ランスヴェルのプロフィール
ランスヴェル 'Lanceveil' | 雷帝ランスヴェル Regal Bolt 'Lanceveil' |
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プロフィール
性別 | タイプ | 種族 |
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男性 | ナイト | 人間 |
英装 | 十賢臣 |
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職業 | 騎士 |
武器 | 剣 |
出身 | 帝都オルダーナ |
誕生日 | 5月30日 | 年齢 | 27歳 |
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身長 | 186cm | 体重 | 74kg |
3サイズ | 108/89/102 |
趣味 | 剣技の訓練 |
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特技 | 楽器の演奏 |
癖 | 両目を閉じる |
長所 | 有言、不言問わず決めたことは実行する |
短所 | 自分の弱さを許さない |
性別 | タイプ | 種族 |
---|---|---|
男性 | ソルジャー | 人間 |
英装 | 雷帝 |
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職業 | 戦士 |
武器 | 剣 |
出身 | 帝都オルダーナ |
誕生日 | 5月30日 | 年齢 | 27歳 |
---|---|---|---|
身長 | 186cm | 体重 | 74kg |
3サイズ | 108/89/102 |
趣味 | 休日に1人で楽器を弾く |
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特技 | 料理(ただし、野外料理のみ |
癖 | 熟考する時、目を閉じる |
長所 | 細やかな気配りができる |
短所 | 感情表現があまり豊かではない |
エピソード
オルダーナ帝国皇太子ローランドの腹心の騎士。
ランスヴェルは現在第三騎士団団長でありながら、第二〜第四騎士団の統括権をも持ち、帝国の対魔獣最大戦力を事実上管理してる。
また、若くして帝国軍事の重鎮である彼は、帝国評議会議員⋯通称"十賢臣"の一員であり、帝国の軍事のみならず政務でも影響力を持つ1人である。
皇太子ローランドとは幼き頃よりともに剣を学んだ仲であり、絶対的な忠誠心を捧げている。
ローランドも彼を深く信頼しており、皇太子という立場上あからさまな優遇するようなことはほとんどしないが、重要とされる任務は必ず彼に任せているという。
普段、あまり口数は多くなく寡黙とされる方だが、部下に対しては未端の一兵卒に至るまですべて名前を記憶し、的確な指示を行うので兵士たちの信頼は厚い。
帝国内では、第十二騎士団団長のダヴァンと兵士の人気を二分しているが、ダヴァンは部下の個性を大いに認めて、そこを伸ばすような育成、指示をするのに対し、ランスヴェルは兵士の個性を認めないわけではないが、それよりも規律や統一性を重んじる育成、指示を行うという。
そのためランスヴェルは、一芸に秀でた個性の強い兵士たちからの人気はあまりないが、どんな能力の低い者も決して見捨てないため、平均か、それ以下の技量の兵士たちからは絶大な支持を受けている。
幼き頃より皇太子ローランドの側に仕えていたランスヴェルだが、元々は下級貴族の生まれであり、本来はローランドに謁見などできるような立場ではなかった。
だが、剣術において不世出の達人と言われたランスヴェルの姉が皇太子の剣術指南役に選ばれたことから、彼もローランドとともに剣を学ぶことになったのである。
ランスヴェルの姉による稽古はまさに過酷の一言であり、皇太子はもちろん、自分の弟に対しても容赦なく厳しく鍛えた。
そんな稽古をともに耐え抜いたランスヴェルとローランドは、いつしか身分を越えた信頼関係を築いていったとされている。
当時のことをランスヴェルは、次のように語っている。
「稽古中、俺とローランド様は毎日これでもかというほど姉より容赦なく打ち据えられた。
俺はともかく皇太子であるローランド様にあそこまでやって大丈夫なのかと思い、一度姉に聞いたことがある。
そうしたら『自分が剣術を教える以上は、中途半端は許さない。それがたとえ皇太子だろうと誰であろうと』と答えられた。
