂あかり

　実は、あのくじね…
　私、全部の紙に『水族館』って書いたの
　蒼太くんと一緒に、ここに来たかったから…

望月蒼太

　この水族館に…？どうして？

早坂あかり

　私…本当は知ってたんだ
　『ハート型の模様を持つ魚』のジンクスのこと…
　噂で聞いたことがあったから…
　蒼太君と一緒にここに来て…
　それを見つけられたらいいなって思ったの

望月蒼太

　あかり…

ハート型の模様を持つ魚を見つけたカップルは
ずっと一緒にいられる――
それが、この水族館のジンクスだ

望月蒼太

　（僕とずっと一緒にいたいって
　そう思ってくれたんだ…）

早坂あかり

　嘘ついて、ごめんね…

望月蒼太

　ううん…
　謝らなくていいよ
　でも、水族館に行きたいと思ってたなら
　言ってくれたらよかったのに

早坂あかり

　それは…だって…
　もし、蒼太君もそのジンクスを知ってたら
　恥ずかしいなって思って…

望月蒼太

　あ、あかり…
　（なんだ、この可愛い生き物はー！）
　（あかりんだよ…！僕の彼女だよー…！）

早坂あかり

　写真、撮ろっか

望月蒼太

　あっ、うん…！そうだね！

僕らはもう一度水槽の前に並んで
シャッターを押した

早坂あかり

　なんだか、高3のときのクリスマスイブを思い出すね
　私たちがはじめて一緒に出かけた…

望月蒼太

　うん。あのときも、こうやって
　2人で写真を撮ったよね

早坂あかり

　あの頃と今と…
　私たち、何か変わったかな？

望月蒼太

　そうだね…
　あの頃と変わったのは…
　あかりと恋人同士になったことかな
　そして、変わらないことは…
　あのときも今も、あかりに恋をしてること

早坂あかり

　っ…！
　わ、私も…蒼太君に恋…してる

望月蒼太

　あかり…

早坂あかり

　これまでもこれからも、私にとって蒼太君は
　すっごくかっこいい彼氏…だよ？

望月蒼太

　っ…！そんな嬉しいこと
　言うなんて反則だよ、あかり…！

いろんなことがあったけど、今日という日が
僕たちにとって最高のクリスマスイブになった――

クリスマスイブの数日後――
私と蒼太君は、星屋で
あの日に撮った写真を眺めていた

望月蒼太

　本当にいい写真ばっかりだなあ…！
　特に、このアシカを眺めてるあかりの笑顔、最高…
　あ、でもサンタの服を着て恥ずかしそうにしてる
　あかりもたまらなく可愛いし…
　ああ…！全部可愛い…！
　可愛くてどうしよう…！

早坂あかり

　（蒼太君…。心の声が全部漏れてるよ…）
　それにしても…
　あの水族館、すっごく楽しかったね
　もうすぐ年明けだし、来年も
　一緒にいろんなところ行けたらいいな

望月蒼太

　うん！
　あかりはどんなところに行きたい？

早坂あかり

　私は、そうだなあ…
　たまには、遠くに旅行に行きたいな
　泊まりがけで、温泉とか

望月蒼太

　と、泊まりがけ！？
　そ…それはハードルが高いよ…！

早坂あかり

　（蒼太君、慌ててる…。なんだか可愛いなあ…）
　それじゃあ…またくじを引いて決めようか？

望月蒼太

　うん、いいね！

早坂あかり

　今度はちゃんといろんな行き先を書いたよ！

望月蒼太

　うん！じゃあ、またあかりが引いてみて！

早坂あかり

　わかった！

私は目についたくじを手に取って、開いてみた

早坂あかり

　え…
　これ…蒼太君が書いてくれたの…？

望月蒼太

　うん…。僕の気持ちだよ
　ちょっとキザだったかな？

早坂あかり

　うーん、かなり…かも？

望月蒼太

　えええ！？

早坂あかり

　ふふ、冗談だよ。すっごく嬉しい

「好きです
これからもずっと一緒にいてください」――
それが、私が引いたくじに書かれていた蒼太君からの
メッセージだった

早坂あかり

　これ、私が自分で作ったくじを引いてたら
　どうするつもりだったの？

望月蒼太

　う…。そ、それは賭けっていうか…
　もし、本当に伝えないといけない気持ちなら…
　運が味方してくれるかなって…

早坂あかり

　そっか
　伝わったよ、蒼太君の気持ち
　ありがとう

望月蒼太

　よかった…
　あ…！行き先、決めなきゃね！
　もう一度くじを作るよ！

早坂あかり

　うん。でも、その前に…

望月蒼太

　ん？

私はペンを取り、蒼太君のメッセージの下に
返事を書いた

望月蒼太

　っ…！
　あ、あかり…！

早坂あかり

　これが、私からの気持ちだよ

「喜んで」――

早坂あかり

　これからも、こうやって思い出を一緒に作っていこうね

望月蒼太

　あかり…
　うん！

早坂あかり

　（旅行もいいけど…）
　（私にとっては、蒼太君とのこういう何気ない時間も
　大切な宝物だよ…）

大好きな人と一緒に過ごせる喜びを
私は噛みしめていた――