ローランド様の方もその思いを理解しているかのように、何度倒されても立ち上がって姉に挑んでいった。
稽古終わりには、俺とローランド様はきまって"今日はどちらがより姉を苦戦させたか"と語り合ったものだ。
今の俺たちの剣技があるのは、姉があそこまで厳しく鍛えてくれたおかげであることは間違いない。
⋯もっとも、今考えると姉はあれでも手加減してくれていたんだろうがな」
ランスヴェルの戦い方は攻撃よりも防御を基本として、敵が見せた隙を見逃さずに必殺の一撃を放つことが多いとされているが、これは驚異的な強さを誇る姉の攻撃を数多く受けたためだと言われている。
そんなランスヴェルの剣技を、師匠である姉はこう評している。
「弟の⋯ランスの戦い方は、どうしようもなくつまらない。
でも⋯だからこそアタシ以外にはそうそう負けることはないだろうね」
やがて成人とされる年齢になったランスヴェルは、騎士の1人として帝国軍に加入する。
その当時、まだ帝国内の皇帝派の力は健在であり、皇帝と皇太子と不仲が噂されている中で、ローランドと親しいことが知られている彼の立場は微妙なものであった。
そんな周囲からの視線は騎士になった時より承知の上だった彼は、ただひたすらに任務に励み、対魔獣戦のみならず、野盗などの犯罪者捕縛などでも抜群の働きを見せていく。
だが任務をこなす中で、ランスヴェルは不審を抱くようになる。
任務で一緒になったほかの騎士たちの動きが、どうにも鈍いのだ。
当初はローランドと親しい自分と一緒に任務をするのが嫌でわざと手を抜いてると思い込み、彼らに対して激怒することさえあった。
だがしばらくして、彼は自分のその怒りが完全に的外れのものだったと気づく。
ほかの騎士たちが手を抜いているのではなく、そう見えるほど、姉に鍛えられた自身の剣技が抜きん出たものだったのだ。
そのことを理解したランスヴェルは、もはやほかの騎士への苛立ちはなくなり、戦いで先陣を切りつつも、周囲の者の力を引き出していくような立ち回りをするようになっていったという。
そんな中、ランスヴェルはある日突然姉の訪問を受ける。
これといって用事はないという姉は彼に「ランス、アンタは周囲のことを気にしすぎるきらいがある。
もちろんそれはアンタの長所でもあるが、たまにはアタシみたいに自身の思うがまま、わがままに行動してみろ。これまで見えなかったものが見えてくるかもしれないぞ」
という言葉をかけた。
不思議に思いながらも、その時のランスヴェルは姉の言葉にただうなずくことしかできなかった。
彼女が帝国より出奔したのはその翌朝のことであった。
ランスヴェルには姉がなぜ帝国を出ていったのか、その真意を推し量ることはできなかった。
だが、旅立つ前日にあのような言葉を自分に残したことから、もう二度とこの帝都に戻るつもりがないことは分かっていた。
姉には姉なりの帝国を出る理由と覚悟があったのだろう⋯寂しさの中でそう理解することにしたランスヴェルは、彼女がいなくなった分、自分がより一層ローランドに忠誠を誓い、彼の手となり足となって働かなければと心に決めたという。
騎士として実績を重ねたランスヴェルは、それが認められて第三騎士団の団長に抜擢される。
それは第三騎士団の元々の団長ロナーダが、高齢により騎士を引退するにあたっての人事であった。
当時、ランスヴェルのような年若い者が騎士団の団長となることは異例のことであったが、第三騎士団前団長ロナーダ、第十二騎士団団長ダヴァンなどはすでに彼の実力を認めており、今後を期待する意味を込めての人事でもあった。
団長就任後、ランスヴェルがまず行ったことは元々練度が高かった第三騎士団を訓練し、さらに鍛え上げることだった。
その訓練は姉仕込みの過酷なもので、団員たちの多くは脱落しかけるが、ランスヴェルは彼ら一人一人に目を配り、時には叱咤し、時には励ました。
その結果、脱落者を1人も出すことなく、第三騎士団を帝国内最強とも言えるほどの精強な部隊へと生まれ変わらせることに成功する。
その後、ランスヴェルは第三騎士団を率いて、ブレイズとの紛争が絶えなかったランゼリア大陸を中心に威圧偵察を度々実行。
魔獣やブレイズの部隊と何度も遭遇したが、それらはもはや敵ではなく、数多くの魔獣を討伐し、ブレイズのメンバーたちを捕縛した。
彼らの活躍により、ランゼリア大陸においてのブレイズの支配力は減少し、帝国軍の行動範囲は大きく拡大したとされている。
第三騎士団団長就任より1年半後、ランスヴェルはランゼリア大陸での功績により、第三騎士団団長に在籍のまま、第二〜第四騎士団の統括権を任されることとなり、さらには帝国評議会議員⋯通称"十賢臣"にも就任する。
第二〜第四騎士団の統括権はともかく、十賢臣への就任についてはローランドの意向が強く反映されたものだと言われているが、もはやそれに異を唱える者などいなかった。
たとえローランドの力がなかったとしても、帝国軍事の重鎮となったランスヴェルがその地位に就くことに、なんら不自然なことはなかったのだ。
ちなみに同時期に十賢臣となった者に参謀局情報室室長のエリザがいるが、彼女もランスヴェル同様にローランドの腹心であり、そして彼の幼馴染でもある。
現在、互いに立場ある身分ゆえに変な馴れ合いなどはしておらず、それどころかローランドへの忠誠の高さを示すため、互いにその働きぶりを競い合うような様子すらある。
だが一方で、ともに酒を一緒にしているところを目撃した者もおり、2人は恋仲とまではいかぬものの気心の知れた仲なのではないか、という噂も囁かれている。
「あいつは俺にとって妹みたいなものだ。
向こうも俺のことをデキの悪い弟ぐらいに思っているだろうがな」
騎士ランスヴェルが己の殻を破り、新たな戦い方を身に付けた姿。
オルダーナ帝国十賢臣の1人で、帝国軍部の最大戦力を統括しているランスヴェルは、その立場ゆえ常に周囲に配慮し、部下たちのことを考えておかねばならず、自然とその行動は失敗することのない、自制したものになりがちであった。
だが、主君である帝国皇太子ローランドより自身の正義を探すよう命じられた彼は、鍛錬の旅の中で自分自身の生き方を改めて考え直す。
そしてその末にランスヴェルが至った境地は、これまで自身に課してきた自制の念から離れ、望むままに、思うがままに、1人の戦士として自由に剣を振るうことであった。
立場やしがらみなどから解放された彼が放つ斬撃は従来の型にはまったようなものではなく、どのような敵にも柔軟に対応できる、無敵に近いものへと進化していた。
大きな成長を果たしたランスヴェルは、幼馴染の魔導師のことに思いを馳せる。
彼女の主君ローランドへの忠誠心は、ランスヴェルに劣らぬものだ。
自身を磨く旅に出ている彼女も、きっと今頃は新たな力を身に付けていることに違いない。
それがどのような成長なのか、ランスヴェルは再び彼女に会う日を思い、目を細めた。
オルダーナ帝国軍の重鎮となってからのランスヴェルは、冷静沈着で常に己を律する生き方、戦い方をしていたが、それ以前では無茶な行動をすることも
あった。
幼い頃、ランスヴェルもほかの同年代の少年たちと同様に冒険や英雄譚にあこがれており、身近に不世出の剣の天才と言われた姉がいたこともあって、その思いは非常に強いものであった。
そんな幼いランスヴェルは、ある時、帝都郊外に通常よりもひと回り巨大なガウルが、群れを引き連れて現れた、という噂を耳にする。
その頃、すでに彼の姉は帝国軍に所属し、数々の魔獣を討伐していたが、初めて魔獣を仕留めたのは、今の彼と同じぐらいの年齢であった。
そのため、ランスヴェルは「ならば自分も」と思い立ち、家にあった使い古された剣を手に無謀にも単身で討伐に向かったのだった。
家を出て数日後、噂の巨大ガウルをようやく発見したランスヴェルは、真正面から戦いを挑む。
この頃の彼はまだ剣術の初歩しか知らず、ただただ無我夢中で剣を振り回すだけであった。
それでも気迫だけはこもっていたらしく、巨大ガウルも容易に彼に近づくことはできなかった。
だが戦いの中、彼の剣は誤って近くの岩に当たり、中程より折れてしまう。
「そ、そんな⋯!?」
頼みの武器を失い、窮地に陥ったランスヴェルに対して巨大ガウルはジリジリと迫り、かの魔獣に率いられたほかのガウルたちも、すでに彼の周囲を取り囲んでいた。
逃げ場がない絶体絶命な状況に死を覚悟するランスヴェルは、恐怖で叫び出したい衝動に駆られつつもそれをなんとか押し留めた。
叫ばなかったのは、彼なりの"意地"であった。
やがて間合いを詰めた巨大ガウルはランスヴェルへ飛びかかるが、その瞬間、疾風がごとき影がそこへ乱入する。
そして、その"影"が振るった剣により、巨大ガウルは鮮血を撒き散らし、吹き飛ばされていた。
その両者の前に躍り出た"影"⋯それは彼の姉であった。
数日前より家からランスヴェルの姿が消えたと連絡を受けた彼女は、もしやと思い、ずっと帝都郊外周辺を探していたのだ。
巨大ガウルが一撃のもとに屠られたのを見て、率いられたほかの群れたちは散り散りに逃亡。
自身が助かったことを知り、ランスヴェルは思わずその場にへたり込む。
だが安堵する間もなく、すぐに姉の説教とゲンコツを食らう羽目になった。
「⋯まったく、世話を焼かせて!
だが悲鳴をあげなかったのは⋯まあ褒めてやる」
彼女は呆れつつも、そう言って手を引いてランスヴェルを立たせ、彼を連れて家路についた。
幼いランスヴェルはそんな姉を見て、自分も彼女のようになりたい、と思ったが、同時に「この人と同じことはできない」⋯そう強く感じたという。
やがて成長したランスヴェルは、後に主君となる帝国皇太子ローランドとともに姉より本格的に剣術を学んでいたが、その頃にも後の彼からは想像もできないような戦い方をしたことがあったという。
それは、ローランドがオルダーナ大陸南部へ旅行に赴き、ランスヴェルがそれに同行した時のことだった。
とある村に滞在した際、凶悪な魔獣が近くに住み着いてしまい、困っているという話を村人から聞いたローランドは、ランスヴェルにこう持ちかける。
「魔獣なぞ、私たちで倒してしまうぞ」
ローランドのその発言は、将来、帝国を背負って立つ者として困っている市民を見捨てられない、という気持ちからのものであったが、その裏には鍛え上げた剣技を試したい、という欲求も隠されていたのかもしれない。
ランスヴェルはローランドのその思いに気づきながらも結局は彼に押し切られて、ともに魔獣の討伐へと向かうことになった。
積極的に賛成こそしなかったものの、ランスヴェル自身もローランド同様に、自分の腕を実戦で試したい、という欲求を持っていたのだ。
魔獣の住処とされる場所に向かったローランドとランスヴェルは、すぐに目的の魔獣を発見。戦闘を仕掛けた。
軽やかに相手の攻撃をかわし、的確に相手にダメージを与えていくローランド。そしてそれをフォローするランスヴェル。
たちまちのうちに魔獣を追い詰める2人だったが、実戦経験の少なさからか、彼らの中に慢心が生じてしまう。
「⋯簡単なものだな」
ローランドがランスヴェルにそう声をかけ、視線をそらした瞬間、魔獣は彼に突撃。
ローランドはそれを華麗に避けるものの、不意の攻撃であったためか、身につけていたマントだけはわずかに引き裂かれてしまう。
汚らわしい魔獣が主君の身につけているものを傷つける⋯その光景はランスヴェルにとって、とても許容できるものではなかった。
「⋯貴っ様ぁぁ!」
怒声をあげて、相手の攻撃を食らうことなどまったく意に介さず、感情のままに必殺の一撃を繰り出すランスヴェル。
その攻撃に魔獣はひとたまりもなく、真っ二つに切り裂かれて絶命してしまう。
相手が動かなくなったことを確認し、我に返ったランスヴェルは、すぐにローランドの方に駆け寄ろうとするも、その当人は平然な顔をして剣を鞘に収めていた。
「大丈夫ですか、ローランド様!」
「問題ない。それよりも、お前の先程の攻撃⋯なかなかに興味深かったぞ」
むろんローランドに怪我などはない。むしろ、ランスヴェルをからかうように笑っていた。
当のランスヴェルの方は、彼が無事であったことに安堵するとともに、自分が我を忘れてあんな行動をしたことを思い返し、我が事ながらも驚きを禁じ得なかったという。
修練の旅の中、新たな戦い方、生き方を身に付けつつあったランスヴェルは、幼馴染の魔導師と過去に交わした会話を、ふと思い出していた。
「あなたは真面目すぎよ。たまにはハメでも外してもうちょっと愛想よくしたら?
うちの職員の中でもあなたのことを噂している子、結構多いんだから」
彼女はランスヴェルと会う度にそんな注意をしており、それに対してランスヴェルも決まってこんな風に返していた。
「柄じゃない。そう言うお前こそ、もうちょっと人を頼ったらどうだ?
自分1人で出来ることには限度があるぞ」
⋯考えてみれば、彼女がランスヴェルに口うるさく注意するようになったのは、自分の姉が帝都を出て行方が分からなくなった頃からであった。
(もしかして、あの小言は姉さんの代わりに言っているつもりなのだろうか?)
そう考えつつも、今の自分の成長を考えると、妹のように思っている幼馴染の言葉があながち間違っていなかったことも実感する。
(やれやれ、合わせる顔がないな⋯)
再会した時、彼女はきっと「それ、みなさい」と、そんな態度を取るだろう。
だが、彼女のそんな態度は、ランスヴェルにとって不快ではなく、むしろ懐かしさを感じさせるようなものであった。